ノーレイティングの仕組みと内容は?【メリット・デメリット等を解説】

記事更新日:2020年11月18日 初回公開日:2020年10月23日

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近年「ノーレイティング」という人事評価制度に注目が集まっています。働き方改革のもと、終身雇用の時代が終わりつつある今、個人をより良く評価し成長させていく仕組みの一つとしての見方が強まっているのです。本記事ではノーレイティングのメリットやデメリット、事例などを分かりやすく解説。ぜひ現行の評価制度と比較しながら勉強していきましょう。

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ノーレイティングとは

ランク付けをしない人事評価

そもそも「ノーレイティング」とは、一言でいうと「ランク付けをしない人事評価」のことです。レイティングは英語の動詞「rate」から来ていますが、その意味の通り企業の評価制度の多くは、定期的に個人の働きをランク付けで評価する形式がほとんどです。基本的には、上司より査定されたABCなどのランクによって、給与や賞与、役職などが決まる形式となっているでしょう。これに対し、ランク評価ではなく目的に対する達成度合いを評価する制度が「ノーレイティング」です。

目標設定とフィードバックを繰り返す

ノーレイティング制度の多くは、上司との面談や社員同士との対話などコミュニケーションにより評価します。年度単位での評価はせず、ランクも付けません。リアルタイムで目標設定を行い、その目標に対して上司と対話し、フィードバックをもらうことにより、その都度評価が下される仕組みです。ランク付けはどうしても年次による相対評価になりがちですが、これを辞めることで個々の能力や目標達成までの過程、仕事への姿勢も評価しやすくなるといいます。

人事評価をしないわけではない

注意しておきたいのは、ノーレイティングは「人事評価をしないこと」ではないということ。「社員のランク付け」であるレイティングをやめる、また、年次の評価をしない、というのが正しい解釈です。レイティングは社員の目標達成率や成績をもとに「平均以上or以下」という尺度で判断され一見画一的な評価に見えますが、個人の特性や細かな点までを反映した評価にしづらい等の問題点がありました。所属部署によって評価が左右される等、実際は正当なランク付けになっていないことも多いとか。ノーレイティングは、こうしたレイティングの問題点をクリアにする人事評価制度と位置づけられています。

ノーレイティングが注目される背景

Google等アメリカ大企業での人事評価廃止の流れ

ノーレイティングが注目されている背景として、アメリカの大企業が次々にこの仕組みを取り入れていることが事実としてあります。もともとアメリカ企業はトップダウンのカルチャーが強く、成果を上げた個人を評価する考え方が通りやすかったという点。そしてIT化を受けてビジネスの動きがより早く変化していく中で、もはや「年単位」での管理が合わなくなってきたという実感もあるようです。このような流れから、より短いスパンでトライ&エラーを繰り返させるような評価方法にシフトしてきたという点を押さえておきましょう。

成果重視から人物像重視へ

レイティングによる人事評価は1990年以降、成果を重視してきた日本企業で定着してきましたが、2010年以降「成果も重要だけれど、個人の能力や人物像も評価するべきだ」という考え方が広がり始めています。職種や働き方が多様化していく中で、成果だけが会社にとっての貢献ではない場合も有り得ますし、また成果以上にプロセスやその内容を重視するという場合もあるでしょう。そのような中で画一的な型にはめようとするレイティングではなく、「時代に合う新しい人事制度・ノーレイティング」には期待が高まっているのです。

ノーレイティングのメリット

評価への納得感が高まる

ノーレイティングのメリットの一点目は、評価への納得感が高まることです。ノーレイティングでは上司と部下の1on1での対話の中でリアルタイムに目標設定をし、評価を受けることができます。それにより「今の自分の状況に合った目標を上司と相談しながら設定できる」「今の行動や頑張りが評価される」と従業員が感じ、目標設定や評価への納得感が高まります。従来のレイティングでは会社が不条理に設定した目標に対しての相対評価で、不満を感じる社員も少なくありません。また、評価側にとっても絶対評価方式となると誰かを下げたりする必要がなく、納得した評価がしやすいようです。

リアルな目標設定で成長に繋がる

次に、リアルタイムな目標設定ができ、より良い成長に結びつけられるという点があります。従来のレイティングでは企業を取り巻く環境の変化の速さに対して、実際の評価が追いついていないような状況がありました。一方、ノーレイティングでは頻繁に上司と部下の1on1での対話が行われるため、環境の変化を受けてその都度、部下を評価することが可能です。よりリアルな目標設定を行い、目標への行動に対するフィードバックを繰り返すことで、課題や成功点を共有して次の目標へと繋げていくことが可能です。年次評価と比較しても外的要因にすぐに反応できるため生産性も上がり、常に試行錯誤を繰り返すことで成長スピードは格段に向上するでしょう。

離職率低下に貢献できる

3点目のメリットは、離職率低下に貢献できるという点です。ノーレイティングを取り入れることで上述の2点のようなメリットが生まれ、働くモチベーションの向上につながり離職に歯止めをかけることができます。一般に退職理由は仕事へのやりがいや人間関係、評価制度への不満などが上がることが多いですが、ノーレイティングを導入すれば、上司と部下が日常的にコミュニケーションを取るためその中で信頼関係が築けるのは勿論、離職に至るまでの不満の声を拾うこともできるでしょう。実際にノーレイティングの導入により「これからもこの企業で働きたい」という意欲に繋がり、離職率が大幅に低下した事例もあります。

働き方の多様化に対応しやすい

最後に、近年、裁量労働制や短時間勤務、在宅勤務など、従業員の働き方が多様化する中で、一人一人に合った評価がしやすいという点が挙げられます。ノーレイティングでは上司と部下との1on1の中で、個人の状況に合わせた目標設定と評価ができるため、例えば在宅ワークや時短勤務の社員の場合にもより適切に評価ができるでしょう。従来のレイティングの場合は働き方が異なる社員を同一の尺度で評価しなければならず、評価基準が曖昧で複雑なものとなってしまう恐れがあります。

