派遣の抵触日とは【事業所単位などの種類や企業側の注意点について解説】

記事更新日:2022年07月20日 初回公開日:2022年07月14日

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役員を除いた、雇用者全体に占める派遣社員の割合が2.5%となっている現在。この割合は15年ほど維持しています。一定数の割合を維持している派遣社員ですが、働く上での仕組みが複雑で、理解が難しいと感じている方もいるのではないでしょうか。派遣社員や派遣先企業において大切になるのは、派遣の抵触日です。そこで今回は、派遣の抵触日や設けられている理由について説明します。その上で抵触日の種類や、派遣社員や派遣先企業が取らなければならない対応について、解説します。派遣社員として働く方はもちろん、派遣先企業の人事担当の方にもぜひ読んで頂きたい内容です。

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派遣の抵触日とは

派遣期間制限が切れた翌日

派遣の抵触日とは、派遣期間制限が切れた翌日のことを指します。派遣期間制限は3年が限度です。抵触日を迎えると、派遣先企業は派遣社員を受け入れることができなくなります。派遣社員も同じ組織で働くことができません。派遣先企業、派遣社員のどちらも意識しておかなければならない日です。3年の制限があるのは「その期間を超えて派遣社員を雇うのであれば、企業で直接雇用してほしい」という国の意図があるからです。抵触日の種類には事業所単位と個人単位があるので、後ほど紹介します。

派遣抵触日が設けられている理由

派遣労働はあくまで一時的だから

派遣抵触日が設けられている理由は、派遣労働はあくまで一時的だからです。2015年の法改正によって、同一の事業所かつ部署で3年間働いた派遣社員に対して、待遇改善を促すことを目的としています。派遣社員が正社員として雇用されやすくなることや、派遣社員の希望次第で無期雇用への転換がしやすくなることを目指しているのです。しかし、一部例外として派遣期間制限がない契約の方法もあります。そのような派遣社員には抵触日がないため、当てはまるか確認しておきましょう。

派遣抵触日の種類

事業所単位

派遣抵触日の種類の1つ目は、事業所単位の期限制限です。これは、1つの事業所で派遣社員の雇用を継続できる派遣期間が、最長3年だということを指しています。しかし、派遣先の過半数労働組合に意見聴収することで、延長することも可能です。意見聴取をすると、派遣期間を3年以内に延長できます。意見聴取は抵触日の1か月前までに行いましょう。同じ派遣社員を同一組織で継続して受け入れることはできないため、新たな派遣社員と契約を結ぶ必要があります。

個人単位

派遣抵触日の種類の2つ目は、個人単位の期限制限です。これは、1人の派遣社員が同じ事業所の1つの組織で働ける派遣期間を指しています。ここでの組織とは、会社ではなく課やグループのことです。事業所単位と個人単位の派遣期間制限では、事業所単位の派遣期間制限が優先されます。派遣社員は個人単位の派遣期間制限が残っていたとしても、事業所単位の派遣期間制限が過ぎている場合は、働き続けられません。抵触日の種類は、派遣社員も派遣先企業もしっかりと理解しておきましょう。

派遣抵触日を迎えた際に必要な対応

派遣先企業で直接雇用してもらう

派遣抵触日を迎えた際に必要な対応として、派遣先企業で直接雇用してもらうことが挙げられます。派遣先企業としては新たに別の社員を採用して1から指導するよりも、仕事をある程度理解している社員を雇用する方がメリットが多い場合もあるのです。また、社員の能力も分かっているため、任せる仕事をスムーズに決めることが可能です。しかし、必ずしも正社員として雇用されるとは限らないため、直接雇用の提案を受けた際は契約内容をしっかりと確認しましょう。

派遣先を変えず別の課やグループで働く

派遣抵触日を迎えた際に必要な対応として、派遣先を変えず別の課やグループで働くことも考えられます。個人単位の派遣期間制限と決まっている組織は、会社単位ではなく課やグループなどがあたるためです。例えば、その会社の営業課で働いていた派遣社員が、抵触日になる前に人事課に異動することで再び3年間派遣社員として働くことができるようになります。しかし、課が変わることで業務内容が大幅に変わってしまい、これまでのスキルが活かせない可能性もあるため注意が必要です。

別の派遣先企業で働く

派遣抵触日を迎えた際に必要な対応として、別の派遣先企業で働くことも視野に入れてみてください。上記の例のように別の課やグループで働くことになると、それまでの知識や経験が活かせない場合があります。それまで培ってきたスキルなどを活かしたいと考えている場合は、別の派遣先企業で働くことでキャリアを積むことが可能です。抵触日を迎える前に、今後自分がどのようなキャリアを重ねていきたいのか考えた上で、検討するようにしましょう。

派遣元企業で無期雇用してもらう

派遣抵触日を迎えた際に必要な対応として、派遣元企業で無期雇用してもらうことも1つの方法です。しかしこれには条件があります。それは、派遣元企業での雇用期間が通算5年以上であることに加えて、派遣社員自身が希望しているということです。無期雇用してもらうことで、派遣先企業での就業期間が終了しても、派遣元企業での雇用契約は継続します。そのため、派遣先企業で働いていない期間が発生した場合にも、原則給与または休業手当が支払われます。

派遣先企業側の注意点

派遣元企業に抵触日の通知をしなければならない

派遣先企業側の注意点として、派遣元企業に抵触日の通知をしなければならないことが挙げられます。事業所単位で管理している場合は、派遣元企業に抵触日を通知しなければなりません。しかし、個人単位の抵触日は派遣元企業が把握できるため、通知は不要です。通知は、派遣契約締結前に行いましょう。事業所名と事業所所在地、事業所抵触日が記載されていれば決められた書式はないため、自社で用意してください。記録に残る形であれば、電子メールの送信などでも問題ありません。

