記事更新日:2024年08月22日 | 初回公開日:2024年08月22日
用語集 人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド抜擢人事とは、優れた能力や実績を持つ人に対し、出世や昇進という形で選抜し、管理職や役職などの重要なポジションに任命することです。勤続年数や学歴、性別は問わず、個々の人材を実力で評価し昇進やキャリアアップの形で人事に役立てるための制度です。比較的若い従業員が重要なポストを任されるケースも珍しくありません。従って、後輩が先輩の上司になるケースさえあります。日本では年功序列が一般的とされる時代が長く続いていましたが、抜擢人事はこれまでとは対照的な人事制度といえるでしょう。
抜擢人事と年功序列の制度は先述の通り大きく異なります。年功序列は、従業員の年齢や勤続年数に応じて昇進や報酬などを決定します。つまり、経験年数が長ければ長いほどより高い地位や報酬を得ることができます。年功序列の人事では、従業員の年齢や経験が尊重される一方で若手社員の成長や能力発揮の機会が限られるという問題があります。しかし、抜擢人事においてもデメリットはあります。年齢や経験に基づいた評価が行われないため、勤続年数が短い従業員や若い従業員が上司になることから、従業員のモチベーション低下を招く可能性があります。
抜擢人事が重要な背景として、労働人口が減少している点が挙げられます。高度経済成長期より導入された日本特有の年功序列型人事評価システムは、時代にそぐわなくなりつつあります。少子高齢化により中高年齢層の社員が多くなった現代では、人件費だけが増大し、経営への大きな負担になるなどのデメリットが目立ち始めたからです。加えて、DX化によって勤続年数に関係なくスキルが必要とされるようになりました。今後労働力人口の減少も予測され、年齢や社歴を問わず実力のある人材を評価する成果主義への移り変わりが求められるでしょう。
抜擢人事のメリットとして、最適な人材配置が可能になる点が挙げられます。抜擢人事によって柔軟に人を異動させることで適材適所の配置ができます。長い間企業に属していると人材配置で価値観が固まってしまうことがあります。能力に関係なくこの年齢にはこのポジションが適切だと認識し、人事の流動性が上がってしまうことがあります。抜擢人事は凝り固まった先入観を変える新たな機会となり、社員の新たな適性を発見できる可能性が生まれます。
抜擢人事のメリットとして、ポテンシャルの高い若手を活躍させられる点が挙げられます。抜擢人事では、スキルや実力だけでなくその人のポテンシャルも評価基準となります。若くポテンシャルの高い人材が重要なポストに就くことで、若手人材の成長促進につながります。また、競争の発生によって若手や中途人材の能力強化など相乗効果が期待できるでしょう。ポテンシャルがあることをどう定義するかが公平な評価をする上でのカギとなってきます。
抜擢人事のメリットとして、従業員のモチベーションが上がることが挙げられます。抜擢人事は社員の実力や能力などでポジションを決めます。若手でも先輩でも、中途入社にも平等にチャンスがあると言えます。したがって、抜擢人事の存在が従業員にモチベーションを高める効果をもたらすと言えます。他方、年功序列型の人事は、スキルや実力に目配りされる機会は少ないです。昇進や昇給などの実績が影響しにくく、勤続年数や年齢でポジションが決まってしまいます。
抜擢人事のメリットとして、新たなリーダーを育成できる点が挙げられます。抜擢人事で選ばれた若い人材は、そのポジションで高い能力を発揮することが考えられます。部下をまとめていくうちにリーダーシップが身についていくでしょう。さらにその姿に刺激を受けた下の世代が刺激を受け、また次の新たなリーダーを目指します。このような良い循環によって次世代リーダーの発掘がさらなるリーダーの育成につながります。
抜擢人事のメリットとして、組織が活性化される点が挙げられます。年齢などスキル以外の部分が重視された年功序列型の人事制度では、個人の実績が公正に評価されない部分が大きなデメリットとされていました。しかし、抜擢人事によって個々の実力が判断材料になることで、社員全体のモチベーションアップが期待されます。より高いポジションを目指す人材も増えるでしょう。組織全体の活性化によって全体のレベルアップへとつながるのも利点の一つです。
抜擢人事のメリットとして、人事担当者の意識改革が期待される点が挙げられます。長きにわたって年功序列型人事評価システムが活用している会社では、前例を意識した人材配置が重視されています。他方、抜擢人事では年功序列型でははかれないスキルや能力が基準となります。人事担当者として適材適所の配置を行うために従業員の能力を見極める必要があります。それにり結果的に新たな視点で人材を発掘できるなどの意識改革につながるでしょう。
