記事更新日:2019年04月25日 | 初回公開日:2018年12月13日
外国人採用・雇用 外国人留学生の採用 人事・労務お役立ち情報近年、企業間の新卒採用競争は激しくなってきています。新卒採用を成功させるためには新卒採用選考のノウハウを確立することが重要です。そこで本記事では、新卒採用のノウハウ確立に役立つ基本的知識から選考時の注意点、選考活動に役立つサービス、企業のユニークな選考活動まで選考活動に関する情報を広範囲にわたって紹介したいと思います。新卒採用のノウハウが無くて困っている方はぜひ参考にしてみてください。
2018年10月8日に、経団連の中西会長は、経団連が主導して就職活動の時期を定めた「就活ルール」を廃止すると発表しました。この発表により、就職活動が以前より早まることが予想され、優秀な大学1,2年生にも内定を出すことが可能になりました。
政府は、2021年春入社の学生を対象にした就活ルールを定めました。21年卒の大学3年生の3月に説明会、4年生の6月に面接を解禁すると定めました。政府が定めましたが、この就活ルールを破った企業への罰則はありません。外資企業やベンチャー企業は優秀な人材を求め、インターンを通じた早期採用や通年採用を実施する企業は増加するでしょう。また、2022年春入社以降の学生の就職ルールは、2019年度以降に改めて議論されることになっています。
就活ルールが廃止された今、楽天、ソフトバンク、ファーストリテイリング、リクルート、サイバーエージェントなど、日本でも通年採用を行う企業が増えました。通年採用を行うことのメリットは、年間を通して必要な時に優秀な人材を採用できるチャンスができ、多様な人材を採用できることです。また、新卒の一括採用の場合、応募が多くとても忙しいため、慎重に人選できる余裕がありませんが、通年採用ならしっかりと話し合いながら会社にマッチングした人材を採用できます。
就活ルールの廃止により、以前より就活に対する学生の意識が早まることが考えられます。そのため、早くから就職活動を始める学生に向けたインターンシップを実施する準備をする必要があります。
(上記の画像はサイバーエージェントのHPから引用)
既に、21年卒の選考を開始している企業もあります。やはり、新卒採用の早期化が進んでいるようです。サイバーエージェントでは、2019年4月15日から 2021年度卒業見込みの方を対象にしたデザイナーコースの新卒採用本選考を開始しました。
新卒採用の選考活動を始める際に、まずは企業が求める必要な人財像を決定することが大切です。この人財像を軸に選考活動を行うことでブレない選考活動を行うことができるようになるでしょう。
求める人財像を決定する方法には、過去の選考活動の資料を参考にする、経営陣、現場のリーダー、活躍している社員にヒアリングを行うなどの方法があります。人財要件決定時に気を付けておきたいことは、プログラミングや簿記といった実務的な能力ばかりにフォーカスするのではなく、実際に現場で働いている社員との相性も考慮することです。
「今は、社員に○○な人が多いから、○○な人材を採用すると相乗効果を生みそうだ。」
などといった視点を持つことで質の良い採用を行うことができるでしょう。 選考の評価項目を選定することで、効率的に求める人財像を採用することができます。評価項目は、求める人財像をもとにリストを作成し、その中から取捨選択して決定すると良いでしょう。
企業が良く使用する主な評価項目として「知識、理解力、判断力、表現力、リーダーシップ、協調性」などが挙げられます。また、グローバル化に伴って「英語力、異文化理解力、環境適応能力」などを評価項目に含める企業もあります。
業績が良い社員、周りを巻き込んでチーム全体の士気を向上することができる社員など、企業に必要な能力を持つ社員はどのような要素を持っているか細かく分析を行います。分析方法は、適性検査や行動観察がよく使用されます。以下に評価項目で上げられる要素の例を挙げます。
評価項目例 |
---|
知識、理解力、判断力、分析的思考、表現力(言語化力)、リーダーシップ、協調性、クリエイティビティ、英語力、異文化理解力、主体性、他人を巻き込む力、実行力、課題発見能力、計画力、創造力、発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力、技術力、入社の熱意、地頭力 |
上で紹介した評価項目は人によって捉えかたが異なります。例えば、地頭力があるを新卒採用評価項目に設定した場合、どのような能力があれば地頭力があると判断するかは人によって異なります。
このように、評価項目が曖昧な場合、採用官が異なると評価が異なることになります。このような事態を避け、新卒学生の能力を公正に判断するためには評価項目の基準を明確にする必要があります。
