シエスタ制度とは【導入効果や懸念点、効果的な実施方法についてわかりやすく解説します】

記事更新日:2024年02月20日 初回公開日:2024年02月20日

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昼寝は身体に良いということは頻繁に聞きますが、それを制度として取り入れている企業が存在していることをご存じでしょうか。昼寝のような短時間の休息が作業者の効率を上げることから、多くの企業が注目しているのが「シエスタ制度」です。シエスタ制度は医学の分野からの裏付けもあり、適切な時間に適度な休息を与えることで大きな効果が得られるという結果が報告されています。ここでは、シエスタ制度の意味や目的から、シエスタ制度による効果や適切な実施方法までを詳しく解説いたします。シエスタ制度の導入を考えている、人事や労務の方々の参考になれば幸いです。

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シエスタ制度とは

午後に休憩を長めに取る制度

シエスタとはラテン語から発生した言葉で、スペイン語では「長い休憩」を意味します。シエスタ制度とは午後に休憩を長めに取る制度のことを言い、一般的な昼休みは45~60分ですがシエスタ制度では倍以上の2~3時間の休憩を用意します。そのため「昼寝制度」と呼ばれることもあり、時間帯は業種などによって異なりますが、午後2時~5時くらいに確保するのが一般的です。シエスタ制度を採用することで、社員が十分にリフレッシュし、作業の効率化を図る目的で導入する企業が増加しています。

シエスタ制度の目的

午後の生産性を向上させるため

シエスタ制度を行う目的は、昼食後に起きる眠気を解消して午後の生産性を向上させるためです。人間の体内時計が正常に機能している場合、午後の2時頃に体内リズムが低下して眠くなると、生物学的にも立証されています。人間が明晰な頭脳活動と身体運動を行う時間は長くありません。その理由は、そのような状態を持続するために多くのエネルギーを必要とするためです。午後に眠気が襲うことはその表れであり、眠い時間帯に休息を取ることで休息後に集中力や判断力が復調し、生産性を向上させることに繋がっています。

シエスタ制度が注目されている背景

働き方改革が推進されている

働き方改革が推進されたことにより、多くの企業からシエスタ制度が注目されるようになりました。平成20年に改正された労働基準法は平成22年より実施されましたが、改正された大きな部分は「労働時間」の見直しになります。この決定により、企業と従業員の双方に、限られた時間内で生産性を高める意識が求められるようになってきたのです。しかし前述のように人間の能力では、集中できる時間に限界があるため、メリハリのある作業時間が有効とされ、シエスタ制度が再注目されることになりました。

優秀な人材の確保が重要になっている

人口減少と高齢化に伴い、日本の労働人口は年々減少しています。そのため優秀な人材確保は、企業の存続さえ危ぶまれる喫緊の課題となっているのです。日本固有の終身雇用制度は終焉を迎え、就職を希望する優秀な人材は、少しでも良好な労働条件を求めて企業を選別しています。シエスタ制度を導入することは、多様化する従業員のニーズに応えることであり、優秀な人材確保に繋がる大きな要因となるものです。また、競合他社との差別化を打ち出すためにも有利な条件であるとして、導入する企業が増えています。

シエスタ制度の効果

睡眠不足やストレスを解消できる

人間の体内時計の周期は25時間であり、地球の周期の24時間とは1時間のズレがあることが証明されています。人間はそのズレを朝日の光を浴びることで体内時間を早めることや、夕日によって体内時間を遅らせることで補ってきました。しかし24時間営業などが当たり前となった昨今では、自然による体内時計の修復は難しくなり、不調を訴える人は増えています。シエスタ制度によって、心身に大きな悪影響を及ぼす睡眠不足やストレス問題を解消できると期待されているのです。

