記事更新日:2020年10月13日 | 初回公開日:2020年10月06日
外国人採用・雇用 外国人留学生の採用 人事・労務お役立ち情報インドネシア人技能実習生とは、技能実習制度によって日本で実務研修を行うインドネシア人のことをいいます。技能実習制度の本来の目的は日本の技能や技術の海外への移転。しかし、実習のために研修生は一般社員と同様に働くことができます。そのため、人手不足に悩む日本企業にとって技能実習生の受け入れは人材確保のための一手段として広く受け入れられています。中でもインドネシア人技能実習生は、温厚で勤勉な国民性が日本企業によくマッチすることが知られているのです。
2019年12月現在、約36000人のインドネシア人技能実習生が日本国内で研修を受けています。インドネシア人実習生の数は、ここ10年程一貫して増加しており、現在ベトナム人実習生、中国人実習生に次ぐ大所帯となっています。2019年度のデータによれば、インドネシア人技能実習生の主な受け入れ先は多い順に機械金属関係、建設関係、食品製造関係、農業関係、溶接、介護となっています。幅広い業種に受け入れられていることがわかりますね。
直近では、介護職種でのインドネシア人技能実習生が増加傾向にあります。もともと介護職種での技能実習生の受け入れは認められていませんでした。しかし、高齢化の進行と国内労働人口の減少を背景に、2017年に介護職種での技能実習生の受け入れが解禁されました。もともと2008年からインドネシア出身の介護人材の受け入れが認められていたこともあって、現在介護施設でのインドネシア人実習生が多くみられます。技能実習を終えた後に介護福祉士の資格取得を目指すルートも用意されており、多くのインドネシア人実習生が挑戦中です。
もともとは、技能実習生の大半は中国出身者が占めており、実習生の9割以上を中国人が占めた時期もありました。しかし、中国国内の賃金水準が上昇したことなどから、あえて日本行きを希望する中国人は少なくなり、2014年をピークに中国人技能実習生は減少に転じます。一方、人不足を背景に日本国内で技能実習生を求める声は減りません。その結果、豊富な人口を持つベトナムやインドネシアからの技能実習生の受け入れが、加速していきました。
インドネシア人技能実習生についてよく言われることは、親日的であるということです。インドネシアでは、太平洋戦争中の日本軍による占領期があったとはいえ、今日では日本に対する悪感情はほとんどないとのこと。むしろインドネシア市場に広まる日本製品やインドネシアにある日系企業の存在から、インドネシア人はよい対日イメージを持っているようです。もちろん、個々の技能実習生との関係は、実習が始まってからの受け入れ先の日本人との人間関係次第で良くも悪くもなります。とはいっても、実習開始前の段階で日本や日本人に対してポジティブな印象を抱いている実習生が多いことはよいことです。
インドネシア人は日本人と似たところがあり、集団の中での協調性を重視するといわれています。インドネシアも日本と同じ稲作を主にする農業国であることも影響しているのでしょう。上司と部下、先輩と後輩といった上下関係を重んじ、自己主張を控えてチームのために尽くすメンタリティを持っているとのことです。実習中の指導も素直に受け入れ、繁忙期の残業もいとわないなど、優秀な若手人材としての素質を備えているといえます。
協調性を重んじる国民性とも関係がありますが、インドネシア人技能実習生はあまりトラブルを引き起こさないといわれています。2019年度に外国人技能実習機構に寄せられた相談のうち、ベトナム語相談は4317件、中国語相談は1643件でしたが、インドネシア語相談はわずか335件でした。またフィリピン人技能実習生の数はインドネシア人技能実習生とほぼ同じですが、フィリピン語相談件数はインドネシア語相談件数の3倍近い837件にも上る点に注目されます。外国人技能実習機構へ相談が寄せられるのは、実習生と受け入れ先とのトラブルが大きくなり当事者間の解決が難しくなったケースが多いとのこと。インドネシア人実習生がトラブルを起こさない傾向が見て取れます。
インドネシアに進出した日系企業からは、インドネシア人労働者は手先が器用で、細かい作業に根気強く取り組む能力が高いと長年評価されてきました。インドネシア人技能実習生への評価も同様です。技能実習生の担う業務には一般的に言って手先を使う作業が多く、この点インドネシア人技能実習生の強みが期待できます。このような特徴を生かして、例えば建築業界では、インドネシア人実習生にタイル工や塗装工など器用さを必要とする作業を担当させる工夫をしているそうです。
