社員研修に助成金を適応させるためには【助成金の種類や申請方法、注意点などを解説します】

記事更新日:2023年01月12日

人事・労務お役立ち情報
コロナウイルスが流行するまでは、助成金制度について詳しく知らない人も多かったのではないでしょうか。しかしコロナウイルスの流行により、景気が悪化し経営を維持することが難しくなった企業も少なくありません。雇用を維持するためには、コストが掛かります。企業の負担を少しでも軽くするために、助成金制度が制定されています。コロナ禍では、助成金の対象要件が変更されるなど経済状況に合わせて運用されています。今回は助成金の中でも社員研修の際に活用できる助成金について詳しく解説していきます。研修を導入しようと考えている経営者の方は、参考にしてみてください。

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社員研修の際に適用できる助成金の種類

人材開発支援助成金

正社員の職業能力開発を促進するための制度

社員研修の際に適用できる助成金は、人材開発支援助成金です。人材開発支援助成金は、正社員の職業能力開発を促進する為の制度です。労働者を新たに雇って育成しようと考えている場合や、既に雇用している社員をスキルアップさせたいと考えている事業主に対して費用の一部が助成されます。人材開発支援助成金には、7つのコースがありそれぞれ要件などが異なる為対象となるコースをしっかりと確認する必要があります。また、2022年4月から講義の施設や講師に変更が生じているためしっかりと確認しましょう。

特定訓練コース

人材開発支援助成金には、いくつかのコースに分かれています。特定訓練コースは、社員の生産性を向上させる為の専門性の高い研修や訓練を行った場合に助成を受けられるコースです。「事業所の雇用保険被保険者となった日から5年経過していない35歳未満」や、「熟練技能者の技能継承の為の研修」を行った場合に対象となります。訓練時間は10時間以上と定められており、座学や実技を組み合わせて行う訓練に関しては厚生労働大臣が認定している時間行わなければならなりません。

一般訓練コース

人材開発支援助成金の一般訓練コースは、特別訓練コースに該当していない研修や訓練が対象です。一般コースは特別訓練コースより細かい区分けなどはされていません。一般コースの助成要件となるのは、「OFF-JT(研修や訓練)を行うこと」「訓練時間は20時間を超えること」「キャリア形成の節目には、キャリアコンサルティングを受けること」の3つです。特別訓練コースよりも要件のハードルが低いため、申請しやすいのが一般コースです。

教育訓練休暇付与コース

教育訓練休暇付与コースでは、事業主が新しく教育訓練休暇制度等を導入し社員が休暇を取得して訓練を受けた場合に助成が受けられる制度です。教育訓練休暇付与コースには、有給教育訓練休暇制度と長期教育訓練休暇制度に分かれています。数日から数週間の訓練の場合は有給教育訓練休暇制度が対象となり、長期教育訓練休暇制度の場合は最低でも120日以上の休暇を付与しなければなりません。有給による休暇の付与には上限があり、1人当たり150日までと決まっています。支給対象人数も社員数によって制限がある為しっかりと確認しましょう。

特別育成訓練コース

特別育成訓練コースも人材開発支援助成金の一つです。特別育成訓練コースは、有期契約の労働者を対象とし正社員への転換や処遇の改善を目的とした人材育成の為の助成金です。特定育成訓練コースでは、「一般職業訓練」「有期実習型訓練」「中小企業等担い手育成訓練」の3つが対象となります。一般職業訓練は、OFF-JTのみとなっており20時間以上の訓練を行わなければなりません。有期実習型訓練と中小企業等担い手育成訓練はOFF-JTだけでなく、座学などの研修も必要となり訓練時間はそれぞれ異なります。

雇用調整助成金

コロナの影響で教育訓練も助成金の対象になる

雇用調整助成金も、社員研修を行う際に申請出来る助成金です。雇用調整助成金は、景気の影響を受けた場合や、経営上の問題により事業継続が困難になった際雇用を継続させるために国の援助が受けられる制度です。最近では、コロナの影響で教育訓練を行う場合にも、助成金を受け取ることが出来るようになっています。オンライン研修等も対象となった他、職業職種問わずに社会人として必要な研修も付与対象になる等、条件の緩和もされています。

キャリアアップ助成金

非正規雇用者を正規雇用した場合に適用できる制度

社員研修を行う際には、キャリアアップ助成金も申請を行うことが可能です。非正規雇用者を正規に雇用した場合や、非正規雇用者の処遇改善を行った場合に適用される制度です。非正規雇用には、派遣社員や有期労働者だけではなくパートアルバイトも対象となる為比較的活用しやすい制度と言えます。キャリアアップ助成金制度も、2022年4月から定義変更や助成金の一部廃止などがおこなわれているため、申請を行う際にはしっかりと内容を確認することが重要です。

正社員化促進コース

キャリアアップ助成金には、正社員化促進コースがあります。正社員化促進コースは、事業主が非正規で雇用している社員を正社員に転換させるか、直接雇用に変更した際に助成の対象となります。それだけではなく、パート・アルバイトで働いている人を正社員で雇用した場合や、派遣として来ていた社員を正社員雇用に切り替えた場合にも助成金の適用対象です。但し、正社員へ転換もしくは直接雇用に変更した前後の6ヵ月分の賃金を比較し3%以上増額していなければなりません。また対象となる人数にも制限があり注意が必要です。

賃金規定等改定コース

賃金規程等改定コースも、キャリアアップ助成金の一つです。正社員化促進コースは雇用変更後、賃金が3%以上増額している必要がありますが賃金規程等改定コースでは非正規雇用のまま賃金を2%以上昇給した際に対象となります。改定コースでは、基本給をアップした人数によって助成される金額は変わってきます。加算措置などもあり、要件を満たせば更に助成金額が上乗せされる可能性もあります。企業規模によっても支給額などが異なる為、申請の際はしっかり確認することが大切です。

