競業阻止義務とはどんな義務?【競業阻止義務違反の判断基準や罰則などについても解説します】

記事更新日:2025年08月08日 初回公開日:2025年08月08日

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優秀な社員の退職による情報漏洩や顧客流出に、頭を悩ませていませんか?「競業避止義務契約を結んでいるから大丈夫」と安易に考えては危険です。契約に合理性がなければ裁判で無効と判断され、会社の存続を揺るがす致命的な損害に繋がる恐れがあります。対策を怠れば、時間と費用をかけた人材育成が無駄になるだけでなく、市場での競争力低下は避けられません。「期間」「範囲」「代償措置」といった法的ポイントを確実に押さえ、契約の有効性を高めることが重要です。本記事では競業避止義務に関する法的リスクを回避し、会社の重要資産を守り抜きたい方に向けて、具体的かつ実践的な対応策を詳しく解説します。

競業避止義務とは

自社の従業員に対して競合他社との競合を禁止させること

競業避止義務とは自社の従業員が退職後に競合他社で働くことや、同業の事業を立ち上げることを禁止させることです。企業の営業秘密や顧客リスト、技術ノウハウといった重要情報が他社に流出するのを防ぐ目的で設けられます。ただし、すべての従業員に一律で課すのは難しく、業務内容や在職中の地位などを考慮した上で、合理的な制限にする必要があります。企業側は職業選択の自由とのバランスを踏まえたうえで、適用対象を慎重に検討すべきでしょう。

競業避止義務契約とは

競業避止義務契約とは、使用者と従業員のあいだで交わされる一定の期間と範囲において競業行為を制限する契約のことです。 この契約では、従業員が退職後に競合他社に就職したり、同業のビジネスを立ち上げたりする行為を禁止する条項を設けるのが一般的です。契約書には義務の存続期間、地理的な制限、対象となる業務や行為の内容、代償措置の有無など、具体的な条件を記載する必要があります。ただし、一方的に企業に有利な内容であった場合、裁判所で無効とされる可能性もあるため、法律の専門家に相談することが望ましいでしょう。

競業避止義務契約違反の有効性の判断基準

守るべき企業の利益

競業避止義務契約の有効性の判断基準として、「守るべき企業の利益」があるかが重要です。営業秘密や未公開の技術情報、顧客との取引関係、事業譲渡時の合意事項など、「守るべき企業の利益」が確認されれば、競業を禁止する契約に一定の有効性が認められます。逆に、利益が不明確な場合や、すでに公知となっている情報に基づく制限は職業選択の自由を侵害するものとして、裁判所により無効と判断される可能性があります。企業は自らの利益が具体的にどのような性質かを明らかにして、制限の妥当性を検討すべきでしょう。

従業員の地位

競業避止義務契約違反の有効性の判断基準として、従業員の地位があります。経営戦略の決定に関与する取締役や営業・顧客情報に精通する幹部社員のように、重要情報へ恒常的に接する立場には、競業の制限が合理的と認められる傾向にあります。一方で、一般社員やアルバイトのように業務が限定的で企業秘密に接する機会が少ない場合は、同様の制限が無効と判断される可能性が高まります。そのため、企業は従業員の職務内容や責任の重みを適切に評価し、それに見合った範囲で義務を設定する必要があるでしょう。

地域的な限定

競業避止義務契約違反の有効性の判断基準として、競業を禁止する地域的な限定にも注意が必要です。地域の限定は取引先の分布や営業拠点の所在など、企業が実際にビジネスを展開している地域に即した設定が求められます。たとえば、関東圏のみに拠点を構える企業が「全国一律の競業禁止」を契約で定めた場合、裁判所では過剰で合理性を欠く制限と判断される可能性があります。限定範囲は、事業の実態に基づいて慎重に検討しなければなりません。

競業避止義務の存続期間

競業避止義務契約違反の有効性の判断基準として、競業避止義務の存続期間があげられます。制限の期間は必要最小限に抑えることが原則であり、2年以内が妥当とされるケースが多いです。これを超える長期の拘束は、合理性を欠くとされ無効と判断されるおそれもあるため注意が必要です。企業側は退職者が扱っていた業務の内容や営業秘密の性質、情報の陳腐化の速度などを十分に考慮し、制限期間を設定しなければなりません。契約書や社内の規定には制限の理由を明確に記載し、第三者にも合理性が伝わる形で整備しておくのが適切でしょう。

禁止される競業行為の範囲

競業避止義務契約違反の有効性の判断基準として、禁止される競業行為の範囲があげられます。「競合他社への転職を一律禁止する」といった抽象的な記述では、実務上のトラブルや訴訟において有効と認められないことがあります。「顧客リストを利用した営業行為の禁止」「自社製品に類似した商品の企画・開発への関与の制限」など、業務に応じて制限内容を明文化する必要があります。契約条項を設計する際には職種や従事内容に合わせて具体的な禁止行為を検討し、合理的な範囲で条文化しておくことが求められるでしょう。

代償措置

競業避止義務契約違反の有効性の判断基準として、代償措置が求められます。「競業避止義務を課す代わりに、退職後6か月間は月額〇万円を支給する」といった合意にり、職業選択の自由に対する不当な制約の回避が可能になります。実際、裁判所も競業制限の厳格さと補償内容のバランスを重視する傾向があるため、金銭的な補填は有効性を補強する有力な手段といえるでしょう。とくに、企業の重要な情報に精通した幹部層や専門知識を持つ社員には、退職後の代償措置を検討する価値があります。

