記事更新日:2024年05月01日 | 初回公開日:2024年04月30日
用語集 人事・労務お役立ち情報 グローバル経済 採用・求人のトレンドブレンディッドラーニングとは、複数の研修を組み合わせることにより、高率的で高い効果が得られる研修方法です。オックスフォード辞典には、「eラーニングと従来の対面形式との両方を活用した教育法」と定義されています。ブレンディッドラーニングとは、いくつかの異なる学習方法の利点を活かし欠点を他の学習法によって補完することにより、最も効果的に研修できる手法です。コロナ禍においてオンライン研修を行う企業は増加しました。ブレンディッドラーニングは、オンライン研修の良さに加えて、変化する時代に呼応し、柔軟で効率の良い新しい学び方を実践するものです。
ブレンディッドラーニングで組み合わせる学びは、5つの要素に分けることができます。1つ目は「メディア:動画・スライド・写真・本・SNS」などの学習コンテンツの媒体です。2つ目は「学習活動:講義・対話・チャット・アンケート・テスト、疑似体験(VR)」などの活動になります。3つ目は「学習者:スキルの習熟度・パーソナリティ・年次・能力などにおいて異なる背景を持つ人」という個々の持つ要素です。4つ目は「セオリー:認知科学・行動科学・脳神経科学・心理学・文学」などの理論および学説になります。5つ目は「提供方法:オンラインorオフライン・同期or非同期・一方向or双方向」という情報提供方法です。
ブレンディッドラーニングが注目されるようになった背景には、ICT技術の革新があります。ICTとはInformation and Communication Technologyの略称で、情報通信技術という意味の言葉です。パソコンやタブレットにスマートフォンなどのデバイスを、一人一台所有することが当たり前となった現在において、最適な学習方法と評価されています。大容量のコンテンツを持ち歩くことができるうえに、必要なときに簡単に取り出すことが可能です。ツールさえ揃っていれば手軽に学習を始められることから、コロナ禍においては有効な学習方法として多くの企業や学校で採用されました。
ブレンディッドラーニングでは、インプットとアウトプットをそれぞれ行えるメリットがあります。e-ラーニングなどによる知識習得はインプットに偏りがちになるものの、併用して行われる集合研修などにおいては有効なアウトプットも可能です。講師とのコミュニケーションや受講者同士でのディスカッションで自分が得た知識などをアウトプットし、更に上級の専門知識などをインプットすることに繋がります。アウトプットによる議論や知識習得を繰り返すことで、理想のスキルアップ学習が実現できるでしょう。
ブレンディッドラーニングでは、e-ラーニングのデメリットとされた社員同士のコミュニケーション不足という課題を克服しています。対面型ではないe-ラーニングには多くのメリットがありますが、最も大きな課題は、社員同士での会話が限定されるためコミュニケーションが取りづらいということでした。しかし、ブレンディッドラーニングでは従来通りの対面型集合研修も併用するため、前述のように講師や受講する社員同士がコミュニケーションをはかる機会も多く生まれます。
学習を持続するためには、習慣化することが重要だと言われます。ブレンディッドラーニングでは、e-ラーニングで新知識を身につけて集合研修を受けることで、より学習内容を理解できるようになります。そしてコミュニケーションによってアウトプットすることで、また新しい知識習得の機会が生まれるという良い連鎖の学習リズムが生まれることは大きなメリットです。こうした学習の流れが定着することで、長続きしなかった学習が楽しく続けられるようになります。
ブレンディッドラーニングでは、自分のペースで勉強できることも大きなメリットと言えるでしょう。集合型の対面研修では、個々の学習能力に差が出ると全員に対して適切な教育は非常に難しくなります。しかしオンライン研修では、個々の学習状況を把握できるとともに、受講者の理解度に応じた研修を個々に用意することができ効率的です。個々に見合うオンライン研修を行い、同程度の能力を蓄えた状態で集合研修を行うことで、無駄のない個々のペースに合わせた学習を行うことができます。
ブレンディッドラーニングを導入するためには、プログラムの構築が必須であり、相応のコストがかかることに注意しておきましょう。プログラムに合わせた教材の作成費用や、オンライン教育のための機器の準備なども必要です。集合研修でも会場の準備や、実践研修などでは教材費が高くなることもあるので注意しなければいけません。それらを総合して参加者個人に負担してもらうには無理があるため、提案者であり提供者でもある企業のバックアップは不可欠です。
ブレンディッドラーニングは、複数の研修方法を上手く組み合わせることによって大きな効果が期待できるため、スケジュールの管理と調整は重要事項です。オンライン研修と対面型集合研修の両方をスケジュールに落とし込むため、一般の研修よりもスケジュール作成は複雑になります。前述のように、集合研修までに参加者の足並みを揃えるための準備期間や、個々のオンライン教育についても考えなければいけません。学習期限も設けられた中で、中身の濃い研修となるスケジュールの管理と調整が必要です。
