アライシップとは?【アライについての解説やアライシップが重要視されている理由を解説します】

記事更新日:2025年08月22日 初回公開日:2025年08月22日

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近年、企業におけるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の重要性が高まる中で、「アライシップ」という言葉が注目を集めています。アライシップとは、マイノリティの立場にある人々の声に耳を傾け、理解し、積極的に支援する姿勢や行動を指します。特に、マジョリティの立場にある人が自らの影響力を認識し、日常の言動を通じて職場の公平性や多様性の推進に貢献することが求められています。本記事では、アライシップについてメリットを解説したり、アライになるための行動を解説したりします。

アライシップとは

マジョリティがマイノリティの権利擁護などの運動を積極的に支援すること

アライシップとは、マジョリティに属する人々が、マイノリティの立場にある人たちの権利や尊厳を守るために、積極的に支援や声を上げる姿勢を指します。例えば、LGBTQ+、障がい者、外国籍労働者など、社会的に少数派とされる人々が直面する課題に対して、当事者でない立場から寄り添い、共に変化を生み出すことが求められます。多様性が尊重される社会の実現に向けて、誰もが安心して自分らしく生きられる環境をつくるために、アライシップは欠かせない考え方となっています。

アライシップが重要視されている理由

DE&Iの概念が広まっているため

アライシップが重要視されている背景として、多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包摂(Inclusion)を意味するDE&Iの概念が広まっていることが挙げられます.このような価値観の広がりにより、「マイノリティ当事者だけが声を上げるのではなく、マジョリティも積極的に支援することが必要だ」という認識が高まりました。アライシップは、その中心的な行動指針のひとつとして位置づけられています。

マジョリティが職場を作ることが影響力を持つため

マジョリティが職場を作ることに影響力を持っている点もアライシップが重要視されている理由です。職場環境や組織文化は、多くの場合マジョリティである人々の価値観や行動によって形づくられます。そのため、マイノリティの立場にある社員が働きやすい環境を実現するには、マジョリティ側の理解と協力が欠かせません。このような取り組みがあることで、マイノリティの孤立や不平等の解消につながり、全社員が安心して働ける職場づくりが可能になります。

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アライ(ally)とは

性的マイノリティの人たちを理解し支援する人

アライ(ally)とは、性的マイノリティの人々を理解し、支援する立場にある人のことを指します。 偏見や差別のない社会の実現に向けて、当事者以外が自らの行動で支援の意思を示す存在であり、日常の中で当事者の声に耳を傾け、差別的な発言や不平等な構造に対して声を上げることが求められます。アライは性的マイノリティの人々が安心して自分らしく過ごせる環境づくりにおいて大きな力を発揮する存在であり、多様性を受け入れる社会に欠かせない役割を担っています。

ジェンダー・アライシップとは

職場におけるジェンダーの平等と公平性を積極的に促進すること

ジェンダー・アライシップとは、性別にかかわらずすべての人が平等で公平に働ける職場環境をつくるために、当事者以外の立場から積極的に支援・行動する姿勢のことを指します。 たとえば、女性や性的マイノリティの社員に対する無意識の偏見に気づき、意思決定の場に多様な視点が反映されるよう働きかけたりすることが含まれます。ジェンダーに関する問題は、当事者だけでなく周囲の協力がなければ根本的な解決が難しいため、影響力を活かして行動することがジェンダー平等の推進において重要なのです。

アライシップのメリット

マネジメント力の向上

アライシップのメリットとしてまず挙げられるのが、マネジメント力の向上です。多様な価値観や背景を持つ人材に対して柔軟に対応するスキルは、これからの時代に求められる重要な能力です。アライとしての視点を持つことで、上司や同僚との信頼関係を築きやすくなり、チームの心理的安全性も向上します。結果として、意見の活発なやりとりや相互理解が進み、メンバー一人ひとりが能力を発揮しやすくなります。多様性を尊重したマネジメントは、部下のやる気を引き出し、組織全体のパフォーマンスにも良い影響を与えます。

離職率や病欠率の低下

アライシップを取り入れた職場では、社員が自分らしく安心して働ける環境が整いやすくなります。多様性を受け入れる文化が根づいていることで、マイノリティに限らず、誰もが尊重されていると感じるようになり、職場へのエンゲージメントが向上します。これにより、仕事に対するモチベーションが持続し、ストレスの軽減にも繋がります。人材の定着が進むことで、採用や教育にかかるコストの削減にも貢献し、安定した組織運営を実現できる点も大きなメリットです。

女性社員の活躍を推進しやすい

アライシップを実践することで、性別による固定観念や無意識のバイアスを見直すきっかけになります。女性社員が直面しやすい課題に対して、マジョリティ側が自ら積極的に支援する姿勢を示すことで、公平なチャンスや評価が実現されやすくなります。たとえば、育児や介護といったライフイベントとの両立支援や、柔軟な働き方の導入など、制度だけでなく意識の面でもサポートが広がります。こうした土壌が整えば、女性社員が自信を持って意見を発信し、リーダーとして活躍する機会も増えていきます。

アライシップを誤って進めた際の悪影響

悪意なくアンコンシャスバイアスに囚われた言動をしてしまう

アライシップは本来、マイノリティの立場に寄り添い、平等で公平な環境をつくるための姿勢ですが、知識や理解が浅いまま進めてしまうと、逆効果になることがあります。たとえば、悪意がなくとも「〇〇なのに頑張っていて偉いね」といった無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)を含む言動をしてしまうことがあります。こうした発言は、相手にとっては差別的に感じられ、信頼関係を損ねかねません。アライである自覚を持つなら、まずは学ぶ姿勢を大切にし、自分自身の思い込みや価値観に目を向け、常にアップデートしていくことが重要です。

