コンピテンシー評価とは【能力評価との違いや書き方のポイントについて解説します】

記事更新日:2023年09月28日 初回公開日:2023年09月28日

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コンピテンシー評価は人事評価に用いられる方法の一つです。この評価方法は、その特徴から社員の公平性を保てるという点で優れていて、現在は多くの企業で取り入れられています。そんなコンピテンシー評価ですが、どのような点が優れているのか、実際に導入するにはどのようなことに注意すれば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。今回はコンピテンシー評価の意義や、メリット・デメリットを含めた導入時の注意点についてご紹介します。コンピテンシー評価の導入を検討している方は、ぜひご参考にしてみてください。

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コンピテンシー評価とは

行動特性を評価基準とする人事評価のこと

コンピテンシー評価とは、仕事で優れた結果を出している人材の行動特性を評価基準にした人事評価の手法のことです。仕事で良い成績を出すには、本人のスキルだけでなく結果に至るまでの過程に目を向ける必要があります。なぜなら、業務プロセスが優れていなければ、優れた成果を出すことはできないからです。そのため、コンピテンシー評価では、評価対象の業務における成果や能力だけでなく、本人の普段の仕事に対する姿勢や行動過程に注目して評価を下します。

コンピテンシー評価と能力評価の違い

評価基準が行動特性か能力やスキルかの違い

コンピテンシー評価の評価基準が行動特性であることに対して、能力評価は評価基準を能力やスキルに設定しています。能力評価では、評価対象が資格を取得できているか、業務内で保有している能力を活かせているかを基準に評価を下します。そのため、経験の多い人ほど高い評価を受けやすい反面、経験の薄い人は努力しても評価されにくいという特徴があります。コンピテンシー評価は本人の能力に関わらず、事前に設定した行動目標を達成できているかを基準にするため、より公平性を保ちながら人事評価を下せます。

コンピテンシー評価のメリット

公平性を保つことができる

コンピテンシー評価は前述した通り、社員の仕事に対する姿勢や行動目標の達成度に応じて評価を下します。従来の能力や業績を基準とした成果主義の評価基準では、目に見える結果を出せなければなかなか高い評価を得られませんでした。そのため、経験の浅い社員や努力が成果に繋がらない社員は、経験豊富な社歴の長い社員と比べると不利で、公平性に欠けるという問題がありました。しかし、コンピテンシー評価を取り入れれば、どのような社員でも平等に評価できるため、公平性を保てるというメリットがあります。

評価担当者の負担が減少する

コンピテンシー評価は導入すると評価担当者の負担を減少させられます。人事評価は社員一人一人の行動を観察し、判断を下さなければなりません。結果によってはその人の今後の人生を左右することにもなるため、慎重な検討が必要な分精神的な負担が大きい業務です。そのため、評価基準が曖昧だと評価担当者は主観的な評価を下してしまう場合もあります。しかし、コンピテンシー評価で具体的な目標を設定しておけば、評価担当者は定められた基準に沿って判断すれば良いだけなので、人事評価の負担を軽減できます。

生産性が向上する

コンピテンシー評価は評価対象の行動について評価を下す手法のため、評価していく過程でその人がどのような分野が得意なのかを知ることができます。社員の強みを知れば、人事異動の際にも本人に適した部署に配属できるなどのメリットが生じます。多くの場合、人には得手不得手があるので適した部署に人材を配置できれば、必然的に仕事の能率が上がります。また、公平な評価を得られる環境で働くことは社員のモチベーション維持にも繋がるため、社内全体の生産性を向上させる効果が期待できるのもメリットの一つです。

コンピテンシー評価のデメリット

導入までに時間がかかる

コンピテンシー評価は優秀な人材の行動特性を評価基準にしています。導入するには優秀な人材のどのような行動が成果に繋がっているかを分析し、評価基準を設定しなければなりません。このような理由から、実際の評価に映るまでに、行動分析から基準の設定などの業務が発生するので、導入までにはかなりの時間を要します。そのため、コンピテンシー評価を取り入れるには、早い段階から計画的に準備を進めていく必要があることを覚えておきましょう。

項目の設定が難しく労力を使う

コンピテンシー評価は成果主義とは異なり、評価基準が目に見える数字や成果ではない分、項目の設定が難しいという点がデメリットとして挙げられます。評価基準を設けるには社内で活躍している人材や、理想的なロールモデルを用意しなければなりません。さらに、用意できた場合にも、本人のどのような行動が成功に繋がっているか判断するのは困難です。的外れな行動を評価基準にしてしまうと、業績向上に繋がりません。そのため、慎重な検討が必要な分、項目の設定には多大な労力を必要とする可能性があります。

コンピテンシー評価の書き方

コンピテンシー評価シートを利用する

コンピテンシー評価では、具体的な評価基準を記した評価シートを利用します。評価シートは後述する具体例に挙げられる項目から、業務や役職に合わせてピックアップします。項目の内容はできるだけ明確でわかりやすい目標を詳細に設定すると、実践の際にも判断が下しやすくなります。また、多くのサイトでは評価シートの見本が掲載されているため、どのような評価シートにすればよいか分からない場合は、インターネットを参考にすると良いでしょう。

