オーセンティックリーダーシップとは【求められる特性や習得方法などについて解説します】

記事更新日:2024年05月08日 初回公開日:2024年04月30日

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変化し続ける社会において、企業の変革が求められていますが、同時にリーダーシップの在り方にも大きな変化が現れています。その中でも注目されているのが「オーセンティックリーダーシップ」で、従来のピラミッド型組織のリーダーシップとは一線を画すものです。自分の個性をリーダーシップの中に取り込むことで自分らしさを強調した、新しいかたちのリーダーシップになります。ここでは、オーセンティックリーダーシップの意味や注目されるようになった要因から、導入するメリットやデメリットと、習得のポイントまでを詳しく解説いたします。

オーセンティックリーダーシップとは

自分自身の考えや価値観をもとにリーダーシップを発揮すること

オーセンティックリーダーシップとは、自分自身の考えや価値観をもとにリーダーシップを発揮することを意味します。「オーセンティック」とは「本物の」「正真正銘の」という意味があり、「自分に正直」であり「自分らしさ」を持っていることを前提とする、新しいリーダーの概念です。いままで主流であった主導権を持ってメンバーを牽引するリーダーとは異なり、自分らしい価値観を持ってリーダーシップを発揮することでメンバーから共感を得ます。その価値観や倫理観に従って組織をまとめていくリーダーシップです。

オーセンティックリーダーシップが注目されている理由

リーダーシップが多様化し従来の概念が通用しなくなってきているため

オーセンティックリーダーシップが注目されている理由の一つは、リーダーシップが多様化し従来の概念が通用しなくなってきているためです。画一的な組織が殆どであった頃には、ピラミッド型組織の頂点に立つような、魅力溢れるリーダーシップが主流でした。しかし時代の変化に伴い組織の在り方も多様化したため、これまでのリーダーシップが通用しなくなってきたのです。現代では異文化や多様性への理解に長けたリーダーシップが求められることも多く、力で抑えるようなリーダーシップは減少傾向にあります。

時代の変化が激しいため

オーセンティックリーダーシップが注目されている理由のもう一つは、時代の変化が激しいことが関与しています。高度成長期において企業が目指すのはピラミッド型の組織であり、トップダウンでの統率が好まれていました。時代は変わり、先が見えないといわれるVUCAの時代に突入し、企業は変革を迫られています。競合他社との差別化を図るには、柔軟な変化と対応が必要です。リーダーの在り方も従来とは変わり、不測の事態にも落ち着いて対応できるリーダーシップが必要とされています。

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オーセンティックリーダーシップのメリット

個性を活かしたリーダーシップを発揮できる

オーセンティックリーダーシップのメリットは、個性を活かしたリーダーシップを発揮できることです。それまでのリーダー像などにとらわれることなく、自分の価値観や信条などをベースに、自然体でリーダーシップを発揮すればよいと考えることができます。しかし「自分の個性を活かして」とか「自然体で」と言われると、逆に不自然になってしまうものです。他からの評価や指摘などは気にせず、自分が正しいと思う方向に進み、自分の得意とすることを前面に出すようにすると良いでしょう。

周囲を巻き込み強い信頼関係を築ける

周囲を巻き込み強い信頼関係を築けることも、オーセンティックリーダーシップの大きなメリットになります。オーセンティックリーダーシップとは、自分の強みだけを主張するのではなく、自分の弱みを見せることで、周囲からの協力を仰ぐことができるのです。強い上司やリーダーは魅力的ですが、周囲から入り込む余地が少ないため孤立することも多くなります。オーセンティックリーダーシップでは、リーダーの弱みを積極的に周囲が補おうとすることで、強い信頼関係を築けることが大きなメリットです。

