記事更新日:2018年12月26日 | 初回公開日:2018年11月29日
外国人採用・雇用 外国人留学生の採用 採用・求人のトレンド新卒採用は日本で一般的に行われている採用形態ですが海外では一般的ではありません。では、日本はなぜこの新卒採用を続けるのでしょうか?また、新卒採用はいつからあるのでしょうか?本記事では、新卒採用形態の歴史や変化、新卒採用のメリット・デメリットを企業の目線、学生の目線でご紹介します。
新卒採用とは職歴のない大学を卒業したばかりの学生を採用する採用形態となっています。就労経験がある人材を採用する中途採用とは異なり、新卒採用では学生の仕事への適正・素養を見極めて学生を採用するため、ポテンシャル採用とも呼ばれています。
新卒採用は1918年(大正7年)に政府が「大学令」を公布し大学生の人数を増加させる改革を行ったことにより始まりました。
大学令で大学生の人数が大幅に増加したことに伴って、企業に就職したい大学生も増加しました。しかし、大戦の終結や関東大震災によって日本は不況へと陥ったため、企業が学生を選考によってふるいにかけ始めました。これが新卒採用の始まりといわれています。
日本の新卒採用は約100年ほど前に始まり、時代に沿った採用形態に適応しながら今日の多様な新卒採用形態へと変化しました。
新卒を一括で採用する新卒一括採用形態は一般的ですが、新卒の採用形態は時代とともに多様化しています。ここではそんな多様化している新しい新卒採用形態のトレンドをご紹介します。
インターンシップとは学生が、学生の興味のある企業で実際に仕事を体験できるプログラムです。
バブル経済が崩壊した際に政府が「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方」を発表したことにより、日本でもインターンシップが普及し始めました。
インターンシップには短期のものから長期のもの、無給のものから有給のものと様々なプログラムが用意されています。企業がインターンシップを行う目的は企業のPR、学生の教育、選考活動の一環など様々です。
従来の新卒採用では、学生が興味のある企業の説明会などに応募することで企業とマッチングしていました。しかし、最近では企業が求める人材に直接アプローチすることでマッチングを行う新卒スカウトという採用方式がでてきました。
学生に直接アプローチしてスカウトする際には、新卒スカウト型サイトをを使用します。これは、学生が自分の履歴書をそのサイトに掲載し、企業は学生の履歴書を自由に閲覧することができるサイトです。このサイト上にある学生の履歴書を参考にしながら企業は必要な人材にアプローチします。
近年のグローバル化に伴って企業はグローバル人材の採用に力を入れています。主なグローバル人材は、日本人の海外留学経験がある学生や、外国人の日本に留学している学生です。
日本人で海外に留学している学生の場合、日本の大学の卒業時期と海外の大学の卒業時期が異なる場合が多いため、特別な採用枠を用意する必要があります。また、外国人留学生の採用には職場での意思疎通や文化の違いによる問題が懸念されます。
上記にあげた問題がある中、グローバル人材の採用に注力する企業は年々増加しています。
先ほどお伝えした通り、日本での新卒採用の歴史は100年近くあります。しかし、海外では新卒採用はほとんど行われていません。では、なぜ日本は新卒採用を続けるのでしょうか?ここでは新卒採用のメリットをご紹介します。
殆どの学生は同時期に就職活動を開始するため、有能な人材や将来の幹部候補を大きな母集団の中から大量に探すことができます。また、有能な人材を企業が必要な人材に教育することができることがメリットとして挙げられます。
新卒の学生は就職活動をする際に、多くの情報を集めます。そのため、定期的に新卒採用の募集をかけているとそれだけで知名度をあげることができます。さらに、企業の安定性もPRすることができます。
中小企業は大企業に太刀打ちできないと考える方もいるかもしれませんが、中小企業でも新卒採用は企業のPRになるという大きなメリットがあります。
新卒採用で採用された学生は一度も企業で働いたことがありません。中途採用の人材にある「前の企業ではこうだったのに」などといった比較もなく、企業の文化を受け入れ安いと言えます。そのため、新卒の学生を教育する際に、愛社精神や忠誠心を育てることで企業に定着しやすくなります。
また、新卒一括採用では同期が同時入社するため、連帯感が深まり、離職率が低下するというメリットもあります。
新卒の学生は、ポテンシャル採用されているため、仕事の即戦力になることはできません。そのため、上司や先輩が新卒採用された社員に指導をする必要がでてきます。しかし、部下や後輩を指導の指導は自分自身の成長や学習意欲の向上につながります。
また、新卒の学生は、知識がある上司や先輩社員よりも柔軟な発想や斬新な視点を持っている場合もあり、他の社員の刺激になります。
