記事更新日:2020年05月15日 | 初回公開日:2020年02月14日
グローバル用語解説 外国人留学生の採用 採用・求人のトレンド 外国人採用・雇用 人事・労務お役立ち情報外国人就労適性試験は、日本での就労を希望する外国人留学生や、すでに日本で就労している外国人を対象に実施する適正試験です。スキルが一定レベルを超えた人材候補となる外国人を認定することが目的。この適性試験は、日本の言語・文化・ビジネス習慣を理解できる質の高い外国人労働者が、日本のビジネス社会で活躍できるよう環境を整えること。業務の遂行に必要な能力を客観的に測定・評価が必要という観点から導入されました。
外国人就労適性試験は、2次試験まであり、共通基礎試験と業種別職務遂行能力試験を行います。1次試験は、ビジネス文化と社会常識力の測定。ビジネス社会や日常生活における規範・マナー等の理解度を測り、日本企業において問題なく就労できる力を評価。2次試験は実施時期検討中で、ビジネスコミュニケーション能力の測定。上司や同僚との会話力、接客能力、ビジネスマナー等の理解度を測ることで、日本語による業務遂行能力を評価します。
試験の主催は、一般社団法人外国人雇用協議会。法人が実施運営の一部を担い、それは試験資材の管理、試験監督(人事担当者や指導者等が担当)の配置、運営マニュアルの厳守とそれに沿った運営・実施、試験実施後の問題・答案データ等の回収・返送、名簿の作成・管理など。試験の受験資格に年齢学歴制限はなく、受験者1人から申込可能。「受験申込にあたっての誓約事項」への誓約、「個人情報の取扱いについて」に同意が必要で、法人が申込みます。
外国人就労適性試験の受験資格に年齢学歴制限はありません。受験対象者は、まず「大学・大学院・専門学校の外国人留学生」と、「日本での就職を考えている外国人留学生」になります。活用例としては、就職活動における保有スキルのアピール。それから、企業側でも外国人人材を採用する際の選考指標、研修の効果測定の目的があり、既に雇用されている「企業の外国人社員」も受験対象者。活用例として、入社試験、研修における社内試験です。
試験はマークシート式の選択問題で、判定は10段階評価。2019年度「共通基礎試験」は2科目構成。第一科目「ビジネス文化・社会常識」では、日本のビジネスの背景にある文化や習慣、考え方に関する理解度と社会常識・一般教養の保有度で40問。第二科目「ビジネスコミュニケーション」では、職場における上司や同僚との日本語会話力、接客・接遇コミュニケーション能力、ビジネスマナー等に関する理解度で50問が出題されました。
2018年9月の第1回試験は、共通基礎試験の第一科目、第二科目が実施され、第一科目の試験時間は通常40分、第二科目は80分。試験の測定目的は、日本の言語・文化・ビジネス習慣を理解する質の高い外国人労働者が日本のビジネス社会で活躍できる環境を整える。業務の遂行に必要な能力を客観的に測定・評価。一定レベル以上のスキルを有する高度人材候補となる外国人を認定すること。設問はその目的を踏まえて作られました。
受験結果は、受験者全員に、科目別得点率・レベル評価のほか、第一科目・第二科目それぞれの結果を記載した「試験結果のお知らせ」が発行されます。受験者のレベル評価は、得点率をもとにA+から E-までの10段階評価。受験の準備の参考書は、主催する外国人雇用協議会のサイトに紹介があり、ビジネス社会の規範とマナー、社会人としての心構え・人間関係の作り方・効率的な仕事の進め方、事例対応での電話応対などが学べます。
第一科目、第二科目で構成されている共通基礎試験の第一科目は、ビジネス文化・社会常識の測定。日常生活及びビジネス社会における規範やマナー、日本人の特性や商習慣などが扱われ、日本企業で周囲と調和しスムーズに就労できる力を評価するものとなっています。出題構成は、すべて読解で社会規範・マナーと法規範(読解19問、)ビジネス慣習(読解13問)、一般常識・一般教養(読解8問)の合計40問、合計試験時間40分。
共通基礎試験の第一科目は、いわゆる基礎力測定といえます。外国人なら誰でも大なり小なり直面する、日本とのカルチャーショックである文化や社会常識を理解しているかどうかの見極めが目的。たとえば日本社会の「ホンネとタテマエ」の洗礼を克服できるかなど。日本への入国前に想定していた理解との相違に耐えられずいきなり帰国などという事態にならないように。これにより、日本企業で問題なく働けるかを評価するということです。
