特定技能に「コンビニ」が追加されたら?【予想される問題点や外国人の働き方について】

記事更新日:2020年09月11日 初回公開日:2020年09月01日

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外国人が日本に滞在するための在留資格の一つ「特定技能」にコンビニを含めようとする動きがありました。実現には至りませんでしたが、今やコンビニ業界に外国人労働者がなくてはならない存在になっていることの現れでしょう。社会的に重要なインフラと言えるコンビニですが、課題も多く抱えています。コンビニ同士の再編・軽減税率への対応。2020年にはコロナ禍でのニューノーマル模索・レジ袋有料化への対応など様々です。特に人手不足は他の課題にも影響を及ぼす大きな問題であるため、外国人労働者の存在は不可欠でしょう。そのため「特定技能」にコンビニを含めることが提案されていました。この記事では「特定技能」とは何なのか、「特定技能」にコンビニを追加しようとした詳しい目的は何なのかご説明します。

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特定技能「コンビニ」の概要

自民党が特定技能の対象業務にコンビニの追加を求めている

特定技能とは外国人が日本で働くための在留資格のことです。コンビニエンスストアで働く外国人に対してもその資格を与えようとする動きが自民党によって起こっていました。日本で働く外国人労働者は今後も増加が見込まれているものの、労働時間や転職活動に制約があります。一方特定技能があれば外国人が日本で仕事をする際の自由度が上がります。コンビニが特定技能に追加されれば長く働いてもらいたいコンビニの雇用側にも、長くコンビニで働きたい外国人労働者側にもメリットが生まれます。残念ながら2020年時点では認められませんでしたが、東京オリンピック開催に伴い需要はさらに高まっています。

特定技能の対象になると週40時間以上の勤務が可能になる

特定技能の対象になると週40時間以上の勤務が可能になる点は重要です。コンビニ業界は時短営業などの変革期を迎えていますが、それでも居酒屋などの飲食店と比べて営業時間が長くなりやすい点は否定できません。よって、ある程度長時間働くことができる労働者の存在は貴重です。将来的にコンビニが特定技能に追加された場合、特定技能を取得した外国人は他の外国人労働者より長時間勤務することが可能になります。人手不足に悩むコンビニ経営者にとっては心強い存在となるでしょう。もちろん長時間働いてもらう際には日本人・外国人関係なく、休憩時間を挟んだり深夜手当てを出したりするなど適切に管理することも大切です。

日本のコンビニ業界の現状

外国人が居なければ成り立たない

日本のコンビニ業界は慢性的な人手不足に陥っており、もはや外国人が居なければ成り立ちません。各地域のコンビニで数多くの外国人が力を発揮していますが、外国人労働者だからこその課題も。まず、外国人留学生の労働時間は日本人労働者と異なり週28時間以内に規定されています。そのため、雇用主は外国人留学生の勤務時間が週28時間を超えないように上手く調整する必要があります。また、外国人が日本で仕事をするために必要な在留カードの確認や、日本式給与支給の方法を外国人に説明することも大切です。急な離職が起こらないようにするために、外国人労働者の体力的・精神的なケアをすることも重要でしょう。

従業員不足で時間変更せざるを得ないコンビニもある

営業時間の変更を余儀なくされているコンビニもあります。従業員不足により、元々大きかったオーナーへの負担がさらに大きくなることで立ち行かなくなる店舗が出てきているからです。コンビニ業界は従業員が不足していることも勿論ですが、加盟店のオーナーも不足しています。その理由にはオーナーの高齢化や、フランチャイズチェーン契約だからこその不自由さ、過酷になりがちな労働形態があります。例えば、一人アルバイトが休むとオーナーはその分代わりに仕事をしなければなりません。従業員不足が加速すると、さらに過酷な長時間労働をする必要に迫られるオーナーは少なくないでしょう。そのため、もはや規定の営業時間では成り立たなくなっているのです。

そもそも特定技能とは

人手不足が深刻な特定の分野において単純労働を認めるもの

そもそも特定技能とは人手不足が深刻な特定の分野において単純労働を認めるものです。しかし、技能実習生と異なり転職の自由があるため、労働環境によっては外国人労働者が退職してしまうことも珍しくありません。したがって、特定技能を持つ外国人を雇用する場合は、日本人労働者以上に気を配ることも多くあります。また長期間に渡って雇用をしたいと考えるのであれば、それだけフォローも必要と言えるでしょう。例えば、コンビニでの業務は比較的単純作業が多くを占めます。その中でも業務のローテーションを実施するなど、飽きずに仕事をして貰えるような工夫が必要でしょう。

一定の技能及び日本語能力がある者に対して就労を許可する

特定技能は、一定の技能及び日本語能力がある者に対して就労を許可する制度でもあります。そのため特定技能の資格を手に入れたい外国人は、一定水準以上の日本語能力を身に着ける必要があります。また、業務上使用する言葉は、一般の日常会話では使用されない専門用語も多くあります。外国人が特定技能を取得し日本で活躍するためには、日本語試験に合格することも必要ですが実務に必要な言葉を習得することも極めて重要です。雇用者側からも定期的な理解度チェックを実施するようにすると、お互いに安心して働くことができるようになるでしょう。

