ビロンギングを高めるには?【ビロンギングと関連性のある言葉や注目されている背景なども併せて解説します】

記事更新日:2025年07月30日 初回公開日:2025年07月30日

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働き方や価値観が多様化する現代において、企業が持続的に成長していくためには、単に「多様な人材を受け入れる」だけでは不十分だと言われるようになってきました。社員一人ひとりが安心して自分らしさを発揮しながら働くためには、組織とのつながりや所属意識が重要です。そこで近年注目を集めているのが「ビロンギング(Belonging)」という考え方です。ビロンギングとは、社員が「自分らしくいながらも、組織の一員であることに心地よさを感じる状態」のことです。本記事ではビロンギングが注目されている背景や関連性のある言葉について説明します。

ビロンギングとは

自分らしさを発揮しつつ組織に関わる心地よさのこと

ビロンギングとは、個人が組織やコミュニティの一員であると実感しながら、自分らしさを損なうことなく関わることができる心地よさのことを指します。単なる所属や帰属とは異なり、「自分が受け入れられている」「ここにいていいと思える」といった心理的な安心感が伴う点が特徴です。ビロンギングが満たされることで、社員は自信を持って意見を言ったり、新たな挑戦に踏み出したりしやすくなります。ダイバーシティ&インクルージョンと並び、近年の組織づくりにおいて注目されている概念です。

ビロンギングと関連性のある言葉

ダイバーシティ

ダイバーシティとは、性別、年齢、国籍、価値観、働き方など、あらゆる面での「違い」を受け入れ、多様な人材が共に働くことを前提とする考え方です。ビロンギングは、そうした多様な個人が「この場にいてもいい」と感じられる心理的な安心感とつながっています。つまり、ダイバーシティが前提となり、その多様な人々が互いに尊重され、自分らしく貢献できる環境が整ってはじめて、ビロンギングが実現されます。多様性の受容だけでなく、それが「居心地のよさ」につながっているかが重要です。

インクルージョン

インクルージョンとは、多様な人々を組織の中に積極的に受け入れ、その価値を尊重し、活かす姿勢を意味します。ダイバーシティが「多様な人がいる状態」であるのに対し、インクルージョンは「多様な人が活躍できる状態」をつくることが目的です。ビロンギングは、このインクルーシブな環境の中で「私はここにいていい」と感じられる状態です。つまり、インクルージョンが実践されている組織ほど、ビロンギングの感覚が生まれやすく、社員のエンゲージメントや創造性も高まりやすくなります。

エクイティ

エクイティとは、一人ひとりが平等にチャンスを得られるよう、個々の背景や状況に応じて適切な支援や配慮を行う「公平性」の概念です。一見似ている「平等(イコーリティ)」は全員に同じものを与えることですが、エクイティはそれぞれのスタート地点やニーズに合わせた“異なる支援”を前提としています。ビロンギングの実現には、このエクイティの考え方が不可欠です。公平な環境があるからこそ、誰もが自分らしく安心して組織に関わることができ、心地よさや所属感が生まれるのです。

ユニークネス

ユニークネスとは、個人の特性や強み、価値観など「その人らしさ」を尊重する考え方です。ビロンギングとは、「自分らしくありながらも、その場に受け入れられている」と感じられる状態を意味するため、ユニークネスとの関係は非常に深いものです。自分の個性を隠さずに活かせる環境こそが、ビロンギングを育む土壌になります。一人ひとりが「違っていてよい」「むしろその違いが歓迎される」と感じられる組織文化は、創造性や柔軟性を高める源にもなります。

ビロンギングが注目されている背景

終身雇用制度が変化しつつあるため

ビロンギングが注目されている背景として、終身雇用制度が変化しつつあることが関係しています。かつての日本企業では、終身雇用や年功序列といった制度が一般的であり、「長く勤めること」自体が組織への忠誠や安心感の証とされてきました。しかし近年は、雇用形態の多様化や成果主義の浸透、転職市場の活性化などにより、こうした制度が徐々に見直されつつあります。ビロンギングは、このような新しい働き方や組織との関係性に対応するために注目されているのです。

多様化のみに注目しているため

多様化のみに注目していることもビロンギングが注目されている背景です。ダイバーシティの推進が進み、多様な人材を受け入れることが多くの企業で当たり前となりつつあります。しかし、「多様性を確保しただけで、誰もが活躍できるわけではない」という課題が浮き彫りになっています。多様性を「活かす」ためには、個人が孤立せず、組織の一員としてのつながりを実感できるようにすることが不可欠であり、ビロンギングはその鍵を握る考え方として注目を集めています。

ビロンギングのメリット

帰属意識の向上

ビロンギングのメリットとしてまず挙げられるのは、社員の帰属意識が高まることです。自分が組織の一員として受け入れられていると実感できる環境では、安心感や信頼感が生まれ、自然と組織に対する愛着が育まれます。これは仕事へのモチベーションや主体性の向上にもつながり、個々のパフォーマンスを引き出すだけでなく、チームとしての結束力や協働性も高まる要因となります。帰属意識が高い職場は、心理的安全性にも優れ、持続的に成長できる土壌となるのです。

早期離職の防止

ビロンギングのメリットとして、社員の早期離職を防ぐ効果が期待できる点も重要です。特に入社間もない社員にとっては、自分の存在が認められているか、職場に馴染めるかが定着のカギになります。ビロンギングが満たされることで、「ここにいていい」「この会社で働き続けたい」という気持ちが芽生え、離職への不安や孤立感が軽減されます。結果として、組織は採用や育成にかけるコストを抑えつつ、継続的に戦力としての人材を確保できるようになります。

