記事更新日:2023年01月12日 | 初回公開日:2023年01月12日
人事・労務お役立ち情報新卒採用は多くの企業にとって将来を担う重要な人事採用となりますが、3年以内に約30%、3人に1人が早期離職をしているという厚生労働省のデータがあります。早期離職の原因として挙げられるのは、教育環境が整っていない、雑務ばかりで意欲が持てない、貢献している気になれないなどがあります。よって若手社員の離職率を下げるには教育環境を整えることや、既存社員とのコミュニケーションが取りやすい環境でなければなりません。そのうえで若手育成の重要なポイントを解説します。
若手社員を育成するメリットの1つめは早期の戦力化に期待できる点です。企業の人材計画において若手社員に担ってほしい役割を定めたうえで、必要なスキルを身につけさせます。育成の重要な目的は期限を定めて早期の戦力化を図ることです。社会人としての基本的なビジネススキルや業務に必要な、専門的知識や情報を教育プログラムに取り入れながら行います。またOJTを取り入れることで既存社員とのコミュニケーションを図りながら、スキルアップや業務を覚えることができます。それらにより早期に活躍できる人材に育てていきましょう。
2つめは若手社員の早期離職を防ぎ定着を図れることです。離職理由に多いのが、教育環境が整っていないことや、既存社員、同期社員との希薄なコミュニケーションが挙げられます。そこで自己成長を感じられるような手厚い教育プログラムや、コミュニケーションの機会を設けることが重要です。また同期社員や既存社員とのコミュニケーションが密にとれる工夫をすることで、人とのつながりができ、満足感を得ることができます。その結果として若手社員の定着化を図ることができます。
若手社員の教育に失敗してしまう理由として、価値観を理解できていないことが挙げられます。昔ながらの価値観のひとつは金銭欲や、出世欲などが挙げられますが、それを現在の若手社員にも当てはめて考えてしまうと失敗します。現代の若手社員は価値観が多様化しており、ひとくくりにすることは難しいと言えます。価値観のなかで多くの若手社員に共通しているのが「自分らしさ」を大切にしているということが考えられます。この自分らしさという価値観に寄り添う必要があります。
2つめは企業としての指導方針が定まっていないことが挙げられます。価値観が多様化しているとはいえ、基本的な指導方針がなければ若手社員は不安を感じてしまいます。また時代の変化が早い昨今、若手社員にどのようなスキルを身に付けさせるかが定まらない企業が多いと言えます。そのため教育プログラムが定まらず、継続的な支援ができないことで失敗してしまいます。これでは若手社員が自身の将来に向けたキャリアをイメージすることができませんので、その企業で長く働くことが難しくなります。
3つめは指導者の能力が不足していることが挙げられます。教育プログラムが整っていない企業では、指導者の教育も疎かになってしまいます。多くの企業では、業務の中で実績を上げた既存社員が管理者となっています。そのためプレイヤーとしてのスキルは高くても、指導者としてのスキルが低い社員が指導者になってしまいます。その結果、若手社員に合わせた適切な指導ができず、仕事を見て覚えさせるだけの曖昧な指導になります。若手の育成には実績以外にも多くのスキルが必要となります。
最後は若手社員の育成にリソースを避けられないということが挙げられます。指導者が専門部署ではなく、現場任せの企業に多く見受けられます。人手不足が原因で現場の業務が多く、忙しい状況で若手社員の指導に充てられる時間的余裕を持つことは難しいのではないでしょうか。それにより若手社員は十分な指導を受けることが出来なくなります。その弊害により若手社員は、自己成長を感じられないことや、業務に携わることが出来なくなることで、会社への帰属意識が持てなくなります。その結果として若手社員が早期離職をしやすい環境が生まれてしまいます。
若手育成のポイントとして内定者研修を行う企業が増えています。内定者研修とは入社前に行う研修のことです。目的としては3つあります。1つは同期入社となる若手社員と顔を合わせて、研修を通じたコミュニケーションを取ることで仲間意識を高めることができます。それにより安心感や入社への期待感を持たせることができます。2つめは入社前に会社理念やビジネスマナーの指導、現場でのOJTを行うことで正式入社後、早期に戦力化させやすくなります。3つめは内定辞退を防ぐ効果にも期待できます。
続いてはOJTの導入です。既存社員とともに通常業務を行いながら、業務についての指導を受けることができます。これにより若手社員は実際に仕事を通じて会社に貢献している意識を持つことができ、また身についた業務により再現性の高い教育となります。OJTでは複数の業種を体験させることで若手社員の業務への適性や価値観を見ることもできます。それにより実際に配属となる際の判断材料にすることができます。さらにOJTで親しくなった既存社員と、OJT後も相談をできるような関係を築くことも期待できます。
