記事更新日:2020年06月03日 | 初回公開日:2019年07月03日
ビザ(在留資格)について
永住権の要件が2019年7月以降厳しくなります。今まで永住権の申請は、過去3年分の年収が審査されてきましたが、2019年7月以降は過去5年分の収入が審査されることになります。これは、一般的な外国人の審査要項であり、日本人の配偶者や高度専門職の外国人は変わってきます。年収は原則300万円以上が必要で、扶養家族1名につき+70万円が必要と考えて頂ければと思います。
【年収の考え方】
家族4人(子ども2人+配偶者を扶養している場合)
基準年収300万円+70万円×扶養家族3名=510万円
上記の計算のように家族4人で3名扶養している場合は、過去5年間すべてにおいて年収510万円を超えている必要があります。過去5年のうち1年でも510万円を超えていない場合には不許可になるリスクがとても高くなります。
年収についてですが、確定申告をしている人は注意が必要です。入国管理局で見る年収は役所で取得できる“住民税の課税証明書”に記載されている金額となります。これは確定申告をしている人で言う、“所得”の部分になり、経費を差し引いて最終的に申告した数字になりますので、税金対策などをしている方はご注意ください。
今までは社会保険の中でも健康保険の支払いについて重視してきた永住権ですが、2019年7月より“年金”の支払いについても審査されることが明示されました。会社に勤務している外国人であれば、会社から天引きで社会保険は支払われていると思うのですが、社会保険未加入企業等の場合は、ご自身で加入されて国民健康保険・国民年金を支払われていると思います。永住権の審査では、単純に支払っていれば良いということではなく、納期をしっかり守っているかも審査対象となります。ですので、支払ってはいるが、口座振替ではなく振込で行っている方は、たまたま今月の支払いを忘れてしまったなどという時もあると思いますが、この1回の遅延が永住権では命とりになります。そして7月以降から2年分の社会保険が審査されることになりますので、最悪の場合2年間待ってからの申請になってしまう可能性もありますので、こうならないように、社会保険の支払いは口座振替にしておくことをお勧め致します。
入管法では、転職をした場合には14日以内に届出をすることが義務付けられております。(住所変更は役所で14日以内に行う)これは入管から案内があるわけではないので、自身で行わなければいけません。「届出の存在を知らなかった」「14日を過ぎてしまった」など、届出をしていない方については様々な理由があると思いますが、この届出をしていないと永住権の審査で不利に働くことが明示されました。届出は審査ではないので、書類に記入し郵送・電子届出・直接提出の3パターンのいずれかで提出するのみになります。届出にはフォーマットがあり、入国管理局にも置いてありますが、インターネットで「所属機関変更の届出」などで検索すると法務省のページが出てきますので、届出する内容を探して提出するようにしてください。
永住権の審査要件は上記で述べたものだけではないですが、上記は最低限クリアしなければいけない項目になります。また税金については以前よりも細かく見られるようになり、住民税に加え所得税や消費税・贈与税など以前では見られていなかったものまで審査されるものになりました。
永住権は以前よりも要件が厳しくなり、取得は難しくなりました。2019年7月以前に申請を出している人は基本的には改正前の要件で審査されることになりますが、7月以降申請される方は、改正後の要件で審査されることになりますので、要件をしっかりと理解してから申請するようにしましょう。
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塩野 豪
(しおの ごう)
行政書士塩野豪事務所の代表。
外国人ビザ(在留資格)の専門家として活動し、フィリピンやカナダなど外国との繋がりも強い。
人材紹介会社の外部顧問としても活動している。
HP:行政書士法人フォワード
ビザプロ
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