記事更新日:2024年03月04日 | 初回公開日:2024年03月04日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報STP分析とは、マーケティング戦略のためのフレームワークです。STP分析はマーケティングにおいて重要なフレームワークの一つで、マーケティングの父とも呼ばれているコトラーが提唱した手法です。マーケティングでは「誰に、何を、どのように」売るかが重要です。STP分析は、Segmentation(セグメンテーション),Targeting(ターゲティング),Positioning(ポジショニング)の頭文字から来ています。
STP分析を行う目的は、市場でのシェアを獲得することです。STP分析を行う事によって、市場の全体像や自社として狙うべき市場の内容が明確になります。ターゲット市場が明確になることで、それに合わせたマーケティング施策を実行することが可能です。またSTP分析は、新規事業への参入や商品開発を行う際にも重要になる考え方です。しっかりと分析を行う事によって、自社が持っている強みや他社との差別化出来るポイントなども把握することができ、更なるシェア獲得に繋がります。
STP分析のメリットは、顧客やニーズを整理できる点です。いくら自社の商品やサービスに自信を持っていても、市場のニーズや顧客が求めている物と相違があれば、売り上げを上げることは出来ません。STP分析で市場や顧客が何を求めているのかを明らかにし、自社の商品に合う顧客層を把握することに役立ちます。自社が提供できるニーズを知ることで、具体的なペルソナの設定も行うことが出来ます。ニーズの整理だけでなく、ビジネスモデルを構築するためにも必要不可欠です。
STP分析を行う事で、自社の強みを把握できるメリットがあります。具体的なペルソナを設定することが出来れば、自社の商品・サービスの特徴や顧客へのアピールポイントなどを強化する事に繋がります。自社の強みを具体的に把握することは、プロモーション戦略を推進していく上で欠かせません。自社の強みを社内やチーム内での共通認識としておくことで、立場や役職によるズレを発生させにくくなり、組織力強化にも繋がっていきます。
STP分析は、他社との差別化ポイントを把握できる点がメリットです。自社の製品と競合他社の製品を比べる事で、差別が出来るポイントを把握することが出来ます。自社の製品に差別化できるポイントを把握できれば、競合他社との競争を行わずに市場競争で生き残れる市場(自社にとって優位になる市場)を戦略的に選択することが可能です。自社の製品やサービスがいくら優れていても、既に実績のあるブランドが存在している市場ではどう立ち回っていくのかを見極める事が大切です。
プロモーション戦略を練る土台が出来るのも、STP分析のメリットの一つです。ビジネスにおいてSTP分析が重視されているのは、STP分析を行う事で「どういった顧客に商品をどのようにアプローチしていくのか」という観点で分析することが出来ます。そういった観点を持つことにより、プロモーション戦略を練る土台を構築できるという点が大きなメリットです。こういったプロセスを通じて構築されたプロモーション戦略は、分かりやすく言語化されているため従業員の共通認識として浸透しやすくなっています。
STP分析には3つ要素があります。S-セグメンテーションは、市場を顧客やニーズなどの共通項によって細分化するプロセスです。ここでの市場は、消費財市場と生産財市場に分けられます。消費市場とは消費を目的として個人や家庭で使用される財やサービスを対象とする市場です。人口動態軸・地理軸・社会心理学軸・行動軸の4つに分類します。生産財市場とは、生産のために使用される財やサービスを対象としている市場です。人口軸・オペレーション軸・購買アプローチ軸・状況要因軸に分けて分析します。
T‐ターゲティングは細分化されている市場の中から、自社がターゲットにする市場を選ぶプロセスです。ターゲティングでは、集中型・差別型・無差別型のマーケティングから適した方法を選択します。集中型マーケティングはターゲットにする市場を絞り込んでマーケティングを行います。差別型マーケティングでは、複数の市場からニーズに合った製品を提供する手法です。無差別型マーケティングは、様々な市場に対して同じ製品の提供を行います。
P-ポジショニングは、ターゲティングで選択した市場に関して調査し競合他社との関係から自社の立ち位置を決めるプロセスです。ここでは競合他社の製品やサービスの価格や品質を調べ、自社の製品との比較を行います。比較した上で、自社の製品にどういった優位性があるのかを明確にしておきましょう。ポジショニングでは一般的に、ポジショニングマップという2軸のマトリクス図を作成し、自社の立ち位置を分かりやすく分析します。
STP分析を行う上での注意点は、STP分析のみに依存しないことです。STP分析を行う事で、自社が競争に勝てる市場を見つけることが出来たとしても、製品やサービスを売る為の戦略や工夫を行わなければ売り上げを上げる事は出来ません。STP分析はあくまでもターゲットを絞り、自社の市場内の立ち位置を確認するためのフレームワークです。顧客に自社の製品やサービスを認知してもらい、購買を促すフレームワークは4Pなど他の物を活用しなければなりません。