社内型スキルアップ助成金

社内でのスキルアップを行う際にも、社内型スキルアップ助成金の申請を行うことが出来ます。社内型スキルアップ助成金と、民間派遣型スキルアップ助成金は東京都が行っている助成金制度で都内にある中小企業が支給対象です。都内の中小企業が、社員に職業訓練などを行った際に費用の一部を負担してもらうことが出来ます。要件として、訓練時間は3時間以上受ける必要があり、12時間未満になる様な研修や訓練でなければなりません。計画通りに訓練実施が確認されると、東京都から女性を受けることが可能です。

民間派遣型スキルアップ助成金

民間派遣型スキルアップ助成金は、民間の教育機関等が実施している研修や訓練に社員が参加しに行くことで費用の一部を助成してもらうことの出来る制度です。似ている制度に「オンラインスキルアップ助成金」がありますが、民間派遣型スキルアップ助成金ではeラーニング等を使用した研修等は対象外となる為注意が必要です。社内型スキルアップ制度では団体組織も申請になりますが、民間派遣型スキルアップ助成金は中小企業のみが対象になる等異なる点もある為注意しましょう。

社員研修を行う際の助成金申請の基本的な流れ

研修計画の作成と提出を行う

社員研修を行う際の助成金申請では、まず研修計画の作成と提出を行いましょう。社内研修を行うには、社内にて職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画を行わなければなりません。作成した職業能力開発計画に基づき、社員の研修を年間でどのように行っていくのかの計画を立てます。年間計画とともに、訓練の時間や実施場所、対象社員等の具体的な情報を記載した「訓練実施計画書」を訓練が開始する1か月前までに管轄労働局かハローワークへと提出を行いましょう。

研修の実施内容を報告する

提出した研修計画の内容に沿い、研修を実施した後に実施内容の報告を行いましょう。管轄労働局に提出した計画に変更が生じた場合は、変更前に予定していた研修日か変更後の研修日のどちらか早い方の日程前日までに「計画変更届」を出さなければなりません。事前に提出した物と変更があるにも関わらず、変更届を出していない場合は変更された箇所に関しての助成金が支払われない場合もあります。その為変更になった際はすぐに対応しましょう。変更がなく計画通りに研修を実施出来た際には、実施報告として管轄労働局に報告しましょう。

助成金の受給申請を行う

助成金を給付して貰うためには、助成金の受給申請を必ず行う必要があります。訓練終了の翌日から起算して、2ヶ月以内に助成金を受けるのに必要な「支給申請書」等の書類の申請を行いましょう。支給の申請を行うまでに、訓練に掛かった経費は全て支払いが終わっている状態でなければ申請の対象から外れてしまう可能性もあるため注意が必要です。支給申請は、支給申請書の他にも「支給要件確認申立書」等申請しなければいけない書類も多く、添付書類なども様々の為申請漏れなどが無い様申請前にしっかりと確認しておきましょう。

社員研修の際の助成金申請における注意点

特定訓練コースは厚生労働大臣の認可が必要になる

社員研修の際に助成金申請を行う場合、特定訓練コースは厚生労働大臣の認可が必要になります。特定訓練コースは、正社員の生産性向上などを図るための訓練をした際に助成が受けられるコースです。特定訓練コースは他のコースとは異なり、年間計画表などを提出する前に大臣の認定審査を受けなければなりません。実習併用職業訓練実施計画書を管轄労働局に提出し、大臣認定書通知の交付を受けていなければ助成の対象とならない為必ず年間計画表を申請する前に、認定を受けるようにしましょう。

人材開発助成金の対象から除外される行動の事例

助成金の申請には、人材開発助成金の対象から除外される行動もあるので注意が必要です。事業内訓練を行う場合、講師を担当するには実務経験を5年以上積んでいるか所有している資格を提示する必要があります。要件を満たしていない人を講師とした場合、対照から外れる可能性があります。また、支給申請は研修や訓練を終えてから2ヶ月以内に行わなければなりません。全ての研修が終わった日から数えて2ヶ月と考えてしまいがちですが、「OJTを行い、最初に修了した人の研修完了日から数えて2ヶ月」で却下されることもある為事前に確認しましょう。

雇用調整助成金の対象から除外される行動の事例

雇用調整助成金は、雇用保険が適用されている企業に雇用されている社員全員が対象となります。しかし解雇予告をされている人や、会社からの退職勧奨に応じた人については、対象とはなりません。またコロナウイルス特例措置期間は除外されていましたが、休業を実施した日に関連する賃金締切日の前日までに、雇用期間が6ヶ月未満の社員に関しては助成対象外となります。但しパート・アルバイトも助成の対象となる為、幅広く活用することも出来ます。雇用調整助成金の要件などは、景気などで変動する為都度確認することが重要です。

まとめ

助成制度を活用し効率よく社員研修を行いましょう

社内研修の際に活用できる助成金の種類や、申請する際の注意点などについて解説しました。雇用維持だけでなく、社員のスキルアップ等にも費用の一部を支援してもらうことが出来ます。助成金は申請するコースによって、提出する書類や事前に準備しておくもの等が異なります。申請しようと考えている助成金の必要書類や、書類提出期日については申請を行う前にしっかりと確認しておきましょう。助成金は経済状況等により要件の見直しなどが行われる為、都度最新の状態を確認することが大切です。助成金制度を活用して、効率よく社員研修を行っていきましょう。

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