リーダー育成とは【リーダー育成のポイントと具体的な事例を紹介します】

記事更新日:2021年06月28日 初回公開日:2021年06月25日

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企業の将来を担うリーダーを育成するためには、長い時間が必要となります。経営やマネジメント知識を吸収するのはもちろんのこと、育成の現場では実際に数々の困難に立ち向かい、成長していく必要があるからです。また、周囲の理解も大切で、育成期間中であることを理解してもらえるよう説明が必要となります。この記事では、リーダー育成において必要となる社内の体制づくりや、リーダー育成の際のポイント、習得すべきスキルや他社での取り組みをご紹介します。次世代を担う、ポテンシャルを持った人材のリーダー育成を検討している人事担当、中間管理職の方に、是非ご覧いただきたい内容です。

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リーダー育成とは

企業の経営を担う人材を育てること

リーダー育成とは、企業の将来を担うことができる、経営者や経営幹部を育てることを言います。企業を取り巻く少子高齢化や、絶え間なく進歩する進歩する科学技術、社会の高度情報化は、コロナ禍の影響もあり目まぐるしく変化する一方です。変化に適切に対応するためには、柔軟に、かつスピーディに対応できる人材の育成が求められています。しかしリーダー育成は、環境の整備や人材の選定が必要となり、取り組みを始めるにあたっても簡単ではありません。

リーダーとマネージャーの違い

リーダーは自らが先頭に立って組織の方向性を決める

リーダーとは、先頭に立って組織を指揮し、方向性を示す役割を持っています。歴史上の人物で例えると、坂本龍馬のようなイメージです。周りの人を統率して一つの方向に導く強い統率力を発揮しているのは、誰もが知るところでしょう。企業では同じ組織に属していても、考え方や価値観は人それぞれ異なります。しかし全員が同じ方向を向いて、同じ目的を達成するために、わかりやすく方向性を示せるリーダーは不可欠な存在と言えるでしょう。

マネージャーは組織内で業務や人材の管理を行う

マネージャーは、組織所属のメンバーが本来持っている能力を、最大の力で発揮できるようにサポートするマネジメントの役割を持っています。自分で仕事をするというよりは、環境を整えて人に仕事をしてもらうことがマネージャーの仕事です。ホテルのマネージャーは支配人、企業では管理職と考えると、役割が理解しやすいでしょう。業務や人材の管理を行い、必要な研修などを行います。メンバー個々の個性や能力を引き出すのは難しいですが、マネージャーが陰から支えることで、業績向上が目指せる場合も少なくありません。

リーダー育成の課題

企業内での優先順位が低くなりやすい

リーダー育成では、経営に関する知識やマネジメントをはじめ、多くの事柄を学んで知識を得なければなりません。そのため学習に必要な期間が非常に長くなります。また、リーダー育成の間は周囲の理解を得て協力を仰ぐ必要がありますが、活躍中の人材を現場から切り離すことにもなるため、結果的に現場にも大きな負担がかかるのは言うまでもありません。業務にも影響が出ることを懸念し、優先順位が低くなり、育成が後回しになることが少なくありません。

そもそも育成の体制が整っていない

リーダー育成のためには、社内の体制を作るための取り組みが必須となります。例えば育成に携わる人材や教育のための制度の構築、人事評価方法の決定が必要です。しかし経営や業務に余裕がない企業にとってみれば、リーダー育成のための体制作りが不可能な場合も少なくありません。また、組織の中のどの人材をリーダーとして育成していくかの選定も大切ですが、どのように選抜し絞り込むのか、方法がわからないケースも考えられます。

育成には時間がかかる

リーダーの育成には、非常に時間がかかります。育成に取り組んでも、得た知識を実際に応用することができる環境の用意も簡単ではありません。実践までに空白期間があると、時間をかけて習得した内容を忘れてしまって、取り組みの成果を発揮できなくなってしまいます。また、リーダー育成では、「育った」と判断できる検証基準を設けにくいことも難点です。育成の効果をはっきり実感できないために、リーダー育成は敬遠されがちになっています。

リーダーの育成方法

リーダー育成の目標を設定

リーダーを育成するためには、その目標を明らかにしておく必要があります。リーダーの育成期間中は、周りのメンバーには協力をしてもらわなければなりません。業務のひっ迫などを招かないよう、あらかじめ調整が必要です。併せて周囲の理解を得るために、「なぜ今リーダー育成が必要なのか」の理由と、その目標を明確に説明し、理解を得られるようにしましょう。関係者が納得することで、育成環境はさらに安定したものとなります。

リーダーに必要な条件を明確化

育成候補者には、どのようなリーダーになってほしいのか、リーダーとして求める条件を明確に伝えます。条件を明確化し双方が目標を共有することで、育成が計画的に行えるからです。リーダーの条件はさまざまですが、一般的には「社会の動きを把握し、何をすべきかを判断し行動する企業を統率するリーダーシップ力」「具体的に計画を立て先導できる、ビジョン実現のためのマネジメント力」「組織設計や人事労務、情報セキュリティを含めた経営管理の知識」に分けられます。

