2035年問題とは?【背景や具体的な影響について解説】

記事更新日:2020年11月18日 初回公開日:2020年10月22日

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日本の総人口の5人に1人が後期高齢者になるとされている「2035年問題」。これに付随して社会制度、教育制度、働き方等が大きく変わるとされているのはご存知でしょうか。先進国であるアメリカの人口は増加しており、ドイツでの労働人口も増加しています。しかし日本は、先進国の1つであるにも関わらず、人口、労働人口ともに減少の一途を辿っています。このままでは経済や医療、社会、教育にまでも大きく影響されるでしょう。2035年の日本の社会はどのようになっているのでしょうか。今から私達ができる2035年問題への備えはどういったものがあるのでしょうか。確認しておきましょう。

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2035年問題とは

後期高齢者の爆発的増加で様々な分野で機能不全に

2035年問題の最大のポイントは後期高齢者です。日本では以前から少子高齢化が問題視されています。そしてこの問題が解決されることなく、表面化するものが2035年問題です。1947年から1949年頃に第一次ベビーブームが起こり、3年間で約806万人の出生が確認されました。そしてこの世代が後期高齢者になるのが2035年とされています。病院での治療や介護が必要とされる人口が増加するのに対し、労働人口は必要数に満たないでしょう。医療や介護現場だけでなく、働き方の変化による社会保障制度の変化で経済や社会にも影響をもたらします。そして対応が間に合わず、様々な分野での機能不全が懸念されています。

2035年問題が起こる背景・理由

「団塊の世代」が後期高齢者に

2035年問題が起こる大きな背景としては「団塊の世代」が鍵になります。団塊の世代とは第一次ベビーブームが起こった1947年から1949年頃に生まれた世代を指します。そしてこの3年間では約806万人の出生が確認されています。2017年から2019年までの3年間で出生数は合計約277万人とされているため、約3倍にもなります。2035年にこの団塊の世代が後期高齢者になるということは、定年による労働人口の減少、必要とされる病床数の増加が予想されます。そこでこの「2035年問題」で起こりうる影響が警鐘されているのです。

AIなどによる技術革新

近年は技術革新が大幅に進んでおり、AIと言われる人工知能、Virtual Reality(VR)と言われる仮想現実、移動技術などの利便性や生産性が向上し続けています。それでは1つずつご説明していきましょう。1つ目はAIです。これは人工知能を持った機械の事で、人間の雇用や働き方に大きな影響をもたらします。このAIは簡単に言えば学習するロボットとされており、大いに期待されている技術です。2点目は仮想現実や複合現実です。この技術が発展することにより、オンライン上でお店の服を試着することができたり、遠方へ行かずとも会議ができたりと利便性がかなり増すこととなります。3点目は移動技術の革新です。現在私たちの生活に利便性をもたらしている新幹線や飛行機はさらに高速なものになり、移動時間が短くなることにより時間の制約が減ることでしょう。

2035年の社会像

少子高齢化社会

これは現代社会でも問題視されていますが、2035年にはさらに少子高齢化に拍車がかかるとされています。オンライン上でのコミュニケーションが活性化し、内向的な人が増加していることは恐らくご存知でしょう。そしていわゆる「おひとりさま」といった恋人やパートナーを持たない人も増加傾向にあります。つまり生涯結婚をしない人や、子供を望まない人が増加することで少子高齢化はますます問題視されていきます。未来を担う子供達の減少は日本の総人口の減少を意味し、高齢者を支える労働人口も減少します。これが厳しくも現実の2035年の社会像でしょう。

失業率の増加

2つ目のポイントは技術革新による失業率の増加です。生産性や効率性の高い技術革新により、人間ではなくAIが用いられるポジションが増加しています。受付業務を例にご紹介してみましょう。ホテルでのチェックイン、映画のチケット購入など今までであれば対応する人間が必要とされていました。しかし技術革新により全てがお客様がシステムを操作することで完結するものとなっているのです。他に人事業務に関しても同様です。今までであれば新入社員が入社した際に人事部が関わる登録作業が必要でした。しかしながらアプリの開発により、個人情報は自分自身でいつでもどこでも登録や修正が可能となっています。つまり、ポジションがなくなったり、人員が削減されることでしょう。