このように、新卒採用された社員がいることで他の社員も刺激され、社内が活性化されるというメリットがあります。
上でお伝えしたように、新卒採用のメリットは沢山あります。しかし、メリットと同時にデメリットもあります。ここでは新卒採用のデメリットに着目したいと思います。
優秀な人材は、どの企業も欲しいと思っているため、企業は様々な手段で新卒の学生を囲います。そのため、競合が多く思ったように有能な人材が確保できない可能性もあります。
また、経済状況も大きく影響し、年によっては売り手市場になったり買い手市場になるため採用のしやすさの波ができます。その結果、採用数確保が十分にできないといったデメリットもでてきます。
新卒採用された学生は、社会経験がないため、学生時代と社会人生活を比較してしまう場合があります。この比較によって、学生と社会人のギャップが広くなり「この会社はミスマッチなのでは」という考えに至ってしまう場合があります。
また、社会経験がないため業界や職種への理解が不十分のまま採用されてしまう学生もいるため、本当のミスマッチに繋がる可能性もあります。
先ほども言ったように、新卒採用の学生は即戦力になることはできません。そのため、企業側は戦力になるように研修を行わなければなりません。この間、新卒社員は利益を産むことはなく単純にコストになるというデメリットがあります。
企業側の新卒採用のメリットをお伝えしました。では、学生側には新卒採用のメリットはあるのでしょうか?ここでは学生側の新卒採用のメリットに着目してお伝えします。
日本の新卒採用では、学生のポテンシャルを見て採用すると前半でお伝えしました。企業は新卒採用した学生が即戦力になることを期待していないため、学生の専攻をあまり気にすることなく採用を行います。そのため、学生は大学で勉強したこと以外に自分の興味のある業種に就職することができます。
また、企業は学生を戦力になるまで教育するための研修を用意しています。学生には自分の知識やスキルを心配することなく好きな企業や業種を選択できるというメリットがあります。
新卒採用で採用されると多くの同期ができます。今まで大学で出会ったことのなかったようなタイプの同期と出会うことで刺激され、同期と切磋琢磨することで成長が早くなるという相乗効果があります。
海外では、学生が卒業した後に学生は各自就職活動を行います。しかし、海外では即戦力になるかどうかで採用を決定するため、学生は転職先を探している人と競争しなければなりません。ですので、海外での新卒の学生の失業率は高いと言われています。
一方、日本では新卒の学生を対象とした求人が多くあるため、日本の新卒学生の失業率は海外よりも大幅に低くなっています。日本では常に、大学生の就職率が90%以上となっています。
新卒採用では多くの学生が一斉に就職活動を行うため、多くの学生の中から企業に選ばれる必要があります。そのため、学生は面接で自分の魅力を一生懸命伝えます。それにも関わらず、一社からも内定がもらえないと自分を否定された気分になるため、精神的に参ってしまう学生も多いようです。
新卒採用で見事に内容を貰った学生は良いのですが、様々な事情で新卒採用募集時に内定を獲得できなかった学生は既卒扱いになります。既卒で就職活動をすると中途採用枠となってしまうのでポテンシャルを見極められていた新卒採用よりも少しハードルが上がってしまうというデメリットがあります。
新卒採用に応募するのは、日本人学生だけではありません。外国人留学生も日本人学生と同じように就職活動をします。
しかし、留学生の就活には日本で就職を希望している外国人留学生のうち、4割ほどしか就職先を見つけることができないという現状があります。新卒採用の募集で就職先が見つからない外国人留学生は母国へ帰国しなければなりません。
日本に留学で来ている学生の中には有能な人材が多くいるため、外国人留学生を採用することも視野にいれるべきでしょう。
留学生などグローバル人材の採用が年々増えてきているとお伝えしましたが、留学生の就職活動は難航しているのが現状です。理由の一つとして、多くの企業が留学生に望む日本語力と留学生の日本語能力が相異していることが挙げられます。
留学生を多く採用している企業は、社内のドキュメントを多言語化するなど社内環境を整備することで社内のグローバル化に対応しているようです。
本記事では、新卒採用の歴史や現在の新卒採用の形態、学生・企業の視線からみた新卒採用のメリット・デメリットをお伝えしました。
新卒採用にはデメリットもありますが、それ以上にメリットが大きいため、日本では長期間続けられてきました。しかし、新卒活動の形態は時代とともに変化しており、最近では、企業側から学生に直接アプローチする採用活動や、留学生などのグローバル人材も新卒採用する企業も増えてきています。新卒採用のメリットを活かしつつ、このように時代に合った採用活動をすることが重要といえるでしょう。
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