留学ビザとは?【就労ビザへの移行や企業側が行うべき手続きについて解説します】

記事更新日:2021年10月14日 初回公開日:2021年10月13日

ビザ(在留資格)について 用語集 ビザ(在留資格) 人事・労務お役立ち情報 外国人採用・雇用
近年、日本で外国人労働者を採用している企業は増加傾向にあります。グローバル化に伴う戦略的な外国人採用や人材不足の解消など、理由は企業によってさまざまです。外国人の採用は行っていなかったが今後前向きに検討したいという企業も増えており、外国人採用に注目が集まっています。日本への留学生も増加している中、外国人を新卒で採用する企業もあります。今回は留学ビザから正社員で雇用する際の就労ビザへの切り替えについても注目しながら、企業側に必要な手続きや知識について解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

留学ビザとは

留学の在留資格を持つビザ

留学ビザとは日本で教育を受ける外国人が、日本に長期滞在するために申請するビザのことです。日本の大学や専門学校に入学し、勉学や技術を学ぶために必要な在留資格です。長期での留学には、長期間滞在できるだけの資金や奨学金を有しているか、留学にかかる様々な費用を負担することができるかなどの審査基準があります。留学ビザを申請するには、学生自身が出入国管理局に出向き、審査基準を満たすことを証明する書類の提出が必要です。留学ビザの在留期間は、3か月~4年3か月となっています。

内定後は入社までに在留資格の変更が必要

留学ビザを持つ留学生が日本で正社員になる場合には、就労ビザに変更する手続きが必要です。地方出入国在留管理局に出向き、ビザの変更申請を行います。就労ビザを持たずに収入を伴う事業をした場合や、報酬の出る活動を行った場合は不法就労となり処罰・強制退去の対象となります。留学ビザは収入を目的としたビザではないため、就労して収入を得ると不法就労とみなされるのです。アルバイトの場合は留学ビザと合わせて資格外活動の許可を得ることで、制限内での収入を得るための就労が可能です。

留学ビザを持つ学生の就職状況

約8割が日本での就職を希望している

留学で来日した外国人のおよそ8割が日本で就職することを希望しています。また近年ではグローバル化に伴って日本での外国人労働者は増加傾向にあり、平成30年にはおよそ146万人の外国人が日本で就労しています。日本での就労希望として特に多いのが、「日本が好きだから」というものです。また、外国人留学生は明確にやりたいことを決めてから就職活動に臨む傾向にあります。スキルアップや、大手企業への就職を希望している学生もいます。そのほかの理由として、母国よりも給料が高い、保険や福利厚生の充実している、治安やマナーが良いということが挙げられます。

内定率は4割程度にとどまっている

日本での就労を希望する外国人が増える一方で、実際の外国人の内定率は4割程度にとどまっています。外国人採用に前向きである企業は6割に上るものの、実際の採用率が低いというのが現状です。その理由は文化や価値観の違いや日本語能力への不安、受け入れ部署の負担が増えることへの懸念が挙げられます。特に文化や言葉の壁への懸念は強く、念日本語能力試験N1を所持していたとしても、実際の会話力が低く不採用となるケースもあります。また、会社の受け入れ態勢として外国人向けの教育や研修制度が整っていないことや、行政手続きの理解が乏しいことなども課題として挙げられます。

留学生をアルバイトで受け入れる場合

資格外活動の許可を得ていなければならない

留学ビザはあくまで教育を受けることを目的としており、原則就労はできません。アルバイトをするには資格外活動の申請を行う必要があります。許可を得ずにアルバイトを行うと不法就労とみなされ、罰則の対象となります。また、資格外活動の許可を得ていない外国人をアルバイトで雇用すると雇用主にも罰則が科せられるため、面接の段階で確認が必須となります。また、資格外活動の許可を受けた後でも在留資格で認められる制限を超えて就労した場合も不法就労となり、罰則の対象となります。

週28時間以内という就労制限がある

留学ビザの資格外活動には、週28時間以内という就労制限があります。これは残業を含んだ時間となるため、残業を含めて28時間以上の就労は違法となります。その留学生が複数のアルバイトを掛け持ちする場合、1社あたりの上限ではなくすべてのアルバイト先での合計で週28時間を超えてはなりません。ただし学校の定める夏休みなどの長期休業には1日8時間、週40時間までの就労が可能になります。学校の定める長期休業以外には、この規定は適応されません。また、風俗営業のアルバイトも禁止されています。これに違反した場合は留学生にも雇用主にも罰則が科せられます。

就労ビザへの移行において審査されるポイント

適正な事業が行われているか

留学生が日本で就職する場合は入社までに「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザに変更する必要があります。就労ビザへの変更には審査があり、留学生と企業の両方を審査します。企業に対する審査の1点目は「事業の適正性」です。これは事業が適正に行われているかを審査するもので、例えば企業が必要な許認可を受けているか、違法や不正行為を行っていないかなどを審査されます。不正行為等で過去に行政指導を受けたことがある企業に対しては再発防止策の提出や、二度と不正行為が行われない体制となっているかの証明を求める場合もあります。

今後も事業を継続して行えるか

2点目は「安定性及び継続性」です。今後も事業を継続して行うことができ、安定して雇用を続けられるかという点を審査します。企業の売り上げ利益や、組織形態(法人・個人、株式会社かそれ以外)とその規模(社員数)、設立年度から判断されます。新設の企業に関しては事業計画書の提出や、事業に必要な許認可を受けていることの証明が必要となります。また、事業を行う場所が確保されているか、大幅な赤字や債務がないかなども審査基準となり、安定して雇用を続けられることが求められています。