インドネシア人技能実習生は素直で温厚である一方、不満や怒りなどのネガティブな感情をため込みがちで、限界を超えると突然大きな問題をおこしがちともいわれています。一見すると何の不満もないように見えるので安心していると、ある日突然実習先から失踪してしまい実習先の担当者はなすすべもない、といったこともあるそうです。不平不満を自分からはあらわにしないインドネシア人技能実習生に対しては、こちらから積極的にコミュニケーションをとる意識をもちたいところです。
インドネシア人技能実習生の大半はイスラム教徒であるため、イスラム教の慣習への配慮が求められます。イスラム教徒には、一日5回の礼拝や断食月の断食など守らなければいけない戒律があります。現在、イスラム教徒の全てがこれらの戒律を完全に守って生活をしているわけではありません。インドネシア人も比較的イスラム教の戒律に固執しない傾向があります。とはいえ、実習生個人の考え方や出身地域によって、意識に差がありますので、実習先として必要に応じて配慮できる部分は配慮するべきでしょう。一日午後に10分から15分程度礼拝のための休憩時間を別に設定している職場は少なくないようです。
実際にインドネシア人技能実習生を受け入れるにはどうしたらよいでしょうか。技能実習生を受け入れるには、労働法だけでなく入国管理法や技能実習法といったいくつもの法令に従う必要があります。また、優秀なインドネシア人技能実習生を迎え入れるためには、インドネシア社会やインドネシアの労働市場の事情を踏まえた採用活動が必要でしょう。ポテンシャルの高いインドネシア人実習生の採用に成功したとしても、受け入れの際に日本の新入社員を受け入れるときには思いもよらなかったことが起こる可能性があります。これからインドネシア人技能実習生を迎え入れる企業には、このような点についての知見を外部から取り入れる必要があるでしょう。
現在外国人技能実習制度を所管しているのは、外国人技能実習機構という厚生労働省の外郭団体です。この団体のウェブサイトに技能実習制度のあらましがまとまっていますので、まずはこの資料を確認してみるとよいでしょう。とはいえ、技能実習生の受け入れがうまくいくかどうかは、実習生を受け入れる企業等の業種や事業規模、所在地にも左右されます。そこで、より具体的には地元の同業者団体や商工会議所などでのつながりを活かして、技能実習制度を実際に活用している企業等からのヒアリングをすることが望ましいでしょう。情報収集の結果、技能実習生の受け入れを決断する場合、まずは地元の同業者と同じような方法をとると、スムーズに技能実習生の受け入れられるのではないでしょうか。
技能実習生を受け入れる際には、監理団体に依頼して技能実習生の採用から初期研修までを依頼することが一般的です。監理団体には、技能実習生の受け入れに必要な手続きや法律的な遵守事項についての知見が蓄積されています。そのため、監理団体を通すことで、法令に沿った技能実習生の受け入れが行いやすくなります。もしインドネシア人技能実習生の受け入れを目指すのであれば、インドネシア人実習生の受け入れ経験が豊富な監理団体に依頼すべきでしょう。実習生候補を探し出してくるのは監理団体ですので、インドネシア各地でのコネクションが豊富であるかどうかがインドネシア人技能実習生のレベルを左右するからです。
インドネシア人技能実習生を受け入れるには、彼らが外国人であるために募集や採用、処遇の面で気を付けなければならないことが多くあります。しかし、実習生も人間。そのため、受け入れ先の社員が技能実習生と良好な関係を築くことが、技能実習生受け入れを成功させるために一番大切なことと言えます。結局、お互いの人間関係が良好であれば技能実習生のモチベーションも上がりやすく実習先の戦力になってくれます。また、多少の問題やトラブルが起きかけても、大ごとにならずに解決することができます。2019年より、技能実習生が実習を終えた後、特定技能というビザに切り替えることで引き続き日本で働けるようになりました。採用に苦しんでいる受け入れ先企業等にとっては、中長期的な戦力として、技能実習生の活躍に期待が持てるようになってきています。技能実習生との良好な関係作りの重要性は増しているといえましょう。
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