2035年問題の種類

人口の3割が高齢者

2035年には日本の総人口の3割が高齢者になるとされています。食習慣の乱れやIT技術の発展による脳機能の衰退により認知症患者が増えることでしょう。これにより、高齢者は老人ホームに入る、または病院生活を余儀なくされる人も現れます。二世帯住宅も減少していることから、高齢者が施設で暮らすようになるとそれに伴い空き家の数も増加します。その家や土地を継ぐ人がいなければ社会の治安や経済的にも様々な問題が出てくることでしょう。

医療・介護費用は1.9倍に

2点目は医療・介護費用の増額です。日本の病院で受診する際には3割負担で支払いをする場合がほとんどでしょう。そして残りの7割は税金からまかなわれています。特に収入が少ない後期高齢者であれば個人が1割のみ負担という場合も出てきます。このような医療制度の中で、少子高齢化により税金を支払う人口が減少していきます。しかし病院での受診を求める高齢者人口は増加していくのです。このまま少子高齢化がますます進行すると、医療費をまかなう税金が不足する。その結果、医療費や介護費用は1.9倍になると予想されているのです。

日本の総人口は1 億人を下回る

2035年問題により日本の総人口は1億人を下回るとされています。これにより消防士、警察官、自衛隊が人手不足になる可能性が懸念されています。こういった職業に就く人が減少すると日本の安全性も誇れるものではなくなるかもしれません。東京都の人口は増加しているとされていますが、地方など他の都道府県人口は減少傾向にあります。例えば地方の学校で人手不足となってしまった場合、学校は恐らく機能不全になることでしょう。そうなると、子供が遠方の学校へ通学することを余儀なくされる場合もあるかもしれません。人口減少はこのようなしわ寄せをも導き得るのです。

2035年問題の影響

2035年問題による経済への影響

ここからは2035年問題によって引き起こされる5つの分野への影響に関してご説明していきます。1つ目は経済への影響です。従来以上に個人のスキルやパフォーマンスが重視されるようになります。その結果、事実上の貧困層の拡大や世代間格差も出現するのではないでしょうか。少子高齢化、日本人口の減少、単独世帯の増加などにより都心部と地方間の地域間格差も広がり、存続が困難になる地域も出てくるかもしれません。立て直しや問題解決には税金が使われるため経済活動にも大きな影響を与えるでしょう。

2035年問題による医療への影響

2つ目は医療への影響です。日本人の平均寿命は長くなってきており、「人生100年時代」と言われています。そんな社会で健康に長生きしたいと考える人はもちろん多いでしょう。しかし、高齢者の増加で病院を受診する人数は高確率で増加します。これに付随し、医療補償制度が関連してきます。しかしながら、先に述べたように現在の社会保障制度は現代の社会や医療に最適なものではないとされています。そのため迅速な医療補償制度の見直しが求められることでしょう。

2035年問題による介護への影響

3つ目は介護への影響です。日本の人口の3割が高齢者になるとされており、そのうちの2割が認知症になると言われています。後期高齢者の増加により介護施設の需要が大幅に拡大するでしょう。しかし人口の減少により介護師の人手不足が考えられます。介護を必要とする患者の1番の理由は認知症です。2位が脳血管疾患(脳卒中)で16.6%。3位が高齢による衰弱で13.3%。認知症になる人口をどうにか減少させなければ、介護現場はかなり緊迫した状態になりうるでしょう。

2035年問題による社会への影響

4つ目は社会への影響です。現在の日本の社会保障制度は、福利厚生が備えられた企業に正社員として雇用された男性と専業主婦として家庭を守る女性、その子どもがいる核家族をモデルとしています。そしてこのような家族の在り方を基に保険や年金のシステムは考えられています。しかし、経済状況が好ましくない状態で2035年に突入すると、この社会保障制度は正しく機能しなくなっていきます。働いていた時代に年金や国民保険を支払っていた人たちへの十分な国民保険の保証や年金の還元は満足のいくものではないと言われています。

2035年問題による教育への影響

最後、5つ目は教育への影響です。従来とは大きく変わるとされている今後の社会。教育現場ではこれまでに述べた様々な問題に対応できる子供達の教育が求められるでしょう。まずは適応した教育制度に変えていくことがとても重要です。様々な働き方や働く場所の選択が許されるようになるのが、これからの社会です。子供達にもキャリアアップやキャリアチェンジなどの選択ができる人材へと育てる必要があるかもしれません。好きで得意なことを1つ伸ばすだけでなく、方向転換をすることができる広範囲の教育が求められることでしょう。

