記事更新日:2024年05月01日 | 初回公開日:2024年04月30日
用語集 人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド グローバル用語解説トレードオフとは、何かをするために何かを捨てなければならない関係のことで二つ以上の欲求が同時に満たせない状態を意味します。どちらか一方を選択することにより、もう一方が成立しなくなることでジレンマを抱える状態に陥ります。とくにビジネスシーンやマーケティングで多く用いられ、何かを解決するためには一方を犠牲にしなければならない、両立できない関係性を指す言葉です。トレードオフは日本語で、「代償」「矛盾」「一得一失」などと訳されます。
二律背反とは、哲学者カントの提唱した「アンチノミー」の訳語とされる哲学的用語です。「一つの事柄から生じた結果や判断が、ともに成り立つと同時に矛盾している状態」を表します。つまり、互いに矛盾する二つのものが併存する状態のことです。対するトレードオフとは、「両立できない関係性」を指す言葉であり、二律背反とは似ているものの、厳密には意味が異なります。トレードオフを日本語に訳す際、二律背反という言葉が使われることも多いようですが、似ている意味を持つ両者には違いがあることを覚えておきましょう。
Win-Winの関係とは、ビジネスでは「自分も勝ち、相手も勝つ」という意味で使われ、複数の会社が同時に得られる利益の関係性を指します。また、お互いのメリットを増やすことで、交渉を有利に進めるためにビジネス手法としても使われる言葉です。対するトレードオフとは、二つ以上の欲求が成立し得ない状況を表すため、Win-Winの関係とは対極にある言葉だと理解できます。両者ともビジネスで多く使われますが、真逆の意味を持つ言葉ですので注意しましょう。
トレードオフに関連した言葉にトレードマークという言葉があります。トレードマークには2つの意味があり、一つは人物を特徴づけるその人特有の外観であり、もう一つは企業や団体が使用する商標です。ビジネスで使われるトレードマークとは後者であり、商品やサービスを他社のものと区別するために使用されるネーミングやロゴなどの識別標識になります。ネーミングやロゴのそばには「R」や「TM」といった記号があり、いずれも「Registered Trademark(登録された商標)」の略称です。
トレードタームズとは貿易取引に使われる言葉で、売主と買主の間で交わされる運賃や保険費用などについて取り決める貿易条件のことを言います。国際貿易では国内には無いルールが存在し、相手国によっても条件などが異なるため取引は煩雑になります。そこで、フランスに本拠を構える「国際商業会議所(ICC)」と呼ばれる国際通商組織が、世界に共通する国際規則を制定しました。この規則は「インコタームズ」と呼ばれるもので、ICC加盟国は貿易の際に規則を守ることで安心して取引が行えます。
"トレードシークレットとは経済用語の一つで、企業が保有する財産価値のある秘密情報のことを意味します。企業にとって最も重要と言える顧客情報や未公開の技術や新商品情報、企業独自の生産および販売方法などが、トレードシークレットにあたるものです。また、企業の収益を表す会計情報など企業の利益に関わる情報も全て含まれます。また、情報の流出によって企業へ損害を与える危険があるものもトレードシークレットとし、機密事項として管理されます。
トレードマネーとは、プロスポーツ界において選手の移籍に伴い支払われる移籍料のことです。基本的に、選手を獲得するチームが、選手が所属していたチームに対して払うお金になります。日本では特に野球界などが有名で、大リーグなどへの移籍金は莫大な金額になることも少なくありません。また、サッカー界においてもグローバル化が進み、著名な選手が移籍する際には、その金額の大きさに翻弄されてしまいます。トレードマネーは全スポーツ界で上昇傾向にあり、今後も右肩上がりになると予想されます。
フェアトレードとは、公平・公正な貿易を意味するように、貿易で不利になりがちな開発途上国の生産者および労働者のための仕組みのことです。貧困に悩む開発途上国では、先進国の企業から不当な金額での取り引きが継続し、生産者や労働者は生活水準を改善することができません。それを改善するための貿易の仕組みがフェアトレードであり、正当な金額での取り引きを行うものです。近年では、店舗や商品パッケージに、フェアトレードについて表示されることも多くなっています。
トレードオフの日常の具体例として、真っ先に挙げられるのが「お金と時間」です。「時は金なり」という諺もあるように、労働に費やした時間は金銭に変わるものの、失った時間を取り戻すことはできません。また逆に、5千円のランチを楽しむために1万円の仕事を休んだ場合には、時間を有効に使ったものの、休んだ分の1万円とランチ代金5千円で、合計1万5千円を失います。また、仕事を増やせば時間を消費し、自由に時間を費やせば仕事が減って賃金が減るというジレンマに陥るでしょう。
