人手不足対策として外国人労働者を受け入れるには?【現状から受け入れの流れまで】

記事更新日:2020年10月30日 初回公開日:2020年10月06日

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日本企業では、近年人手不足が深刻化しています。人手不足の解消として注目されているのが、外国人労働者の雇用です。外国人労働者の雇用で、若く優秀な人材を確保できる、グローバル化に対応できるなど企業にもたらされるメリットは多数。一方で、日本人労働者の雇用と違って、環境整備、言語や文化の違い、雇用手続きなどにも注意をするポイントがあります。この記事では、人手不足の原因である少子高齢化や有効求人倍率の詳細、外国人労働者の現状を解説します。さらに、外国人労働者を雇用するメリット、今後の課題から受け入れの流れまでをお伝えしていきます。

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日本の人手不足の原因

少子高齢化により労働人口が減少している

現在の日本企業における人手不足の原因のひとつとして、少子高齢化による労働人口の減少があります。2018年2月1日現在の日本の総人口は、1億2,660万人で、ピーク時の2008年12月1億2,810万人から150万人も少なくなりました。2065年には、8,808万人まで減少すると予想されています。特に、15~64歳の労働力の中心となる生産年齢人口の減少は著しく、日本における2016年10月1日現在の15~64歳人口は、7,656万2000人と前年に比べ72万人も減少しました。今後もさらに低下することが予想されます。

有効求人倍率が上昇している

人手不足の原因として、もう一つ挙げられるのが有効求人倍率の上昇です。有効求人倍率とは、就職希望者(求職者)一人あたり「何件の求人があるか」を表したものです。有効求人倍率の上昇は、人手不足を裏付けるデータとして読み解くことができるでしょう。厚生労働省が発表している有効求人倍率の推移データによると、2009年から2019年まで10年連続で上昇しています。2018年度は、平均1.61倍の上昇です。それだけ就職者を募集している企業に対して求職者が少ないことの現れと言えるでしょう。特に中小企業・小規模事業者にとっては、事業継続に支障が生じかねない状態になっています。

日本の人手不足の対策

外国人労働者を雇用する

人手不足解消のため、子育て・介護と仕事の両立を図る女性や、定年退職後の高齢者を再雇用する動きが出ている現状です。そのような中で注目されているのが、即戦力としての外国人労働者の採用。厚生労働省「外国人雇用状況」の届け出状況まとめによると、日本は2030年までに955万人の生産労働人口が減少します。それに対して、2030年に210万人の外国人労働者の受け入れを予測しています。しかしこれだけでは現在の生産年齢人口と比較すると745万人の労働力が足りないことになり、今後さらなる外国人労働者の受け入れ拡大が予想されています。

外国人労働者の現状

外国人労働者は増加している

日本で生活する外国人の数が毎年増加しています。国内における総在留外国人数は、2017年末約256万人となり、過去最高を記録しました。その結果、総人口に占める割合も2012年の1.59%から2017年には2.02%まで上昇しています。同じく、日本で就労している外国人労働者の数も、2017年10月末時点127万8670人で前年同期比18%増加し、届け出が義務化した2007年以降過去最高を更新しました。特に従業員30人未満の小規模事業所では前年比で15.7%増と、他の従業員規模との比較で最も大きな増加率となっています。小規模事業者でも外国人労働者の採用に踏み切るケースが増えてきていることが分かります。

新しい在留資格「特定技能」の導入

深刻な人手不足の解消に向けて、政府は新たな在留資格「特定技能」を新設し、外国人労働者の受け入れ拡大に舵をきりました。「特定技能」とは、特に人手不足が深刻な分野に限り、相当程度の知識や技能、日本語の能力を持った外国人労働者を受け入れる在留資格です。2018年12月の改正入管法で創設され、2019年4月に施行されました。この「特定技能」は、通算5年間滞在できる「特定技能1号」と在留資格が更新できる専門技術的な労働者の「特定技能2号」の2つに分けられます。介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業開会製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野で受け入れを開始しました。現状では、「特定技能」の資格を取得した外国人の数は想定していた数に到達していません。今後外国人が継続して日本で働くために、生活していく上での支援が重要だと考えられます。

外国人労働者を採用するメリット

若くて優秀な人材を確保できる

少子化によって日本の若い労働力は年々価値が高まっています。若年層は、売り手市場になっているのが現状です。外国人労働者が、自国ではなく国外で働くことを選ぶのはなぜでしょうか。まず知識や技術の吸収が挙げられます。習得が難しいと言われている日本語を学び、自分の能力を活かしさらにステップアップしようというチャレンジ精神旺盛な人材が多く、就労意欲が強いという傾向があります。外国人労働者は、教えられたことを積極的に吸収しようとするため、学ぶ姿勢が真摯です。企業にとっても若くて優秀な労働力が確保できるメリットがあると言えるでしょう。

職場の活性化に繋がる

外国人労働者の採用は、職場の活性化にも繋がります。様々なバックグラウンドや価値観を持つ外国人を社内に受け入れることで、多様性(ダイバーシティ)に富んだ社内環境作りにも役立ちます。そこでは様々な意見やアイデアが生まれる可能性が高いのです。外国人労働者は、日本人とは違う価値観を持つ場合もあり、業務の効率化など新しい風や変化をもたらしてくれる存在となりえるでしょう。厚生労働省のデータによると、日本で永続的な在留資格を得る外国人労働者も増えており、支部を任せられるような外国人リーダーの育成を進めることもできます。

