自律分散型組織はどうやって作る?【目的や具体的なやり方をご紹介します】

記事更新日:2021年04月26日 初回公開日:2021年04月23日

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日本企業の終身雇用や年功序列が崩れ、変化の多い現代、企業組織のあり方は大きく変わりつつあります。企業の幹部層には組織編成のあり方に苦悩されている方も多いのではないでしょうか。今、このような新しい時代を生き抜く、変化に強い組織として、「自律分散型組織」が注目を集めています。この記事では、自律分散型組織をテーマに、導入のメリットやデメリット、組織形態の詳細などを詳しく解説していきます。企業組織の変革に興味のある経営・人事ご担当者様は、今後の変革のヒントとしてぜひご参考ください。

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自律分散型組織とは

構成員ひとりひとりによって自律的に運営される組織

自律分散型組織とは、中央集権者がおらず、構成員のそれぞれによって自律的に運営される組織のことを言います。DAO (Decentralized Autonomous Organization)と称されることもあり、いわゆる上下関係などを伴う役職がないフラットな組織といえます。ピラミッド型の指示系統や意思決定プロセスがなく、全メンバーに権限が委任されているため、個人が自ら考え、最適な行動を選択できる組織となっています。

ティール組織とも呼ばれる

自律分散型組織のあり方は複数ありますが、代表的なものに「ティール組織」があり、それとほぼ同義で使われることが多いです。ティール組織とは、フレデリック・ラルー氏によって提唱された組織形態で、「目的に向かって、組織の全メンバーがそれぞれ自己決定を行う自律的組織」のこと。詳細は後述しますが、ラルー氏は組織の進化過程を5段階に分けて捉え、その最終形態であるティール組織は「個人も組織も進化し続ける自律型組織」とみなしました。

自律分散型組織の目的

変化する働き方の中で効率を上げるため

自律分散型組織の導入が増えていますが、導入目的で多いのは、「VUCA」という言葉に代表されるような変化の多い現代社会において、より効率の良い働き方を実現するためです。これまでの日本企業は「管理型組織」を採用し、上司からの指示命令に従って労働することで発展してきましたが、不安定さ・複雑さの高まる現代においては、その指示待ちの姿勢では動きが遅くなってしまいます。メンバー一人ひとりが権限を持ち、自ら考え行動する「自律分散型組織」の方が変化に強く、よりスピーディな事業運営に適しています。

一人一人の自発的な発言が反映される

一人ひとりの意見をダイレクトに反映させるため、という点も導入目的の一つです。従来の階層型組織では、上下関係が全てを支配しているため、自分の意見を上司に言いづらい、命令には逆らえない、ということが課題でした。一方、自律型組織ではこのようなヒエラルキーによる圧力がなく、自分の個性を仕事に活かすことが容易になります。メンバー全員の能力が存分に発揮される、というのは個人の働きがいにとっても、企業の発展にとっても大変重要なポイントですね。

自律分散型組織と管理型組織の違い

役職はない

自律分散型組織と従来の管理型組織を比較すると、役職がないという点が大きな違いの一つです。管理型組織は社長など経営者の意思決定をもとにトップダウン形式・ピラミッド型の組織形態を取りますが、自律分散型組織では、フラットな個人それぞれが全体の目的達成のために行動し、そのような個人の集合体が組織となっています。一方で、役職がないというのは「リーダーシップがない状態」ではありません。全メンバーに役割を定義・アサインしていく中で、指示を出さないながらもチームをまとめ、導くポジションはきちんと設定しましょう。

チームパフォーマンスを評価する

自立分散型組織では更に、個人よりもチームでのパフォーマンスを評価するという違いがあります。自立分散型組織は、特定の個人に対する評価というマイクロマネジメントがなくとも、組織の目的実現に向けて自主的に進むことができる組織だからです。管理型組織のように、上司が部下に業務を命令することがないため、それを評価することもありません。すべてのメンバーが組織への貢献を考え自主的に動いているため、評価対象も組織でのパフォーマンスとなると考えると分かりやすいでしょう。

自律分散型組織のメリット

社員個人が意欲を維持しやすい

自律分散型組織を導入するメリットの一つとして、メンバーが働く意欲を持続しやすいという点があります。自律分散型組織では、社員一人ひとりに権限を与える一方で、会社への貢献に対する責任感も問うています。この状況は個人の意欲を奮い立たせ、個人は「会社にとって必要だ」と感じた仕事に自発的に取り組むようになるのです。社員の心理的安全性が担保されモチベーション高く働き続けられることは、企業全体の発展・成長に繋がるでしょう。

効率的な意見が出やすい

自律分散型組織を導入するメリットとして、実務に紐づいた効率的な意見が出やすくなるという点も挙げられます。従来の管理型組織では、上司・管理者が立てた戦略を部下が実行する、という流れが普通です。一方で自律分散型組織では、自ら戦略を立て、実行することができます。意思決定も上司からの指示ではなく、その目標達成に関わるメンバー同士のコミュニケーションを通じてなされるので、より実務に沿った効率的なものになるでしょう。

個人が会社に貢献しているという実感が強い

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自立分散型組織を導入するメリットの3点目はそれぞれの社員が会社に貢献している実感を強く感じられるという点です。これは1点目に述べたモチベーションの向上にも繋がりますね。自立分散型組織では、役職ではなくメンバーの能力に応じて、役割を割り振ります。 どんな社員でもその役割の範囲内では意思決定権を持つことができるため、自分の業務がそのまま事業、会社に直結しているという実感を得ることができるのです。社員ひとりひとりの主体性を高められるのは自立分散型組織の大きなメリットです。