求める人財像、評価項目、評価基準を採用に関係する社員にしっかりと共有しておくことで、同じ尺度で公正に選考を行うことができます。その結果、会社として採用したい人がどのような人材像かを意思統一することができ、企業が本当に求める人財の採用に繋がります。
新卒採用にあたっての選考には様々な方法がとられています。その中で一般的に使用されている選考方法と、その特徴、また、それに対する就活生の本音をご紹介します。ここでご紹介する情報を活かして採用活動をより効果的にするための参考にしてください。
新卒採用選考で母集団を形成するために必要なプロセスが広報活動です。効果的な広報活動を行うことで企業に興味や関心を持つ学生を集めることで、大きな母集団形成を行うことができます。母集団が大きければ大きいほど優秀な学生の採用を行うことが可能になります。
学生は就活サイトの求人をチェックし情報を集めます。企業側は就活サイトに求人掲載料を払うことで、企業の募集要項やイベント情報を掲載することができます。
主な就活サイトとして、マイナビ、リクナビ、キャリタスが挙げられますが、企業の規模などの属性を考慮した就活サイトを使用することが効率の良い母集団形成へとつながるでしょう。例えば、大企業には太刀打ちできないと考える中小企業であれば、中小企業に特化している就活サイトを使用するなどの方法があります。
・新卒学生を募集する就活サイトのみでは、情報が少なすぎる。仕事内容の詳細がない。
・会社の雰囲気がわからない。自分が働いている姿がイメージできない。
・文字が多すぎる。写真がもっと見たい。
などといった意見があります。
学生は、膨大な量の採用ページを見なければなりません。そのため、学生が容易に企業の事業内容や雰囲気がわかるようなページ作成の工夫が必要です。
会社説明会とは企業の情報を学生に伝えるイベントです。会社説明会には様々な種類があり、企業に直接学生を呼んで行うものや、ほかの企業と合同で行う合同会社説明会などあります。いずれのタイプでも、学生の印象に残り、この会社で働きたいと思えるような魅力的なプレゼンをすることが重要といえます。
・具体的な仕事内容が知りたいのに、曖昧な説明しかしてくれなかった。・有給消化率とか残業などの具体的な現状が知りたかったのに一切触れてこなかった。こちらから聞きにくいため、企業側から話して欲しかった。
・志望度が高かかった企業のスライドがダサくて失望した。
・企業の人の雰囲気が悪くて志望度が下がった。
・服装自由の説明会でどのような服装をすればいいか分からなかった。
以上の本音から学生は、自分が実際にどういった会社でどういった業務をするのかをしっかりと事前にイメージしたいということが分かります。企業もしっかりと学生に企業の雰囲気や仕事内容を伝えることで、離職率の増加を防ぐことができるでしょう。
学生のスマートフォン普及率は約98%と非常に高いため、SNSを利用して企業の広報活動を行う会社もあるようです。一例を挙げると、Facebookで企業のページを作成しそのページにインタビューや企業を紹介する動画をアップロードすることで企業のイメージアップを図っている企業もあります。
・就活サイトや会社説明会と同じ内容の情報が掲載されていた。
・希望する企業がSNSを利用していなくてがっかりした。
・就活サイトでは知らなかった企業を知ることができるが、SNSは知っている企業の情報しか手に入らない。
ソーシャルリクルーティングに対する本音は上記のようなものが挙げられています。
このような就活生の本音を参考にして広報活動を行うことで就職活動を行っている学生のニーズを満たした採用選考が行えるようになるでしょう。
学生が企業に応募する際に応募の意思表明として企業は学生にエントリーシートを書いてもらいます。
エントリーシートとは、学生が選考を受けたい企業に応募する際に書く書類です。エントリーシートは各企業が学生に答えて欲しい独自の質問を設定できるというメリットがあります。
エントリーシートには、「大学名、部活動(サークル)、取得している資格」などの自己紹介のような内容から「成功体験を教えてください」「他人には負けない自分の一番の強みはなんですか」「重要なものを達成するためにとったリスクはなんですか」「あなたはどんな人ですか」などと応募者の本質を見極めるための質問項目があります。
このようにエントリーシートの項目を求める人財像かどうか特定しやすい質問にすることで企業に必要な人財かどうかを評価をすることができます。
適性検査を行うことで社会人に必要な能力を持っているか、企業で活躍できるかを見極めることができます。
学力試験を学生に受けてもらうことで、企業は学生が社会人としての基礎的な能力を持っているかどうかを判断することができます。社会人に必要な能力には大きく分けて「一般常識」「学力」「専門知識」の3つがあります。
