ワーキングプアとは【割合が増えた原因や増加することで発生する問題点について解説します】

記事更新日:2023年12月19日 初回公開日:2023年12月19日

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売り手市場が続いている採用市場では、求職者が就きたい仕事に就ける可能性が高まっている一方で、ワーキングプアの問題が未だ根強く残っています。バブル崩壊後、非正規雇用労働者が増えたことも原因ですが昨今の物価高などの影響により正社員でもワーキングプアのに該当する人が増えています。ワーキングプアはその人個人の問題だけでなく、家庭や社会全体に影響を与える大きな課題です。企業としても放置することが出来ない問題です。今回はワーキングプアについて解説します。経営者の方は参考にしてみてください。

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ワーキングプアとは

働いているのにも関わらず貧困に陥る人

ワーキングプアとは、働いているにもかかわらず貧困に陥る人の事です。ワーキングプアは、正社員でフルタイムで働いているもしくは正社員と同等に働いているにも関わらず貧困から抜け出せない労働者の事を指しています。貧困は一般的に失業者や働けない状況にある人たちをイメージしますが、きちんと労働を行っていても低賃金で生活が満足に行えていない人たちが多く存在しています。日本だけでなくアメリカやカナダ・スペインなどの先進国で問題になっています。

ワーキングプアの年収の目安

年収200万円以下の人

ワーキングプアの年収目安は年収200万円以下の人たちです。一般的にワーキングプアに該当するのは年収200万以下の人たちとされており、年収200万の人は生活保護の対象となっているため働いていても年収が受給基準を上回らない200万がボーダーラインとなっています。国税庁が2021年に行った民間給与実態統計調査によると、給与階級別分布で人数が最も多い層は男性が400~500満だったのに対して、女性は100~200万以下と女性にワーキングプアが多い事が分かります。

ワーキングプアが増えた理由

非正規雇用が増加したため

ワーキングプアが増えたのは、非正規雇用が増加したためです。バブル崩壊後、日本では非正規雇用が増え続けています。非正規雇用はパートやアルバイト・契約社員が該当し、正社員よりも賃金が低い傾向にあり中々賃上げの対象にもなりません。また非正規雇用の人は、正規雇用と比べ安定したキャリアを歩むことが難しく収入を上げるキャリア形成が難しい問題があります。年齢を重ねるごとに非正規雇用から正規雇用に移ることが難しくなる為、ワーキングプアから抜け出せなくなってしまいます。

物価高により相対的に賃金が低下しているため

ワーキングプアは、物価高により相対的に賃金が低下している為、増えています。世界情勢の影響から燃料や原料価格の高騰を理由に、日本は年々物価高になっています。生産コストだけでなく運搬費や倉庫保管費用なども高騰しているため、企業としてもコストを製品へ転嫁せざるを得ない状況です。物価高になっても経済が周り賃金が上がっていれば問題ありませんが、企業が弱体化し賃金低下している場合もあります。給料は変わらず物価高になってしまえば、生活費が上がりワーキングプアに繋がります。

介護や子育ての負担が高まっているため

ワーキングプアが増えた理由は、介護や子育ての負担が高まっていることが原因です。介護や子育てを行っている場合は、制限されている時間しか働くことが出来ず給料も低くなります。短時間のみ・突発的に休みを取らなければならないといった場合も発生します。またやむを得ない理由での遅刻・早退が発生してしまい満足に働けず給料も少なくなります。ワークライフバランスなどが注目されていますが、全ての企業で行われている訳ではなく立場の弱い人にどうしてもしわ寄せがいってしまいます。

働き方が多様化しているため

働き方が多様化している為、ワーキングプアが増えています。従来であれば、正社員として入社し定年まで勤めあげるというのが当たり前でした。また豊かな生活を送る為にはある程度の収入が必要だという考え方もありました。しかし昨今では仕事が人生の全てではないといった考えを持っている人も多く、あえて正社員ではなく融通の利きやすい非正規雇用を選ぶ人も増えています。働き方の多様化は自分で働き方を選べますが、結果として非正規が増えワーキングプアに繋がっています。

ワーキングプアになりやすい職業

特別なスキルを必要とされにくい職業

ワーキングプアになりやすい職業は、特別なスキルを必要とされにくい職業です。交通誘導員や清掃員・事務員などは特別なスキルを求められないため、非正規雇用が多く賃金が固定されている場合もあります。事務員の中でも、コールセンターやデータ入力・書類整理などの単純作業は誰でも出来ると判断されるため、正社員で入社したとしても中々給料が上がらないなどワーキングプアに繋がりやすくなります。日雇いを行っている交通誘導員も同様に、給料が固定の場合が多く高い賃金を見込めません。

非正規雇用の割合が大きい職業

非正規雇用の割合が大きい職業も、ワーキングプアに陥りやすくなっています。飲食業や販売業はアルバイトやパートといった非正規雇用が多い傾向にあり、時給も低い傾向にあります。飲食業では、長時間労働を強いられている労働者が多いにもかかわらず、時給が低いため長く働いてもそれほど収入は高くありません。飲食店や販売業は一部の従業員を除いて専門的な知識や資格を求められることもないため、誰でも働きやすい業界ですがワーキングプアに繋がりやすい職種です。

ワーキングプアの種類

高学歴ワーキングプア

ワーキングプアには、高学歴ワーキングプアがあります。高学歴ワーキングプアとは、世間で難関大学といわれている大学・大学院を卒業して修士号や博士号を取得したにもかかわらず企業への就職が実現することなく、無職・非正規になっている人たちです。または「ポスドク」と呼ばれ、大学や研究機関などへの就職を希望して大学院卒業後に非正規の研究員として働く人も多く給料の額によってワーキングプアに含まれる場合もあります。

