記事更新日:2023年01月18日 | 初回公開日:2023年01月18日
人事・労務お役立ち情報フェイディングとは人材育成の手法の一つで、学習モデルの認知的徒弟制における最終段階のことです。伝統的な徒弟制の職業技術訓練をモデルとし、学習者の独り立ちを後押しするために、指導者が徐々に答えに関するヒントを減らし退く段階です。少しずつヒントを減らすことにより、学習者は自律性を養われ、自分でできることを増やすことが可能になります。認知的徒弟制は、見習い修行の学習過程を認知的に理論化した学習方法を指します。米国の認知学者であるジョン・S・ブラウン氏やアラン・コリンズ氏らにより提唱されました。
プロプラント・フェイディングは、部下の自立を補助する人材育成の手法です。プロプラントとは、望ましい行動を引き出すために与えるヒントや指示のことを指しています。IT用語では、コンピュータがユーザに対してコマンド入力を促す記号として馴染みがある方も多いでしょう。人材育成においては、まずプロプラントを与えながら知識をつけさせた上で、徐々にフェイディングを行うという段階を踏みながら部下の自立を促すのです。
ビジネスシーンでは、部下に仕事を教える場合には、成功体験を積ませることが成長機会を促すことにつながります。フェイディングのやり方はさまざまで、仕事や部下によっても異なるのです。また、手助けをたくさんする場合もあれば、少しだけでやめておく場合もあるでしょう。フェイディングを組み合わせる、使い分けるなどして部下自身で正解にたどり着くことが可能になります。そして成功体験や達成感が得られやすくなるのです。
フェイディングを用いて教育することで、社員が自分自身で考えて行動できるようになります。自分自身の意思に基づいて、仕事を遂行するために何をすべきかを考え、業務を主体的に行える自立した社員を育成できるのです。上司からの指示を待たずに自主的に取り組み、成果を導くことができる人材を育てることにより業務の効率化につながります。業界を問わずこの手法で人材を育成することは非常に重要です。上司は部下に指示を出す時間を削減できるようになり、マネジメントは新規案件に時間を使うことが可能になります。
フェイディングを用いることにより、人事戦略の構築が促されます。経営戦略を踏まえて従業員一人ひとりが、企業の目標達成に向けて自ら行動できるように育成することはそれ自体重要な人事戦略です。また自ら行動できる人材を育成することで、適材適所の人材配置、適切な人事評価制度の構築などにつながります。そして組織の生産性向上も期待できるでしょう。業務の効率化が図れるので、自社の採用計画も見直すことが可能となるのです。
フェイディングを活用して社員が自分で判断、行動できるようになることで仕事の効率化が期待できるのです。それぞれの業務について、1から10までの全てを指示する必要はなくなり、時間の節約が期待できます。また自ら判断できる社員に育てることで業務の改善点を探し出すことができるようになり、新しい発想が生まれることにもつながるでしょう。上司は時間をマネジメントや新規事業の考案などに回すことができるようになるのです。
自らで判断し、行動した経験が少ない社員は決断力や判断力が乏しく思ったように業務が進みなせん。フェイディング教育の手順では、まずは仕事のやり方を教えます。その後少しずつ自分で判断して行動するように促していき、最後は全部を任せるようにします。その際には管理し過ぎないようにしましょう。部下に業務を任せる場合には最初からはスムーズには進まないと考え、見守ることが大切です。しかし丸投げではなく、少しだけヒントを与える、進捗のヒアリングを定期的に行うなどの対策をとることが大切です。
社員が自主的に判断して行動できるようにするためには、実践の機会を多く設けることが必要となるでしょう。その過程で問題にぶつかり業務が停滞するかもしれません。けれどもその問題を解決するために自分で考えて行動し、より良い結果を導けるように経験を重ねていくのです。プロジェクトのリーダーをやらせてみる、顧客とのやりとりを任せるなど、重要な業務の実践を繰り返すことで学び、自信を身に付けていくことができるのです。
フェイディングのポイントとしては、管理しすぎず見守ることが大切なのです。答えをすぐに言わず、社員の状態に合わせて手助けの度合いを調節していきましょう。フェイディングの度合いが低すぎると失敗する可能性が高まります。反対にフェイディングの度合いが高すぎると、部下は信用してもらえないと感じてと反発を招く場合もあるでしょう。さらに、部下の成長意欲を育てることができず、常に指示待ちの状態になってしまう可能性があります。