ノーレイティングのデメリット

管理職のマネジメントが問われる

一方で、ノーレイティングを導入する場合のデメリットとして、管理職に高いマネジメント能力が求められてしまうという点があります。従来のレイティングであれば、統一された評価項目・基準に応じて相対的なランク付けを行うため、上司が部下を評価することは比較的容易でした。しかしノーレイティングでは評価プロセスの全判断が上司に委ねられており、ノーレイティングが成功するかどうかは、上司のマネジメント力にかかっているといっても過言ではありません。管理職を対象にした研修など、意識・能力改革の必要性も出てくるでしょう。

管理職の業務が増える

加えて、管理職の業務そのものが増えるという点も挙げられます。期末・年度末など定期タイミングのみ評価を実施していた従来のレイティングに対し、ノーレイティングでは頻繁に部下と1on1で対話をすることとなり、実際に多くの時間的労力がかかります。部下と積極的にコミュニケーションを取り、スピード感を持った目標設定やフィードバックが求められるノーレイティングでは、特に上司がプレイングマネージャーである場合、その負担感はかなり大きいとされます。

目標が変化するため混乱が起きる

目標が頻繁に変化していくことで現場に混乱が起きてしまう可能性があるという点です。ノーレイティングでは上司と部下の対話の度に、変化に合わせて目標を設定することから、目標・課題がコロコロと変わってしまう、という感覚を持つ従業員もいるでしょう。大切なのは常に組織全体での大きなミッションは固定させ、各人の役割や状況に応じて面談の頻度を調整するという点。目標設定に大きく関わるような状況の変化があった場合にはすぐに、メンバー全員に伝える等の対応をしましょう。

ノーレイティングを導入している企業

カルビー

実際にノーレイティングでの評価を導入している企業の事例を確認していきましょう。食品大手のカルビー株式会社では、上司と部下の間で全従業員が「Commitment & Accountability」を結んでいます。1年間の仕事内容と目標を確認し、契約書にサインをするところから始まるのです。各人の目標そして成果は社内サイトで公開されるとのこと。このC&Aの達成具合によって賞与が決定され、5年で利益率を10倍にする結果を生み出しているそうです。

P&G株式会社

P&G株式会社(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社)もノーレイティングを実施する企業の一つです。年度が始まる前に社長を含む経営陣が目標を定め、それを部門、上司、部下へと展開していきます。チーム目標を基に個人目標を設定しその任務を任せる理由まで説明し、部下が目標を追う理由を明確にさせることもポイント。部下と上司は2週間に1度個人面談をして、進捗状況やキャリアアップの確認をしているそうです。このような取り組みを通して最終的には社員一人一人が「能力を最大限に発揮できている」組織を目指しています。

マイクロソフト株式会社

マイクロソフト株式会社では、2010年以降、評価基準を目標達成率から「どれだけ会社や部署、お客様にインパクトを与えたか」という個人評価へと移行しました。まずは自分の取り組みを自己申告し、役員や他チームのマネージャーからフィードバックをもらうことで、裏付けのある評価基準としています。インパクトを起こす上で大切なことは、挑戦や前向きに取り組む姿勢とされており、成果よりも姿勢を評価する方法に変わってきているようですね。評価の改革と多様な働き方の受け入れが相まって、2010年からの5年間で事業の生産性は26%アップ、女性の離職率は40%ダウンという結果も残しています。

ノーレイティングを学べる書籍

人事評価はもういらない 成果主義人事の限界

ノーレイティングを更に学びたい方には、松丘啓司著「人事制度はもういらない 成果主義人事の限界」をお勧めします。本記事で紹介してきたような、アメリカ企業における年次評価の廃止のトレンドや新しいパフォーマンスマネジメントについて詳しく解説。日本企業における目標管理・評価制度の問題点も整理してくれています。ピープルマネジメントの視点も紹介されており、アメリカ流のノーレイティングはこの書籍より取り入れましょう。

人事こそ最強の経営戦略

日本企業における人事戦略という観点では「人事こそ最強の経営戦略」という書籍もお勧めです。著者は日本の中堅から大手企業のグローバル人事コンサルを現場の最前線で行ってきた南和気。その経験をもとに、日本企業が今までの良さを活かしつつ、人事のグローバル化を正しく進めていくための具体的な方法を説いています。パナソニック、オムロンなど、グローバル人事に取り組む企業事例も掲載。世界で勝負したいすべての経営者と人事担当者には「日本型・グローバル人事の教科書」といえるでしょう。

シリコンバレー式 最強の育て方

人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング

最後にお勧めするのは世古詞一著「シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―」です。ノーレイティングと並列で語られる上司と部下との対話「1on1ミーティング」。最新ビジネスの集積地シリコンバレーでは、オンラインが発達してもなおフェイストゥフェイスの1on1ミーティングが大変重要なカルチャーとなっています。シリコンバレー式のマネジメント手法を通して、日本におけるノーレイティングの実践方法が学べる1冊です。

まとめ

ノーレイティングで新しい人材マネジメントを/h3>

ノーレイティングは、従来のレイティングとはまったく異なる人事評価制度です。上手に活用ができればより良い評価を受け、生き生きと働ける人を増やす第一歩になりえますが、業務や職種によっては導入が難しいケースもあることでしょう。まずは本記事で紹介したメリット・デメリット・導入事例などを参考に、ノーレイティングについて正しい理解を得ること。自社に課題があるようであればきちんと分析し、それが人事評価方法によって解決ができるものなのかを検討してみましょう。

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