一般常識を測るテストでは、教養に関する問題や学生がどの程度時事問題に関心があるかなどを測る問題が多い傾向にあります。学力を測るテストでは、国語、数学、英語の基礎的な能力を測る問題、専門知識のテストでは基礎的な専門知識を測る問題が多いです。いずれのテストも難解な問題を解けるかどうかではなく、基礎的な知識がどれだけあるかを測るテストを実施する場合が殆どのようです。
適性検査で性格テストを採用する企業もあります。性格テストとは受験者の質問の回答によって性格を診断する心理テストです。性格テストによって、企業で活躍できる学生が持つ傾向があるかどうかなど診断することができます。
適性検査として主に使用されるサービスは、SPI3、玉手箱III、GAB、CAB、TG-WEBです。これらのサービスは検査の結果を統計的に分析できます。客観的なデータを取得できるため、合格結果の裏付けとして使用することができます。また、選考にかける時間を短縮することができるというメリットもあります。
テスト名 | 特徴 |
---|---|
SPI | 学力、性格特性、組織適応能力が測れる、コスト効率が高い |
玉手箱 | 知的能力、パーソナリティで診断する、低価格 |
GAB | パーソナリティに比重をかけた適性検査、英語での受験も可能なため外国人採用の際にも利用可能 |
CAB | SEやプログラマーなどの採用に特化した適性検査、理系能力の把握 |
TG-WEB | 知的能力を測る、難解な問題が多い、判断力と推理力を問う |
DPI | 面接では見抜けない職場適合性を判断、対人関係能力と意欲の診断/td> |
V-CAT | ストレス耐性の診断、メンタルヘルスの評価 |
企業の中には学生に小論文を提出させる企業もあります。小論文を見ることでその学生の文章力や、説明能力、論理的思考、客観的思考ができるのかどうかが分かります。そういった能力を判断基準として採用したい企業は小論文を課すようです。
面接試験は学生を企業に呼び対面で会話する選考です。直接的に学生を見ることができるため、雰囲気や言動など書類選考ではわからない要素を見ることができます。
個人面接とは、学生を直接一人ずつ面接する面接形態です。個人面接は学生一人にかけられる時間が長いため、様々な質問を学生にすることができます。学生の答えで気になった部分を深堀する質問もできるため、学生を深く知ることができるというメリットがあります。
集団面接とは、学生複数人を直接一度に面接する面接形態です。個人面接と比較すると一人にかけられる時間は少ないですが、多くの応募者がおり、時間が限られている場合は効率的に面接をすることができます。また複数の応募者を比較しながら評価することができるというメリットもあります。
プレゼンテーション面接とは、企業が事前に与えるテーマに沿って学生にプレゼンテーションを行ってもらい、それを評価する面接形態です。
よく企業が使うテーマには「自己PR、学生時代頑張ったこと、長所・短所、入社したら何をしたいか」といったものがあります。
プレゼンテーション面接では学生の限られた時間で情報を分かりやすく伝えられる能力、論理的思考力、人間性などを見ることができます。
グループディスカッションとは複数人の学生でグループをつくり、そのグループごとに与えられた課題に対する結論を出してもらうグループワークです。
グループディスカッションでは、学生は司会者、書記、タイムキーパーといった役割を決め話し合いを進めていきます。こういった過程で学生の積極性や協調性、コミュニケーション能力、論理的思考力などを見ることができます。
グループディスカッションのテーマは、企業が所属する業界に関連するものや時事問題に関連するものなど様々です。
上の図は、標準的に使用される選考フローです。学生は説明会を経て選考を受けるため企業に対する理解がしっかりと深まっています。また、この選考は数か月ほどかかるため学生の企業に対する納得度も高くなる傾向があります。
こちらの選考フローは説明会と適性検査を同時に実施する選考一体型の選考フローです。標準選考フローと比較するとステップ数が1つ少ないため、応募から内定までがスピーディに行うことができます。
説明会と同時に適性検査を行う際に適性検査で良い結果を出すことができる学生は適性検査の対策を事前にしてきている学生である傾向が高いといえます。そのため適性検査の結果を見ることで真面目に就職活動をしているかどうか判断することができます。
こちらの選考フローは、説明会の開催の前に適性検査を実施するタイプの選考フローです。応募してくる学生が大量にいる場合、学生にまず適性検査を受検してもらうことで、人数の調整をすることができます。人気業界や人気企業に有効な選考フローといえるでしょう。
前節では新卒採用のために行われている一般的な選考フローをご紹介しました。では選考フローはどのように設計されているのでしょうか?