2035年問題で変化する働き方

正社員が消える

2035年問題の1つとして言われている衝撃的な一言をご存知でしょうか。それにより私たちの働き方が大きく変化すると言われています。それは「正社員が消える」ということです。働き方改革が政府から発表され、兼業や副業を始める人が増加傾向にあります。副業や兼業のためにより専門的な能力を身に着ける意識が高くなります。そして専門的な仕事をするのが当たり前になります。例えばwebデザイナーの資格を取得したとしましょう。webデザイナー業務と他の業務を1つの企業で担当する。もしくは、webデザイナーのスキルを複数の企業相手に発揮する。後者の方が当然生産性が高く、高い報酬が見込めることでしょう。このように1つの企業に正社員として雇用されるよりも、フリーランスとして複数の企業と契約をする選択肢も主流になるかもしれません。

時間や空間に捉われない働き方へ

近年すでに定着してきていますが、リモートワークやノマドワーカー、フリーランスなど。時間や空間に捉われない働き方へと変化してきています。従来であれば、朝から会社への出勤し、夕方頃に退勤するというものが社会の当たり前でした。しかしリモートワークをする人やノマドワーカーも定着しつつります。仕事を締め切りまでに終わらせて納品する。インターネット環境があれば発信できるブログやYouTube の発信者。このような場所や時間、空間に縛られない自由な働き方が主流になりつつあります。

2035年問題に向けてのこれから

自身のスキルを身につける

ここまで述べてきたような厳しい社会像が現実化したとしても、私たちはお金を稼ぎ、生活をしていかなければならないですよね。そのため、自己のスキルを身につける、自己価値を上げることは重要です。これからは特にコンサルタントスキルとITスキルが重要視されるでしょう。この2つは今後の時代に適した在宅やフリーランスなど企業に縛られない働き方を選択する可能性を生みます。コンサルタント業務であれば、仕事を探す方、個人営業をされる方、家庭での悩みをお持ちの方など様々なジャンルが存在します。自分にあったコンサルティングスキルを身につけましょう。ITスキルもかなり幅が広く、エンジニアやプログラミング、サイト作成やwebデザイナーなど自分の得意なことに合わせてスキルを身につける事ができます。

一人一人が自らで財源確保をする

2つ目のポイントは一人一人が自ら自身の財源を確保する必要があります。AIやVRなどの技術の発展で今後正社員を解雇されたり、景気悪化により企業が経営不振に陥ることも考えられます。そのため2035年問題の影響を最低限に抑えるためには、副業や兼業がポイントとなるでしょう。これらを早いうちから始め、安定させておくことでプラスαの財源を確保することが出来るでしょう。先に述べたコンサルタントスキルやITスキルなど、自身のスキルを身につけることがさらなる財源確保の可能性に繋がります。

性別や人種、国境といった制約が消滅

3つ目のポイントは性別や人種、国境といった考えがなくなることでしょう。現代社会ではすでに「ジェンダーレス」という言葉が生まれ、男性はこうあるべき、女性はこうあるべきという考え方は曖昧になりつつあります。このような性別や国籍に対する考え方だけでなく、技術革新が国境といった現実世界のあり方さえも消滅に近づけています。例えば、オンライン技術を利用して海外に住む友達や恋人とコミュニケーションをとることが可能になっています。これは私生活だけでなくビジネスにも活かされています。オンライン会議システムを利用すれば、国境を超えた会議や交渉でさえも相手の国に出向かずとも進めること出来るのですから。

まとめ

2035年問題に対応できる人材へ

2035年になりうる日本の姿、「2035年問題」はいかがでしたでしょうか。こういった問題は複雑な内容のものも関わっていて、後回しにしたくなる気持ちもありますよね。しかし、私たちの気付く場所でも気づかない場所でも問題は少しずつ表面化してきています。知っていたけど、聞いたことはあったけど、対策をしていなかったなど。事が起こってからでは遅いので、この記事を読んで、何か1つでも対策できそうと感じた事があればぜひ行動に起こしてみてください。未来の時代に対応できる人材へと成長していきましょう。

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