STP分析をする上で、狙った市場が適切かどうかも判断しましょう。STP分析で自社に合う市場を見つけることが出来ても、実際にそのポジションが正しいとは言い切れません。市場が既に他と比べて小さい場合や、将来的に先細りすることが目に見えている市場ではマーケティング戦略に工夫が必要です。こういった手間を掛けなくていいようにするためには、STP分析で導き出した市場が適切か市場の大きさや成長に問題がないかを、別の視点でデータ収集を行い分析することも大切です。
順番にこだわりすぎないことも、STP分析を行う上で注意すべきポイントです。STP分析を行う際は一般的にセグメンテーションから行い、STPの順番で進めていきます。しかしSTP分析では3つの項目が連動していることから、必ずしもセグメンテーションから行う必要はありません。順番を気にしすぎるあまり、しっかりとした分析が行えなくなってしまう可能性もあります。こういった事態に陥らないためにも、現在進めているプロセスに限界を感じたときには着手しやすいプロセスから始めるようにしましょう。
STP分析を行うには、まず目的を明確にします。STP分析を行う前に、事業の目的とゴールを明確にしておくことが大切です。STP分析を行う目的は、事業の目的やゴールを達成するために活用します。事業の目的やゴールが明確になっていない状態でSTP分析を行っても、分析を行っていく中で上手く進める事が出来ません。事業の目的を社内の共通認識として浸透出来ていない場合に、認識のずれが生じ納得できないポジショニング設定されたと不満を抱いてしまう人も増えてしまいます。事前に目的を明確にしておくことが重要です。
目的を明確にした後には、必要な情報を集めるようにしましょう。STP分析をするには、市場のデータや顧客情報が欠かせません。特にセグメンテーションを行う場合は、市場・顧客情報が必要になります。企業で集められる情報だけでなく、政府などが出している地理データや価値観やライフスタイルをまとめたアンケート調査の結果など、様々なデータが必要になることもあります。ターゲティングやポジショニングでは、競合他社の情報も必要になってくるため事前にしっかりと準備しておきましょう。
分析を行うのに必要な情報が集まってから、STP分析を行います。しっかりと準備をしていても、STPを行っていく中で決断が難しい場合もいくつか出てきます。決断することに行き詰った場合には、先のプロセスに進む・前のプロセスに戻るなど臨機応変な対応も必要です。STP分析のフレームを活用しながら、市場の成長度や競争環境・競争の優位性など総合的な判断を行った上で狙うべきターゲット決めを行い、自社の立ち位置を決めていきましょう。STP分析では、複数のターゲットを狙う戦略作りも可能です。
STP分析によって得られた結果を元に、戦略を立てていきましょう。STP分析を行った結果、ターゲット設定と自社の立ち位置を明確にすることが出来た場合には、具体的なマーケティング戦略に落とし込んでいきます。企業のブランドイメージは顧客の中で構築されていくものであることから、顧客にも伝わっていなければなりません。しかし一般的にはポジションの確立や変更を行うには、長期的な時間が掛かります。そのため、パフォーマンスに一貫性を持たせ丁寧なコミュニケーションが欠かせません。
株式会社ファーストリテイリングの主要ブランドであるユニクロは国内外で大きな存在感を示しています。他のアパレル企業では年齢や性別でセグメンテーションを行いますが、ユニクロでは顧客のニーズを軸にしています。顧客のニーズを基盤にしているため、生産量を細かく調整することが可能です。また細かいターゲティングを行わず、カジュアルで普遍的なユーザーをターゲットにしておりここでも顧客のニーズを中心にしています。ポジショニングでは究極の普段着をコンセプトに資、競合他社との差別化も図っています。
STP分析のメリットや、実施する際に注意するポイントなどについて解説しました。STP分析は、セグメンテーションで市場全体の理解を行い、ターゲティングで複数ある市場の中から自社が狙う市場を定め、ポジショニングで競合他社との位置関係を決定します。自社の製品やサービスに誇りを持つことも大切ですが、その魅力が適切なターゲットとなる顧客に届いていなければ意味がありません。STP分析では市場や顧客についてしっかりと理解することが重要です。STP分析を活用して自社の差別化を行いましょう。
「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。
グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。
他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。
この記事を読んだ方は次のページも読んでいます。