企業のイメージが向上する

シエスタ制度を導入することは、従業員の健康促進の一環である他に、コンプライアンスの意味でも企業のイメージアップに繋がるものです。労働基準法で設けられた厳しい基準を更に超える休憩時間の増加は、法令順守はもとより企業の魅力を大きく感じさせることになります。いまだに労働基準法に違反する企業が絶えない中で、定めた休憩時間よりも長い休憩を取得させることは、従業員に優しい魅力的な会社であることをアピールするには十分です。

フレックスタイム制の柔軟性を高める

フレックスタイム制の柔軟性を高めるためにシエスタ制度と組み合わせることで、働く時間の選択肢が増えるというメリットがあります。多様なライフスタイルに対応するビジネスパターンの増加は、働く者にとって大歓迎です。シエスタ制度を利用するか否かは自由であり、必要なときにだけ使うこともできます。フレックスタイム制にも幅が広がり、介護や育児に家族イベントなどと使い方は自由です。また、中抜けなど特殊なパターンで利用することもでき、従業員は効果的に休息時間を活用することが可能になります。

シエスタ制度の懸念点

寝すぎると逆効果になる

シエスタ制度は適切な時間に短い睡眠をとることで効果を発揮するものです。単に寝すぎることは逆効果となり、寝覚めが悪くなり本来の調子に戻るまで時間がかかってしまうことにもあります。目的としていた作業の効率化が実現できないばかりか、本来の実力を発揮できず効率を低下させることにもなり兼ねません。シエスタ制度での大きな懸念材料として特記しておきたいことは、「寝すぎは逆効果で生産性を低下させる方向に向かう」ということです。

体内時計が狂う恐れがある

シエスタ制度を導入してしばらくは、身体が慣れずに不安になることも多くあるでしょう。これは、それまでに染みついていた生活パターンが体内時計に組み込まれたものであり、時間が解決してくれます。ただし注意してもらいたいのは、シエスタ制度に身体が慣れてきたときに、昼寝をしすぎることや夜更かしを続けて行うことです。このようなことは、せっかく体内時計がシエスタ制度に合ってきたのに、また体内時計が狂わせる恐れがあり有効な夜の睡眠を妨害することにもなるので注意してください。

退勤の厳格な管理が必要になる

シエスタ制度では、就業時間の途中で普通よりも長い休息時間を確保するため、退勤時間は後ろにズレるのが一般的です。そのために帰宅する時間も遅くなってしまい、従業員に負担がかかる場合も考えられます。従業員の負担を少なくするために作られた制度が、従業員に負担をかけるようでは意味がありません。そのため、シエスタ制度を導入する際には、退勤の厳格な管理が必要になり、負担のない範囲で運用することが大切です。全ての従業員にシエスタ制度を押し付けるのではなく、希望者だけに制度を利用してもらうことも考えてみましょう。

頭痛が起きやすくなる

シエスタ制度の運用が順調に進めば、全ての従業員が健康になると思いがちですが、一部では不調を訴える人も発生することを覚えておきましょう。とくに多いのが、シエスタ制度を導入することで「頭痛」を訴える人が増加することです。頭痛の原因は血流によるもので、睡眠時には身体や脳がリラックスした状態になり血管が拡張されます。その後の寝起きによって血流は増加して血管が強く拍動することから引き起こされる症状です。個々によって頭痛の度合いは異なりますが、仕事が手につかないほど痛みを感じる人もいるので注意しましょう。

シエスタ制度の効果的な実施方法

仮眠できる環境を整える

シエスタ制度の効果的な実施方法として、仮眠できる環境を整えることを挙げておきます。あくまで仮眠であるため、十分に睡眠がとれる状態を作る必要はありませんが、リラックスできる状態でなければ長い休憩も意味をなしません。簡易的な仮眠室や寝具などを用意するのも良い方法です。できるだけスムーズに眠りにつけるような配慮を心がけましょう。男女によって仮眠場所を分けるのは一般的なことですが、プライバシーなども守れる空間が用意できるようであれば、シエスタ制度の効果はさらに高まるでしょう。

