ケアハラとは【ケアハラスメントの定義や意味、タイプ別の事例について解説します】

記事更新日:2023年12月22日 初回公開日:2023年12月22日

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ケアハラは家族介護のために仕事をセーブせざるを得ない状況にいる人を対象にしたハラスメントのことです。ケアハラはパワハラやセクハラなどの代表的なハラスメントと異なり知名度が低いので、知らない人も少なくありません。しかし、少子高齢化の進む日本社会では、どのように仕事と介護を両立させていくか考えなければいけない機会は誰にでも訪れる可能性のあるものです。今回はそんなケアハラについて、現在増加傾向にある理由や発生原因から予防方法までをご紹介していきます。介護と仕事の両立について悩んでいる方は是非ご参考にしてみてください。

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ケアハラとは

介護と仕事を両立する人への嫌がらせ

ケアハラとは正式名称を「ケアハラスメント」と言い、介護と仕事を両立する人に対する嫌がらせ行為のことを指す言葉です。具体的には、家族の介護や通院付き添いのために休みを取る人に対して嫌味を言う、無視をするなどの行為が例として挙げられます。他にも、介護休業など必要な制度の利用を認めないこともケアハラに当たります。ケアハラは介護で仕事を休むことに負い目を感じる被害者が多く、なかなか被害が訴えられず深刻化しやすいのが特徴です。そのため、発見された際には早急な対応が必要です。

マタハラとの違い

マタハラとは妊娠や出産・育児をしている人に対する嫌がらせ行為のことです。具体例としては社員の妊娠や育児を理由に退職等を促す行為や、必要な休業を取ったことを理由に相手が不快に感じる言葉を投げかける行為が該当します。マタハラは被害者が家庭の事情のためにやむを得ず休みを取るなど、仕事に全力を注げないことを理由に嫌がらせを受けるという点でケアハラと似ています。しかし、マタハラは妊娠中の人や育児中の人が対象なのに対して、ケアハラは主に介護中の人が対象となる点が異なります。

パワハラとの違い

パワハラとは職場の上下関係を利用して、立場が上の人材が下の人材に対して、暴言や暴力を働く嫌がらせ行為のこと指します。ケアハラの場合、ハラスメントの被害者は現在介護中の人に限定されますが、パワハラの場合被害者は細かな事情や境遇で限定されません。そのため、ケアハラは数あるパワハラの種類の中にある一つのハラスメントの定義と捉えることができ、パワハラはケアハラよりも広義的な意味を持つと考えられます。このような理由からケアハラはパワハラの一種と解釈できます。

ケアハラが増えている原因

高齢化が進んでいるため

ケアハラが現在増加傾向にあるのには、日本社会で高齢化が進んでいることが理由の一つです。高齢者が日本の総人口を占める割合は年々増えつつあります。高齢者が増加傾向にあるということは、必然的に生活を送る上で他者の助けが必要な高齢者も増えているということでもあります。要介護の高齢者が増えると、その子供や孫は介護に参加せざるを得ません。このような理由から、高齢者人口が増えていくほど介護に追われる人材も増加し、ケアハラの件数も同時に増えていくことが予想されます。

他のハラスメントと比べて理解が進んでいない

ケアハラはセクハラやパワハラなど、他のハラスメントと比較して理解が進んでいないのも増加している原因と言えます。従来の日本では結婚後女性は仕事を辞めて、家庭内で必要な家事や育児・介護を担うパターンが多く見られました。しかし、共働きの家庭が増えた現在では、男女の区別無く仕事と介護を両立しなければならない状況にあります。ケアハラが他のハラスメントよりも周囲の理解度が低いのは、社会全体がこのように一般家庭の状況や働き方の変化に適応が追い付いていないことが理由として考えられます。

介護には終わりも始まりも見えないため

小さな子供を育てる場合には子供が体調を崩しにくくなる年齢までは仕事をセーブするなど、具体的な年数の目安が存在します。しかし、介護は家族が突然事故や病気になったことから始まり、以降は継続的に支援しなくてはなりません。また、要介護者はその後助けが必要無くなるまで回復することが殆ど無いため、介護者は終わりの見えない介護を続ける必要があります。そのため、周囲の人は介護者の空いた穴を「いつまでフォローすればいいのか」という不満を抱き、結果としてケアハラに繋がることも少なくありません。

ケアハラのタイプ

介護を理由に不当な人事評価を下すタイプ

ケアハラは介護を理由に不当な人事評価を下す行為も該当します。具体的には、家族介護のための定時退社や休業が増えたことを理由に社員の人事評価を低く設定することがこれに当たります。また、介護休業を申請した社員をその他の特別な理由なく降格させる、不利益な部署移動を命じるなどの行為もケアハラに当てはまる行為です。勿論、介護中の社員を必要以上に優遇するべきではありませんが、他の社員と比較して明らかに不当な評価を下すことは嫌がらせになります。

介護制度利用に対するいやがらせをするタイプ

介護休業や給付など、介護に関わる様々な制度を利用する際にいやがらせをする行為もれっきとしたケアハラに当たります。例えば、介護休業を申請した社員に様々な理由をつけて制度の利用を拒む、または介護休業を利用した社員に過度な量の仕事を押し付ける行為はケアハラに他なりません。社員の業務量に関しては仕事の押し付けだけでなく、一切仕事を与えない行為も嫌がらせに該当します。これは上司に悪意が無くても発生し得るトラブルのため、業務量の調節をする際には当該社員とよく話し合いをする必要があります。

