記事更新日:2019年01月08日 | 初回公開日:2018年10月25日
ビザ(在留資格)について 外国人採用・雇用 人事・労務お役立ち情報ビザは主に就労の可否、居住の可否で分類されています。
これからこの記事では
・就労はできるが、居住はできないもの→就労できるビザ
・就労も居住もできないもの→就労できないビザ
・就労も居住もできるもの→居住できるビザ
としていきます。
ビザ | 就労できるビザ | 就労できないビザ |
---|---|---|
滞在 | 一定の範囲の職種・業種・勤務内容に限って就労可能。 | 観光・留学等。仕事目的の滞在はできない。 |
期間 | 有効期限が決まっているので、それを過ぎる場合は更新手続きが必要。 | 決められた日数まで観光のための滞在が認められている。期間以上の滞在はできない。 |
申請方法 | 入国管理局にて申請。 | 該当国の大使館・領事館にて申請。 |
就労できるビザには17種類があります。
■教授:大学教授や助教授・助手など
■研究:研究所に属する研究者、調査員等
■芸術:作曲家や写真家、彫刻家など芸術に関する者
■宗教:僧侶や宣教師等、宗教に関わる者
■報道:アナウンサーや新聞記者、編集者等のマスメディアに関わる者
■経営・管理:会社経営や役員、取締役等、平成27年度に投資・経営から変更
■法律・会計業務:弁護士、会計士、税理士等(日本の資格を有することが必須)
■医療:日本の資格を有する医師や看護師、薬剤師、療法士等医療現場に関わる者
■教育:学校教員やそれに準ずる学校での語学教育に携わる者
■技術・人文知識・国際業務:機械工学等の技術者や営業、通訳などの文系専門職(その他の就労できるビザに当てはまる職種を除く)
■企業内転勤:外国で就業している者が日本国内にある事業所等へ転勤する者
■技術・人文知識・国際業務:IT技術者、外国語教師、通訳、デザイナーなど理系、文系の分野、また外国人特有の能力を活かせる業務に関わる者、平成27年度から1本化
■興業:プロスポーツ選手や歌手、俳優など、演劇、演奏等の興業に関わる者
■技能:調理師や職人等の、特殊な分野において熟練した技能が必要な職種に携わる者
■介護:介護士等(介護福祉士の資格を有することが必須)
■技能実習:受け入れ企業と雇用関係を結び、技術や技能を学ぶために一定の期間日本に滞在している研修生
■高度専門職:法務省が指定するポイント制における評価で一定値を超えている者、平成27年度に創設
就労できるビザは一定の範囲の職種、業種、勤務内容に限って就労可能です。一人一種類のみ取得することができます。例えば、通訳者として就労ビザを取得している場合、現在保持しているビザで起業はできません。活動内容を変更したい場合はビザを変更する必要があります。
就労できるビザについて詳しくはこちら→日本で働く外国人の就労ビザ。種類と準備から申請までを一気に解決しよう
外交:6%増 H26に最低値 | 教授:8%増 H26に最低値 |
芸術:39%増 | 宗教:3%増 H26に最低値 |
報道:11%増 H27に一度減少 | 経営・管理:62%増 |
医療:255%増 | 研究:5%減 常に減少 |
教育:16%増 H26に最低値 | 技術・人文知識・国際業務:62%増 |
起業内転勤:14%増 | 技能:39%増 H28→H29減 |
興行:9%増 H26に最低値 | 技能実習:96%増 |
高度専門:790%増 H27~ |
平成26年に多くの値が最低値になっていますが、平成29年には平成25年に比べほとんどが増加しています。とくに医療関係の有資格者向けの医療ビザ、大きな優遇を措置されている高度専門ビザは、全体から見ると少ないですが、近年大きく増加の傾向にあります。
減少しているのは外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動をするための報道ビザ、日本の公的機関や一般企業との契約に基づいて研究などを行う活動が可能な研究ビザです。全体的にみると技術・人文知識・国際業務ビザが一番多く、増加も62%となっています。
就労できないビザのうち、留学生ビザには就労可能な技術・人文知識・国際業務のビザへの変更が認められます。日本における就職を希望する留学生は全体の約65%ですが、このうち約半分の留学生は留学ビザから就労ビザに変更し、日本で就職しています。
不許可になる例としては、
①社員に採用した後も、アルバイトで従事していた業務と全く同じ業務内容を考えていた