コンピテンシー評価項目の具体例

自己認知能力

自己認知能力とは自分の長所や短所など、自分自身の特性について自覚する能力のことです。自分の能力を正確に理解できていないと、抱えきれない量の仕事を引き受けてしまう、困ったときに周囲に助けを求められない、などの問題が発生します。そのため、自己認知能力は仕事をする上で重要視すべきであり、コンピテンシー評価をするのに相応しい項目と言えるでしょう。項目の具体例としては「自分の担当業務の進捗管理ができているか。」「仕事中に感情的になっていることは無いか。」などが候補として挙げられます。

プレゼンテーション力

コンピテンシー評価では、プレゼンテーション力も項目の一つとして加える必要があります。プレゼンテーション力とは自分の考えた案を相手に対して説得力のある説明ができる能力のことです。例えば、新しいプロジェクトの計画を発表する際に考えた案がどれだけ素晴らしいものでも、相手にしっかりと内容を伝えられなければ意味がありません。そのため、プレゼンテーション力を評価基準に取り入れれば、同時に社員のコミュニケーション能力や、物事を整理して考えられる構成力も評価できます。

チャレンジ精神

チャレンジ精神は、苦手な分野や未経験の物事にも積極的に取り組める姿勢が問われる項目です。どれだけ潜在的な能力が高い人材であっても、自信の無さから新しい物事に取り組めないと仕事で高い成績を出すのは困難です。しかし、仕事をしていく上で、新しい分野に取り組まなくてはならない機会は必ず誰にでも訪れます。また、新しいプロジェクトや前例のない仕事に取り組む際にも、チャレンジ精神は必要です。そのため、評価項目にチャレンジ精神を加えるということは、社員の挑戦心を育む上で重要な意味を持つ行為と言えます。

チームワーク

コンピテンシー評価の項目で必要不可欠なのは、周囲の人と協力して物事を成し遂げることができる能力の有無です。そのため、チームワークの項目も、評価基準に入れなくてはなりません。なぜなら個人の能力が高くても、周囲の人と連携が取れなければ生産性は向上しないからです。逆に言えば、どのような人材でも周囲の人と協力できれば全体の生産性は上がります。また、具体的には「同じチームの人と適切な連絡が取れているか。」「上司に相談や報告ができているか。」などが項目の例として挙げられます。

業務遂行力

業務遂行力とは、振り分けられた仕事を自分の力で完遂できる能力のことです。この評価基準は、入社したばかりの社員を評価する上で役立つ項目と言えます。具体例としては、評価基準を「上司と一緒であれば業務を遂行できる。」「一人でも業務を遂行できる。」など段階的に項目を設定します。これを行えば、評価基準の社員が現在どの段階まで成長しているかを正確に把握することが可能です。そのため、社員の行動特性を評価するコンピテンシー評価に取り入れることで、より正確に社員の成長段階を把握できます。

統率力

管理職の評価基準にコンピテンシー評価を取り入れる際には、統率力の項目も追加すると良いでしょう。統率力とは自分の所属する組織をまとめる能力のことで、言い換えるとリーダーシップとも表現できます。具体的に、その都度部下に対して適切な指示が出来ているか、チームの状況や仕事の進捗状況を把握できているかなどが判断材料として挙げられます。統率力は社員へのフォローに加え、受け持つチームや部署を管理する上で欠かせない能力のため、管理職を評価するには適切な項目と言えます。

コンピテンシー評価導入で失敗しないポイント

短期間で評価制度を変更しない

コンピテンシー評価の効果を発揮するには評価基準や目標を社内全体に周知させ、目標に向かって行動するように促す必要があります。そのため、短期間で評価基準を変更してしまうと、却って混乱を招く原因になります。また、コンピテンシー評価は成果ではなく行動を評価するための手法なので、実際の業績に効果が反映されるまでには時間が必要です。短期間で評価基準を変更すると、どの項目が結果に繋がったのか判断しにくくなります。このような理由からコンピテンシー評価を導入した後は、短期間で評価制度を変更しないことをおすすめします。

定期的に見直しをする

コンピテンシー評価は定期的に見直しをする必要があります。前述した通り、設定した評価項目が適切なものかどうかは、実際に結果が出なければわかりません。コンピテンシー評価を取り入れても業績が上がらない場合は、設定した項目が適切ではなかったという理由も考えられます。このような場合には一度設定した評価基準を見直して、設定し直さなくてはなりません。また、高い成果に繋がる行動は、その時の状況や社会情勢によっても変わります。そのため、状況に即した基準を取り入れるためにも、必ず定期的に見直しするようにしましょう。

明確な目標設定を行う

コンピテンシー評価を取り入れる際に設定する目標は、なるべく明確な内容にする必要があります。評価基準となる目標は、社員の今後の行動指針でもあります。そのため、内容が曖昧になっていると、社員は具体的にどのような行動が評価に繋がるのかが分かりません。また、実際の評価に映る際にも、具体性を欠いている目標は判断に困るため、評価担当者の負担が増えてしまいます。このような事態を防ぐためにも、評価基準となる目標はできるだけ明確で分かりやすいものにしなければなりません。

まとめ

コンピテンシー評価導入で社員を公平に評価しよう

コンピテンシー評価は評価基準の設定が難しいため、準備段階では時間や労力を消費します。しかし、行動に目を向ける評価基準は、成果が出にくい分野の社員や経験の浅い新入社員も正当に評価することが可能です。頑張った分だけ評価される制度があれば、社員のモチベーションが上がり、ひいては社内全体の生産性の向上が期待できます。また、人材育成の観点からも明確な目標の設定は社員教育の指針となるため、有益と考えられます。そのため、社員を公平に評価し優秀な人材を育てるためにも、コンピテンシー評価の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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