キャリアアダプタビリティとは【誰が提唱したの?構成する4つの資源は?わかりやすく解説します】

記事更新日:2024年01月31日 初回公開日:2024年01月31日

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1950年頃に発表された「キャリアアダプタビリティ」という概念が、近年になって再注目されています。キャリアアダプタビリティとは、キャリア発達のための準備状態とも言われるもので、関心・統制・好奇心・自信の4つの要件で構成されています。ここでは序章にて、「キャリアアダプタビリティ」の意味や再注目されるようになった背景などを解説します。後半に向けては、4つの要件の内容や、「キャリアアダプタビリティ」を高める方法を個人と企業に分けて詳しく説明いたしますので、ぜひ参考にしてください。キャリア習得およびキャリア育成を目指す方々の一助となれば幸いです。

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キャリアアダプタビリティとは

環境や時代の変化に合わせてキャリアを適応させる能力

キャリアアダプタビリティとは、環境や時代の変化に合わせてキャリアを適応させる能力のことです。言い換えれば、成年期以降にキャリア形成をするために必要な基礎能力と言えます。キャリアアダプタビリティが高い人は、年齢を重ねても新しいキャリア形成に柔軟な対応ができるため、転勤や転職に有利だと言われることもあります。成年期以降の個々が置かれる状況は、所属する組織をはじめ影響与える要素が多くなり、キャリアアダプタビリティの個人差は大きくなると言われるのが定説です。

ドナルド・E・スーパーが提唱した

キャリアアダプタビリティは、アメリカの心理学者であったドナルド・E・スーパーが提唱したことに始まったと言われます。スーパーは、キャリアという概念を提唱したことでも知られており、キャリアの第一人者として、キャリアの基礎理論を幾つも発表して多くの人に影響を与えました。そして彼が最後に立ち向かったのが「キャリアアダプタビリティ」であり、本人も口述しているように、体系化までをまとめることはできずこの世を去ります。彼の遺志を継いだのが、アメリカの心理学者マーク・L・サビカスで、彼によって「キャリアアダプタビリティ」が体系化され確立されたのです。

キャリアデザインとの違い

キャリアデザインは仕事を中心として、プライベートも含めた人生の設計のことを言います。それに対しキャリアアップは仕事に役立つスキルを身につけることで経歴を高めることを目標とすることから、両者には大きな違いがあると断言できるでしょう。また、キャリアアダプタリティは「キャリア発達のための準備状態」とも呼ぶように、キャリアデザインやキャリアアップとは根本的に異なる概念と言えます。ただし強いて言うなれば、キャリアアダプタリティは仕事に役立つスキルに注目していることから、キャリアアップに近い考え方だと言えるでしょう。

キャリアアップとの違い

キャリアアップとは、特定の分野について現状よりも専門性をより深めることや、高度な専門知識を身に付けて能力アップをはかることで経歴を高めることを指す言葉です。キャリアアダプタビリティとは、キャリアアップおよびキャリア習得のために必要とされる準備要素を備えておくことを意味し、キャリアにおける異なる側面を指す言葉であり異なる概念と認識すべきです。とくに、壮年期におけるキャリアアップには、キャリアアダプタビリティは不可欠であり、変化する時代を迎えた現代においては重要視される考え方になります。

キャリアアダプタビリティが注目されている背景

VUCAの時代が到来している

キャリアアダプタビリティが注目されている背景には、VUCAの時代が到来したことが大きく関与していると考えられます。VUCAとは「Volatility・変動性」「Uncertainty・不確実性」「Complexity・複雑性」「Ambiguity・曖昧性」4つの略語です。VUCAの時代とは、何が起きてもおかしくない外的変化の大きい現代を指し、いままで当たり前であったことが否定される世の中のことを言います。年功序列や終身雇用制度も崩壊し、変化し続ける市場や顧客のニーズに柔軟に対応できる、キャリアアダプタビリティが高い人材の重要性に、多くの企業が気付いたからです。

キャリアアダプタビリティの要件

関心

関心とは、自分自身のキャリアに関心を持っていることを指し、短期的なキャリア形成よりも、長期的な視点で見た自分のキャリア形成を行うことへの意欲です。関心を持つことによって、将来の自分の夢や願望およびビジョンを持ち、それらを仕事に結び付けて行動に移すことができるでしょう。関心を持つことは、周囲に変化が生じた場合であっても、瞬時に変化に対応したキャリアを考えることができ、迅速な行動へ結びつけることができます。関心とは簡単に言えば、未来への戦略的志向と言うことができます。

統制

キャリア統制とは、キャリアを構築する責任は自分にあると自覚し確信することです。ですから、キャリアアダプタビリティの高い人は、キャリア選択に責任を持ち、「自分のキャリアは自分で作る」という意識を持っている状態といえます。また、言い換えれば、自己責任においてキャリア形成をしていると考えることが重要であり、環境に恵まれないことでキャリア形成ができないと責任転嫁するようではいけません。あくまでキャリアをコントロールするのは自分であり、キャリア形成の環境が無ければ、自分で構築したり環境を変えたりする努力も大切です。

好奇心

好奇心とは、自分が行っている業務に対しての好奇心を持ち続けるという意味です。また、自分にとって未知の世界である新しいことに挑戦したいという気持ちも含まれます。現在自分が行っていることが、自分が持っている好奇心に値するものなのかは本人にしか分からないでしょう。もし、好奇心を持っていたことが現在の職業と違っているならば、その好奇心を持ち続けることは難しいことです。こうした好奇心を後年まで持ち続けることが、キャリアアダプタビリティには重要と言えるでしょう。

