ベストプラクティスとは【企業やビジネスにおける使い方やメリット・デメリットについて解説します】

記事更新日：2024年01月16日｜初回公開日：2024年01月16日

経営者の方々は、どうすれば自社の効率を良くできるか、日々悩まれていることでしょう。販売や物づくり、営業や特殊な医療分野などでも、最善で最も効率的な方法を模索することは当然のことと言えます。ただし自術は常に進歩しており、最善・最良の施策も日々変わっていることも事実です。ビジネス用語で使われる「ベストプラクティス」が、その最も優れていると評価される「最善の方法」です。ここでは、ベストプラクティスの意味や類似語との違いから、ベストプラクティスという言葉の使い分けや導入によるメリットなどを詳しく解説致します。

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ベストプラクティスとは

ある工程にて最も優れているとされる手法

ベストプラクティスとは、ある工程において最も優れているとされる手法を意味します。ただし、ベストプラクティスは現時点での評価によるため、将来におけるベストプラクティスも同じであるとは限りません。進化する世界において、ベストプラクティスが変わることは当然であり、技術の進歩や設備の整備などにより最善の手法は変わるべきであり、変わる必要があるのです。企業は工程ごとのベストプラクティスを採用することで、効率の良い作業を行うことができます。

バッドプラクティスとの違い

バッドプラクティスとは、ベストプラクティスの対極にあるもので、最も効率の悪い手法と言うことができます。「悪しき見本」や「失敗例」などとも呼ばれ、ベストプラクティスの良さを説明するときに良く使われる言葉です。そのように、ベストプラクティスはバッドプラクティスと比較することで、より鮮明に優れた部分が浮き彫りとなります。悪しき見本は、プロジェクトの進行を妨げる根源とも言われますが、ベストプラクティスと比較することで改善策などを見つけるのに欠かせないものです。

ベストフィットとの違い

ベストフィットとは「最良適合」という意味の言葉で、最適な人材を選出することや育成することを「ベストフィット・アプローチ」と呼びます。ベストフィットが人材などの特定の人物に使うのに対し、ベストプラクティスは作業の仕方や手法を指す言葉です。最適や最良という意味は同じでも、対象となるものが大きく異なります。そういう意味では、ベストフィット・アプローチとともに、ベストプラクティスが融合すれば、より効率よい強固な生産体制が作れるでしょう。

セオリーとの違い

セオリーとは「理論」や「定石」を意味する言葉ですが、ビジネスにおいては「効果的な方法」や「決まったルール」という意味でも使われます。「セオリー通りにプロジェクトを進行する」とか「セオリーを確立する」などと使われますが、セオリーとは前述の定石を用いた方法や一般的な手法を表す言葉です。そのときに最も優れた手法とされる「ベストプラクティス」とは意味が大きく異なり、平穏無事にことを成し遂げたいときに使われることが多い言葉です。

ベンチマーキングとの違い

ベンチマーキングとは、自社の経営や業務およびビジネスプロセスの非効率な箇所を特定し改善する方法です。ベンチマーキングする際には、同じプロセスの最良の事例と比較分析をして、業務効率の向上へと繫げます。比較される最良の事例、もしくは最高の事例とされるのが「ベストプラクティス」であり、ベストプラクティスを参考に分析を行い、業務を改善するのが「ベンチマーキング」です。適切なベンチマーキングを行うには、適切なベストプラクティスを選択することが重要になります。

ベストプラクティスの3つの使い分け

最善で効率的な方法

ベストプラクティスの使い方で最も多いのが、「最善で効率的な方法」という意味での使われ方です。ただし、通常のビジネスシーンと医療現場などとでは、多少意味合いが異なります。ビジネスでは効率的であることに重点が置かれるのに対し、医療の現場では最善であることが第一です。ビジネスシーンでは「ベストプラクティスはこの方法」などと現時点における最も効率的な方法を指します。また医療現場では、「いまできる最善の処置」などを指す言葉です。

業界標準

業界標準という意味でベストプラクティスという言葉を使うのは、業界の中で最も多く使われる規格や製品であるときや、標準的で最適と認められる場合です。とくに業界標準という意味のベストプラクティスは、IT業界や技術開発分野で多く使われます。「自社の商品は、まだベストプラクティスに届いていない」とか「当社が行うサービスはベストプラクティスばかりである」というのが使用例です。標準とは呼んでいますが専門業界での標準を指すため、通常で考える標準以上のことを言います。

成功事例

ベストプラクティスという言葉は、「成功事例」という意味でも使われます。成功例を集めた雑誌や番組などを「ベストプラクティス集」などと呼ぶこともあり、成功事例をいくつも紹介するものです。また自社の成功例を紹介するときに、「弊社のベストプラクティスを集めましたのでご紹介します」などのように使われることもあります。このように、ベストプラクティスには3つの使い分けがあるとともに、微妙に意味が変化する言葉です。

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ベストプラクティスのメリット

業務効率が上がる

ベストプラクティスのメリットは、なんといっても業務効率が上がることです。ベストプラクティスが現時点で最善の方法であるならば、以前よりも業務効率が上がるのは当然とも言えるでしょう。ただし、前述したようにベストプラクティスとは現時点での最も効率的な方法であり、時間の経過によってベストプラクティスは変わります。よって一度は上がった業務効率も、それ以上に効率が良くなる可能性があることは覚えておきましょう。