特定技能にコンビニ追加する目的

コンビニの人手不足解消のため

特定技能にコンビニを追加する目的として、一番はコンビニの人手不足解消のためというのが大きいです。本記事でも述べてきた通り、コンビニは深刻な人手不足に陥っています。この状況が継続すると、コンビニ業界で働く人の負担がさらに大きくなり、看過できない状況が到来するでしょう。コンビニは社会的にも重要なインフラであり、商品を販売すること以外にも夜間の防犯機能など多くの社会に貢献する役割を担っています。コンビニ業界が十分な人材を確保できないと、コンビニを利用する私たちにとっても不都合が生じる可能性があります。

既に働いている外国人をリーダーとして育成するため

特定技能にコンビニが追加されれば、外国人が現在より長時間にわたって仕事をすることができます。さらに、特定技能を取得している人は日本語能力に長けているので、リーダーとして活躍してくれる外国人が多数出てくることが予想されます。今後も外国人労働者がコンビニ業界で働くという流れは続く見込みであるため、十分なスキルを持った外国人労働者がリーダーになることは長期的に見て得だと言えるでしょう。特定技能にコンビニが追加されない中でも、既に働いている外国人がリーダーの役割を担えるように教育することは重要です。その際、強い口調での叱責などはハラスメントと評価される場合があります。せっかくの人材を手放すことにも繋がるので注意しましょう。

コロナで実習が継続できなくなった人の支援強化

特定技能にコンビニを追加することは、コロナで実習が継続できなくなった人の支援強化策にもなり得ます。コンビニが特定技能に認定されれば、外国人は以前より長時間にわたって仕事をすることができます。すると、必然的に外国人労働者がコンビニで稼げる金額も上がっていきます。コロナで経済的に負担を感じている外国人労働者や留学生にとって大きな支えになる可能性があります。さらにコンビニでは顧客対応や在庫管理、荷物の取り扱いなど様々な業務を行います。初めは難しいと感じる人も多いかもしれませんが、その分仕事に必要なスキルを身につけることができます。そのため、将来別の仕事に就きたいと思ったときにも役立てることができるでしょう。

特定技能にコンビニを追加する問題点

コンビニが特定技能の雇用コストに耐えられない

特定技能にコンビニを追加する問題点として、コンビニが特定技能の雇用コストに耐えられないという点は否めません。まず、採用を始める時。自社で直接採用する際には費用はかかりませんが、求人サイトや人材紹介経由で採用する際にはコストがかかります。さらに特定技能外国人を雇用し続けるためには支援計画の策定、各国大使館への申請、在留資格変更許可申請など様々な支援を行う必要があります。これらの支援を特定技能の知識に乏しい企業が行うことは難しいため、一般的に特定技能外国人を支援する機関に委託します。その場合、毎月委託にかかる費用を支払う必要があります。これらのコストをコンビニの一店舗が受け入れるのは難しいのが現実です。

コンビニ事業者が特定技能の事務工数に耐えられない

先ほども触れたように、コンビニで特定技能の外国人を受け入れるためには様々な事務工程を乗り越える必要があります。採用する前にも、採用した後にも頻繁に事務手続きがあるので、ただでさえ人手不足で困っているコンビニ事業者にとっては困難でしょう。そして、それらの事務手続きを外部に委託するとコストが掛かってしまうのです。空港送迎や居住地紹介までも特定技能外国人の支援に必要となるため、外国人本人に費用を負担させることができないかと考える企業の方もいらっしゃいます。しかし、それはできません。特定技能外国人は高い語学力や技術が高い分、受け入れるハードルは高いのです。

コンビニ以外で特定技能への追加が提言せれている職種

トラック運転手

コンビニ以外で特定技能への追加が提言されている職種として、トラック運転手が挙げられます。実際、コロナウイルスの影響で店舗での購買が減り、通信販売の利用が増えています。その通信販売を支えているのはトラック運転手を始めとした運送業であり、需要は今後も続いて行くでしょう。一方で長時間労働となりやすく、負担が大きいと考えられていることからトラック運転手は不足しています。そのような中で特定技能にトラック運転手を追加し、外国人労働者を受け入れようとする動きがあります。ただ、コンビニ同様に特定技能の事務工数を実行していけるかが問題でもあります。

廃棄物処理業界

廃棄物処理業界についても人手不足であり、今後もその傾向は続くことが予想されます。廃棄物質は適切な方法で処理しなければ刑罰が科されることもあり、正しい知識や技能、慎重な対応が求められる仕事です。同時に労働災害などのマイナスイメージも先行しており、日本人労働者だけでは十分とは言えません。そのため、特定技能に廃棄物処理業界の仕事を追加しようとする動きがあります。ただ、コンビニとは異なり一般的に日常生活からイメージしやすいとは言えず、認知度が低いことも否定できません。特定技能に追加されることで、外国人労働者の活躍が期待される分野のうちの一つです。

7月8日に追加明記は見送られた

2020年時点においては、コンビニの特定技能への追加明記は見送られました。しかし、今後も人手不足は続いていくでしょう。今の時代、人手不足の問題を解決することはコンビニに関わらず非常に困難です。そのような状況でも、できることはあります。例えば、独自の語学支援制度や作業の効率化。すでに働いている外国人労働者が続けやすい環境にするために、コミュニケーションをとるようにすることも大切です。できることから一つずつ改善していくことが、コンビニの事業者にとっても雇用される外国人にとっても良い結果をもたらすのではないでしょうか。

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