選考フローを設計する際に重要になってくるのは、企業が置かれている状況に応じて設計することです。その際に、企業が持つ採用課題を明確にすることで良い選考フローの設計ができます。
以下に課題ごとの選考フロー設計例をご紹介します。
人員的にも、金銭的にも選考活動にあまりコストがかけられない場合、選考フローを短くすることでコストを抑えることができます。また、選考時期を採用力がある企業の採用時期からずらすなど工夫をすることで効果的な選考活動を行うことができるでしょう。
企業が設定している採用目標人数に対して新卒のエントリーが少ないという課題がある場合で考えてみます。
この場合の選考フローを設計する際に考えられる解決策は、「学生が企業のことを深く知ってもらうための説明会を多めに開催する」や「学生に負荷のかかるエントリーシートや面接などを無くしたり、軽めにする」などがあります。
学生の本業は学業であるため企業が選考活動でのスケジュールを決定する際、学生の学事日程を十分に考慮する必要があります。日本経団連では「採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し大学等の学事日程を尊重する」と訴えています。
選考のための筆記試験や面接などの日時を決める時は、学生と相談し決定するなどの配慮を行うと良いでしょう。
企業に応募した学生にとって会社の顔になる面接官は、面接の際に適切な質問で学生を公正に評価しなければなりません。不適切な質問によって学生を不快にさせてしまうことは、今後の企業の人気度や今後の選考活動にも悪影響になる可能性を高めてしまいます。
不適切な質問になりえる質問を以下にご紹介します。
本籍に関する質問は、公正な選考から同和関係者や在日韓国人、朝鮮人を排除してしまうことに繋がりかねるため控えましょう。
住居や家族構成、資産に関する質問は、応募者の能力や適性とは直接関係がありません。そのため、これらの質問は偏見に繋がる可能性があるため適切とは言えません。
思想、宗教、支持する政党を選ぶ権利は基本的人権で守られています。そのためこれらに関する質問をして、その答えを採用の参考にすることは基本的人権を侵すことになるため不適切な質問と言えます。
結婚、出産しても働けるかどうかや結婚の予定があるかどうかなどの質問は、男女雇用機会均等法に反する質問となります。
選考活動を進めると学生の個人情報を多く取得することになります。この個人情報の取り扱いは職業安定法の第5条の4で規定されています。また、厚生労働省では「募集内容の的確な表示等に関する指針」として以下のような留意点を挙げています。
・個人情報は本人から直接収集しなければならない。
・個人情報の保管、使用は収集目的の範囲に限らなければならない
・個人情報を適切に管理しなければならない
・個人情報は他人に知られないように管理しなければならない
学生一人一人と向き合い選考活動を行うには時間と労力がかかります。またそれに付随する大量の業務に追われることもあります。限られたリソースで選考活動を効率よく行うために使用されるサービスが採用代行サービス(Recruitment Process Outsourcing)です。
採用代行サービスは、その企業の人事にしかできない業務以外の業務を請け負ってくれます。例えば、学生のエントリー対応や、合否連絡、電話連絡などです。
また、それ以外にも採用のノウハウが無い企業向けのサービスもあります。例えば、採用に必要な広告などの作成、募集計画の立案、選考官のトレーニングなどを提供してくれます。
採用管理システム(Applicant Tracking System)とは応募から採用までを一元管理することができるシステムです。採用管理室手無二は、進捗管理機能や、応募者とのコミュニケーションを手軽にしてくれるサービスなど様々なものがあります。
応募者が多く、応募者の管理が大変な場合、母集団を増やしたい場合、採用の質を向上したい場合など、採用管理システムを導入すると採用管理を効率的に行うことができます。
新卒採用のエントリーシートは一般的なものであれば、志望動機などの情報を記載しなければいけませんが、三幸製菓は日本で一番短いエントリーシートを使用しています。
内容は「おせんべいは好き?」「ニイガタで働ける?」「あなたの連絡先(メールアドレス)を心を込めて入力してください」という質問にWeb上で答えるといったものです。
サーチフィールドは、新卒採用選考で人狼ゲームを採用しました。大学生と社員がリラックスして一緒にコミュニケーションを取りながら人狼をプレイするといった内容です。人狼の勝者が採用されるわけではないようです。
チームラボはエントリーシート、適性検査、面接を一切しない採用を行いました。学生が応募するのに必要なのは、氏名、連絡先、卒論のみです。学生が一生懸命作成した卒論のみで学生の適性を評価するようです。
カヤックは嘘の履歴書を受け付ける採用を実施しました。履歴書は2013年4月1日限定で受け付けました。カヤックは嘘をつくのも才能と考え選考を行い、面白い嘘をついた2名を書類審査通過にしました。
「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。
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