記事更新日:2018年10月11日 | 初回公開日:2018年06月04日
人事・労務お役立ち情報2013年4月に改定された労働契約法では、契約更新によって通算5年の勤務を超えた非正規社員は、無期契約を申し込む権利が得られるとされています。2018年4月に初めての期限が訪れることになります。労働者派遣法では、2015年10月に、派遣社員は一つの部署で働けるのが3年までと改正されています。
つまり、2018年10月に施行後、初めての期限が訪れるわけです。この2つの法制定が、2018年の雇用に大きな影響と問題を発生させているようです。これが2018年問題と言われている所以です。もう少し詳しく見ていきましょう。
まず、そもそも改正は何のために行われたのか確認していきます。労働契約法、労働者派遣法のいずれも、雇用安定化を目的にして改正されているものです。非正規社員も契約更新によって5年以上の勤続があれば、申し出ることによって無期契約に転換できます。申し出があれば、企業は拒否できないとすることで、雇用の安定につながると考えられて改正されています。
また、派遣社員が一つの部署で勤続することに3年の期限を設けることで、企業に直接雇用への転換を促せると考えられたのです。何年働いても正社員に慣れないという正社員雇用を希望する派遣社員の保護(雇用の安定)の目的で改正されました。
これらの改正が期限(適用)を迎える2018年に、裏目に出ているのではないか懸念が広がっています。該当する非正規社員や派遣社員を擁する企業の中で、人材コストの増加を避けるための雇止めが横行する可能性があるのです。
仮に、無期契約や直接雇用への転換が順守されたとしても、企業が適切な転換に行き届く体制を整え切れていないケースが多いことも問題視されています。「無期転換社員」などとして新たな雇用区分を設置し、表向きには転換は行っても、待遇や条件自体は何ら変化がないような場合です。そうなると、該当社員のモチベーションを下げ、結局は雇用の継続につながらないということもあり得るでしょう。
人事担当側からすると、現状で深刻化している人手不足の解消のための打開策を受け止める方も少なくないと考えます。働き方の多様化が進んでいることによって非正規雇用の枠を広げている企業は確実に増えていますし、その検討を行っている企業がほとんどではないでしょうか。無期契約や直接雇用への転換を進めるときには、待遇や条件について明確な説明を行うことが重要になってきます。時間や業務範囲、業務スタイルの許容範囲などを明確にして、適応する待遇を設定し、納得してもらう必要があります。
そうでないと、無期転換した社員に働きがいや働きやすさを提供することは難しいでしょう。有期契約や派遣で働いてきた人たちの、都合と意向に配慮することも重要です。企業側の都合ではなく、自分の生活や働き方の希望によって、パートや派遣としての働き方を選択してきた人たちもいるということを心得て、柔軟な働き方を提供して対応していくべきでしょう。
また、雇用形態を転換する該当社員だけでなく、従来から無期契約だった正社員からも不満が上がってしまうことにもなりかねません。本来は、有期契約社員の存在(活躍や無期転換)は、正社員たちの刺激になったり、お互いが能力的にレベルアップすることで協働の質を高めたりするものでもあるという視点が必要でしょう。つまり、企業の人事管理自体も大きく転換しなければならない時期が訪れているということです。
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