オーセンティックリーダーシップのデメリット

成長意欲が弱まる可能性がある

オーセンティックリーダーシップでは、リーダーの個性を前面に打ち出すことが大きな魅力です。しかし、間違った受け止め方をしてしまうと、リーダー自身の成長意欲が弱まる可能性があるため注意が必要です。リーダーの個性を打ち出すことは、リーダーは成長する必要がないという意味ではありません。強みも弱みも見せながら、リーダー個人も成長する必要があるのは当然のことです。リーダーとして成長するためにも、現状に満足せず常に学び続けようという努力する姿勢が大切になります。

リーダー像にこだわるあまり融通が効かなくなる

オーセンティックリーダーシップのデメリットとして、リーダー像にこだわるあまり融通が効かなくなることが挙げられます。自分の個性を活かすことは自分の意見を押し通すことであると、間違った受け止め方をしてしまうからです。周囲の声に耳を傾けることも、リーダーとしての重要な役目になります。多数の意見を聞き、本当に成すべき正しい方向を見出すことこそ本来のリーダー像です。自分の意見ばかりに固執して、他の意見を全て否定することは、組織の停滞と混乱を招く愚策と言えるでしょう。

オーセンティックリーダーシップに求められる特性

目標や目的を明確に理解すること

オーセンティックリーダーシップに求められる特性の一つが、目標や目的を明確に理解することです。組織とは同じ目標や目的を持って仕事などに向かうことで、チームとしての力を発揮します。そのような組織作りと方向性を持たせることが、リーダーの大きな役目です。そのためには、目標や目的を明確に持ち、理解しておくことが大切になります。常に変化する時代にあっても、ぶれない目標と目的を持ち、組織全体で共有し同じ方向を向いて進んでいくことが重要です。

価値観や倫理観に基づいて行動すること

自分の価値観や倫理観に基づいて行動することも、オーセンティックリーダーシップに求められる特性の一つです。価値観や倫理観は個々によって異なりますが、基本となる自分の価値観や倫理観を持っていなければ、周囲の意見に流されるだけになってしまいます。組織の意見も参考にしながら、自分の価値観や倫理観を信じて行動することが重要です。及び腰になればメンバーは不安になり、強く自我を押し付けることも良いことではありません。皆の意見を集約したうえで、最終決定は自分の尺度で決定しましょう。

情熱を持ってチームを引っ張り目的の達成を追求すること

オーセンティックリーダーシップでは、情熱を持ってチームを引っ張り、目的の達成を追求することが大切です。しかし、情熱を持ち続けることは簡単ではなく、維持し続けるためには多大な労力が必要になります。それだけにリーダーには、情熱を持ち続ける能力が不可欠です。情熱は組織全体に伝わり、個々のモチベーションにも影響します。目標や目的の達成を将来に見据え、忙しさに流されず大きな情熱を持ち続けて、目指す場所を見失わないように心がけましょう。

周囲と建設的で良好な関係を構築し支援し合うこと

周囲と建設的で良好な関係を構築し支援し合うことも、オーセンティックリーダーシップでは重要です。繰り返すようですが、オーセンティックリーダーシップとは、リーダーの我を押し通すことではありません。周囲の意見を尊重し建設的な議論を交わしながら、最適な方向を皆で考えていくものです。皆が右か左か悩んだときこそ、リーダーの価値観と倫理観によって判断し、皆に納得のいく説明をする必要があります。皆が納得してこそ、組織内に良好な人間関係が構築され、支援し合う風潮が自然に生まれるのです。

価値観や倫理観を守るために自らを律し常に学ぶこと

リーダーが価値観や倫理観を守るために自らを律し常に学ぶことは、オーセンティックリーダーシップに欠かせない特性です。ありのままの自分をさらけ出すことは、自分の気分によって好き勝手にやっていいということではありません。自分が考え行動することが本当に正しいのかと、常に自分を律し学び続けることが肝要です。その姿をチームの皆が見ていることを忘れてはいけません。リーダーといえども、常に正しいことを言うとは限らず、間違えることもあるでしょう。そうしたときこそ素直に反省し、それを糧に自分を律することを忘れないことが重要です。