ブレンディッドラーニングを有効に機能させる最も大きなポイントは、オンライン研修と対面型集合研修を効果的に組み合わせることにあります。事前学習ともいえるオンライン研修を、いかに対面型集合研修に上手く繋げるかが鍵といっても過言ではありません。関連性のない二つの研修を行うことはブレンディッドラーニングの意味をなさず、大きな効果を見込むこともできません。学習内容を良く理解したうえで、知識インプットのオンライン研修と実践および議論の場となる対面型集合研修に、連動性を持たせることが肝要です。
ブレンディッドラーニングを更に有効に機能させるためには、適切なグループ分けを行なうことがポイントになります。ある程度までの能力差は、前述のような個別のオンライン研修によって補うことができますが、能力差に幅がある多人数の研修を行うには、適切なグループ分けをするべきです。例えば、理解度の低いグループに作成することで、お互いに補完し合う効果が期待できます。また理解度の高いグループを作成すれば、一歩先の課題までも考える効果も期待できるのです。これらは「反転教育」で使われる一例ですが、グループ分けを上手く利用して更に効率的な学習を目指してください。
ブレンディッドラーニングを成功させるためには、研修の目的とゴールを設定することが重要なポイントです。どんなに素晴らしい研修や学習方法であっても、目標やゴール地点が決まっていなければ、取り組みは消極的なものになるでしょう。研修前に参加者には明確な目標と目指すゴールを定めてもらうことが有効です。身に付けるべきスキルや研修で学び習得したい技術などを具体的に書いてみるのも良いでしょう。これは対面型の研修であってもオンライン研修でも必要なことであり、それぞれに分けて考えるようにして下さい。
参加者のために、研修の全体像がわかるアウトラインを作成することも、ブレンディッドラーニングの有効に機能させるポイントです。参加者自身が何を研修するのかを知らない場合や、漠然としか捉えていなければ参加の意義は薄れます。研修のアウトラインを理解して参加するならば、自分が持つ目標も明らかになり、学習への意欲も増加するでしょう。また、研修全体の流れを知ることで、事前の学習や技術習得の準備にもなります。さらには次へのステップを考える起点ともなるため、長期の学習に繋がるアウトラインを作成しましょう。
ブレンディッドラーニングでは、グループ交流を行なうことで、参加者の学習震度を高めることに繋がります。対面式でのグループ交流は物理的に難しい部分が多いため、ソーシャルメディアを用いることや、オンラインによる意見交換が現実的だと言えるでしょう。グループ交流では、全く違う視点からの意見などを聞くことができるため、視野を広げるのに有効です。また、お互いに研修で得た知識を共有することで、新しい発見にも繋がります。グループ交流を行なうことは、個々が行ってきた研修を確認する意味でも非常に良い機会です。
ブレンディッドラーニングを実践する際には、参加者の疑問を即座に解消する方法を確立しておくことも大切です。疑問や理解できない部分があっても、誰に聞いてよいのか分からなくては参加者が孤立してしまうかもしれません。できるだけ早く、参加者が疑問を感じた時点で即答できる耐性を作っておきましょう。例えば、定期的な意見交換の場所で、気軽に質問できる時間を設けるのも良い方法です。参加者の気持ちになって、疑問を解消しやすい雰囲気と助教を提供してあげましょう。
最高の研修や学びの時間を得たとしても、やったというだけでは意味がありません。参加者の習熟度や目標達成度などを客観的な視点で見て、評価しアドバイスをすることが大事です。参加者は研修での学びがゴールではありませんし、研修も他の社員などに引き継がれるものになります。参加者を評価して本人が研修で何をどの程度学んだかを理解するとともに、研修全体を振り返ることで次の研修にも繋げることができます。具体的には、研修後のテストやレポート作成などにより個々の評価をし、分析して次へのアドバイスも加えると良いでしょう。
アメリカのグローバルITカンパニー「IBM」は、ブレンディッドラーニングの活用事例の中でも最も先進的です。IBMでは、「業務支援と参照資料」「インタラクティブ・ラーニング」「コラボレーション型学習」「集合研修」の4つを軸に、社内研修を設計しています。通常では、e-ラーニングと集合研修を主体に研修を考えるのが一般的です。しかしIBMでは、コーチングやメンタリングおよび業務支援までも融合的に活用したものに進化しています。参加者へ負担がかからないようにする気遣いとともに、主体的な学びを促進している部分も大きな特長です。
ブレンディッドラーニングを導入することは、企業と研修の参加者に大きなメリットを与えてくれます。ただし、それは最適な学習方法を組み合わせて、最適な方法で実践した場合です。単に、いくつもの学習方法を取り入れても、相互に上手く連携していない場合や事前の準備ができていなければ逆効果にさえなるでしょう。ブレンディッドラーニングは、多数の学習方法を組み合わせることで、利点を伸ばし弱点を克服するものです。ぜひ、ブレンディッドラーニングを導入し、研修を効率的に行ってください。
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