フェイディングを行う際には、実践できる機会を多く設けるようにしましょう。社員の自立性を養うためには、経験の連続が必要となります。最初はスムーズには業務を遂行できないものです。しかし何度も繰り返して実践することによって、問題を解決する能力が身に付いていきます。問題を解決するために自分で考えて行動し、より良い結果となるように改善を繰り返すことが重要です。経験を積むことで自信をつけることができるのです。
フェイディングを効果的に取り入れるには、答えを先に言わずに待つことが必要となります。社員の状態に合わせて手助けの度合いを調節していきましょう。業務をうまく遂行できない場合でも、すぐに答えを与えてしまうと部下の成長意欲を育てることができません。むしろ常に指示待ちの状態になってしまう可能性があります。部下に期待する行動をさせるには、どの程度の援助をどのタイミングですればよいのかを、何度も実際に試してみながら、見極めていくことが求められます。
業務遂行の過程では必ず問題が現れるものです。そしてそれらを解決していくことを繰り返さなければなりません。しかも問題は常にうまく解決できるとは限らないでしょう。もし問題を一旦解決できたと思っていても、表面的な解決でしかなく真の解決に至っていない可能性もあるのです。上司は、部下が自分の力できちんと問題を解決していけるようサポートすることが求められます。それには、ひとつひとつの結論に至るまでのプロセスについて必ず解説を行うことが大切なのです。
フェイディングによる教育を行っても、社員が自分で判断して行動できるようになるにはある程度長い期間がかかります。フェイディングを行いながら、同時に振り返りを行い今後の改善策を伝える機会を持ちましょう。これにより社員の成長を促していくことができるようになるのです。定期的に振り返りの時間を設けることで、社員本人が自身の行動を反省し改善策を考える機会が与えられるでしょう。さらに自分自身の行動を振り返ることにより、次はより良い行動を取れるようになるのです。
社員教育にフェイディングを導入するだけで、すぐに社員が一人で業務をスムーズに行えるようになるわけではありません。また、指導する上司に任せるだけの指導方法では、思うように結果が出ない可能性もあります。また、結果にバラツキが出る場合もあるでしょう。フェイディングを行う場合には、上司が研修や勉強会で知識を深めることも重要になります。研修では受講者が同時にフェイディングに関する知識を得ることができるので、理解度にバラツキがでる可能性が低くなります。
フェイディングを行う際の注意点としては、失敗を過度に注意しないことが上げられます。失敗してはいけないという思いがあると、部下は失敗を恐れて萎縮し行動を制限してしまいがちです。部下が委縮しないようにするには、失敗を責めるのではなく次に活かすような職場風土を整えていきましょう。部下の誤った言動を過度に否定してはいけません。失敗から学んで次につなげられるという安心感を持てるようにすることが大切です。それが部下の自立性を育てることにつながるのです。
自立した社員を育てるために用いられるフェイディング教育法では、企業にとって最良な行動を取ることが評価されるのです。そのため社員が企業の経営理念や戦略など、会社への理解を深めることが必要となります。フェイディングを行う場合には同時に、上司は部下に会社の方針を伝えていかなければならないのです。業務を遂行する上での一つ一つの行動が、企業理念に沿ったものであることを説明しましょう。そうすることで部下が企業理念に沿って行動できるようになるのです。
フェイディングでは、社員が自分で考えて行動できるようにすることが目標です。社員が自発的に学べる環境を整えていきましょう。目まぐるしく変化する社会に応じて、新しい情報を取り入れ、知識を更新することは現代では欠かせません。社員が業務を遂行すると同時に、仕事に必要な勉強や情報収集などを支援できる環境を構築することが大切です。自発的に学ぶことで課題解決能力を強化することができます。また、新しいアイデアを考える、より効率的な方法を思いつくなど、企業にとってもプラスになるでしょう。
社員教育にフェイディングを用いることで、自分で考え行動ができる自立した社員を育てることが可能になります。しかもその行動は企業理念に沿ったものになるのです。これにより業務の効率化が図られ、社員の課題解決能力を高めることにつながります。さらに既存の手法に捉われない柔軟性を養うこともできるため、結果的に斬新なイノベーションをもたらすことが期待できるでしょう。このように企業にとってメリットの多いフェイディングを積極的に活用することで、人材育成に注力していきましょう。
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