自信

自信とは、自分は絶対にできると思えることであり、仕事ではどんな環境であっても作業を問題なくこなす行動に繋がる自己効力感です。このような意識を習得するには、何度も同じ場面を繰り返し行うことが求められます。何度も成功することにより、自己効力感は高まり、大きな自信を持つことになるでしょう。とくに本番での成功は大きな自信となることも多いため、そうした機会に積極的にチャレンジすることも大事です。たとえ困難な状況にあっても、自信があれば今まで習得した自術や知識を応用して新しい手法で果敢にチャレンジし、大躍進することにも繋がるでしょう。

キャリアアダプタビリティを高める方法

個人でできること

主体性を意識する

キャリアアダプタビリティを高めるには、何事にも主体性を意識して行動することが重要です。そのためには日頃から、他のだれかがやってくれるかもという考えは捨てて、自分がやらなければ誰がやるという気持ちを持たなければなりません。とくに無関心であることが最も主体性から離れることになるため、どんなことでも自分事として受け止めるようにすると良いでしょう。自分ならばこうする、こうすれば良くなるという考えのもとで行動に移すクセをつけるのが良い方法です。

キャリアについて定期的に考える

自分のキャリアについて定期的に振り返り考えてみることは、キャリアアダプタビリティを高める良い方法です。自分のキャリアがどのように変化しているのか、自分が描いていたキャリア形成を実現できているかなども確認してみましょう。キャリアとは日々の積み重ねによって変化し成熟するものです。自分のキャリア形成の進む方向なども、自己を客観視しながら修正すると良いでしょう。また、自分のキャリアについての考え方も変わっていくものです。今後の自分の進む方向性を決定するためにも、定期的に考える振り返りの時間は非常に重要だと言えます。

新しいことに挑戦する

新しいことに挑戦しようとする気持ちは、キャリアアダプタビリティを高める方向に導いてくれます。気持ちだけでなく、一歩踏み出して新しいことにチャレンジすることで、さらにキャリアアダプタビリティは高まることでしょう。年齢や経験を重ねると、新しいことに挑戦しようという気持ちが薄れてくるものです。「もう自分には無理ではないか、いまさら新しいことにチャレンジするなんて」と思いがちですが、それは自分の可能性を否定することになります。いつになってもチャレンジする精神を持ち、全てにおいて遅いということはないと思い、果敢に新しいことに挑戦してください。

継続する

「継続は力なり」というように、継続することによって見出されるキャリアも多くあります。もちろん簡単に身につくキャリアもありますが、高い水準のキャリアほど時間がかかるのは当然と考えるべきです。たった数日で諦めるようでは深い専門知識や技術を修得するのは不可能と言ってよいでしょう。また、諦めグセがつくと何でも簡単に諦めるようになり、キャリアアダプタビリティを高める方向から遠く離れてしまいます。興味の変化などは問題ありませんが、短期間で成果が出ないからとすぐに他のキャリア修得を目指すことは、自信を失うだけで得るものはないと思ってください。

スキル習得に向けて学習する

キャリアアダプタビリティとは、「キャリア発達のための準備状態」であると言いましたが、準備状態とはキャリア習得のために基礎知識を学ぶことでもあります。とくに専門分野や奥深い技術を習得するには、それなりの予備知識が必要であり、一般的な基礎知識よりも難しいものになるでしょう。しかし、表面だけの作業だけを覚えるのでは意味が薄く、変化に対応して応用することは困難です。知識と技術が揃って本物のスキルとして身につくものですから、スキル習得に向けて学習することを忘れないようにしましょう。

企業が実践できること

キャリアマップを作成する

企業としては、従業員のキャリアマップを作成することで、社員のキャリアアダプタビリティをバックアップすることができます。キャリアマップとは厚生労働省も提唱するキャリア開発の方法で、キャリアまでの道筋や年数をマップで示したものです。このキャリアマップ作製を企業がバックアップすることで、社員は自分自身で目標を立てることや、目標実現にむけた行動計画が立てやすくなります。この作業により、社員のキャリアアダプタビリティは間違いなく高まることでしょう。

メンター制度を設ける

企業の中でメンター制度を設けることも、若手社員のキャリアアダプタビリティを高めることに繋がります。メンター制度とは、豊富な知識と経験を持つ先輩社員がメンター(指導者・助言者)となり、後輩社員が教えを乞うメンティーとなって行われる個別支援活動です。メンター制度はキャリア形成における悩みを解決しながら、先輩社員のサポートを受けて成長できる利点があります。先輩社員も若手社員から刺激を受けて、新しいことへチャレンジする意欲も湧き、企業としては大きな効果が狙える手法です。

1on1ミーティングを行なう

メンター制度は若手社員と先輩社員による個別支援活動でしたが、「1on1ミーティング」は、上司と部下が1対1で面談し、上司が部下を支援する活動です。やはり、経験の浅い若手社員のキャリアアダプタビリティを高めることが目的であり、人材育成を目的とした手法としても注目されています。上司との信頼関係を構築することにも繋がり、上司からの激励や賞賛を受けることで、社員のモチベーションは大きく高まるでしょう。また、上司から客観的に見た評価を得ることができ、その後のキャリア形成にも大いに役立ちます。

まとめ

キャリアアダプタビリティを持ってVUCAの時代に適応しよう

ここまでキャリアアダプタビリティについて解説してきましたが、元祖であるドナルド・E・スーパーは、「自己概念」や「自分らしさ」を訴え続けてきた偉人です。「自分らしさ」は「個性」とも表現されるものであり、変革の時代といわれる現代で最も重用される要素となっています。そして、自己表現することにより、柔軟かつ革新的な発想ができると考えられているのです。自分とは何者なのか、自分らしさとは何なのかを考えながら、高いキャリアアダプタビリティを持ってVUCAの時代に適応してください。

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