税金と社会保障も、トレードオフが日常で見られる例の一つです。社会保障を手厚くするには福祉政策などに使う財源が必要です。しかし、その財源は社会保障を受ける国民が支払う税金から成り立っています。そのため、税金を下げて国民の生活を楽にすることと、社会保障を手厚くすることの両立は成り立たないと言えるでしょう。結局は、どちらかを優先することで、一方を犠牲にすることになり、Win-Winの関係にはならないのです。
恋愛や結婚は、日常生活におけるトレードオフの典型と言えるでしょう。恋愛では、たくさんいる候補者から一人を選ぶことで、他の異性および同性と出会う機会を失うことになります。特定の人を独占する代わりに、新しい人との出会いを失うことは、トレードオフの関係にあると言えるでしょう。また、結婚では経済的な資源や自分の自由な時間を費やすことで、安定した家庭生活を送ることができ、家族との楽しい時間を過ごせます。恋愛や結婚を選択することで、他の何かを犠牲にしなければいけません。日常生活の中にも、トレードオフの関係は多く存在します。
トレードオフの生物学における具体例として良く挙げられるのが「ペンギン」の生態です。ペンギンは鳥類に属する生物であり翼を持っていますが、羽ばたくことはできても飛ぶことはできません。その代わりに、ペンギンの好物である水中の魚を効率よく獲得する高い潜水力を備えているのです。このように、その種の特長でありながらもその特殊能力を犠牲にし、代わりに別の能力を獲得している生物は多く存在します。これは二つの能力を併せ持つことが困難であり、一方の能力を高めたために、もう一方の能力である一部分を失ったと考えることができます。
ビジネスシーンで多く見られるのが、高品質と低価格のトレードオフの関係です。消費者は、品質の高い商品と、安価な商品という二つの要素を同時に求めます。しかし、生産する側では、クオリティを上げるためには高価な材料を使うことや手間をかけることが必要になるため、賃金を含む材料費は高騰します。逆に他社よりも安い商品を販売するためには、安価な材料を使い複雑な作りを簡素にするのでクオリティは必然的に下がることになるのです。そのため、市場にはどちらか一方に特化した商品、または両者の中間的商品が出回ることになります。
経済成長と環境問題もトレードオフの関係にあると言えます。経済成長を推進すれば環境問題が悪化し、経済成長を止めて成長を犠牲にすることで、環境問題を改善するスタートラインにつくことができるからです。経済が成長するためには、温室効果ガスが増えて地球温暖化が進むなどの大きな弊害を伴います。かといって経済をストップさせることは、多くの経営者および働く労働者にも大きな影響を与えることになるでしょう。環境問題は一時的に回避できるものの、それによる代償は計り知れないものとなり、世界全体がジレンマを抱えています。
育児とキャリアも両立することは困難であり、トレードオフの関係にあると言われています。女性が出産し育児を行うには、かなりの時間と労力を必要とするのは間違いありません。そのため優秀なキャリアウーマンであったとしても、出産と育児によりキャリアアップだけでなく働くことさえ断念することも多くあります。また、キャリアを優先するならば出産や育児を諦めることが必要であり、もし諦めずに出産しても育児を施設に依頼するなどして、育児に専念することを犠牲にしなければいけなくなるのです。そして仕事中も子どものことが気になり、仕事に集中することも難しくなります。
在庫と人件費もトレードオフの関係です。在庫を増やすことで販売機会を増やし多数の商品を販売することに繋げられますが、在庫管理にかかる費用を増やして利益を圧迫します。逆に在庫を減らすことにより人件費を節約できますが、在庫を減らすことは需要に合わせて柔軟に販売する機会を失うことになるでしょう。また、在庫は利益ともトレードオフの関係にあると言えます。販売数が増えて利益が増えるとともに在庫は減り、販売数が伸びずに多くの在庫を抱えることになれば、当然のように利益を圧迫することになるのでしょう。
生産性と労働条件もトレードオフの関係にあると言えます。生産性を上げるためには従業員のモチベーションアップが不可欠であり、労働条件を改善することが必要です。労働条件を改善する代表的な方法が、労働時間の短縮であり生産性向上とは逆行することになります。時間をそのままにして効率を上げるという方法も考えられますが、人間の能力には限界があるため難しい問題です。また、従業員に常に100%の能力を発揮させることは、事実上困難であるとともに、従業員に大きなストレスを与えることになってしまいます。
トレードオフはビジネスでは欠かせない要素であり、上手くバランスをとっていかないと経営に大きな影響を及ぼすことにもなり兼ねません。トレードオフの関係にあるそれぞれの要素も、他の要素と密接に関係しているため、優先順位や影響度などを比較しながら、目標達成を計画することが必要です。そのためにも日常から柔軟な発想を持ち、市場の動向を中止することが重要になります。変化に対応できる柔軟な生産体制などを整え、トレードオフを上手に使いこなして、ビジネスの成長に活用しましょう。
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