企業のブランディング強化

ビロンギングのメリットとして、企業のブランド価値を高める効果も見逃せません。社員が自社に誇りや愛着を感じている職場は、外部に対しても魅力的に映ります。実際、社員の声や行動は企業文化の体現者であり、ポジティブな発信は採用活動や顧客との信頼関係にも良い影響を与えます。また、「多様な人材が安心して活躍できる会社」としてのイメージを構築することは、今後ますます重視される社会的価値にもつながります。ブランディングの一環としてビロンギングは欠かせない要素といえるでしょう。

ビロンギングを高める方法

社内コミュニケーションの促進

ビロンギングを高めるうえで、社内の円滑なコミュニケーションは非常に重要な要素です。日々のちょっとした会話や情報共有をはじめ、部署間をまたぐ横断的なつながりや、立場の違う社員同士がフラットに交流できる機会を意識的に設けることで、「組織の一員として受け入れられている」という安心感が生まれます。たとえば1on1ミーティングやフィードバック制度、社内イベントなども効果的です。社員が互いを理解し、信頼関係を築くことで、自然と組織とのつながりも強まっていきます。

ビジョンやパーパスの浸透

社員一人ひとりが組織との関わりを実感するためには、企業が掲げるビジョンやパーパスを明確に伝え、日常業務の中で体現していくことが重要です。ビジョンは組織の目指す未来像、パーパスはその存在意義を示すものであり、社員が自身の仕事と組織の価値観を結びつけられることで、ただの“働く場所”を超えた意味を見出すことができます。組織と個人の目指す方向性が一致したとき、人はやりがいや自信を持って仕事に取り組むことができ、自然と帰属意識や主体性が高まります。

役職別に取り組みを行う

ビロンギングの浸透を目指す際には、役職や立場に応じたアプローチが求められます。たとえば、新入社員や若手には、職場やチームに安心してなじめるような育成プログラムやメンター制度が有効です。一方で、中堅社員にはキャリア形成や挑戦機会を提供し、自分の強みを発揮できる場づくりが大切です。それぞれの立場ごとに異なる不安や期待に対応した取り組みを行うことで、誰もが「ここで働いてよかった」と感じられるようになり、結果として組織全体のビロンギングが向上していきます。画一的ではなく、個別最適な施策が鍵となります。

ビロンギングを高める際のポイント

企業理念やビジョンを明確化する

ビロンギングを高める第一歩は、企業の理念やビジョンを明確に打ち出すことです。社員が自らの業務と組織の方向性や価値観を結びつけることで、「自分はこの組織の一員である」と実感できるようになります。理念が曖昧なままでは、社員が組織に共感し、貢献意欲を持つのは難しくなります。そのためには、トップからの発信だけでなく、現場レベルでも日常的にビジョンに触れられるような工夫が求められます。たとえば社内報、朝礼での共有、評価制度への組み込みなどが効果的です。

継続的な教育を行う

社員の成長を支援するための継続的な教育は、ビロンギングの向上に直結します。スキルアップやキャリア形成の機会があることで、社員は組織からの期待と信頼を感じ、自己肯定感や貢献意識が高まります。特に新たな役割やポジションに対応するための研修、マネジメント層へのリーダーシップ研修など、個人の成長段階に応じたプログラムの提供が効果的です。教育を通じて「ここで働き続けたい」「この組織で力を発揮したい」と感じることが、ビロンギングの定着につながります。

インクルージョンに基づいたマネジメントやリーダーシップを取る

多様な価値観や背景を尊重するインクルージョンに基づくマネジメントは、ビロンギングを支える重要な要素です。誰もが安心して自分らしく働ける環境をつくるためには、上司やリーダーが率先して「一人ひとりの声を聞き、違いを尊重する」姿勢を持つことが不可欠です。マネージャー自身がインクルーシブな思考を身につけ、部下との対話やフィードバックを丁寧に行うことで、チーム内の信頼関係が深まります。その結果、社員は自分の存在が認められていると実感し、組織への帰属意識が強まります。

環境を整備する

物理的・心理的な職場環境の整備も、ビロンギングを高めるうえで欠かせません。オフィスのレイアウトや働き方の柔軟性はもちろん、ハラスメント防止やメンタルヘルス対策など、安心して働ける環境づくりが求められます。特にリモートワークの広がりにより、社員同士のつながりが希薄になりがちな現代では、オフライン・オンライン双方で「つながり」を意識した設計が重要です。環境が整うことで、社員は「この場所なら安心して働ける」と感じ、ビロンギングの基盤が築かれます。

まとめ

ビロンギングを高めて新しい世界の流れに対応しよう

ビロンギングを高めることは、多様な人材が活躍するこれからの社会において、組織の持続的成長を支える重要な基盤となります。単に多様性を受け入れるだけでなく、一人ひとりが自分らしさを発揮しながらも、組織の一員であることに心地よさを感じられる状態をつくることが求められています。これからの変化の激しい時代において、企業が競争力を保ち、社会に貢献し続けるためには、ビロンギングの考え方を取り入れた組織づくりが不可欠です。社員と組織がともに成長できる未来を目指し、今こそビロンギングを高めていきましょう。

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