派遣を延長したい場合は1ヶ月前までに意見聴取する

派遣先企業側の注意点として、派遣を延長したい場合は、1ヶ月前までに意見聴取する必要があります。意見の聴収先は、該当する事業所の過半数の労働組合です。労働組合がない場合は、過半数の代表者が対象です。事業所が各支店や営業所ごとにある場合は、意見聴取を各支店や営業所ごとに行いましょう。延長の手続きには制限がないため、延長手続きを行い続けると、派遣元企業から派遣社員を派遣してもらうことができるようになります。

同じ派遣社員を受け入れたい場合は直接雇用の申し込みを行う

派遣先企業側の注意点として挙げられるのは、同じ派遣社員を受け入れたい場合は直接雇用の申し込みを行うことです。直接雇用の申し込みを行うことで、派遣社員として受け入れるのではなく、自社の社員として受け入れることになります。直接雇用だからといって、必ず正社員として雇わなければならないということはありません。直接雇用には、契約社員やパート社員も雇用形態に含まれます。受け入れる社員の希望を考慮した上で、お互いが納得して契約を結ぶことができるような進め方を行いましょう。

クーリング期間の注意点

直接雇用に切り替えると1年間派遣社員に戻れない

クーリング期間とは抵触日を迎えてから最低3か月と1日間、それまで働いていた派遣先の会社と派遣契約を結ばないことで、抵触日をリセットできる空白期間のことです。抵触日がリセットされることで、同じ派遣先の会社で再度3年間働くことができるようになります。しかしクーリング期間中のみ直接雇用し、期間後に再び派遣社員に戻ることは、原則1年以内は禁止されています。派遣社員には、派遣先が直接雇用をした場合に、1年間派遣社員に戻れないことを事前に説明しておきましょう。

再雇用は保障されない

クーリング期間の注意点として、再雇用は保障されないことを心に留めておきましょう。基本的に、クーリング期間後に再び雇用することに関しては、口約束でしかありません。クーリング期間中に派遣先企業が派遣社員を雇えない状況になることや、パートやアルバイトを雇って人手不足を解消する可能性もあるのです。派遣先からの具体的なアプローチがない場合は、クーリング期間後の再雇用が保障されていないことを理解しておくことが大切です。そうすることによって、トラブルを未然に防ぐことができます。

派遣会社との雇用関係が消滅する可能性もある

クーリング期間の注意点として、派遣会社との雇用関係が消滅する可能性もあることが挙げられます。抵触日を迎えた時点で派遣会社との契約更新がされてなければ、給料や社会保険以外にも有給の資格も失うのです。しかし、任意の継続手続きを派遣会社と派遣社員の間で交わすことで、クーリング期間であっても社会保険の資格を継続可能です。クーリング期間の適用によって、雇用関係がなくなることを理解しておきましょう。雇用を維持しながら有給を取得したい場合、計画的に考えて事前に申請しておくことで、不要なトラブルを回避できます。

派遣抵触日を迎えた場合に起こること

行政指導を受ける可能性がある

派遣抵触日を迎えた場合に起こることとして、行政指導を受ける可能性があります。行政指導ではまず、厚生労働大臣より助言と指導を受けます。そして改善が見られない場合は是正勧告措置を受け、それに従わなければ企業名が公表されてしまうのです。企業名が公表されることで、法令を遵守しない企業だという評価を受けることになり、企業の信用やブランド価値が低下して損失を被るリスクがあります。このような不利益を被らないためにも、助言を受けた場合は速やかに対処することが重要です。

行政の指導監督の対象となる可能性がある

派遣抵触日を迎えた場合に起こることとして、行政の指導監督の対象となる可能性があることも考えられます。これは、派遣先企業が派遣元企業に抵触日の通知を怠った場合の罰則です。抵触日の通知は記録に残る形で、労働者派遣契約を締結する前に行う必要があります。派遣法にも定められているため、抵触日を通知することは人材派遣を活用する上で必須の条件です。しかし、無期雇用派遣労働者や60歳以上の社員、一定の期限が決められた上で雇用をしている派遣社員に通知は不要です。

派遣抵触日の管理方法

派遣管理システムを導入する

派遣抵触日の管理方法として、派遣管理システムを導入することが有効です。派遣管理システムを使うと、派遣元企業と共有しながら派遣社員の情報を一元管理できます。どの派遣社員がいつまで働けるか一覧で確認できることに加えて、検索して情報を見つけることも簡単です。また、派遣管理システムには自動で抵触日を計算し、近づくとアラームで知らせてくれる機能もあります。さらに、抵触日の通知書を自動で出力できる機能があるため、自社でフォーマットを用意する必要もありません。

まとめ

派遣抵触日について派遣社員も企業側もしっかり理解しよう

派遣抵触日は派遣社員として働く人も、派遣社員を受け入れている企業も、しっかりと意味を理解した上で意識しなくてはなりません。まずは、抵触日の種類やクーリング期間について、明確に理解しておきましょう。派遣社員として働く人は、抵触日が近づいたら将来のキャリアについて考えながら、派遣先企業と話し合うようにしてください。派遣先企業は行政指導や行政の指導監督の対象とならないよう、派遣管理システムなどを活用しながら、抵触日の管理を怠らないように気をつけることが大切です。

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