オフショアリングとは?【メリットや業務内容について詳しく解説】

記事更新日:2020年12月15日 初回公開日:2020年11月12日

グローバル用語解説 外国人採用・雇用 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報 グローバル経済
21世紀に入ってから世界ではグローバル化が急速に進んでいます。それによって企業の経営や従業員の働き方も大きく変化しています。外資系企業による市場参入の活発化や外国人労働者の増加などは日本経済の変化の一例と言えるでしょう。そこで今回ご紹介するのは、「オフショアリング」です。初めて聞いた、聞いたことあるけど分からないという方もいるかもしれません。この記事では言葉の意味から種類、メリットなどについて幅広く説明していくので、是非ご参考にしてください。

オフショアリングとは

業務の一部、またはすべてを海外に移すこと

まず初めに、オフショアリングという言葉の意味について確認しましょう。オフショアリングとは、企業の業務の一部、あるいは全てを海外の拠点へ移すことです。要するに今まで国内のみで行っていた業務が海外で行われるようになるということです。英語の「offshore」、つまり海外から離れたという意味の言葉が元々の語源となっています。コスト削減などの理由からアメリカ、日本を含む先進国を中心に多くの国でこの経営手法が普及するようになりました。

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

アウトソーシングとの違い

アウトソーシングは国内外問わず他社に業務の一部を委託

多くの方がオフショアリングと間違えやすい言葉としてアウトソーシングがあります。一体何が違うのでしょうか?アウトソーシングは、他の企業に対して業務委託をすることを指します。アウトソーシングの場合は国内、国外の両方を含みます。一方で、オフショアリングは海外への業務の移行のみを指しています。また、アウトソーシングは他企業への外部委託のみですが、オフショアリングの場合は、自社、外部委託を含むといった違いも挙げられるでしょう。

形態は異なるが目的は同じ

アウトソーシングとの大まかな違いについて述べてきましたが、導入の目的に違いはありません。オフショアリングとアウトソーシングのどちらか、あるいは両方を導入する理由は、様々なメリットを得られるからです。詳細についてはメリットのところでお話しますが、多くの企業がコスト削減、人材リソースの活用などを目的に導入をしています。よってこれらの形態はそれぞれ異なっていますが、主な目的は同じであると言えるでしょう。

オフショアリングの種類

海外にある他企業に業務委託

オフショアリングは、大まかに2種類に分けることが出来ます。まず一つ目が海外にある他企業に業務委託をすることです。この場合、業務は自社で管理するのではなく、他企業にすべて任せます。アウトソーシングと同じ仕組みであると言えるでしょう。元々その業務を行っている企業に委託するため、人材を新たに集めたり、そのため設備を作ったりする必要はありません。そのため初期投資も比較的押さえることが出来ます。ただし、管理体制や状況を把握するために、委託先とこまめにコミュニケーションを取らなければなりません。

自社の現地法人を設立

もう一つは、自社の現地法人を設立することです。この場合は海外に現地法人を設立して、子会社、あるいはグループ会社として業務を行うことになります。そのためオフショアリングを始める企業が業務に対しての全ての責任を持ち、運営をしなければなりません。どの国で行うか、どのように人材を集めるかなど、あらかじめ決めておかなければならないこともたくさんあるでしょう。しかし、自社で運営を行うので情報管理や業務の遂行も比較的しやすいといったメリットもあります。

オフショアリングの主な業務内容

生産系業務

オフショアリングの導入にあたり、現地ではどのような業務がなされているのでしょうか?ここでは実際に行われている主な業務内容を三つご紹介します。一つ目は生産系業務です。こちらは工場などで行う製造業務などのことを指しています。いわゆる定型業務となっているため、生産工程や製造ラインの管理がしっかりとしていれば現地スタッフでもスムーズに作業を行うことが出来るでしょう。人件費が低い地域に導入することで、生産コストを抑えることも可能になります。

デスクワーク業務

次に紹介するのは、デスクワーク業務です。デスクワークと言っても様々な種類がありますが、総務や経理といったいわゆるバックオフィス業務はオフショアリングが可能です。その場合はデータ入力などのような単純作業がメインとなるでしょう。また近年はコールセンター業務を行う企業も増加してきています。コールセンター業務の場合は現地スタッフを雇うことで、日本語以外を主言語とする海外のクライアントに対しても業務を行うことが出来ます。

オフショア開発

3つ目に紹介するのがオフショア開発です。恐らく聞き馴染みのない方も多いのではないでしょうか。オフショア開発とは海外の企業に情報・Webシステム、ソフトウェアといったIT関連の開発業務を委託することです。こちらは複雑な業務が多いので能力が高い人材が必要となりますが、日本国内でIT技術者が不足しているという背景もあり、海外でオフショア開発を行う企業が増加しています。業務委託をすることで開発コストが削減出来るといったメリットもあります。

オフショアリングのメリット

コスト削減

オフショアリングを導入することで企業は様々なメリットが得られます。ここでは三つのメリットについて説明します。まず一つ目はコスト削減。恐らくオフショアリングを活用する企業の多くがコスト削減を目的に導入しているでしょう。地理的にも距離が遠くない多くのアジア諸国は、日本よりも物価が安い傾向にあります。そういった場所で企業活動を行うことで、人件費や生産コストを大幅に抑えることが出来ます。その結果、企業にとっては大きな利益を生み出すことになります。