②留学生が専門学校で学んだ内容と関連性のない業務に従事する予定だった
③学士の学位が授与されていない
があげられます。
留学ビザから変更を認められた場合、理系、文系の分野、また外国人特有の能力を活かせる業務に関するものである技術・人文知識・国際業務ビザが許可されるため、このビザは留学生の増加にも大きく影響を受けていると考えられます。
該当の在留資格整備は以下の通りです。
①高度専門職1号・2号の創設
・各種の入国管理上の優遇処置を実施している高度人材者を対象とした新たな在留資格
・この資格をもって一定期間在留した者を対象とし、活動制限を大幅に緩和し、期限を無期限とした資格
②投資・経営から経営・管理への変更
これまでの外国資本との結びつき要件をなくし、日本国内企業において事業の経営・管理活動を行う外国人を広く迎え入れるようにした
③技術と人文知識・国際業務の一本化
専門的・技術的分野における外国人の受け入れに関する企業等のニーズに柔軟に対応するために、区分をなくした
これらの整備によって平成27年以降の増加が促されたと考えられます。
難民申請者のうち、95%は正規の在留資格を持っています。(内訳:短期滞在55%、技能実習15%、留学13%、出国準備期間の特定活動4%、他)
また、これらの国に関しては国内の政治的混乱が関係しています。この政治的混乱があるため特に日本では難民認定が受けやすく、留学生で入国し難民認定され、フルタイムで就業できるようになっています。そうなれば家族呼び寄せも可能となり、その家族にも就業資格が与えられます。
就労できないビザには6種類があります。
■文化活動:日本文化の研修者等
■留学:日本語学校・専門学校・大学等の学生、平成27年度から小中学生にも適用
■研修:日本の企業などで技能・技術・知識を修得する者
■家族滞在:在留外国人が扶養する配偶者・子
■短期滞在15日以内:観光客、親族訪問、会議参加者等、15日以内のもの
■短期滞在90日以内:観光客、親族訪問、会議参加者等、90日以内のもの
短期滞在ビザでは決められた日数までの観光・滞在が認められていますが、期間以上の滞在や仕事・留学目的の滞在の場合は別のビザが必要となります。
ただし、短期滞在ビザでないものは入国管理局から「資格外活動の許可」を得ていれば、週28時間以内などの範囲内でアルバイトをすることが可能です。
文化活動:26%増 | 留学:64%増 |
研修:0.2%減 H27に最低値 | 家族滞在:45%増 |
短期滞在15日以内:301%増 H26→H27急増 | 短期滞在90日以内:144%増 |
研修ビザ以外のすべてのビザが増加傾向にあります。特に留学生が64%と最も多く増加しています。減少している研修も0.2%と平成25年と比べるとほとんど変化はありません。
短期滞在ビザは15日以内、90日以内ともに常に増加しています。15日以内のビザは常に増加しており、平成26年から平成27年にかけてとくに増加しています。90日以内のビザも常に増加しており、就労の可否を問わずすべてのビザの中で最も取得者数が多くなっています。
観光ビザの外国人が増えている理由の一つに円安の影響があります。平成25年、安倍内閣による「アベノミクス」(デフレ経済を克服するためにインフレターゲットを設定して大胆な金融緩和)の実施で、より速いスピードで円安が進み始めました。そこから円安が続いているため観光客や留学生が増加傾向にあると考えられます。
日本への留学生で特に増加しているのが東南アジアからの留学生です。増加の理由としては、
①自国より高いレベルの教育を受けることができる
②日本語を学ぶことがキャリアアップにつながる
③他国に留学に行くより高等教育を安く受けることができる
④日本社会や文化への関心が高い
⑤日本では卒業後に在留資格の変更により就職が可能
⑥生活していく上での安心感、治安の良さ
等があげられます。
これらを詳しくみていくと、奨学金の充実、アルバイトが可能であること、日本企業の東南アジアへの進出、東南アジアの国々が発展して経済的に豊かになったことなどが理由として考えられます。
短期滞在者増加の中で、最近目立っているのが韓国人旅行者の増加です。伸びた理由としては、
①中韓の関係悪化により中国より日本を旅行先に選ぶ人が増えた
②LCCやクルーズの増加で国内よりもコスパがよくなっていること
③距離が近いので短期旅行で行ける
④クルーズ船の増加
等があげられます。
日本でも韓国への旅行はお得という印象がもたれているので、それと同様なのではないでしょうか。
