HRBPとは【役割や取り入れる上での注意点や必要な資格などについて詳しく解説します】

記事更新日:2021年09月17日 初回公開日:2021年09月17日

さまざまな取り組みをしても社員の仕事のパフォーマンスが向上せずに十分な成果が上がらないことはありませんか。HRBPを導入することは、人事部や事業が抱えている課題の早期解決に繋がります。社員と組織のパフォーマンスを最大化させて業績向上を実現させるためにもHRBPを導入してみませんか。今回はHRBPの役割、HRBPに必要な資格、HRBPを導入するうえでの注意点など、HRBPについて詳しく説明していきます。

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HRBPとは

事業の成長を組織からアプローチする役割を担う

HRBPとは「Human Resource Business Partner」のことで、HRビジネスパートナーと言われることがあります。主に、経営者や事業責任者の観点から人事を考えて、事業の成長を人や組織の面からアプローチすることが役割です。HRBPは、既存の採用方法や育成方法に問題があると判断した場合、内容の改善を行います。決められた枠組みの中だけで人材を管理するのではなく、複数の視点から組織や人材のパフォーマンスを最大化させることが、HRBPの使命です。

ウルリッチが提唱したフレームワークのひとつ

HRBPはミシガン大学のデイビット・ウルリッチ教授が提唱したフレームワークとしても知られています。ウルリッチ教授の著書「MBAの人材戦略」には戦略実現パートナー、管理のエキスパート、従業員のチャンピオン、変革エージェントの4つの役割が定義されています。主に人事戦略や人事制度などの企業の人事の部分に着目した役割です。4つの役割を理解をしたうえでどのように企業の人事戦略の実現に結び付けていけるかがHRBPには問われています。

HRBPと人事の違い

HRBPはすべての従業員と経営層をつなぐ重要な役割

HRBPの人事との大きな違いは、HRBPはすべての従業員と経営層をつなぐ役割であることです。HRBPは経営視点に立ち、経営戦略と人事マネジメントの両面を考慮したうえで施策を提示する存在となります。人事という固定観念に縛られることなく、企業成長を見据えて価値を提供するため、企業にとって欠かせません。また、従業員と積極的なコミュニケーションを取り、企業を取りまとめる存在でもあります。そのためHRBPはすべての従業員と経営層をつなぐ重要な役割を担っているということになります。

HRBPとCHROの違い

CHROとは最高人事責任者のこと

CHROとは「Chief Human Resource Officer」の略で、最高人事責任者や取締役人事部長と呼ばれます。主に人事を専門とする経営責任者で、経営者レベルで戦略人事を実行できる権限を与えられている人です。単に人事労務分野のみを見るのではなく、経営者と同じ目線で企業の「ヒト」「モノ」「カネ」の全体を把握する役割です。経営陣の一員として企業売り上げや利益水準に対して人事の観点から責任を負う役割も担っています。

HRBPは執行役員ではない

HRBPは執行役員ではなく、経営者と人事との橋渡しを行う役割を担っています。CHROは経営者として、HRBPは経営関与的従事者として企業に関わるのが大きな違いです。要するにHRBPは戦略的に経営と現場をつなぐ役割を担っているのに対して、CHROは経営者の一人として人事機能の統括を担っているという違いがあります。CHROは事業に資する考えと売り上げに資する考えを同時に持っているため、企業の数字を作ることも役割のひとつです。

HRBPが注目されている理由

社会環境の変化

HRBPが注目されている理由の一つは、社会環境の変化です。流行の感染症の影響もあり、社会環境は激しく変化しています。変化の激しい環境下では、対応の遅れが致命傷となることがあります。リモートワークが注目され始めた頃、事業を継続できた企業は常に世の中の変化をとらえて行動に移す事が出来ました。常に変化する環境に素早く対応することは事業継続に大きな影響を与えます。そのため、社会環境の変化に伴って課題に対処することのできる人材としてHRBPが注目されるようになりました。

人材獲得競争の激化

HRBPが注目されている理由に、人材獲得競争の激化があります。テクノロジーによって産業構造が変化するデジタルトランスフォーメーションの進展は人材獲得競争に影響しています。AIやビックデータなどのデジタル人材はどの事業分野にも欠かせないものとなりました。現在の人事には、デジタルトランスフォーメーションに敏感に反応し、事業にとって必要な人材を素早く獲得することが求められています。人事部だけではかつての事務処理作業が対応しきれていないため、課題の早期解決が求められる現代ではHRBPの機能が求められているのです。

HRBPのメリット

攻めの人事を行える

年功主義の企業はポジションが確立しているため「守りの人事」と呼ばれています。このような企業は若くて優秀な人が不満を感じ、結果的に組織成長の機会を失っていることが多いです。HRBPはこれを改善し、「攻めの人事」に転換するための働きかけを行います。若くても優秀な人が昇進しやすい環境は、組織の活性化を促すことができるでしょう。多種多様な変化がある社会で企業が生き残るためにHRBPを導入することは、一つの手段であるといえます。

経営者のパートナーとなる

HRBPは経営者の戦略的なパートナーと、人事の専門家の役割を担います。経営者や事業責任者が計画した経営戦略や事業戦略に合致するように組織設計を行うのが仕事です。事業と人事を連動させ共有して横のつながりを強めていくことで、経営者のパートナーとしての役割を更に発揮します。そのため、ビジネス感覚やコミュニケーション能力などビジネスモデルを理解したうえで的確なアドバイスができるだけのコンサルタントスキルが求められるでしょう。

