越境学習とは【導入するメリット・デメリットを企業側、従業員側に分けて解説します】

記事更新日:2023年12月20日 初回公開日:2023年12月20日

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各企業では自社独自の強みを持つために、イノベーションが叫ばれています。革新的な新しい発想などは簡単に生まれるものではないため、様々な取組が試されているのが現状です。現職に身をおきながら別の職種に挑戦する「越境学習」も、その一つです。越境学習と一口に言っても多様な取り組みがあり、国境を越えた越境学習まで存在します。ここでは越境学習の意味や注目される背景から、越境学習のメリットおよびデメリットと、越境学習の種類や注意点まで詳しく解説致します。越境学習の導入を考えていらっしゃる経営者の方々の一助となれば幸いです。

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越境学習とは

職場を離れ全く異なる環境で得る学びのこと

越境学習とは、職場を離れ全く異なる環境で得る学びのことです。一般的には現在の組織に在籍したまま、目的によって長期または短期間の異業種におけるプロジェクトに参加することを指します。越境学習の目的は、自分が長く慣れ親しんだ職場から離れ、全く異なる業種で知らなかった文化や価値観に触れて刺激を受けることです。新しい経験によって、視点を変えた発想や新技術などを生み出すことに繋がり、個人の新しい可能性を見つけることもできます。

越境学習が注目される背景

創造力が必要とされてきている

越境学習が注目される背景には、何が起こるか予測のつかないVUCAの時代に、変化に対応できる創造力が必要とされていることがあります。企業は変化を敏感に察知し、いち早く新しいニーズに応えることを迫られているのです。そのためには人任せではなく、社員の一人一人が成長することを意識しなければいけません。毎日の作業を繰り返すだけでなく、多様な知識を蓄えて新しいアイデアを生む創造力を身に着ける必要があるのです。

個人のキャリア形成が重要視されてきている

個人のキャリア形成が重要視されてきていることも、越境学習が注目されるようになった一因です。日本では当たり前であった終身雇用が崩壊し、就業年数や経験数よりも個人のキャリアを重視する企業が増えたことに起因します。自分の持つキャリア次第で、重要なポストや高収入が得られるようになり、一つの企業に骨を埋めようという人は少なくなっているのが現状です。高度なキャリア形成や新しいキャリア形成の可能性を探るためにも、越境学習というチャンスが注目されています。

越境学習のメリット

企業側のメリット

新たなノウハウを得られる

越境学習を行う企業側の第一のメリットは、外部から新たなノウハウを得られることです。新しい知見の持った社員が戻ってくることは、企業に新しい血を吹き込むことに等しいと言えるでしょう。企業が求めるイノベーションを求めるのであれば、新しい知見からの斬新なアイデアと方向転換が必要です。斬新というと非常に危険なようにも思えますが、長く染みついた環境を改善するためには、外部から根拠のあるノウハウを積極的に取り入れるべきでしょう。

離職率を下げられる

越境学習は人材流出の歯止めとなり、離職率を下げられることは企業の大きなメリットです。人材不足が叫ばれる日本の多くの企業では、人材を留めるための方法も模索しています。日本の伝統でもあった終身雇用が崩壊し、自由に転職の機会を与えられるようになった現代では、良い環境や条件の職場を選択するのが当然のことになりました。自分の可能性を試したい若い人材も多く、それに応えるのが越境学習と言えます。在職しながらも自分の可能性を試せることは非常に魅力的であり、愛社精神にも繋がるものです。

人材育成につながる

越境学習には、個々のスキルアップとともに次世代のリーダーである幹部などの人材育成にも繋がるメリットもあります。企業にとって後継者を育てることは、企業が長く繁栄存続するうえで、欠かせない課題です。単にリーダーの代わりを育成するのではなく、新しい世代に適応できる柔軟で多彩な考えと知識を持てるリーダーを育成できるのが越境学習になります。全く違う環境で修行および体験を重ねることで、新しい時代を見据えた新事業などにも対応できるように成長するでしょう。

従業員のメリット

転職せずとも新たな挑戦ができる

従業員の中には現在の職種に満足せず転職を検討していることもあります。越境学習では現職を辞めることなく他社や異業種での体験ができるため、転職せずとも新たな挑戦ができるのは大きなメリットです。金銭的な負担や心身の負担も和らげてくれるうえに、希望である新たな異業種での体験ができ、抱えていた悩みを解消できます。また、異業種での体験によって現職のキャリアアップに繋がることや、現職が自分に重要であるという気付くことにも繋がるでしょう。

自身の働き方を見直す機会になる

越境学習によって全く別の環境に身を置くことで、自分の雇用環境や職業を客観的に見ることができ、自身の働き方を見直す機会になります。いままでは多忙な勤務の中で当然だと思っていたことも、異業種を体験することで変革の意識を持つことができるでしょう。繰り返しの業務の中では気付かなかったことが、離れた位置から見ることにより、改善の余地があると気付くことができます。自分自身の働き方が、本当に自分のためになっているのかを見直す機会を得られることは、越境学習での大きなメリットです。

越境学習のデメリット

人材の選定が難しい

越境学習のデメリットは、対象者となる人材の選定が難しいことです。越境学習を詳しく理解している人は現状では多くないと言えるでしょう。また、現職から離れることに難色を示す人も多いと思われ、人材選びは慎重に行わなければいけません。逆に転職希望者などが多い場合には、希望者の中から対象者を選定する必要があります。どのような人物を対象者に選ぶのかという選定基準も決定し、なぜ選ばれたのかを本人にフィードバックすることも重要です。

