アサーティブコミュニケーションとは【意味やメリットをご紹介します】

記事更新日:2023年05月22日 初回公開日:2023年05月22日

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60年以上も前に心理療法として生まれた「アサーティブコミュニケーション」が、現在になって企業から再注目されています。多様化が当たり前となり、個々の持つ特性が大事にされる中で、異なる考えを持つ多数の人で議論を交わさなければいけません。そこで良好な人間関係を保ちながら議論を交わすことに有効であるアサーティブコミュニケーションを多くの企業が採用し、その効果が期待されているのです。ここでは、アサーティブコミュニケーションとは、どんな意味を持ちどんな効果が期待できるのか、また効果的な実践方法などについても詳しく説明致します。

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アサーティブコミュニケーションとは

自分と相手を同等に尊重し最も適切な方法で自己主張すること

アサーティブコミュニケーションとは、自分だけでなく相手のことも認めて同等に尊重し、適切な方法を選んで自己主張することです。アサーティブという言葉には、「言い張る」とか「自己主張が強い」「自信に満ち溢れる」という意味があります。しかしアサーティブコミュニケーションと言う場合には、自己主張を押し通すことではなく、相手の主張も聞き入れた対等の立場による意見交換方法を指す言葉です。お互いを尊重することが、最適な自己主張になります。

3つの自己主張スタイル

アグレッシブ

攻撃型

アメリカの心理学者であったジョセフ・ウォルビは、自己主張のタイプを3つに分類しました。アグレッシブと呼ぶ攻撃型スタイルはその1つです。アグレッシブタイプは、相手の感情や立場などを全く考えることなく、自分の主張のみを伝えることを最優先します。相手よりも優位な立場から発言し、自分の持つ欲求を押しつけて自己満足するタイプです。相手側は苦痛と感じることも多く、良好な関係を築けないばかりか、ハラスメントにまで発展することにもなりかねません。

アサーティブ

主張と尊重

ジョセフ・ウォルビが最も推奨した自己主張スタイルが、アサーティブタイプです。自己主張しながらも相手を尊重することで、お互いに良好な関係を築けるとともに、相手の主張を聞くことによって自己が成長することにも繋がります。ただし、人間とは自己中心的な本能を持ちあわせているため、相手が自分と異なる考えを持つ場合などは、相手の主張を落ち着いて聞き入れることは難しいものです。しかし、このアサーティブタイプが最も理想的で、議論を交わす双方を良い結果に導くと推奨しています。

ノンアサーティブ

非主張型

ノンアサーティブタイプとは非主張型とも訳せるように、自己主張を押し殺して相手の主張のみに耳を傾ける受け身のタイプです。最初のアグレッシブとは全く逆の主張タイプで、主張の対立や討論を避けることを最優先とするため、自分の主張はほとんどしません。そのため多くのストレスを抱え込んでしまい、不満も解消できず身体の不調にまで繋がることもあります。相手が無理な主張をしても断ることができず、間違った方向に進むことや、判断を誤る危険もはらむ優柔不断な人任せタイプです。

アサーティブコミュニケーションのメリット

社内でのコミュニケーションが活性化する

アサーティブコミュニケーションは、意見が対立する人や異なる考え方の人とも建設的な意見交換が可能なため、社内でのコミュニケーションが活性化するというメリットがあります。お互いの主張を良く聞いて理解したうえで議論することで、相手に配慮した発言が可能となるのです。過剰な気遣いは不要ですが、相手方に譲る姿勢や気配りを感じさせる言葉を使うことによって、意見交換が活発になり良い結論を導き出すことができるでしょう。

上司・部下間で良好な関係を構築できる

上司と部下との関係は上下関係がはっきりしていることもあり、部下は聞き入れるだけのノンアサーティブな状況に陥りがちです。ノンアサーティブなコミュニケーションの取り方では、部下が能力以上の仕事を頼まれても断り切れないため、あとになって大きな問題になることもあり、危険を伴います。上司と部下の上下関係を保ちながら、アサーティブコミュニケーションを心がけることで、必要なことは気兼ねなく伝えられる良好な関係を構築できます。

従業員のメンタルヘルスケアに貢献する

昨今では従業員のメンタルヘルスケアも企業の重要な役割と位置付けられています。アグレッシブな主張やノンアサーティブタイプは、自己や相手にストレスを与え、メンタルな疾患に繋がることさえあるのです。お互いに意見交換する場所でアサーティブコミュニケーションを心がけることにより、未然にメンタルの不調などを防ぐことができます。すでにメンタルの不調が現れている人も、アサーティブコミュニケーションによってストレスも解消されるでしょう。

アサーティブコミュニケーションの実践で重要な4つのポイント

誠実さ

アサーティブコミュニケーションの実践で重要なポイントに「誠実」であることが挙げられます。相手の主張を先読みして、自己の主張を正当化しようなどという考えは、相手に不信感と不快感を与えます。アサーティブコミュニケーションを考えるときには、誠実であることを第一とし、自己の主張には間違いがたくさんあることを心に留めておくことが重要です。間違いであると分かった場合にも、素直に非を認める誠実な態度がアサーティブコミュニケーションでは大切になります。