ベトナム人やネパール人は留学生として来日していますが、その目的は就労である場合が多いようです。
ネパール人にとって外国での就労機会を得ようと考えたとき、一番簡単なのが、隣国インドです。そこに就労ビザ等の規制はありません。インドは今、急速な発展を遂げつつあり、建築現場等の雇用機会は多いのですが、その事故発生率が高く、ネパール人には意外と人気薄です。
就業先(留学先)として一番人気があるのがイギリス等の英語圏です。しかし就労資格を得ながらの留学が意外と難しく、日本なら留学ビザ(大学等ではなく専門学校や日本語学校が中心)があれば一定時間の就労が許されていることも関係していると考えられます。
就労ビザ取得者の増加すると日本に滞在する家族数も増加します。そのため家族滞在ビザの取得者が増加していると考えられます。
平成27年4月1日からの改正により教育の場における、低年齢からの国際交流促進に資するため、小中学生にも留学ビザが認められるようになりました。
また、上陸審査の円滑化に向け、同年1月1日からの法務省が指定するクルーズ船の外国人乗客を対象として、簡易な手続きで上陸を認める船舶観光上陸許可、平成29年度から実施された自動化ゲートを利用できる対象範囲の拡大も観光客増加に影響していると考えられます。
居住できるビザには5種類があります。
■永住者:法務大臣から永住の許可を得たもの、無期限
■特別移住者:在日朝鮮人・韓国人・台湾人とその子孫について、日本への定住などを考慮したうえで、永住を許可された者
■日本人の配偶者等:日本人の配偶者・子・特別養子
■永住者の配偶者等:永住者・特別永住者の配偶者及び我が国で出生し引き続き在留している子
■定住者:日本人の親族、日系人の子、外国人配偶者の連れ子等
特別永住者とは第二次世界大戦中に、日本の占領下で日本国民とされた在日韓国人・朝鮮人・台湾人の人たちが、敗戦後の1952年のサンフランシスコ平和条約で朝鮮半島・台湾などが日本の領土でなくなったことにより、日本国籍を離脱したことを受けた、在日朝鮮人・韓国人・台湾人とその子孫に対する永住権です。
居住を許可されるビザであれば活動に制限なく就労することが可能です。
永住者:36%増 | 特別永住者:8%減 H27に最低値 |
日本人の配偶者等:4%増 H27に最低値 | 永住者の配偶者等:51%増 |
定住者:31%増 |
日本で働く外国人の増加とともに、日本に居住する外国人も増加しています。最も増加しているのは永住者です。また、減少しているのは特別永住者のみとなっています。
永住者の配偶者等は居住できるビザの中で最も増加しています。これは、永住者の増加に伴いその配偶者、子供等が増加しているためと考えられます。
特別永住者の国籍のうち、韓国・朝鮮は99%、中国、台湾等その他は1%程度である。平成19年(2007年)末に初めて一般永住者の数を下回りました。特別永住者は韓国・朝鮮が99%を占めるのに対し、一般永住者は中国・台湾,ブラジル,フィリピン,韓国・朝鮮の上位4国で3分の2を占めています。
第二次世界大戦中に日本国籍を離脱したことを受けた、在日朝鮮人・韓国人・台湾人とその子孫に対する永住権ですので、減少の原因として、帰化や少子高齢化などが考えられます。
永住者となるには(1)素行が善良である(2)独立の生計を営むに足りる資産または技能を備えている(3)永住認定が日本国の利益になる、とする要件に加えて、おおむね20年の在日歴が必要でした。しかし平成22年の永住権要件緩和で一気に10年に短縮したことを契機に永住者は増加の一途をたどっているようです。
グラフでわかる通り、平成25年から平成29年の間はほとんどのビザが増加傾向にあります。また、2020年東京オリンピックや日本文化の人気上昇、ビザが緩和傾向にあることを考慮すると、今後も増加の傾向がみられると考えられます。
平成22年度の永住権緩和、平成27年の在留資格整備のように、時々入国管理局からの制度変更があります。ここで緩和されたり新しく創設されると増減に影響します。制度の改正が発表されたら確認し、理解することが大切です。
また、最新のものは平成29年度から在留資格「介護」の創設と偽造滞在者対策の強化が施行されています。
留学生は年々増加していることに加え、就業ビザを取得できていない学生も多くいます。
就労ビザを希望しているが不許可になっている学生に目をむけると採用の幅が広がるかもしれません。
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