オーセンティックリーダーシップの習得方法

自分の特性や強み・弱みを理解する

オーセンティックリーダーシップを習得する方法の一つに、自分の特性や強み・弱みを理解することがあります。自分の持つ強みや弱みは、理解しているようで実は分かっていないことも多いものです。できれば客観的な視点から自分を観察することが良いのですが、非常に難しいものになります。他人を評価するときと同じように、分析ツールやアンケートなどを用いて客観的評価を見てみましょう。思いがけない自分の特性を知ることができるかもしれません。自分の特性を良く理解し、自分らしさを追求することが重要であることを忘れないようにしてください。

弱みをチームメンバーに開示する

オーセンティックリーダーシップでは、とくに「自分の弱み」に注目し、それを敢えてメンバーに開示することで強い信頼関係が生まれます。日本の戦国武将の中にも弱みを仲間に見せる人がいましたが、圧倒的な強さを誇る武将よりも仲間からの信頼が厚く、長く活躍したのは歴史上の事実です。仲間に自分の弱さを見せることは悪いことではなく、リーダーとて同じ人間であり、困ったときには助け合おうという精神が宿ります。それが組織全体に広がり、相互補助と失敗してもくじけないでチャレンジし続ける環境と企業文化をつくることができるのです。

メンバーと良好な関係を構築する

メンバーと良好な関係を構築することは、オーセンティックリーダーシップを習得するうえで、重要な要素と言えるでしょう。良好な関係を構築するということは、お互いを尊重した中で激しい議論を交わすことです。そしてリーダーによって、皆が納得する最終決定を下してこそ組織内に良好な関係を構築することができるのです。時には譲り、時には自分がリーダー役となることで、組織と個人は成長します。リーダーはそれを知り、任せることは躊躇なく頼み、自分が成すべきことに集中することが大切です。お互いの助け合い、支え合う風土こそが、良好な関係の構築と言えるでしょう。

常に自分自身の行動を振り返る

オーセンティックリーダーシップを習得するには、常に自分自身の行動を振り返ることを忘れてはいけません。自分を律するように自分自身の行いを常に振り返り、最善の方法であったのかを反省する必要があります。それをすることで、自分自身が一回りも二回りも大きく成長することができるでしょう。リーダーの成長は組織にも反映され、組織の成長にも繋がります。自分自身の行動を振り返るリーダーの姿を見て部下も成長し、新しい大きな目標や目的に向けて進んでいくことになるでしょう。

オーセンティックリーダーシップの理解を深めるための著書

オーセンティックリーダーシップ/ハーバードビジネスレビュー

世界のリーダーが愛読するマネジメント誌「ハーバードビジネスレビュー」にて特集された、オーセンティックリーダーシップの解説書です。多くのプロフェッショナルと呼ばれる人たちが愛読しているように、新しい時代を迎えるにあたって企業が求めるリーダーとしての在り方を具体的かつ論理的に説明しています。オーセンティックリーダーシップについて一から学びたい人にはおすすめの一冊です。オーセンティックリーダーシップ特有の理解しづらい部分も分かりやすく書かれており、初心者からプロフェッショナルまで読んでためになる解説書です。

まとめ

オーセンティックリーダーシップで従来のリーダーシップ論にとらわれない指導力を身につけよう

オーセンティックリーダーシップは、リーダーの個性を打ち出すことで、変化やイレギュラーにも柔軟に対応できる新しいリーダーシップです。自分の持つ強みだけでなく弱みも仲間に見せることで、仲間と良好な関係を保ち慕われるリーダーになることができます。それまでとは全く違うリーダーシップと言ってもよいだけに、リーダーには継続した努力と学習が求められるのです。ぜひオーセンティックリーダーシップを実践し、従来のリーダーシップ論にとらわれない指導力を身につけるように努力してください。

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