記事更新日:2022年01月14日 | 初回公開日:2022年01月06日
ビザ(在留資格)について ビザ(在留資格) 人事・労務お役立ち情報 外国人採用・雇用日本国籍を持たないすべての外国人は、入国時に在留期間が定められています。オーバーステイとは、この在留期間経過後も日本に在留している事をいい、不法滞在のこと。オーバーステイには不法入国と不法残留の2つのケースがあり、「不法滞在」とは、この2つの場合の総称。企業の外国人雇用のニーズは高まっていますが、法的に正しく雇用し、就労者への指導も徹底し、外国人就労者に不利益にならないよう管理しなければなりません。
「不法滞在」には不法入国と不法残留の2つのケースがあるのですが、まず「不法入国」について。外国籍者がその国籍を持たない国に入国する際には、空港または港で上陸許可を受け在留資格を獲得します。この入国審査を受けていない密入国、あるいは入国審査時、偽造パスポートや、姓名、年齢、国籍等を偽って入国することを不法入国といいます。
次に、「不法残留」について。これは、正しく入国審査を受け、適切な在留資格を持って滞在していたにもかかわらず、その後、定められた在留期間の満了後も日本に残留している状態のこと。不法な入国や残留のどちらに該当する場合でも、オーバーステイに変わりはなく、退去強制事由とされています。場合によっては逮捕され、起訴されることがあります。
オーバーステイをすると、国外強制退去となり、さらに懲役や罰金などが科されてしまいます。罰則を受けたからといってその後の在留が認められるわけではありません。入国審査官の審査の結果次第ですが、一旦強制退去となれば、その後最低5年間は日本へ再入国することができません。刑事処分として3年以下の懲役または300万円以下の罰金。罪が重い場合は懲役刑と罰金の両方が課せられることもあります。オーバーステイは決して軽い罪ではないので、日本に在留する外国人はビザを確認し、不法滞在をしないように注意しなければなりません。
不法滞在は、ほとんどの場合、罰則を科せられて国外退去となります。違反の程度により、再び入国できるまでの期間(入国拒否期間)が異なり、国外退去となれば最低5年。とはいえ比較的違反程度が軽い場合は、出国命令制度の利用で入国拒否期間が短縮可能。どちらにしても違反事実は前科として記録が残り、相応のペナルティを受けることになります。
オーバーステイによって罰則を受けるのは、本人だけではありません。企業がオーバーステイをしている外国人労働者を雇用していた場合は、不法就労助長罪という罪に問われます。これは企業側が本人のオーバーステイを認知していなかったとしても、免れることは出来ません。さらに在留資格で認められている職種と業務内容が異なる場合も不法就労助長罪に該当します。不法就労助長罪も3年以下の懲役、または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科されます。知らなかったでは済まされないため、企業側も外国人雇用に関する正しい知識を身につけることが大切です。
先述の通りオーバーステイには、罰則として5年間の上陸拒否期間が科されます。そしてオーバーステイとなった際の解消方法はいくつかあります。その中の一つが出国命令制度です。出国命令制度は、違反状態でも条件を満たすことで身柄を収容されることなく帰国することが出来ます。出国命令制度とは、2004年の入管法改正に伴い設立された制度で、日本に滞在する不法滞在者に自主的に出頭させ出国させるための措置。一定の条件を満たし、自ら出頭した不法滞在者は、身柄を収容されることなく日本から出国することが可能となります。通常、帰国後は入国拒否期間が5年間(場合によっては10年間も)となる拒否期間が軽減されます。
不法滞在者が自主出頭して出国命令制度が適用された場合、身柄が拘束されず帰国可能です。また、日本への上陸拒否期間が1年間に軽減といったメリットがあります。しかしすべての不法滞在者が出国命令制度の対象となるわけではありません。出国命令制度の対象となるのは、次に述べるいくつかの条件に該当する場合のみです。
不法滞在者は日本から出国する意思を持って、自ら入国管理局に出頭し、オーバーステイだと告白しなければなりません。そうすればその事実を認められ、出国命令制度の対象となり、1年間の入国禁止で済みます。出頭した後、出国命令が出され、その後で日本から出国が可能に。ただし以下の条件について審議され、問題がない場合のみ制度が適用されます。
冒頭で不法滞在には2種類ありと解説しました。不法に入国した場合は、酌量の余地なく出国命令制度の適用外。制度が適用となるのは、合法的に入国したけれども、許可を得た在留期間を過ぎてしまった残留者にのみです。不法入国者は、不法残留以外の退去強制事由に該当するとされ、判明した時点で、退去強制処分以外に選択の余地はなくなります。つまり、出国命令制度を利用するための条件として、不法残留以外の退去強制事由に該当しないことという条件があるということです。不法滞在者のうち、そもそも違法な入国をしている不法入国者は、酌量の余地がないため、出国命令制度の適用対応にはなりません。