中高年ワーキングプア

ワーキングプアの種類に、中高年ワーキングプアがあります。中高年ワーキングプアとは、正規雇用の職を希望している、非正規雇用に甘んじている、両方の条件に当てはまる不本意非正規雇用労働者の事を指しています。中高年の不本意非正規雇用労働者は2017年の時点で167万人と言われており、2016年に新卒で入社した労働者を上回る数です。人数そのものは年々減少傾向ですが、若年層と比較すると半分以下の推移になっているため、中高年のワーキングプアも問題になっています。

官製ワーキングプア

官製ワーキングプアも、ワーキングプアの一つです。官製ワーキングプアとは、民間の非正規労働者と同様に、低賃金で不安定な働き方をしている自治体の非正規職員の事です。公務員と聞くと安定したイメージを持っている人も多いはずです。しかし実際には非正規で働いている人も少なくありません。官製ワーキングプアの問題は、ワーキングプアを改善・是正すべき立場である自治体が自らワーキングプアを発生させている点です。自治体の委託費削減などにより労働環境が悪化していることが問題です。

ワーキングプアを放置する問題点

少子化が加速する

ワーキングプアを放置してしまうと、少子化が加速します。収入が低いと結婚が出来ない・過程を持つことをためらうと考える人が増えます。自分一人であれば何とか生活できたとしても、家庭を持ち家族を養うと考えた場合ワーキングプアであれば難しくなります。結婚せずに家庭を持つ人が減っていくと、出生率が下がり少子高齢化に拍車を掛けます。また昨今では物価高の影響で結婚したとしても子供を産み育てることは出来ないと、子供をあきらめる若い人が増えており日本として大きな問題です。

親から子へ悪循環を生む可能性がある

ワーキングプアの放置は、親から子へ悪循環を生む可能性があります。ワーキングプアの環境で育った子供は、同じくワーキングプアになりやすい傾向にあります。その中でも大きな理由として、高校や大学の進学費用が払えず低学歴になってしまう事です。現在の日本は未だ学歴重視の社会であるため、低学歴は就職や転職で不利になります。それでも働かなければ生活をしていく事ができないため、仕方なく非正規雇用で働き初め、中々給料を上げられない悪循環に陥ってしまいます。

経済が低迷する

経済が低迷するのも、ワーキングプアを放置してしまうと起こる問題です。ワーキングプアは先述したように様々な要素が重なり合い連鎖を起こす傾向にあります。元々は正規雇用で働いていたとしても一度非正規雇用になってしまうと、中々元に戻ることは出来ません。年齢を重ねていくにつれて定収入状態から抜け出せなくなっていきます。女性のワーキングプアが増加してしまう事で、その子供にワーキングプアが連鎖し少子化が進み経済が低迷するという一連の流れが出来てしまい、益々ワーキングプアが増えていきます。

ワーキングプアに対する企業の解決策

賃金を引き上げる

ワーキングプアに対する企業の解決策として、賃金を上げる方法があります。ワーキングプアが増えている要因は、非正規雇用の増加や賃金水準の低下です。非正規雇用労働者が増加するとワーキングプアが増加するといわれている理由は、非正規雇用が正規雇用と比べて賃金が安い事が挙げられます。そのため企業として実施できるワーキングプアを増やさない対策は、正規・非正規共に賃金を上げる事です。現在の日本の経済状況を見ると、中々企業の力だけで賃金引き上げは簡単ではありませんが有効な解決策の一つです。

正規雇用に変える

ワーキングプアへの対策として、正規雇用に変えることを考えましょう。上記にも述べたように、非正規雇用の増加がワーキングプアを増やす一番の原因です。非正規雇用は正規雇用に比べ賃金が安いため、企業としては人件費の削減に繋がります。しかし社会全体のワーキングプア連鎖を起こさない為にも、非正規ではなく正規採用を増やすことでワーキングプアを減らすことが出来ます。賃金だけでなく非正規雇用は身分が不安定なためワーキングプアに陥りやすくなっています。身分を安定させるためにも、正規雇用を増やしていきましょう。

ワークライフバランスを実現させる

ワークライフバランスを実現させるのも、ワーキングプアに対しての企業の解決策です。ワーキングプアに陥ってしまう理由は、賃金が低いのも勿論ですが労働環境が悪い場合もあります。長時間労働が当たり前になっている職場や労働条件がきちんと整っていない環境で働く従業員は、体調を崩しワーキングプアに陥ってしまう可能性があります。企業が労働環境を整備し、従業員が良好なワークライフバランスを実現することで生活の質を高める事が可能です。そうすることでワーキングプアの対策にも繋がっていきます。

まとめ

ワーキングプアの問題を解決し日本の社会問題の改善に取り組もう

ワーキングプアが増えた理由や放置すると起こる問題などについて解説しました。ワーキングプアには、自らプライベートを優先させるためにあえて収入の低い職を選んでいる人も該当します。しかし積極的に働く意思があるにもかかわらず生活に困っている人も少なくありません。人件費の削減や正社員採用の抑制・賃金値下げなど企業としても費用を抑えなければならない場合もありますが、ワーキングプアが増えてしまうと経済が低迷し少子化が進んでしまいます。ワーキングプアの問題を解決し日本の社会問題改善に取り組みましょう。

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