短期的に生産性が低下する

アライシップの取り組みを職場に導入する際、全社的な理解や浸透が不十分な状態で急に進めてしまうと、混乱が生じることがあります。従来の価値観とのギャップから反発が起きたり、何をどう変えればよいかが明確でないまま運用されてしまうことで、社員が戸惑い、結果として短期的に生産性が低下するケースもあります。また、表面的な施策にとどまると「ポリコレ疲れ」や「偽善」といった声も上がり、組織の一体感を損なう恐れもあります。アライシップは“正しく学び、段階的に進める”ことが、長期的な成果につながる鍵です。

アライになるための5つの行動

自分自身がマイノリティについて学ぶ

アライとして信頼される存在になるためには、まず自分自身がマイノリティに関する知識を深めることが重要です。性別、性的指向、人種、障害、国籍、宗教など、多様な背景を持つ人々が置かれている社会的状況や歴史的背景を理解することで、無意識の偏見や先入観に気づくことができます。インターネットの記事や書籍、映画、ドキュメンタリーなどから情報を得るのはもちろん、当事者の声に直接耳を傾ける機会を持つことも大切です。また、「知らなかったこと」を恥じるのではなく、「知ろうとする姿勢」が何よりもアライの第一歩になります。

マジョリティという立場を活かす

アライが持つ影響力のひとつは、「マジョリティ」という立場にあります。マジョリティの行動や言動は、組織の雰囲気や文化に大きく影響を及ぼすため、積極的に公平性や多様性の重要性を発信することが求められます。たとえば、差別的な言動に対して黙って見過ごすのではなく、「その発言は不適切だと思う」と指摘することで、職場の空気を変えることができます。また、普段見えにくい課題や、当事者が声を上げにくい状況に対して、声を上げやすい立場で行動することは、非常に効果的な支援です。

積極的にフィードバックを求める

アライとして行動するなかで、「良かれと思ってやったこと」が思わぬ誤解や不快感を生むこともあります。アライシップは「完璧さ」を求めるものではなく、「誠実に関わろうとする姿勢」が何より大切です。そのためには、自分の発言や行動に対して、当事者や周囲の人からフィードバックを積極的に受け取り、謙虚に受け止める姿勢が必要です。指摘された際には防衛的にならず、なぜそのように感じられたのかを理解する努力を続けましょう。また、定期的に「この表現は不適切でないか」「配慮が足りなかった点はないか」と自問自答することも大切です。

当事者の代弁者となる

多くの職場では、マイノリティの声が意思決定の場に反映されにくいという現実があります。そのような中で、アライが果たすべき大きな役割の一つが「代弁者」となることです。たとえば、会議中に誰かのアイデアが無視されたときに「今の意見、とても大事だと思います」と拾い上げたり、「その視点も検討したい」と議論に巻き込んだりする行為は、当事者にとって大きな支えとなります。ただし、「代弁すること」は「代わりに話すこと」ではありません。本人の意思や声を尊重した上で、必要な場面で後押しする姿勢が大切です。

ビジネスに活かす

アライシップの取り組みは、単なる個人の意識改革にとどまらず、企業の成長やブランド価値向上にも直結します。多様な価値観や背景を持つ人々が働きやすい職場は、創造性や柔軟性に富み、イノベーションが生まれやすい環境を築くことができます。実際に、D&Iの推進に積極的な企業ほど、新市場の開拓や従業員満足度の向上に成功している例も多く見られます。アライとしての行動は、チームの信頼関係を高め、生産性や離職率の改善にもつながります。また、商品やサービスを設計する際に多様な視点を取り入れることで、より多くの人に届くビジネス展開が可能になります。

アライシップの研修を行える企業

株式会社コーナー

株式会社コーナーは、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の専門家が多数在籍し、企業向けにアライシップやアンコンシャスバイアスに関する研修を提供しているコンサルティング会社です。特徴的なのは、単なる知識提供にとどまらず、受講者が自らの無意識の偏見に気づき、対話を通じて具体的な行動変容を促すワークショップ形式の研修を実施している点です。アライとしての適切なふるまい方、当事者の声の受け止め方、マジョリティの立場からできる支援のあり方などを実践的に学ぶ内容が多く、役職者向けや若手社員向けなど対象に応じたカスタマイズも可能です

P&G

P&Gは、グローバルでD&Iを重視している企業として知られており、アライシップに関する社内研修を積極的に展開しています。特に注目すべきは、従業員一人ひとりが「誰かのアライになる」ことを行動指針として明確に掲げている点です。社内ではeラーニングやワークショップ、パネルディスカッションなど、多様な形式の研修プログラムを用意し、性別、LGBTQ+、障害、国籍など多様なテーマに対応したアライシップの学びを提供しています。P&Gの取り組みは社内にとどまらず、他企業との連携や社会啓発活動にも発展しており、アライ文化を企業全体に浸透させる模範例といえるでしょう。

まとめ

アライシップを推進して風通しの良い職場を構築しよう

アライシップは、マイノリティに対する一時的な支援ではなく、誰もが尊重され、安心して自分らしく働ける職場を実現するための持続的な取り組みです。マジョリティが自らの特権に気づき、積極的に声を上げたり、行動に移すことで、組織全体の心理的安全性が高まり、チームの信頼関係やパフォーマンスの向上にもつながります。また、アライの存在はダイバーシティ&インクルージョンの推進にも大きく寄与し、企業の社会的信頼やブランディングを強化する効果も期待できます。

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