率直さ

率直に自分の意見を伝えたくても、上手くできないため陰で自分の主張をしてしまう人も多いのではないでしょうか。個人のクセとも言えますが、相手がいない場所で相手に関わる意見を言うことは、「陰口」と捉えられかねません。確かに面と向かって相手に意見することは勇気がいることです。しかし相手を本当に思うならば、直接に意見をぶつける率直さが重要だと言えます。悪いクセは直し、素直に意見を言える普通の人間に戻りましょう。

対等

アサーティブコミュニケーションの実践では、自分とコミュニケーションをとる全ての人たちは対等であると考えることが重要です。相手を下に見ることや、相手が上司や年上の人であっても、ダメなことや嫌なことをはっきりと伝えられるようにしましょう。上下関係を逸するような発言は別として、仕事のうえでの意思確認などでは余計な感情をはさむと仕事のミスや停滞に繋がります。上司が最も期待することは、円滑な仕事の循環であり、お互いに気付いたときにミスを指摘し早期に対処することです。

自己責任

アサーティブコミュニケーションの実践で最後に重要なことは、どのような結末になったとしても、全てを自己責任として受け止めることです。自分の主張が通らなかったとしても意固地になってはいけません。ここでも素直に自分の実力と考えが足りなかったため、思う結果に至らなかったと考えることが大事です。また、決まったことが上手くいかなかったとしても、「自分の主張通りなら」などと他を批判することはせず、自分も決定者の一人として自己責任として受け止めてください。

アサーティブコミュニケーションを実現するDESC法

Describe (描写)

アサーティブコミュニケーションを実現するために有効とされるのが、アメリカの心理学者であるゴードン・バウラー等によって考えられた「DESC法:デスク法」です。最初の「D」は「Describe (描写)」という言葉の頭文字で、客観的に見た事実をそのまま詳しく描写することで、相手に対する先入観や自己の推測などを全て破棄します。事実のみが重要であり、現実から逃避した希望的観測を追いかけていては、良い議論は成り立たずアサーティブコミュニケーションの実現は難しくなるでしょう。

Explain (表現)

「E」は「Explain (表現)」のことで、表現の仕方に工夫をすることがアサーティブコミュニケーションの実現に必要です。表現と言っても言葉を巧みに操ることではなく、どうすれば相手に気持ちが伝わるかを真摯に考え、素直な気持ちをそのまま伝えるようにしましょう。いくら難しい言葉や美辞麗句を並べても、素直で相手を思いやる気持ちが無ければアサーティブコミュニケーションは成り立ちません。とくに、感情的になることや、心無い言葉を発することは避けてください。

Specify (提案)

「S」は「Specify (提案)」という言葉で、上から高圧的に命令するのではなく、あくまで個人の意見を選択肢として提案することがアサーティブコミュニケーションには大事です。相手が同意するかは相手の判断次第であり、そこに入り込んで無理強いする行為は、アサーティブコミュニケーションの実現からはかけ離れるものになります。こんな考え方もあるけどどう思いますか、という提案から自由に決定してもらいましょう。提案事項として相手が求める解決策などを、より具体的かつ分かりやすく伝えることが重要です。

Choose (選択)

提案に対する決定が、「C」の「Choose (選択)」です。前述のように決定するのは、あくまで相手になるため、選択に影響を及ぼすような積極的なアプローチなどは避けるようにします。ただし、提案に関する質問対応や説明は存分に行ってください。説明次第で相手の反応も大きく変化することもあるため、十分な説明を分かりやすい言葉で行いましょう。また、選択はイエスとノーの2拓だけではなく、変化にも対応できる柔軟な対応も心がけることで新しい発想も生まれます。

アサーティブコミュニケーションの具体例

上司から部下に対する表現

上司から部下への対応は、アグレッシブになりがちです。部下からは言えないこともあるため、上司自らが表現に注意することが肝要です。自分が部下であったときを思い出し、部下が何を求めているのかを気持ちを察しながら解決方法などを提案してあげることが、部下の成長に繋がります。上から圧力をかけるように叱咤するのは逆効果であり、部下も同じことを繰り返すため十分に注意しましょう。部下であっても一人の人間として認め、同等の目線で助言し、答えを出す手伝いに専念することが大事です。

部下から上司に対する表現

部下は上司を信頼している場合には、上司が答えを出してくれるのを待ち、それに従うことになりがちです。自分で考えることを放棄し、上司のイエスマンとして服従することが正しいと思い込んでしまうことも多くあります。これでは部下の成長を妨げてしまうため、上司は部下が自ら考えて行動するように仕向けなけれいけません。部下自身は自分もすぐに上司と言う立場になることを踏まえ、上司がどのように考えて危機を脱したり、部下に教育しているかを客観的な立場で見ることが重要です。

まとめ

アサーティブコミュニケーションで良好な関係構築をしよう

アサーティブコミュニケーションを行うことは、どんな相手もリスペクトして同等の立場で意見交換することで良好な人間関係を築くとともに、会社に利益をもたらすことです。意見交換やコミュニケーションが良好であっても、会社への利益が伴わなければ意味が無いと言えます。利益を生むためのコミュニケーションであり、そのためにお互いの率直な意見をぶつけ合うことは重要なことです。ただの仲良しだけでは、本当のアサーティブコミュニケーションではありません。忌憚のない意見を言い合える、本当の意味で良好な関係を築きましょう。

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