仮眠する時間を区切る

仮眠する時間を区切ることも、シエスタ制度を効果的に実施する方法の一つです。自由に仮眠を取られると仕事や作業に支障が出ることも多いので、事前に仮眠時間を明確にしておきましょう。調査によると、最も眠くなる時間帯は、昼食後の午後1時から2時の間がピークのようです。交代で勤務をしなければいけない職場などでは、1時から3時までに休憩する人と、2時から4時まで休憩する人に分けてもいいでしょう。シエスタ制度を導入していない企業では、昼食後の午後の仕事が始まることが多く、休憩中に電話が多くかかってくることも予想されます。そうした場合を見込んで、前述のような時間差での交代休憩は有効な方法と言えるでしょう。

カフェインを摂取してから寝る

カフェインを摂取してから寝ると、仮眠から目が覚めたときに目覚めが良いという結果が報告されています。これは、ちょうど仮眠が終わる時間にカフェインの覚醒効果が現れるためで、気持ちよく目覚めて午後の作業は効率よく運ぶことでしょう。また、昼食後に温かい飲み物を摂取することで、体温が適度に上昇してスムーズに眠りに入ることができるとも言われています。ただしカフェインに敏感に反応する人も多く、尿意をもよおすことや、まるっきり眠気を感じなくなってしまう人もいるので個々の許容範囲で工夫してください。

周囲への配慮をきちんとする

シエスタ制度を導入するには、周囲への配慮をきちんとすることも大きなポイントになります。企業内で制度を導入していても、部署が異なればいつ仮眠をとっているか分からないこともあるでしょう。どこで仮眠をとっているかも知らされていないため、用事があって別部署を尋ねたところ、仮眠をとっている場面に出くわすことも無いとは限りません。仮眠中であることがわかるように、部屋の前に表示するなど、周囲への配慮を心がけながら安眠できるように準備しましょう。また、仮眠に入る前に一声かけることも効果的で、お互いに配慮し合う気持ちが伝わります。

シエスタ制度の適切な睡眠時間

10分から20分程度

シエスタとは「長い休息」の意味であると前述しましたが、実際にはそんなに長い時間を仮眠に当てるわけではありません。最も効果的だとされる仮眠時間は、10分から20分程度と言われています。これは科学的にも証明されており、眠りについた最初の20分は、浅い眠りではあるが脳の休息が十分にとれる状態であるという根拠に基づくものです。眠りが浅いため目覚めは良く、脳は十分に休んでいるので、起きた後に仕事や私的な活動もスムーズに行うことができます。また、短めの睡眠をとることは、心筋梗塞や脳梗塞などの予防にもなるとも言われており、適切な時間だけ眠ることで健康を維持することも期待できるのです。

長い仮眠には注意する

逆に長い仮眠をとることは、夜の重要な睡眠に大きな影響を与えることがあるため注意が必要です。仮眠は長くても30分に留めておくことが無難であり、それ以上の仮眠は害があっても利益はないとお覚えておいてください。実際に60分の仮眠をとった場合には、睡眠の1サイクルに値する時間となるため、体内時計が狂うとともに倦怠感に襲われることもあります。また60分以上の昼寝を習慣にしている人は、20分程度の仮眠を取るのとは逆で、心筋梗塞や脳卒中で死に至る確率が上がるという結果が報告されています。

まとめ

シエスタ制度の特徴を理解して導入を検討しよう

シエスタ制度とは、眠気をもよおす時間帯に短い仮眠をとり、眠気を解消してフレッシュな気持ちで作業にあたることで生産性が落ちる時間帯でも効率の良い生産を可能にするものです。ただし、適度な仮眠時間と言われる「10~20分」を守らなければ、逆効果となり、健康を害することにも繋がります。シエスタ制度を導入して有効に活用するためには、シエスタ制度の特徴を良く理解することが必要であり、従業員に負担を与えない程度に行うことが肝要です。社員全員でシエスタ制度を理解して、恵まれた環境の中で効率の良い仕事をするように導入を検討してください。

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