もし過去に不法滞在していた場合、その違反の程度により退去処分や出国命令を受けていることになり、入管局に記録されています。過去に国外退去を強制されたこと、又は出国命令を受けて出国したことがないことも、出国命令制度を使えるかどうかの条件。出国命令制度を利用する場合には条件に該当しているかどうかを十分に確認しなければなりません。
懲役刑、禁固刑に処せられた刑罰法令の違反者、つまり、窃盗や傷害などの刑に処せられた在留者にも、出国命令制度の適用は不可。他にも、不法入国や不法残留以外の違法行為で退去強制されるケースを挙げておきます。偽造・変造文書を作成・提供した者、資格外活動、売春関係業務の従事者、不法入国や不法上陸をほう助した者、退去命令違反者などが当てはまります。
出国命令制度の条件に当てはまらない場合、直ぐに帰国したいなら退去強制処分を受けることが賢明といえます。出国命令制度は軽減措置なので、その条件に該当いないと審議された場合、事態を長引かせずに退去強制処分を目指し、出頭に必要な準備を進めます。違反状態、違反歴によっては出頭により収容もありうることを念頭に入れ身辺整理を要します。
上陸拒否、すなわち再入国できない期間は、違反の程度と違反歴によって異なってきます。まず出国命令制度で出国できた場合は1年と最も軽く、これまでに退去強制(強制送還)歴が無い者は5年。さらにこれまでに退去強制されたことがある者、および出国命令制度で出国したことがあり、その後さらに退去強制された者は10年と重い条件となります。
不法滞在者の中には日本に家族がいるなど、日本から離れたくない事情を持つ者もいます。この場合、出国命令制度の対象であったとしても、出頭申告していったん退去強制手続に入り、その中で在留特別許可を求めることが可能。この特別に日本に在留できる「在留特別許可」は、法務大臣の裁量的な処分とされており、必ず認められるとは限りません。
在留特別許可を受けるには、退去強制手続きを受けなければならず、結果として在留特別許可が認められなければ、退去強制令書が発行され日本から出国せざるを得ません。有効なビザを持っている外国人は、婚姻後入国管理局に申請することにより「配偶者ビザ」を取得出来ます。しかし婚姻状態にある外国人の場合でも、原則不法滞在者は強制退去となります。
とはいうものの結婚した二人が共に生活を営むのは、夫婦として当然の権利でもあり、これを一定の範囲で保護する必要もあります。このような場合は、特別許可が出やすいケース。日本人の配偶者がいて、日本で安定した生活を営んでいけると思われる場合は、総合判断により、最終的に法務大臣の裁決によって滞在の許可をもらえる可能性があります。
2009年に公開された「在留特別許可のガイドライン」による、個々の事案ごとに特別許可を与える勘案事項は次の通り。在留を希望する理由、家族状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、日本における不法滞在者に与える影響等、諸般の事情など。総合的に判断して、日本人の子供(実子)を養っている場合も、特別許可が出やすいケースです。
結婚を考えている相手の外国人が不法滞在者だった場合、このオーバーステイ中の外国人と結婚はできるのかという問題ですが、結論としては可能性あはあります。しかし順番は、結婚してから一緒に暮らすために必要な許可を取ることになります。手続きは、帰国せずに「在留特別許可」を申請するか、一旦帰国してもらってから呼び寄せることのいずれかとなるでしょう。
まず、「在留特別許可」を申請する方法について説明します。結婚が成立した後に、在留特別許可を申請し、最終的には「日本人の配偶者等」という在留資格が取れる可能性があります。一般的には、再入国時期が不透明となるかもしれない一旦帰国する方法より、在留特別許可をしたほうが有利になります。在留特別許可の申請は、どの方法を選択しても必要な手続きです。
次に帰国してから呼び寄せる方法について説明します。出国命令制度適用で1年間で戻れる場合は比較的短いといえますが、二人にとって、この間、日本国内で暮らすことはできません。また、不法滞在で出国した場合、再入国時期は必ずしも絶対的に保証されるものではありません。また在留特別許可は、申請の結果までは、所要10カ月から1年くらいで、申請中は出国不可ということも注意することが必要です。
今回は外国人の不法在留の状態を指すオーバーステイについて解説をしました。オーバーステイは決して許されるものではなく、罰則も軽くはありません。オーバーステイをしないために、日本に滞在する外国人は在留期限をしっかりと確認する必要があるでしょう。また、オーバーステイをしている外国人を雇用すると、企業側にも罰則があるので気をつけなければなりません。雇用者も労働者も法律をしっかりと守り、オーバーステイの状態を未然に防ぐようにしましょう。
「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。
グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。
他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。
この記事を読んだ方は次のページも読んでいます。