若手社員の育成で最も重要視されるのが1on1ミーティングの実施です。1on1ミーティングとは指導者や上司と若手社員が1対1で対話をすることです。ここでは面談のような堅い雰囲気ではなく、雑談を交えながら、若手社員の考えや不安に思っていることなどをヒアリングすることが目的です。また価値観が多様化している若手の一人ひとりと対話をすることで、その価値観を把握することができます。当然、価値観は成長とともに変化していきますので、定期的に1on1ミーティングを行いましょう。
若手育成時のポイントは、自分の経験を押し付けないことです。時代が変化している中で過去の成功体験を自慢話のようにすることを若手社員は毛嫌います。また適切な指導という観点でも、環境が変化する中で過去のやり方がそのまま通用しないことも考えられます。また若手社員がそのまま実行できないということもあります。よって、まずは成功体験を分析した上で、抽象化してみましょう。さらに抽象化したものをスモールステップに分けることで実践しやすくなります。それを若手社員に解説しながら指導することで受け入れやすくなります。
若手育成の次のポイントは、若手社員のそれぞれの特徴を把握することです。基本となる教育プログラムであっても、指導を受ける若手社員ごとに捉え方や成長速度は異なります。また若手社員ごとの価値観も異なりますので、指導法が合わないということも考えられます。指導者は若手社員の理解度やモチベーション、不安に思うことなど詳細を把握しましょう。そのためには前述の1on1ミーティングや日ごろからの声掛けなどが必要になりますので、積極的にコミュニケーションをとりましょう。
若手育成のポイントは自分自身で考える機会を与えることです。一方的な指導や指示ばかりしていると、先の読めない時代においては環境の変化に合わせることができない社員になりかねません。また指示や命令ばかりになると、若手社員が指示待ち体質になることや、モチベーションの低下にもつながります。そこで指導においても指導者や上司がすべての指示をするのではなく、若手社員に考えさせる機会を設けましょう。自らが考えたうえで行動し、その結果を振り返る習慣を持たせる指導が必要です。
若手育成のポイントの最後は、フォロー体制を整えておくことです。前述の自ら考えて行動した結果について一緒に振り返り、次の行動につなげることが若手の成長には大切です。また若手社員は既存社員とのコミュニケーションが不慣れなこともあり、自分の不安や不満を抱え込みやすい傾向にあります。よって指導者や既存社員は普段からの声掛けや定期的なミーティングを行い、業務だけでなく精神面のフォローが必要となります。その際には上司だけでなく、年齢の近い既存社員が話を聞くことで気兼ねなく相談できる場合もあります。
ヤフー株式会社の若手社員の育成をご紹介します。ヤフーでは独自の経験学習システムを通じて、社員の成長に合わせた能力開発を支援しています。1on1ミーティングは若手社員と上司とで週1回行います。ミーティング時行うことは、若手社員が直面する課題の解決について話し合います。また若手社員が設定した目標達成へ状況確認や達成へのアドバイスを行います。これにより若手社員の内省を支援し、経験学習のサイクルを効果的に行っています。ほかにも人材開発会議では上長だけではなく、関連部署の役職者が集まり、一人ひとりの中長期的な育成方針を話し合います。
サントリーホールディングスの若手社員の育成をご紹介します。サントリーでは「やってみなはれ」が文化となっており、チャレンジ精神を重要視しています。人材育成システムでは、キャリアビジョンデザインの支援、企業理念共有のプログラム強化、世界で戦えるグローバル人材育成を主としています。特に若手社員の教育には、Schooというサービスを導入し、録画授業や社内限定の生配信を組み合わせています。ほかにも寺子屋という同社限定の学習ポータルサイトにより既存社員が講師となって、若手社員の育成に組織全体で取り組んでいます。
若手社員の育成は、企業にとって継続して事業を行うため、発展していくためには重要と言えます。時代の変化とともに若手社員の価値観の多様性により一律の教育プログラムでは対応できなくなっています。よって一人ひとりの特性や価値観を把握したうえで、組織全体で教育に取り組みことが必要となります。また教育以外にも、フォローのための、定期的な1on1や、日ごろからの声掛けなどコミュニケーションをとることで、会社への安心感から帰属意識を高めることができます。企業は組織全体の状況を理解したうえで、適切な教育プログラムの構築を行いましょう。
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