第二科目は、ビジネスコミュニケーション能力の測定。日本特有のコミュニケーションや敬語、効果的な伝え方、話の組み立て方、指示の受け方など上司や同僚との会話を円滑にできる力、さらに電話や来客応対を含む接客・接遇力、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)、会議、クレーム対応、勤労意識、職場での会話の重要性などのビジネスマナーの理解度評価。出題構成は、基礎知識(読解18問)、事例対応(リスニング32問)の合計50問80分。
スタートでの出遅れを回避し、就職後に躓かず組織に適応できたとして、次は、よりよいコミュニケーションができることが、その外国人がいかに実力を早期に発揮できるかにつながってきます。社外の顧客や協力会社との会議・打ち合わせ・電話といった能力には、それまでの大学での学習に必要なレベルの教育に加え、ビジネスシーンで通用するような訓練も必要。共通基礎試験の第二科目は、日本語での業務遂行能力を評価する試験です。
今まで実施されていた適正試験は共通基礎試験のみ。今後は産業分類ごとに求められる個別の業種ごとの業務適応スキルを測定・評価の必要性から、業種別に細分化された職務遂行能力試験の制度設計も進められています。想定される産業は、ホテル・旅館、飲食、小売(アパレル・コンビニ)、ファッション、メイク・ヘアデザイン、介護・福祉・保育、農業、警備など多岐。外国人雇用を推進して労働力不足を補完したい政府の意図とも一致しており、今後の展開が注目されています。
従来実施されてきた共通基礎試験の目的は、外国人受験者が、異言語圏での基礎的なサバイバル能力と、特有の日本文化マインドへの適応力測定すること。しかしながら受験者が基礎的適応能力を備えていても、業種別の専門性、求められる能力基準が壁となっては、採用する企業側、職種に期待して就職した外国人にとってもマイナス。そこで、業種別職務遂行試験の制度も進められているのです。具体的な試験内容は、一般法人外国人雇用協議会のHPの例題を見てみると良いでしょう。
企業が外国人就労適性試験を導入するメリットは、人材候補が定義され、採用、選考、教育研修が効率化されることといえるでしょう。具体的には現場の中核人材候補の基本的な能力が明確に定義され、採用・選考が効率化する。日本語・文化・慣習・法令などを理解した人材、一定の技能を有する人材が絞り込めるため、初歩的なミスの低減や商品・サービスの品質維持につながる。一定の技能を持つ外国人の活躍の場が広がる。人材確保が難しい現場の人手不足の解消などが期待できます。
合同企業説明会などのほかにも、インターネット上で留学生採用目的の企業特集が組まれています。企業側の新卒採用ページに留学生向けのコンテンツが設けられることも見受けられます。それでも企業側も留学生の採用に関するノウハウがまだ少なく、これまでに採用実績のある一部の企業に留学生のエントリーが偏りがち。企業側と就活者のミスマッチも課題。そこで外国人就労適性試験の導入することで、一定の能力のある人材が絞れるのでミスマッチを減少させることが出来るのです。
「外国人就労適性試験」の、外国人求職者を採用する企業側のメリットについては既に解説済。もちろん、適正試験は就活中の留学生側にも有利性があるので、外国人受験者側のメリットを考えてみます。従来の「日本語能力試験」は、日常的な場面で文章を読んで理解することや、自然な会話を聞いて状況が把握できるかといった能力を客観的に示せます。加えて適正試験では、試験内容を採用基準として利用する企業に就職を希望する場合には、その企業の採用プロセスで有利になります。
また就活者は日本で働くため、職場での人間関係やスムーズな接客に役立つ能力を身に着けておかなければなりません。そのために必要なのが、マナーや常識、ビジネス上のコミュニケーション能力など。それらの能力について、希望する企業から就業時に求められる基準が明確になるため、学ぶべき内容や達成すべき水準を把握しやすくなります。そしてそのほかにも主催団体が、受験者を対象としたジョブフェアの開催や就職サポートの実施に意欲的なため、就職機会の増加につながるでしょう。
「日本語能力試験」が「正しい日本語」の普及を目指して設計されているのに対し、「外国人就労適性試験」は「日本で就労するために必要な日本語」を測定するためのもの。正しい日本語であるか否かよりも、コミュニケーションができれば評価が高くなることを目標に設計されたものと定義されています。この実用性の高い評価基準を用いて、求人側と求職側のミスマッチを是正し、企業は適性の人材確保のために、外国人は会社の基準を知るために外国人就労適性試験を活用してみましょう。
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