多言語に対応できる

外国人労働者は、母国語に加えて日本語や英語など3か国語以上話せることも珍しくありません。そのため、海外のお客様との対応や接客、通訳など様々な面で活躍が期待できます。近年では、インバウンド需要により、外国人観光客への対応・サービスの拡大が急ピッチで進められており、外国人労働者の活躍が期待されています。また、ビジネスで対応できる言語が多様化することで、販路の拡大も期待できます。これまでに想定していなかった国へのビジネス機会をもたらすきっかけになるかもしれません。特に、ITテクノロジーの発展により、WEBエンジニアの需要も高まっています。海外からも優秀なエンジニアを募ることで、自社のITテクノロジー事業を強化・グローバル化していく動きも見られます。

外国人労働者を受け入れる課題

労働環境を整える

外国人労働者を雇用する上で、問題視されていることの一つに、労働環境があります。具体的には、長時間労働の常態化や最低賃金を下回る水準での雇用などです。これは、技術実習制度などにおいて大きな問題となり、「特定技能」の制度導入の際には労働環境や条件の整備が企業に求められるようになりました。同等のスキルや経験を持つ日本人労働者と同水準の給与待遇や、社会保険の加入、日本での日常生活に対するサポートなども必要です。また何らかの課題がでてきたときに解決法が見いだせるような柔軟性や受け入れ体制が社員に整っているかなどのソフト面の確認も必要です。

言葉や文化の壁がある

日本語能力は外国人によってばらつきがあり、雇用後も日本語能力の向上をサポートする必要があります。そのため、メンター(外国人労働者につくサポート役の社員)をつけるなど、母国語での対応も重要です。また、文化や生活習慣の違いを企業側も理解することに努め、日本のマナーや生活スタイルに馴染めるように助言していくことも求められます。例えば、日本文化は「空気を読む」など非言語で意思疎通をする風潮がりますが、外国人の場合は伝わらないこともあります。また、地震や台風など災害への備えや病気の際の手続きや給与面なども、不安を軽減できるよう雇用契約と同時に確認しておくと良いでしょう。

外国人労働者を受け入れる流れ

就労ビザ取得見込みの調査と在留資格を確認する

優秀な人材と巡り合えたら、面接や内定を出す前に就労ビザが取得できる人物かどうかを調査しておく必要があります。採用を検討している本人の学歴やこれまでの職歴から就労ビザが取得できるかどうかがわかります。そして、その人がすでに日本にいる場合は、就労可能な在留資格を有しているかを確認してください。在留資格とは、外国人が日本に滞在できることを示す資格のことで、現在28種類の在留資格が認められています。在留資格を持たずに日本に滞在し続けることは、不法滞在という入管法違反の犯罪に当たるので注意が必要です。在留資格を確認するには、在留カードがあり、生年月日、国籍、在留資格、在留期限が記入されています。

雇用契約書を作成する

面接後、内定が決まったら、雇用契約書の作成が必要です。これは、就労ビザ申請前に行ってください。日本語だけでなく、採用する本人の母国語での作成を求められるケースがあります。その場合は、専門業者に依頼することもできるので安心して作成できるでしょう。その後、自社が属している管轄内の入国管理局に就労ビザの申請をします。就労ビザ申請にあたっては、主に3つのパターンがあります。現在海外に住んでいる外国人を日本で雇用する場合、現在すでに日本の企業で働いていて転職をする場合、日本に留学している学生を採用する場合の3つ。以下に、それぞれの就労ビザ申請について説明します。

就労ビザを申請する

現在海外に住んでいる外国人を日本で雇用する場合、雇用企業は「在留資格証明書」を入国管理局に申請します。発行されたのち、証明書を採用予定の本人に送付。その後、在留資格証明書を手にしたら、就労ビザを現地にある日本大使館に申請してもらいます。現在すでに日本の企業で働いていて転職する場合は、就労資格証明書交付申請が必要です。就労資格証明書とは、日本に在留している本人からの申請によって行うことができる収入を伴う事業を運営する活動、または報酬を受ける活動を法務大臣により証明してもらう文書のこと。日本に留学している外国人学生は、留学ビザを取得して訪日しています。そのため留学生を採用する場合には、就労ビザに変更するために、在留資格変更許可申請手続きをしてください。

雇用後の注意点を確認する

就労ビザ取得後は、いくつかの注意点があります。まず、外国人の雇用には法律上、ハローワークへの届け出が義務化されています。ただし、雇用保険手続きを行った場合は、ハローワークへの届け出を兼ねるために直接届け出をする必要はありません。また、在留カードの在留期限は満了日を迎える前に更新をする必要があります。期日までに更新をしないとオーバーステイになってしまいます。更新手続き自体は本人が行う必要がありますが、企業側でも満了日を把握しておき、在留期限が切れないように管理をしておくことが重要です。雇用した外国人は、在留資格に基づいた就労のみ可能であるため、就業時は在留資格に該当しない仕事は与えられないことを確認しておくことも必要です。

まとめ

人手不足の解消に外国人労働者を受け入れる体制づくりをする

お伝えしたように、日本企業は、少子高齢化による労働人口の減少により人手不足が問題視されている現状です。人手不足の解消の鍵を握る外国人労働者の採用は、グローバルな対応や充実したサービスを提供できるなど多くのメリットがあります。一方で、準備やサポート体制の構築など企業に求められる要素も多くあることもご理解いただけましたね。新しい在留資格「特定技能」の資格を習得した外国人の数は、想定した数に到達していないという現状もあります。外国人労働者を採用するメリットと課題、両方を見据えての体制作りが問題解決の一つの方法となるでしょう。 

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