他社の視点を取り入れられる

ベストプラクティスには、他社の視点を取り入れられるメリットがあり、他社のベストプラクティスを導入することで自社のコストの大幅な削減に繋げることができます。自社独自で新しい手法を生み出すことは費用や時間的な問題もあり、簡単ではありません。他社のベストプラクティスをそのまま導入するだけで大きな効果が見込めるほかに、自社では気付かなかった考え方や新しい発見を見出すことも可能です。費用を抑えて成功率の高い新たな取り組みにチャレンジできることは、企業にとって大きなメリットになります。

ベストプラクティスのデメリット

机上論になりかねない

ベストプラクティスと言葉では言うものの、あくまで理論上での最善策であるため、机上論になりかねないのが大きなデメリットと言えます。論理的には最高の方法であったとしても、現実に実行に移せないベストプラクティスならば、時間を費やすだけで企業が得られるメリットは全くありません。逆に実行できないベストプラクティスをいくら考えても意味はなく、時間と労力を消費するだけです。とくに規模の小さな企業では、実行できる施策に限界があります。それを理解したうえで、自社としてのベストプラクティスを考えるようにしましょう。

導入コストがかかることがある

ベストプラクティスのメリットにコスト削減を挙げましたが、ベストプラクティスを導入することでコストが発生することも多くあります。費用対効果で効果の方が大きければ時間の経過で利益に繋がりますが、初期投資に大きなコストがかかるとなれば、企業としても考える必要があるでしょう。長期で回収しなければいけない大きな金額が必要ならば、それに耐えうる企業でなければベストプラクティスを導入することができません。必要なコストがどの程度かも見極めたうえで、導入を検討する必要があります。

人材育成には活用できない

人材育成にはベストプラクティスがありません。多様性を重視する現在において、個人の性格や思考などは個々によって異なるため、最善で効率的な手法は存在しないのです。同じ手法を用いてたとしても個々の成果は様々であり、効果がある人と全く効果の無い人まで存在します。人材育成を簡単に済まそうとするのは非常に危険であり、他社で成功したからといって自社で成功するような簡単なものではないのです。人材育成は個々の持つ個性や知識に合わせた教育や指導が必要であり、万人に適応するベストプラクティスはないことを心しておきましょう。

頼りすぎると大きな進歩がない

ベストプラクティスに頼りすぎると大きな進歩がないというのは、ベストプラクティスのデメリットであるとともに注意すべきポイントです。ベストプラクティスが、そのときの最善の方法であることは間違いありません。そして利用できるベストプラクティスを導入することで、成功を収めることも夢ではないでしょう。ただし、他社が探し出したベストプラクティスに頼りすぎては、自分で考えることをしなくなります。ベストプラクティスも永遠に続くものではないため、企業の中で考えを出し合って模索しなければ、他人任せの進歩のない企業になってしまうので注意しましょう。

マーケティングにおけるベストプラクティス

Google Analyticsを使う

マーケティングにおけるベストプラクティスの代表に、Google Analyticsの使用があります。Google Analyticsは、無料で作れるGoogleアカウントがあれば誰でも利用できる、マーケティング用分析ツールです。作成したサイトへのアクセス数をはじめ、どこの検索サイトや広告などから流入したかや、ユーザーのサイト内での行動も詳細に把握できます。Google Analyticsを使い、広告の費用対効果やプラットフォームのテストなど分析することによって、効果的かつ戦略的なマーケティングを行うことができます。

メールマーケティングを使う

メールマーケティングを使うことも、マーケティングにおけるベストプラクティスと言えるでしょう。ただし、むやみやたらにメールマガジンやニュースレターを配信しても、大きな効果は得られません。興味を持つ会員登録者や購入履歴などから購入する可能性の高い人物を特定し、メールマーケティングを行うことが重要です。メールマガジンやニュースレターの配信は次の購入を促すとともに、時間が空いて放置された顧客を繋ぎとめるとともに、もう一度引き戻す効果も期待できます。

ペルソナを特定する

ペルソナを特定してターゲットを絞り込むことも、マーケティングにおけるベストプラクティスと言えます。多数に魅力がある商品を開発した方が販売数は増えると考えがちですが、ターゲットを絞り込んだ商品の方が実際の購入に繋がっているのです。より自分の求める商品を購入しようと考えるのが顧客の志向であり、ペルソナを特定することで確実に購入してもらう機会が増えるのでしょう。ペルソナの特定は、より具体的な方が良く、性別や年齢の他に職業や住んでいる場所や顧客のかかえる悩みなども含めて考えてみてください。

まとめ

ベストプラクティスを活用して業務効率化に役立てよう

ベストプラクティスは、健全な企業運営を考えるうえで欠かせないものであり、利益を追求するためにも積極的に導入すべきものです。ただし、ベストプラクティスはその時点における評価の最善および最良であり、ベストプラクティスは変化するものであることを忘れてはいけません。また、ベストプラクティスといえども、企業の規模などによっては導入が難しいことも考えられます。自社に活用できるベストプラクティスを十分に検討し、業務の効率化に役立てて、さらなる企業の発展を目指してください。