ケアハラを違反と定める法律

育児・介護休業法

育児 ・ 介護休業法第 10 条では、育児や介護休業の取得を理由に労働者を不利益に取り扱うことを法律違反としています。ここでの不利益な扱いとは上記に紹介した通り、介護休業取得者に対して退職を勧める、降格など不当な人事評価を下すことなどが該当します。また、2022年に施行されたパワハラ防止法では事業主の防止措置が義務化されています。このような理由からケアハラを放置していれば、加害者だけでなく事業主にも罰則が及ぶ恐れがあるため、発見された場合企業には早急な対応が求められます。

ケアハラを予防する方法

職場に介護の状況を伝える

ケアハラを予防するには、職場に介護の状況を伝え支援を求めることが大切です。介護に限らず休みの取得は労働者の権利ではありますが、仕事を休んだ場合周囲の社員が抜けた社員をフォローしなければならないことも事実です。周囲の人の配慮を求めるならば、自分も周囲の人に配慮を示さなくてはなりません。そのため、介護者はなるべく周囲の人に理解が得られるように、現状自分や家族がどのような状況にあるか説明しておきましょう。介護の大変さを周りの社員が理解すれば、必然的に不満を抱く社員も少なくなります。

介護関連制度を利用する

介護と仕事を両立するためには、介護休業や給付などの介護関連制度を利用するのも一つの手段です。家族の介護や生活支援は介護者にとって大きな負担になるため、有給の取得や定時退社だけで両立するのは困難です。無理をして仕事を続ければ、その分介護者の負担も増えて要介護者との共倒れになりかねません。介護休業を利用すれば、まとまった時間が取れるだけなく休業中も給付金が受け取れます。そのため、上記の制度を積極的に利用し、今後どのように仕事を続けていくのか上司との相談を交えながら慎重に検討していきましょう。

介護保険サービスを活用する

ケアハラの予防だけでなく、周囲や自分の負担を減らして仕事を続けるためには介護保険サービスの活用も必要です。全国の各市町村に点在する地域包括支援センターではデイサービスや訪問介護など、介護に関わるサービスの紹介を行っています。地域包括支援センターのケアマネージャーは介護支援の専門家であり、介護者が要介護者と今後どのように生活していけば両者の負担を軽減できるのか一緒に考えてくれます。そのため、家族介護を始める時は自分だけで決めようとせず、プロに相談してみることをおすすめします。

日常的に家族や周囲の人と関わりを持つ

ケアハラを予防するためには、日常的に家族や周囲の人との関わりを保っておくことも大切です。要介護者の生活を一人だけで支えることは困難です。そのため、問題が深刻化する前から、介護について家族や親せきなど周囲の人と日ごろから話し合っておく必要があります。あらかじめ周囲の人に相談しておくと、緊急時の連絡や留守中の対応などを任せやすくなります。また、警察や近所の住民にも、現状を伝えておくことで認知症の家族が徘徊してしまった時にも、トラブルに発展するリスクが少なくなります。

介護だけを考えて深刻にならない

介護は終わりが見えない問題のため、介護者の将来的な人生設計にも大きな影響をもたらします。このような理由から介護者はこの問題を一人で抱え込んでしまいやすく、多大なストレスを受けてしまいがちです。これを未然に防ぐには、上記でも述べたように相談できる家族や友人を周囲に作っておく必要があります。現状で実行できる解決策が見つからなくても、他者に話を聞いてもらうというだけで精神的なストレスは軽減可能です。そのため、あまり深刻にはならず、自分のプライベートの時間も大切に無理なく続けられるライフスタイルを構築することが大切です。

ケアハラを考える上で知っておくべき介護関連制度

介護休暇

介護休暇とは要介護状態にある家族の世話や介護のために取得できる休暇のことで、対象の家族1人に対して1年に5回まで、2人以上の場合は10日取得可能です。介護休暇の制度における要介護の定義は、怪我や心身の病気等で二週間以上の期間常時介護を必要とする人とされています。介護休暇は基本的にどのような会社であっても申請可能ですが、利用できるのは雇用期間が六カ月以上の労働者のみです。また、介護休暇中の給与は会社側に支払い義務が無いので、有給と組み合わせて上手に利用することが大切です。

介護休業

介護休業は要介護者1人に対して3回まで、通算93日取得できる制度です。介護休業は介護休暇に比べると取得できる期間が長く、雇用保険を利用すれば休業中に給付金を受け取れるのが特徴です。そのため、家族が病気や事故で急に倒れて要介護者になってしまった場合は、会社の担当者と相談し介護休業を取るのも手段の一つです。休業期間中に介護保険サービスの利用や今後の暮らしについてゆっくり検討することで、復帰後も介護の負担を軽減して働ける手助けになります。ただし、介護休業を取得するには入社後1年以上経過している必要があります。

介護給付金

介護給付金は、介護休業中に受け取れるお金のことです。介護休業中は会社からの賃金は発生しません。そのため、介護休業を取得する際には、会社の雇用保険担当者に介護給付金の申請手続きをお願いする必要があります。介護給付金で受け取れる金額は休業開始時賃金月額の67%で、月給の相当額をもらえるわけではない点にも留意しておきましょう。また、介護給付金を受け取るには雇用保険に12カ月以上加入している必要があるため、自分に取得資格があるかどうかも確認しましょう。

まとめ

介護関連制度をよく理解してケアハラを防ごう

家族の介護問題は特定の人に限らず、将来的に誰もが抱える可能性のある問題です。現在は健康な家族に囲まれて暮らしている人でも、いつどのようなタイミングで家族に介護が必要になるかは分かりません。そのため、職場で起こり得るケアハラ問題も、他人事と思わず当事者意識を持って対策案を講じていく必要があります。また、企業側はケアハラの対策だけでなく、介護関連制度への理解を深め率先して周知させていくことで、労働者が仕事と介護を両立しやすい環境づくりに努めることも大切です。

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