HRBPの3つの役割

コンサルティング

HRBPの主な役割の1つ目はコンサルティングです。コンサルティングは「企業の役員、特に経営者に対して解決策を示し、その発展を助ける業務」のことを意味します。一般的にコンサルティングは個人に寄り添いながら進めることが求められます。そのため、HRビジネスパートナーの場合は高い専門知識を活かしてキャリアの視点から組織を強化することも重要な役割です。また共同経営者として経営に参加して、企業としての責任を共に持つ役割を担うこともあります。

カスタマイズ

HRBPの役割の2つ目はカスタマイズです。一般的なカスタマイズとは「ユーザーの好みと使い方に合わせて、システムなどの機能を設定しなおすこと」を意味しています。HRBPとしてのカスタマイズは、「経営者が企画した人事制度や施策について各部署へスムーズに導入できるよう企画の内容をくみかえること」です。一般的な意味のカスタマイズを企業に取り入れて、社員にとって良い環境を構築していくこともHRBPとしての役割となります。

ロールモデル

HRBPをロールモデルとすることもあります。ロールモデルとは「自分にとって具体的な行動や考え方の模範」の意味で、企業にとっての手本のような存在を意味します。ロールモデルを提示することのメリットは、社員のキャリアビジョンや企業の方向性が明確化されることです。また、現状把握や課題解決にも効果的です。HRBPはコミュニケーションスキルや課題解決能力などの高いスキルを持っているため、リーダーシップを発揮する事が出来ます。そのため、HRBPをロールモデルにすることで企業が社員に望む人物像を提示することができ社員の成長を促す効果があります。

HRBPに必要な能力

人事のプロフェッショナルである

HRBPに求められる能力として、人事のプロである必要があります。人事のプロフェッショナルとは、法律や労務制度を熟知していることだけではありません。対話によって人材を育成する指導であるコーチングやメンタリングの手法に精通している必要があります。企業をビジネスパートナーとしてさまざまな方面からサポートする役割なので、精神面などのサポートも必要不可欠となります。さらに、人のやる気を引き出しながら次世代のリーダー育成にも積極的に関わり、自らリーダーシップをとることも必要です。

実践的なコミュニケーション能力がある

実践的なコミュニケーション能力も「守りの人事」を行ってきたことによって後回しにされてきました。また、現場とのコミュニケーションを実行するためにも、高いコミュニケーション能力が必要となります。実践的なコミュニケーション能力があると、報告連絡相談が活発になる環境が生まれやすいです。そのため企業内での問題解決が迅速になりやすいなどのメリットが生まれます。コミュニケーション能力が不足していると、相談しにくい環境や、発言しにくい環境が生まれてしまうデメリットがあります。

HRBPとして必要な資格

人事・総務に関する資格

HRBPとして役に立つ資格としてメンタルヘルス・マネジメント検定や産業カウンセラー、キャリアコンサルタントやビジネスキャリア検定などがあります。メンタルヘルス・マネジメント検定や産業カウンセラーは、働く人を心理や精神的な面で支える資格で、ストレスフルな現代社会にとって注目されている資格です。キャリアコンサルタントやビジネスキャリア検定は人材開発や経理など、会社を内側から支えるのに必要な資格です。それぞれの資格は学科試験と実技試験があるものや、難易度別になっているものもあります。

キャリア・ビジネスに関する資格

HRBPとして必要な資格として、MBAと統計検定があります。MBAは、日本では経営学修士と呼ばれている資格です。経営学の大学院修士課程を修了すると授与される「学位」なので、働きながらビジネススクールに通い、長い時間をかけて勉強する必要があります。そのため、それなりの覚悟と努力を必要とする資格です。統計検定は級制度になっている資格で、中高生以上を対象としている統一試験です。自分のレベルに合わせて能力を測ることができます。

HRBPの注意点

hrbpの役割を明確にする

HRBPを導入する際にはHRBPの役割を明確にした方がよいでしょう。HRBPの役割は経営者や事業責任者のビジネスパートナーとして組織づくりの側面から戦略を立案し、事業の成長を支援することです。HRBPを導入する際に役割が明確であると、企業内での情報共有などを円滑に行うことができます。HRBPを導入することで、企業が今おこなっている事業に対してどのような成長を促すことができるかというメリットをよく考えたて導入することを考えてみてください。

人事戦略や実行体制を検討する

さらに、注意点として人事戦略や実行体制を検討することも必要です。今後の事業環境や経営戦略を検討したうえで、どのような人材や組織が必要なのかを考える必要があります。人事戦略について検討が済んだら戦略を実行するための体制を考えましょう。現在のままでよいのか、HRBPを設置した方が良いのかを検討します。検討し、環境や事業に対応していくためにHRBPを設置する必要があれば導入しましょう。HRBPを導入してみたものの、本当は今すぐ必要ではなかったのではないかというミスマッチを防ぐ為にも慎重に検討することはとても重要です。

試す期間を設ける

注意点の3つ目は、試す期間を設けることです。HRBPを企業に設置することを決めた場合は、すぐに運用開始するのではなく、試用期間を設けることを忘れないようにしましょう。HRBPを経営者のパートナーにするためにも、人事だけではなく部門側もHRBPの存在を認識する必要があります。試用期間は、HRBPは小さな課題から対応していくことが大切です。企業とHRBPとの間で信頼関係が深まってきたら、大きな問題を解決するように発展させていきます。

まとめ

hrbpを導入して企業の業績向上に繋げませんか

HRBPを導入することで、企業を内側から支える力が強まります。また、企業全体のコミュニケーションを円滑に行えるようになることや、課題が明確化されるなどのメリットがあるでしょう。一方で、HRBPを導入するにあたって、目的が明確でないとHRBPの効果が充分に得られません。HRBPを導入する際には、なぜ企業にとってHRBPが必要なのかを考えるようにしましょう。HRBPを導入して企業の業績向上に繋げませんか。

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