抜擢人事のデメリットとして、抜擢されない社員が不満に思うという点が挙げられます。抜擢人事では、登用の根拠を明確にしないとほかの社員の反発を生む可能性があります。従来の年功序列型の人事では年齢や勤続年数などの誰が見ても分かりやすい判断基準があります。他方、抜擢人事はスキルや実績などに関する選考過程を明らかにしなければ、他の社員から不満が生じる恐れがあります。抜擢されなかった社員の不信感の高まりは、抜擢された社員の孤立につながります。
抜擢人事のデメリットとして、企業風土に合わない恐れがある点が挙げられます。抜擢人事は年齢や社歴に重きを置く業界にはマッチしません。時代や社会の変化は進んでいるとは言いつつ、依然として日本企業らしい年功序列の風土は多くの企業で残っていると言えます。そのような企業風土の下、年下の後輩が抜擢されたことにより人間関係に問題が生じるリスクは十分にあります。社内での理解を得られずに抜擢人事を進めると、組織全体のモチベーション低下につながる可能性もあります。
抜擢人事のデメリットとして、従来型を支持する層から反発を受ける恐れがある点が挙げられます。抜擢人事の導入は、年功序列を基盤とした自社で長らく定着している人事制度と合わない恐れがあります。これまでの人事制度の下で慣れ親しんできた社員にとって、抜擢人事の導入は将来のポストを失うことにつながります。特に伝統的な会社や業界においてはその傾向が大きいでしょう。また、年齢層の高めな企業も同様であり、変化を嫌って新たな仕組みや制度を受け入れられず、反発する可能性があるでしょう。
抜擢人事の種類として、ポテンシャル登用が挙げられます。ポテンシャル登用は、未経験であっても高いポテンシャルを期待して人材を登用することです。リーダー経験がないとしても、職務に役立つスキルや性格を持った人材のポテンシャルを評価し抜擢します。年齢や勤続年数を判断基準としないため、後輩がリーダーや上司になり先輩が部下となる可能性があります。何をもってポテンシャルがあるかを言語化して評価することで他の社員からの不平や不満を防ぐことができるでしょう。
抜擢人事の種類として、成果登用が挙げられます。成果登用とは、すでに何らかの成果を出している人材を登用することです。ポテンシャル登用と同様、年齢や性別などを問わず若手を抜擢することが特徴的です。役職などのない一般の従業員であっても、実績や成果次第では抜擢する可能性があります。成果は目に見えるものだと営業成績や技術開発などが考えられます。これもポテンシャルと同様に評価を公平にすべく基準を設けることが重要であると言えます。
抜擢人事の種類として、社外登用が挙げられます。たとえば、新規事業に参入する場合には自社内にはスキルやノウハウがない可能性があります。その際には、社外に新規事業に関連するスキルや実績を持つ優秀な人材によって、リーダーとして高いポジションに就ける場合もあります。これはいわゆる中途採用であり、履歴書を基にどのポジションに就かせるかどうかを判断し登用します。
抜擢人事の際のポイントとして、評価の過程をオープンにすることが挙げられます。抜擢人事導入に賛成している人でも、年下の従業員が上司になることや、新人がリーダーになることには不満を持つかもしれません。しかし、その選定理由が分かれば人事に対して納得できるため、モチベーションが下がることはないでしょう。抜擢人事は、公平な評価によって人事が決まることが従業員のモチベーションアップにつながります。このメリットを得るためにも、評価の過程はオープンにして不平や不満を防ぐようにしましょう。
抜擢人事の際のポイントとして、明確な評価基準を定めることが挙げられます。、抜擢人事制度の評価基準が曖昧だと評価方法が偏っているかと不満を持つでしょう。その不満は企業不信につながります。よって、スキルや成果など能力を踏まえた明確な評価基準を設けることが望ましいです。また、抜擢人事制度を導入する際には、評価基準を従業員に周知することも同時に重要です。
抜擢人事はこれまでの年功序列の仕組みとは対極にあるものであり、それぞれにメリットやデメリットがあることをご紹介しました。これらのどちらを選ぶかは、企業風土や制度の公平性の担保などの観点から考えましょう。また、今回ご紹介したように、抜擢人事を採用する際には従業員の不満のでないようにいくつか工夫する必要があります。抜擢人事の特色を理解し人事戦略に活かせるかどうかを検討しましょう。最後までお読みいただきありがとうございます。
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