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自律分散型組織のデメリット

セルフマネジメント力」が高くないと、組織として成り立たなくなる

自律分散型組織を導入した場合のデメリットとして、個人に高いセルフマネジメント力が求められるという点があります。自律型組織では管理監督を担当するようないわゆる「上司」が存在しません。そのような中では自分自身の行動に責任を持ち、自分自身を律する「セルフマネジメント力」は大変重要です。この能力が低下すると、組織として成り立たず、企業全体の生産性も低下するでしょう。メンバーの「セルフマネジメント力」の低下が疑われることがあれば、すぐに話し合いの場を設けるなどの工夫が必要です。

リスク管理が困難になる

自律分散型組織のデメリットには、組織としてリスク管理が難しいという点も挙げられるでしょう。自立分散型組織では、部下から上司、上司から役員、役員から経営者へといった明確な承認プロセスが存在しません。メンバー全員が話し合い、プロジェクトの実施の是非や進め方などを最終決定しますが、その段階でリスクが見過ごされてしまう可能性もあるでしょう。また、プロジェクトの途中でエラーが起こっている場合に当人が気づきにくいという可能性も考えられます。

自律分散型組織の注意点

必ずしも組織を確変しなければならないわけではない

いざ、自律分散型組織の導入をしようという場合、注意点として、 必ずしも組織を確変する必要はない、ということを覚えておきましょう。自律分散型組織論はこのように注目されながらも、「こうあるべき」という完璧なビジネスモデルは存在していないのが実情なのです。これまでの導入事例で多いのも、あらかじめモデルとなった形態があったわけではなく、それぞれの組織が自分たちにとって最善のことを考え少しずつ変化していった、というパターンでした。まずは現状の組織形態を生かしつつ、スモールスタートで指示系統をなくしていくような移行をお勧めします。

自律分散型組織へ移行する期は必要

注意点の2つ目に、導入の際には移行期間が必要だという点も重要です。自律型組織の導入には、組織構成の設計、ルールづくり、意思決定の規範の整備などやることが多い一方で、社員からは突然の変化に反発する声も上がることでしょう。有効なのは、一気に変えようとせず、試験的に1チームだけを自律型チームとする等、試験導入から始め、改善点を見つけ、修正していく方法です。社員とコミュニケーションを十分に取りながら、何が自社にとってベストなのかを話し合い、全員で作っていくことを意識してみましょう。

自律分散型組織のやり方

自律分散型組織は5つのフェーズで変えていく

RED(レッド)組織

自律分散型組織の導入を考える場合、組織の移行の5つのフェーズを理解しましょう。これは冒頭で説明したフレデリック・ラルー氏の著書「ティール組織」において説明された理論で、組織のあり方の歴史を説明するものです。RED組織は組織の第一段階であり、「恐怖」によって集団を動かす原始的な方法論です。言うことを聞かないと殺す・殴るなど、「力」によって支配される短絡的思考の組織だといえます。スラムや破綻国家といった非常時や敵対的な環境に適しており、現代でもギャングやマフィア、犯罪組織等にはこのような特徴が見られます。

AMBER(コハク)組織

アンバー組織は「順応型」と呼ばれ、レッドから進化し正式な階層をもつ組織です。例としては政府機関や公立学校システム、軍隊、宗教団体が挙げられます。権力や階級、官僚制、制度、秩序、統制などの概念を組織モデルに組み込むことによって生まれた組織形態です。レッド組織と比べて指示命令系統や業務フロー等の発明があり、長期的目線のもと、大規模な事業を成し遂げることが可能となりました。しかし、前例踏襲と秩序の維持を重視するため、変化や競争には向きません。

ORANGE(オレンジ)組織

次の成長段階であるオレンジ組織は、今日最も主流となっている組織で、グローバル企業に代表されるイノベーション志向の組織ともいえます。社会的な成功を最終目標に掲げ、研究開発、マーケティング、製品管理などの概念を組織モデルに組み込むことによって生まれました。アンバー組織と同じく階層構造で成り立っていながらも、成果を上げたメンバーが上位層に出世できるという実力主義の点で異なっています。これにより組織の生産性は飛躍的に高まります。

GREEN(グリーン)組織

グリーン組織は「多元組織」とも呼ばれ、非営利組織のように権限移譲と多数のステークホルダーの視点を特徴とする組織をいいます。組織内で対話の場が多く、組織文化や関係性を重視するためメンバーのコミットメントが高くなるのが特徴です。個人の価値観と多様性が重視され「家族」のような組織ともいえますが、多様な価値観を大事にすることで意思決定が長引いたり、完全にフラットな組織ではないため、社長や役員などの上層部とメンバー間の溝が生まれたり、といったことが考えられます。

TEAL(ティール)組織

これまでの4フェーズを超えた新しい組織が進化型の「ティール組織」です。ラルー氏は単に理想論を語ったのではなく、100人以上の従業員で10年以上経営が続いている多業種の実例を検証することで理論化されています。ティール組織には従来のような管理型の指示系統・意思決定の構造がなく、自律的な個が有機的につながり、自ら思考して行動することで組織が成り立っています。まさに「自主経営」「存在目的」「全体性」を体現した組織形態ですね。

まとめ

自律型組織を取り入れて変化強い組織づくりはいかがでしょうか

自律分散型組織は、組織の進化の中での最終フェーズに位置し、変化の多い現代の時流に相応しい形態です。本記事では、この組織形態を導入するメリットやデメリットと併せて、組織の成長フェーズについても解説してきました。もちろんこの組織形態は全ての会社に合うものではありませんが、まずは自社の組織はどのフェーズにあるのかを見極めつつ、取り入れられる要素がないか考えてみましょう。これまでの階層型組織では見られなかった効果が見えてくるかもしれません。

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