記事更新日:2024年07月24日 | 初回公開日:2024年07月23日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報グループシンクとは、集団で合意形成をすることでかえって不合理な結果を生み出してしまうことです。グループシンクは、イェール大学の心理学者アーヴィング・ジャニス氏によって提唱されました。日本ではグループシンクを集団浅慮と呼ぶこともあります。議論の場においては、集団が持つ同調圧力などによってその集団内の判断力が低下したり評価の能力が欠如してしまうことがあります。グループシンクに陥ると、集団としての能力に過度の期待を持つようになります。
グループシンクと似た言葉にグループシフトがあります。グループシフトとは、集団傾向と言われ同じ意見や考えの人が集まって議論することによって、その方向や進め方が極端になってしまうという現象です。同じ意見や考えの人が集まっているため、自分たちの意見が正しいと思い込んでしまうため意見に偏りが出てしまいます。慎重な人が集まると、議論の内容はより保守的な結果となり果敢な考えを持っている人が集まると、攻撃的な結論になります。
グループシンクが起きる原因は、集団に固執するためです。組織やチーム内に集団凝集性が高まると、多様性が生まれにくくなります。多様性が生まれにくくなれば、自分たちが出した意見に固執しやすくなります。集団凝縮生徒は、同じチームに所属している人たちの団結度合いを示しており、企業への帰属意識を測る指標の一つです。集団凝縮性は離職率の低下や生産性の向上などのメリットがある一方で、グループシンクが起こりやすいデメリットもあります。
グループシンクは一部の権力が強い場合に発生します。優れたリーダーシップ力を持っている人は、組織やチームをまとめ合意形成を測るには貴重な存在です。しかしリーダーの権力が大きすぎてしまうと、チームメンバーが意見することが出来ずに組織内から多様性が消えてしまう可能性もあります。色んな意見を取り入れずにリーダーの独断的な考えで物事を押し進めてしまうと、間違った方向に進んでいたとしても立て直しができなくなります。
グループシンクが発生するのは、集団に過度なストレスが掛かっているからです。組織の内外部両方からノルマ達成や課題解決に対しての期日が決められている場合、集団は強いストレスを感じやすくなります。ノルマや課題解決までの時間が限られている場合は、結論の中身よりも組織内で合意を取ることが優先順位になりしっかりとした話し合いが行えません。多角的な視点やリスク評価を行えていないため、組織として間違った方向に進んでしまう可能性もあります。
グループシンクが起きる原因として、外部の存在を軽視することが挙げられます。集団凝集性の高いチームは、長い時間を共有してきたメンバーと数多くの成功体験を積み重ねているケースも多く、自分たちで出した結論に自信を持っています。仲間意識が強くなるほど「自分たちのチームは絶対的」との思い込みが生まれやすく、外部の存在を軽視し意見や忠告を遮断する傾向にあります。外部とのかかわりが薄い仕事内容の場合、他社と情報交換をする機会が乏しく視野が狭くなる傾向になります。
損得感情が介入するため、グループシンクが起きてしまいます。意思決定の結果によって利害関係が発生する場合は、合意形成に参加するメンバーが自分たちにより多くの利益を得られるように利己的な立場に立った意見を出してしまう可能性もあります。損得勘定を重視する人が多く集まれば集まるほど、自分自身にとって有益であるかどうかを基準として判断するようになってしまいます。そうなると合意内容の検討や吟味が甘くなりがちです。
同調圧力が掛かってしまうと、グループシンクが発生します。同調圧力とは、集団の中で少数派の意見の人に対して多数派と同じ様な行動や発言を取ることを暗黙の了解として求める事です。集団意識が強くなってしまうと、異なる意見を発することで非難されたり無視されるのではと考え、意見を言えなくなってしまうことも考えられます。また集団の中に権力を持った人がいると、異なる意見を言うことで不利益を被るのではと考え同じ状況に陥る可能性もあります。
責任の所在が不明確なのも、グループシンクがが発生する原因です。集団の人数が多くなればなるほど、一人ひとりの責任が薄くなり「自分がやらなくても誰かに任せておけば問題ないだろう。」という考えの人が増えていきます。そういった考えになってしまうと、意見を出さないだけでなく決まった結果に対して責任を持たなくなる可能性もあります。そういった人が増えていくと、全体の意見に盲目的になりグループシンクに陥ってしまいます。
グループシンクの対策は、リーダーの意識を変えることです。影響力のある人や権力を持っている人がリーダーを行っている場合は、組織内で少数意見になりうる発言が出来ず多様性が失われてしまう可能性があります。そのため、リーダーが率先して引っ張っていくのではなくサポート役に徹するというのも方法の一つです。リーダーシップを発揮することに力を入れるのではなく、チームを支援することに徹するという意識に変えることが大切です。