日本人と同等の賃金が支払われるか

3点目は「賃金水準」です。これは日本人と同等、またはそれ以上の賃金が適応されるかを審査します。外国人の社員を雇用する場合でも、日本の労働基準法を遵守しなければなりません。例えば発展途上国出身の外国人だからといって、最低賃金以下で雇用することは労働基準法に抵触するため違法となります。また、正社員の場合は雇用保険、健康保険、厚生年金保険、労災保険なども適応されます。そのため労働条件や各種社会保険、会社の福利厚生が日本人労働者と等しく受けられることを証明する必要があります。

業務内容と留学生の専門科目に関連性があるか

4点目は、「業務内容」です。外国人労働者が留学中に履修した科目に関連する業務かを審査します。正社員雇用で就労ビザに変更する際、その多くは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格です。「技術」はエンジニアなどの技術職で「人文知識」には企画・営業・事務などのオフィスワーカー、「国際業務」は通訳・翻訳などが該当します。本人が留学中に履修していた科目と業務の関連性が重要で、例えば美容師専修学校卒の外国人が事務職に従事する場合は履修科目と業務内容に関連がないとして不許可になります。また飲食店の接客や工場のライン作業などは単純作業にあたり、これも在留資格の許可する範囲ではないため認められません。

就労ビザへの移行の際に企業が用意する書類

在留資格変更許可申請書

企業からの内定を受けた外国人は、在留資格の変更手続きを行います。変更が許可されると「在留資格変更許可申請書」が発行されます。これは外国人が日本にいながら現在持っている在留資格の種類を変更する際に、入国管理局へ提出する書類です。留学ビザや許可範囲の異なる就労ビザで正社員雇用することはできませんので、採用の際には本人の経歴と適切な就労ビザへの変更されているかを確認することが重要です。在留資格への切り替えには審査が必要で、在留資格変更許可申請書が発行されるために企業側も用意する書類があります。企業側が用意する書類を下記から紹介していきます。

雇用契約書

企業側で用意する書類の1点目は、「雇用契約書」です。就労ビザへの変更に必要な審査で、雇用賃金や労働基準法を遵守しているか、どんな職務で採用されたのかを見るために必要な書類です。雇用契約書には、労働契約期間や業務内容など審査に有効な情報が記載されている必要があります。退職に関する規定雇用契約書は、日本人労働者に用いるフォーマットで問題ありません。しかし外国人労働者と企業側の認識のギャップを生まないためにも、外国人労働者が分かりやすい表現や言語で記載するなどの工夫は必要です。

法人登記事項証明

企業側で用意する書類の2点目は、「法人登記事項証明」です。法人登記事項証明は会社の基本情報が記載されており、就労ビザへの変更に必要な審査で適正な事業が行われているかを見るために必要な書類です。就労ビザへの切り替えに提出するのは、取得3か月以内のものに限りますので、注意してください。「法人登記事項証明」は、その法人が確かに実在していることを証明しています。ここに記載されているのは社名、住所、設立年月日、事業内容などです。また、資本金や役員についても記載されています。

決算報告書

企業側で用意する書類の3点目は、「決算報告書」(貸借対照表と損益計算書)です。就労ビザへの変更に必要な審査で会社の財務状況を確認し、安定と継続性を見るために必要な書類です。ビザ変更の際に提出するのは、直近年度のものに限られます。赤字が継続している場合や多額の債務がある場合は企業としての安定性がないとみなされ、就労ビザへの変更申請が不許可となる場合もあります。新設企業や個人事業主で、決算報告書がまだ無い場合には、今後1年間の事業計画書が必要です。

会社案内

企業側で用意する書類の4点目は、会社案内のパンフレットです。就労ビザへの変更に必要な審査で、企業がどのような事業を行っているかを見るために必要な書類です。会社案内がなければ、会社のホームページを印刷したものでも可能です。ただし、登記事項証明書のみでは実態が分かりづらいため、不許可となる可能性があります。まだ会社案内やホームページがない個人や法人の場合は、あらかじめ作成しておきましょう。いずれも会社の年間売上高や事業内容などの基本情報が記載された文書が望ましいです。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

企業側で用意する書類の5点目は、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」です。就労ビザへの変更に必要な審査で、その会社の賃金水準を見るために必要な書類です。「法定調書」には6種類あり、それらを集計して記載したのが「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」です。企業が従業員に給与として支払った額や税金の徴収額にくわえて、会社の販管費などが記載されています。税理士と契約をしている企業では税理士が作成しているので、あまり馴染みのない書類かもしれませんが、外国人雇用のステップとして知っておくことはとても重要です。

まとめ

留学ビザから就労ビザへの移行をスムーズに行いましょう

外国人を雇用する場合には、就労ビザへの切り替えをスムーズに行う必要があります。就労ビザへの切り替えには複数の書類を準備が必要とされるだけでなく多くの審査を受けなければならないなど、かなりの時間を要します。年末年始などの多忙な時期には申請から2~3か月を要する場合もありますので、書類をどれだけスムーズに準備できるかがカギとなります。また、これまでご紹介した書類は審査が通る最低限の書類であるため、すべて揃えても不許可となる可能性もあります。企業が外国人を採用して問題ないことを立証できる書類は、すべて準備することが望ましいです。企業側はこれらも含めた必要書類をリストアップしておくことで、よりスムーズに対応できるでしょう。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら