特定技能漁業で外国人を雇用するには?【試験・申し込み方法は?】

記事更新日:2020年08月19日 初回公開日:2020年08月14日

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少子高齢化が進む中で、様々な業界の人手不足が問題視されており、特に深刻な人手不足に陥っているのが日本の水産業を担う漁業・養殖業界です。そんな人手不足を打開するべく、外国人の労働力を活用する特定技能漁業が注目されています。漁業と養殖業では微妙に違っていたり、実際に活用するにあたり不安を感じる企業も多いのではないでしょうか。今回は、そんな特定技能漁業について雇用する方法を分かり易く解説していきます。今後、導入を考えている方にとって必見の内容です。

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特定技能「漁業」とは

外国人が漁業で働くための就労資格

特定技能「漁業」とは、外国人が日本の漁業・養殖業界で働くための特定技能のことです。これは2019年4月に出入国管理法が改正され施行されました。主な目的は、外国人の特定技能人材の受け入れによる水産業界の人手不足緩和です。現在、人手不足が深刻化している14の分野を対象として行われており、漁業はその1つ。漁業以外では、建設業やビルクリーニング業などがあります。その中でも漁業は、多くの沿岸部エリアで技能実習制度も含め実習生受け入れがある分野です。

そもそも特定技能とは

特定技能とは一定の技能及び日本語能力がある外国人に対するビザのことを指し、1号と2号の2種類があります。1号と2号では難易度が違い、一定の知識や技術を有するのが1号、さらに専門的な知識を必要とされるのが2号です。そのため、1号と2号では労働可能な業務が異なるので注意しましょう。養殖においては1号での受入れが可能ですが、業務する内容によっては2号も必要になってきます。また、同じ漁業業界でも漁業と養殖によっても変わってきます。

日本の漁業の現状

人手不足が深刻な現状

漁業業界は、少子高齢化や後継者問題による人手不足が深刻化しています。漁業に従事する人は、1998年の27万7000人から2017年の15万3000人まで大幅に減少し、働き手は20年の間で半減しました。今後、ますます高齢者の数は増加していきます。この状況が続けば、漁業業界は壊滅的な状況になることが予想されるでしょう。漁業に限らず多くの業界が人手不足問題を抱えており、若手の人材確保はどの業界にとっても考えなくてはならない問題です。

AIや衛星情報により生産性が向上している

農林水産省では、このような人手不足に対して何も対策を打っていない訳ではありません。昨今では、生産性向上に向けた取り組みとして、AIを活用した漁場形成予測により漁業をする場所の探査の効率化なども実施。また、最先端技術の開発や実装に対しても資金を投入しています。事実、2011年から2016年にかけて漁業者1人当たりの生産量が2.1トンも増加。また、自動の給餌機や電動による牡蠣はぎ機の導入など、作業の効率化も進めています。

特定技能「漁業」の目的

漁業の人手不足解消のため

少子高齢化で若手の働き手の確保が難しくなる日本において、外国人労働者を増やすことは避けては通れないことでしょう。とくに都市集中型が進んでいる状況では、地方の漁業分野の人手不足は危機的です。特定技能に漁業を追加されたもの納得と言えるでしょう。全業種の有効求人倍率は約1.61倍(2019年)の中、漁船・水産養殖への有効求人倍率は2倍を超え、現在も労働人口の減少に歯止めがかかっていません。そういった点からも特定技能人材を活用した労働力支援が必要とされています。

日本の漁業の永続的な発展のため

日本の漁業業界は、人手不足の国内の漁業・水産業界の問題に対して、特定技能以外にも積極的に取り組みを行ってきました。その一つが、発展途上国を中心とした海外の人材に漁業や水産業技術を教えていく慈善事業の「技能実習」です。しかし、実際の運用では技能実習生を国内の人手不足解消を目的で受け入れるなど、雇用者と技能実習生の間にギャップが有ったのも事実。その点、特定技能制度は、日本の漁業業界の永続的な発展のための外国人採用という点からも双方にとってメリットのある制度です。

特定技能「漁業」の業務内容

漁業の業務

特定技能の漁業で働く場合、船長や養殖管理長などから受ける指示のもとに従事することとなります。また、日本人が通常従事する業務に付随した業務に従事することも可能です。漁業の場合、具体的には漁具の製作や補修、漁具・漁労機械操作など。また、陸上で行う魚介の処理や保蔵、安全衛生の確保なども可能です。従事可能な関連業務は、柔軟に対応することが許されてはいますが、船長や漁労長などの立場の業務をさせる事は不可です。

養殖業の業務

特定技能の養殖業で行える主な業務は、養殖資材の製作や補修、養殖水産動植物の育成などがあります。地上で業務ができる業務としては、養殖に用いる動植物の収穫や処理、安全衛生の確保なども可能です。ただし、漁業と同様に養殖業の管理者など、主として行う業務を外国人にさせてはいけません。ルールを破ってしまうと、在留資格の取消しや不法就労助長罪などのトラブルになる可能性もあり、会社等にも罰則が課せられるので十分注意しましょう。

特定技能「漁業」の要件

漁業技能測定試験(漁業)の合格者であること

特定技能で外国人を雇用できる業種は、2020年現在で14業種があります。在留資格等の詳細は法務省の管轄になりますが、14業種ごとに管轄する省庁が決められていて、業種ごとにルールや条件が異なります。クリアしなければならない要件が異なり、特定の業種で取得したらかといって、別の業種でも労働できる訳ではありません。漁業分野で雇用する場合は、「漁業技能測定試験」に合格している必要があります。漁業技能測定試験の「漁業」に合格した場合は、「漁業」の業務に従事できますが「養殖業」の業務に従事する事はできません。

漁業技能測定試験(養殖業)の合格者であること

漁業技能測定試験には「漁業」と「養殖業」の2種類の試験があります。「養殖業」分野で雇用する場合、外国人は漁業技能測定試験の「養殖業」に合格していなければいけません。漁業と同じく「養殖業」に合格したら「養殖業」の業務に従事できますが、「漁業」の仕事をすることはできません。漁業も養殖業も行っている事業者の場合、初めから両方の試験合格者を雇用するケースも多いようです。業務としても似ている部分はありますが、破ってしまうと特定技能制度を使えなくなってしまうこともあるので注意しましょう。

日本語能力テスト又は日本能力試験N4以上

特定技能のすべての業種に共通するのは、一定の日本語力です。日本語試験に関しては日本語能力テスト、または日本語能力テストの代わりに「日本語能力試験N4以上」が必要になり、この基準に達しないといけません。一般的に日本語能力試験N4以上に合格すると、生活に支障がない日常会話が出来ることが認められます。このテストは国内外80ヵ国以上で行われており、通常は1年に2回実施されています。読み書きとコミュニケーション能力など、まずはベースとなる日本語をクリアすることが大切です。

特定技能「漁業」の試験

漁業技能測定試験(漁業)

特定技能外国人が漁業分野で働くためには、漁業技能測定試験と日本語能力試験(N4以上)に合格しなければいけません。2020年4月以降の国内試験から受験資格が拡大され、在留資格を有している外国人なら受験することができるようになりました。漁業試験は、学科試験と実技試験で構成され、コンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式かペーパーテスト方式のどちらかで行います。難易度は、漁船漁業職種の技能実習評価試験の水準と同程度とされ、簡単な内容ではないので試験対策をして臨む必要があります。

漁業測定技能試験(養殖業)

養殖業の学科試験では、養殖業全般と安全衛生に関する知識と業務上必要となる日本語になります。実技試験では、図やイラストなどから養殖水産動植物の育成管理や養殖生産物の適切な取扱いなど、専門的な知識を求められます。試験は原則として多肢選択式となっていますが、しっかりと時間をかけて勉強しなければ受からないでしょう。この「漁業」分野の技能試験在留資格は、技能実習2号を良好に修了(3年)した外国人は免除されることもあるので、試験を受ける前に確認しましょう。

日本語能力試験

特定技能の漁業試験には、漁業現場で必要となる⽇本語能⼒があるか確認する⽇本語問題も含まれます。この試験は業種ごとに異なり、漁業では海産物に関する項目が多く含まれ、難易度も高いでしょう。また、本試験とは別に基本的な⽇本語能⼒を持っているか確認するための⽇本語基礎テスト、または⽇本語能⼒試験N4以上の合格も必要になってきます。日常会話に加え、難易度の高い漢字も多く含まれるため時間をかけて覚える必要があります。

特定技能「漁業」の外国人受け入れる際の注意点

4ヶ月以内に漁業特定技能協議会に加入し協力すること

特定技能をもつ外国人を雇用する際、企業にはいくつか求められる条件があります。そのひとつが漁業分野における特定技能制度の適切な運用を図るために水産庁が設けた「漁業特定技能協議会」に加入し、構成員になることです。受け入れを希望する事業者は、所属する業界団体に申請書を提出し、漁業特定技能協議会から証明書を公布されなければいけません。加入することで不正行為に対する横断的な再発防止や外国人材の受入れや人手不足の状況に関する情報の分析などに協力します。

漁業分野における適正な運用が目的

特定技能制度により外国人を受け入れるためには、細かいルールが決められています。それは日本の漁業分野の発展や人手不足解消のための制度であり、運用目的がぶれることで意図しない方向に進むのを防止するためです。漁船一隻あたりの技能実習生と特定技能外国人材の合計人数を指定するなど、安全面の確保も義務付けられてきました。ルールに違反したり、受入側の責任により失踪者を出れば、受入れ停止などの処分の対象となるので注意しましょう。

特定技能「漁業」の外国人の採用方法

採用サービス会社から採用する

FULCAST GLOBAL

特定技能外国人材を雇用する場合、漁業分野の事業者が受入れ機関となる場合と、人材会社から採用する2パターンがあります。おすすめの人材会社としてフルキャストグローバルがあります。フルキャストグローバルでは、海外で教育や訓練された即戦力の外国人人材の紹介など、日本ではなかなか採用が難しい人材の採用も可能に。また、在留資格交付手続きや書類作成のサポートも行ってくれるので、初めて採用する事業者にも良いでしょう。

特定技能ナビ

特定技能に特化した求人・休職サービスの特定技能ナビも外国人の採用におすすめです。特定技能ナビは、特定技能試験に合格した人、特定技能の対象職種において技能実習を終了した人に特化した求人サイトです。作業内容や必要な日本語レベルなど、事業者に合わせた適切な人材を選ぶことができ、ビザ申請や入社後の生活支援など細かいサポートも充実。採用手数料はかかりますが、採用決定までの費用は一切かかりません。効率的に安心して求める人材を採用することが出来るでしょう。

受け入れは5年間で最大9000人です

特定技能「漁業」の外国人の雇用を考えてみては?

今回は特定技能の漁業・養殖業についてご紹介してきました。特定技能制度は、ますます深刻化する人手不足に対応するために即戦力となる外国人を受け入れるべく生まれた制度です。今まで外国人の受け入れに閉鎖的であった日本ですが、国や地方自治体も積極的に取り組みはじめ新しい時代に突入するでしょう。この機会に特定技能漁業の資格取得者を採用し、漁業業界のさらなる発展と事業の成長にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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