グループシンクの対策を行うには、意見を言いやすい環境づくりを行いましょう。チーム内で積極的なコミュニケーションを行うようにするためには、自分と異なる意見が出ても受け入れられる姿勢を持っている必要があります。自分が発言したことに対して、メンバーから否定される・批判される状況になっていると、自分の意見を発言できません。チームメンバーが思っていることを発言できるようにするためには、自分と異なる価値観や考えの意見が出たとしても発言したメンバーの意見を尊重する姿勢が大切です。
グループシンクは、グループを小分けにすることで対策を行うことが出来ます。議論に参加している人数が多いと、中々一人ひとりが意見を発言する時間を確保することが出来ません。6人程度の小さなグループで分けることによって、一人ひとりが発言できる時間を取ることが可能です。自由な形でコミュニケーションを交わしていくため、幅広い視点で議論を行うことができ新しいアイデアを生み出すことにも繋がります。参加者の積極性を引き出すためにも、少人数で議論することをオススメします。
グループシンクを発生させないために、外部の意見を参考にしましょう。外部からの意見を受け入れられず、自分たちの考えが絶対であるというグループ程、グループシンクが起きやすくなっています。閉鎖的な環境になればなるほど、グループシンクが発生しやすくなるため視野を広げるためにも外部からの意見を柔軟に受け入れられる環境が必要です。外部の意見を受け入れることによって、多様な考えや価値観を持つことが出来ます。異なった価値観を持つ人と交流することによって、グループシンクが発生しづらくなります。
反対意見や少数意見も大事にすることで、グループシンクの対策が行えます。反対意見は自分たちの考えを否定されているように感じられるため、受け入れることが難しいかもしれません。しかしチーム内のメンバーだけで決定した意見では見落としや正当な評価ができていない場合もあります。結論に見落としがないか確認するためにも、反対意見や少数意見を判断材料にするのも方法の一つです。しかし決まった内容に対して反対意見を述べるのは簡単ではないため、事前に反対意見を言う人を決めておくなどしておきましょう。
多様性を認める文化を醸成することも、グループシンクの対策の一つです。様々な意見の中から最善な結論を出すためにも、従業員が思っている考えや価値観を安心して発言できる環境が必要です。権力を持ったリーダーの意見や同調圧力によって意見を合わせなければならないチームの雰囲気では、最善の結論を出すことは出来ません。参加しているメンバーが発言しやすい環境を作るには、従業員それぞれが相手の考えや価値観を認める文化を作る必要があります。多様性を認める文化ができれば、グループシンクを防ぐことにも繋がります。
グループシンクの事例に、ビッグス湾事件があります。1961年に起きたビッグス事件は、当時のアメリカ大統領J.F.ケネディが、キューバのカストロ政権を打倒するためにキューバのピッグス湾侵攻に踏み切った作戦です。ビッグス湾事件には、CIA長官や共産圏の事情に詳しい専門家など様々な人が集まっていましたが、侵攻はキューバから亡命した傭兵2000人だったため反対意見やリスク管理について問題点が挙げられていました。しかしグループシンクにより内部圧力や情報遮断が起こり、反対意見を言えない環境になり作戦は大失敗に終わりました。
チャレンジャー号爆発事故もグループシンクの事例です。1968年にNASAのスペースシャトル「チャレンジャー号」が爆発した事件は、極度のプレッシャーやストレスがメンバーに掛かっていたことが原因とされています。チャレンジャー号の打ち上げはトラブル続きになっており、打ち上げ延期になった場合は予算の縮小などが決まっていました。これに焦り不具合を把握していたにも関わらず、打ち上げを強行したことにより爆発事件に繋がっています。決まったルールに従わず成果を優先したことによりクルー7名が亡くなる大爆発事件へと発展しました。
グループシンクが起きる原因や、実施できる対策などについて解説しました。グループシンクは、集団凝集性の高いチームや権力を持っているリーダーがいるチームで発生しやすい現象です。多くのプレッシャーやストレスが掛かることによって、冷静な判断が出来ずに偏った結論を出してしまう場合があります。また同調圧力などによって、少数意見や反対意見が尊重されず多様性に欠いた結論を導く可能性もあります。グループシンクが起きないようにするためにも、しっかりと対策を講じ正しいビジネスの意思決定を行っていきましょう。
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