プログラムの費用負担がかかる

越境学習では、派遣する企業および受け入れ先の企業の手続きや業務調整が必要なうえに、プログラム傘下での費用などが負担になります。派遣する企業では働く社員がマイナス1となるため、代替の人員が必要になることもあるでしょう。将来的には見返りが期待できるものの、派遣中には企業が受ける恩恵は考えにくいと言えます。派遣期間が長ければ尚更ですが、派遣期間が短ければ派遣された社員が得られるメリットも大きくないと予想できます。長い目で越境学習の効果を見られるかがポイントになるでしょう。

評価基準の設定が難しい

越境学習では前述のように費用の負担が発生することもあり、対象者の評価は相応なものと考えられることから、評価基準の設定が難しくなります。また派遣中の社員にも評価を行わなければいけないため、定期的なレポートの提出や報告義務を与え、その内容で評価を下さなければいけません。その間の報告だけで実質的に会社が受けるメリットは多くないと考えられるため、評価は非常に難しくなります。異業種であることから自社に与える影響を見極めることも難しく、制度を決定する際に評価についても良く議論し、制度開始後も評価の見直しを行うべきです。

越境学習の手段

プロボノ

プロボノとは、ラテン語「pro bono publico」の略称で、自分の強みである専門的なスキルを生かして社会貢献する活動を言います。社会的な奉仕の意味合いが強いためボランティアと混同されがちですが、プロボノがプロフェッショナル的な専門スキルを提供するのが特徴です。プロボノは災害時の手伝いなどが多く、社会や地域に貢献することで自己肯定感を高められます。また、同業の高いスキルを持つ人と関わりを持つことも多く、同業同士で他社のスキルを学ぶことや、他者の体験や思いを聞くことができる貴重な場所です。

副業・兼業

副業や兼業は収入を増やすために行うのが一般的ですが、越境学習の有効な手段の一つでもあります。職種選びは自由であり、本業に近いものから全く違う業種にチャレンジすることが可能です。自分の可能性を試したい方や、新しいスキルの習得にも大きな効果が期待できます。また別職種での報酬を受け取ることにより現職との比較も容易で、次に踏み出す第一歩にもなるでしょう。また企業側からすれば、時間の許す副業希望者を受け入れることで、企業の人員不足を解消することに繋がります。収入によっては本業にしたいと考える人もあり、本人が他で培ったノウハウを自社に取り入れることも可能です。

ビジネススクール

ビジネススクールや社会人大学院なども、越境学習を体験する手段の一つです。企業側から候補者に選ばれずとも自らの意思で参加できます。また社会人になってから遠ざかっていた学校教育に、また触れることもでき、新鮮な知識習得の意識も芽生えるでしょう。学習意欲は学習結果に直結する大きな要素であり、効率的に知識を習得できます。また同士とも言える、同様な考えを持つ人たちとコミュニケーションを持つ機会が増えることは、個人にとって大きなメリットです。お互いに共通する気持ちを話すことで、悩みの解決や社外に人脈を広げることにも繋がります。

異業種勉強会

異業種勉強会というと不動産投資などの怪しいイメージを抱く人も多いかもしれませんが、実際には自治体等が主催する、発想転換の機会となる勉強会も多くあります。異業種勉強会では様々な分野の業界人が集まり、討論したり意見交換したりすることが可能です。全く違う業種の人の意見を聞くことで、自分の視野も広がります。異業種勉強会は、参加者の一人一人が生徒であり講師であると言える場所です。人の意見に耳を傾けながらも、自分の体験なども積極的に話すようにしましょう。新しい自分の可能性が発見できるとともに、新しい知見と発想を得ることが期待できます。

留職

留職とは一定の期間だけ新興国などに派遣される、国境を越えて行われる越境学習です。日本のNPO法人である留職の専門企業が橋渡しとなり、現地のNPOやNGOに所属するのが一般的となっています。新興国では言葉の違いや文化の違いもあり、他の越境学習と比較すると苛酷とも言えますが、優秀なリーダー育成などに効果が大きいと期待される越境学習の一つです。日本とは全く異なる環境で海外の人材と協業するため、より高度なリーダーシップとグローバルな考え方が身につくとともに、考え方や発想の視野を広げてくれます。

ワーケーション

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ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」の2つの言葉を合わせた造語です。休日を取りながらリゾート地などで働く、新しいワークスタイルを指すことが一般的になっています。普段のオフィスとは全く異なる環境で働くことによって、社員のストレスを和らげるとともに、新鮮な環境に身を置くことで新しい発想などを期待するものです。また、地域の人々と交流を深めながら、地域の問題を解決する地域解決型のワーケーションにも注目が集まっています。どちらも別の環境に身を置き、発想の転換を図ることは同じです。

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まとめ

越境学習をうまく活用し企業の発展に役立てよう

越境学習を行うには、目的をハッキリさせることが大事です。人材選びも目的に合う人物を選び、その目的を事前に伝えることが重要になります。企業と個人の目的が合致すれば、いうことはありませんが、双方の間に考え方や思いの食い違いがある場合には、別の人材を選ぶか納得がいくまで話し合うことも必要です。納得がいかないままでは人材を失うことにもなり兼ねません。事前に評価方法なども詳しく決めて、越境学習をうまく活用して企業の発展に役立てるようにしましょう。

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