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競業避止義務を防ぐ方法

就業規則に明記する

競業行為を防ぐ方法として、就業規則に明記することがあげられます。就業規則は従業員との労働契約の一部とみなされるため、制限内容を記載することで、後のトラブル予防に効果を発揮します。ただし、企業側の都合だけで過度に制限をかけると、合理性を欠くと判断されるかもしれません。従業員の業務内容や対象となる競合他社の定義、制限する行為の範囲などを具体的に規定し、目的や必要性が理解できる内容にすることが重要です。

入社時に誓約書を提出させる

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競業行為を防ぐ方法として、入社時に誓約書を提出させることがあげられます。労働契約の初期段階で合意を得ておくことで、紛争リスクを下げられます。特に営業職や開発職など、企業のノウハウや機密情報にアクセスする可能性の高い職種では、文書による誓約が欠かせません。契約としての効力を発揮するには誓約書に署名を得たうえで、義務の期間や地域的な限定、禁止される行為の範囲、代償措置の有無などの内容を記載しておくことが重要です。

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退職時に誓約書を提出させる

競業行為を防ぐ方法として、退職時に誓約書を提出させることがあげられます。誓約書の提出で、退職後の転職や独立に一定の制限が可能になります。ただし、在職中に合意していなかった場合には、従業員との力関係や自由意志の有無が争点になることもあり、慎重な対応が求められます。署名を得る際は義務の存続期間や地域的な限定、禁止される行為の範囲、代償措置の内容などを記載し、内容の合理性を説明する必要があるでしょう。一方的な押し付けでは無効になる可能性があるため、誠意ある合意形成を重視する姿勢が求められます。

副業を許可制にする

競業行為を防ぐ方法として、副業の許可制があげられます。副業をきっかけに従業員が競業行為に関与するケースも増えており、企業はリスク管理する必要があります。営業部門や技術職など機密情報や顧客データに触れる社員が、副業で同業他社と関与すると、情報漏洩や取引関係の悪化につながるおそれがあります。リスクを回避するために副業を原則許可制とし、内容や勤務先を事前に確認できる仕組みを構築しましょう。就業規則に申請ルールを明記し、従業員にもリスクを理解させたうえで運用することが求められます。

社内教育を徹底させる

競業行為を防ぐ方法として、社内教育の徹底があげられます。競業避止義務の制度を形だけ導入しても、社内で内容が正しく理解されていなければ実効性は期待できません。従業員一人ひとりがどのような行為が競業に該当し、企業にどのような損害を与えるかを把握していなければトラブルの予防は困難です。社内教育で制度の背景や目的、就業規則との関係、違反事例などを取り上げながら、継続的に理解を促すことが重要です。制度を機能させるには、社員の理解と納得が前提になります。

競業避止義務違反への罰則

懲戒処分

競業避止義務違反への罰則の一つに懲戒処分がありますが、運用には注意が必要です。まず、処分の根拠として就業規則に明確な記載がなければ、法的効力を持ちません。さらに処分内容が過剰と見なされた場合は、労働契約法や判例によって無効と判断される可能性もあります。対象となる行為が企業の利益にどの程度影響したか、当該従業員の地位や役割なども考慮しながら、客観的に評価することが求められます。感情的な対応ではなく、合理的な判断基準に基づく処分を意識しましょう。

退職金の減額

競業避止義務違反への罰則として、退職金の減額があげられます。競業行為への関与を理由に退職金の減額や不支給を行うには、事前のルール整備が不可欠です。就業規則や雇用契約に、競業避止義務違反があった場合の対応として減額措置を明記していなければ、企業側の主張が通らないリスクもあるでしょう。裁判所は減額の合理性を重視しており、実害が出たかどうかや競業行為の悪質性、対象従業員の地位などを総合的に判断します。罰則の適用は、合理的な理由がなければ不当とされる可能性があります。

損害賠償請求

競業避止義務違反があった場合の対応として、損害賠償請求があげられます。競業避止義務違反によって企業が損害を受けた場合、元従業員に対して損害賠償を請求することが可能です。実際の裁判では契約の有効性だけでなく、違反行為と損害との因果関係、金額の算定根拠などが厳密に問われます。たとえば、顧客の流出や営業秘密の侵害といった具体的な被害を証拠とともに立証できなければ、請求が認められない可能性があるでしょう。損害賠償請求の際は、弁護士と証拠収集と法的整理を慎重に進める必要があります。

競業行為の差し止め

競業避止義務違反があった場合の対応として、競業行為の差し止め請求があげられます。たとえば、元従業員が取引先に対し営業活動を行っているようなケースでは、損害が発生する前に行為の停止を求めることで被害の拡大を防げるでしょう。差し止めが認められるには契約条項の有効性や違反行為の具体性、差し迫った損害発生の危険性などを、裁判所に対して客観的な資料で立証する必要があります。訴訟に踏み切る前に内容証明郵便による警告書を送付したり、相手側と交渉したりするなど、段階的かつ慎重に法的対応を進める姿勢が求められます。

まとめ

競業避止義務の概要を理解し対策を考えよう

競業避止義務の概要を理解し対策を考えましょう。競業避止義務は企業の営業秘密や取引関係、技術ノウハウといった重要な資産を守るための仕組みです。ただ制度を導入するだけでは意味がなく、有効性を確保するには就業規則への明記、誓約書による合意、代償措置の検討、社内教育の実施など多面的な対策が必要です。違反時の対応として懲戒処分や損害賠償請求、差し止め請求といった手段もあらかじめ想定しておくべきです。自社の状況に合った制度設計を行い、リスクを最小限に抑える運用を進めましょう。

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