リーダー候補者の選抜

リーダーに求める条件が明確になったら、育成対象となる人材を絞り込みます。選抜には、現状の評価や実務能力だけではなく、仕事に対する意欲や能力、将来的なポテンシャルなどを盛り込むことが大切です。選抜方法は、部門の長からの推薦が一般的ですが、この方法では顕在化した能力のみでの判断が多く、潜在能力は判断材料とならない場合があります。そこで、複数の人間で人材をリストアップし、徐々に絞り込んでいく「ロングリスト・ショートリスト方式」、または自薦他薦による応募も検討すると良いでしょう。

トレーニング・研修プログラム等の実施

リーダー育成の候補者を選抜したところで、次は実際に行う育成方法について、具体的な計画を立てます。候補者の強みや弱みを明らかにしながら、メリハリをつけた内容を盛り込んでいくと良いでしょう。経営についての知識を身に着けるためのOff-JTでは、社外研修などを通じ、座学で学ぶ機会を積極的に設けます。これまでの仕事では習得の機会がなかった決断力や実行力、洞察力を磨く貴重なチャンスです。また異業種の同じ立場の人材と交流することも大切な経験となるでしょう。

リーダー育成のポイント

会社全体としてリーダーを育成する体制を整える

リーダーになれば、多くの部下を持ち仕事をすることになります。リーダー候補者には、あらかじめ指導や管理について学べるよう、部下を持たせ経験値を上げるのが望ましいと言えるでしょう。また、責任ある役職で仕事をさせる、現在の業務とは関係のない業務の研修にも参加させるなどすることで、仕事へのモチベーションを上げることができます。こうした取り組みは、会社全体で行うことが必須です。リーダー育成のための体制づくりとして、社内に取り入れていくと良いでしょう。

幅広い業務や役割を経験させる

育成期間中は、一つの業務にとどまらず、幅広い業務や役割での経験ができるよう体制を整えましょう。リーダー育成では、座って話を聞いているだけでは机上の知識しか身に着きません。新規事業の立ち上げや配置の異動など、難易度の高い経験を積むことも、経営者としての成長を促す欠かせないチャンスとなります。現在の実力だけでは目的を達成できないと思われる、困難なポジションにあえて任命する「ストレッチアサインメント」を行うことで、経営者として大きく成長する機会となるでしょう。

リーダーに必要なスキル・能力

経営に関する知識

優れたリーダーになるためには、経営やマネジメントに関する深い知識が必要です。マネジメント知識は、外部のビジネススクールなどで学ぶ理論であり、経営戦略やマーケティング、経済、財務会計、オペレーション、人事・組織、組織行動論などが主な内容となります。いずれもビジネスの場で獲得した経験や知識を法則化した理論です。社内で日々の業務にあたるだけでは学べなかった知識を、リーダー候補者が積極的に取り入れられるよう、外部の研修を利用すると良いでしょう。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングとは、直感や感情をもとに物事を判断せず、筋道立てて矛盾や破綻、飛躍がないように、論理的に結論を出す思考法です。「論理的思考法」とも言い、経営・マネジメント知識を基礎として、思考により意思決定するためには不可欠なスキルと言えるでしょう。バイアスにとらわれることなく、合理的に起きている事柄を要素に細分化し、それぞれの要素の相互関係を明確化することが目的となります。個別の要素を積み上げ、最終的に統合するために必要なスキルです。

判断力

リーダーは、どのような状況でも最善の結果を出す意思を持ち、最善の意思決定を行う判断力が必要です。プロジェクトの立ち上げでは、いわゆるゴーサインを出すだけですが、ここでは途中でやめるためや方向性を変更するための意思決定も含まれます。このような的確な判断を行うためには、知識や経験とともに強い精神力や、判断を誤った時のリスク管理、倫理観を併せ持っている必要があります。また、論理的に判断するロジカルシンキングも習得していることが望ましいでしょう。

統率力

統率力とは、設定した目標に向かって組織をまとめ、ゴールまで導いていく力のことです。リーダーとして多くの人を率いるには、「組織をまとめる力」と「まとめた組織で目標を達成する力」が必要不可欠となります。高い統率力を持ったリーダーは、メンバー個々の存在価値を認め、仕事がうまくいくように経験や能力に合わせて役割を分担することが可能です。目標に向かう過程で育成指導も行い、もしも問題が発生した場合には、状況判断し最適な形で解決することも望まれます。

リーダー育成の事例

ストレッチアサインメント

あえて難題を与え成長を促す「ストレッチアサインメント」は、島津製作所でも実施中です。リーダーとして活躍が見込まれるポテンシャルを持った人材を選抜し、「海外現場研修」で異文化の中で働かせるよう、海外派遣によるリーダー育成を導入しています。選抜は上司の推薦と自己申告の2つのパターンを採用し、目標を明らかにした申請書を提出させ、絞り込む方式です。早期に海外での業務を行い、多様な価値観、考え方を学ぶことで視野が広げられる仕組みとなっています。困難な状況下での人材の劇的な成長を期待される事例です。

まとめ

早い段階でリーダー育成の取り組みを始めましょう

リーダーの育成には時間を要し、その間現場にも大きな負担となることが考えられます。そのため周囲の人には、リーダー育成の意義を説明し、認識してもらう必要があるでしょう。また、育成のためには社内の環境の整備や構築、体制づくりも必要です。育成を決めたらできるだけ早い段階で、リーダー育成のための取り組みを始めるのが良いと考えられます。情報化や価値観の多様化で、社会は日々変化を繰り返しているところです。変化を見逃さず、適応して企業を活性化させるリーダー育成は、これからますます重要になっていくでしょう。

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