労働力の確保

オフショアリングのメリットはコスト削減だけではありません。労働力の確保も大きなメリットの一つです。近年の日本では少子高齢化社会の進行に伴い、労働人口は年々低下しています。一方でオフショアリングの場合は、海外にいる外国人人材を現地で採用することで、労働力を確保することが出来るでしょう。またそれだけでなく、海外にも高い技術やスキルを持った優秀な人材が多くいるので、専門性の高い業務をすることも可能です。

グローバル化に対応出来る

3つ目のメリットはグローバル化に対応出来ることです。グローバル化が進むにつれて多くの企業が海外進出を行っています。オフショアリングによって、海外拠点が生まれることにもなるので、その国でのビジネスを始めることに対するハードルが下がります。もちろん日本の顧客向けのビジネスを行う企業もあるでしょう。しかし海外のマーケットに参入することが出来れば、企業は事業規模を拡げて、大きな利益を生むことも可能になります。

オフショアリングのデメリット

コミュニケーションが取りづらい

オフショアリングの導入はメリットばかりではありません。ここでは二つの点について書いていきます。一点目は、コミュニケーションが取りづらいことです。この場合は様々なケースが考えられます。例えばアウトソーシングのように海外の会社に業務委託を行うと、自社で業務をすべて管理することは出来ません。また、自社で雇用した場合も、文化や言語の違いによってコミュニケーションを取ることは簡単ではないでしょう。どんなケースであっても、コミュニケーションをこまめに取ることで業務上のミスを減らすことも出来るはずです。

人材育成が難しい

二点目は、人材育成が難しいことです。日本と海外を比べるとビジネスルールや法律、労働環境などもすべて異なります。そのため、人材育成をするときも様々な注意が必要になるでしょう。そもそも業務委託の場合は、労働者は他社に所属することになるので、直接的に指導することは出来ません。自社で採用した場合も誰が人材育成を行うのかなど、管理体制をしっかりと整える必要があるでしょう。また、海外では頻繁に転職を繰り返すことも珍しくはないので、長期的に人材を育成するのは簡単ではありません。

オフショアリングの注意点

人件費の高騰

オフショアリングの導入することを決断したとしても、いくつか注意が必要です。まず挙げられるのが、人件費の高騰です。メリットのところで示したように、オフショアリングを行う一番のメリットはやはりコスト削減でしょう。ところがアジア諸国を中心に多くの国で人件費が大幅に上昇しています。例えばインドネシアでは2018年から一年の間に平均して7.5%も賃金が上昇しています。もしオフショアリングを検討している場合は、どの国で始めるかということも非常に重要になるでしょう。

情報管理のリスク

もう一点、注意が必要なのが情報管理のリスクです。企業には他社に漏らしてはいけない機密情報も少なくありません。機密情報を守るためには、情報管理の徹底が不可欠となります。しかし、オフショアリングを導入することで情報管理を徹底することが難しくなるでしょう。また今まで企業が築いてきた技術やノウハウが流失するリスクもあります。そうした事態を防ぐためにも会社の労働基準やルールを明確にし、情報管理を行いましょう。

主なオフショアリング先

中国

日本の企業は実際にどの国でオフショアリングを導入しているのでしょうか?ここでは日系企業に特に人気のある国を紹介します。1か国目が中国です。中国は他国と比べると群を抜いてシェア率が高く、オフショアリングを行う企業のうち8割程は中国を選択しています。中国がこれだけ人気があるのは、日本との距離が近いという理由だけではありません。生産コストが低いことや幅広い分野の業務に対応出来るという点も大きな魅力となっています。

インド

続いて紹介するのがインドです。インドは近年人口が急激に増加しており、将来的には中国を抜いて人口が世界第一位になると言われています。インドは中国に次いで日本企業に人気があり、約15%のシェアを占めています。インドでオフショアリングを行う利点はやはり人材の豊富さでしょう。インドには海外で経験を積んだグローバルな人材がたくさんいます。特にIT分野に関しては国際的にも高く評価されており、高いスキルを持った人材を確保することが可能です。

ベトナム

最後に紹介するのがベトナムです。ベトナムは日本企業のオフショアリング先として近年特に人気があります。ベトナムでオフショアリングをするメリットはいくつかありますが、まず挙げられるのが人件費の安さでしょう。インドや中国と比べても人件費は安く、企業にとってはコストを大幅に抑えることが出来ます。またベトナム人は真面目で勤勉な人が多く、日本人と似ているところも多いので、一緒に働いても問題が起こりにくいでしょう。最近では、エンジニアなどのIT人材が特に増加しています。

まとめ

ハードルは高いが、有効な経営手法になり得る

この記事では、オフショアリングの様々な側面について紹介してきました。オフショアリングについての知識を深めることが出来ましたでしょうか?オフショアリングは企業の経営判断や利益にも大きく関わるので、気軽に決断出来るものではありません。しかしビジネスの内容によっては、オフショアリングを行うことで多くのメリットが得られる可能性があります。いずれにせよオフショアリングを導入する際には、様々な点に留意しながら計画を進めていくことが必要になるでしょう。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら