ISO30414とは【その目的やメリットについても解説します】

記事更新日:2024年02月29日 初回公開日:2024年01月29日

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企業における人の価値は金銭などの資本にも勝るものという考え方が世界中に広がっています。企業に投資する人たちをはじめとするステークホルダーにも気になる情報です。そのために企業の人材価値を分かりやすくするISO30414への取り組みが世界中で注目されています。ここでは人的世界基準とも言われるISO30414の意味や人的資本開示の必要性について詳しく解説いたします。また欧米諸国の取り組みと日本の取り組み事情や、ISO30414の導入メリットおよび導入企業の例にも触れていますので、参考にしていただければ幸いです。

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ISO30414とは

人的資本に関する情報開示のガイドライン

ISO30414とは、国際標準化機構によって策定された、人的資本に関する情報開示のガイドラインです。企業を対象とした内容ではあるものの、規模や事業の種類やタイプに左右されず、世界中の組織が抱える人材情報の透明性を目的とした開示基準になります。ISO30414に準拠した開示情報を見ることで組織の人的資本を知ることができるガイドラインです。社内だけでなく社外のステークホルダーに対しても、リアルな人材確保の状況を伝えることができます。

ISOとは

商取引に関するさまざまなルールを標準化・規格化している機関

ISOとは商取引に関するさまざまなルールを標準化・規格化している機関になりますInternational Organization for Standardizationの略称で、日本では前述の「国際標準化機構」と呼ばれる非政府機関です。ISOは世界経済の円滑化を図るために策定した標準規格で、製品を対象にした「モノの規格」や組織活動を対象にした「マネージメント規格」の2つがあります。今回のテーマであるISO30414は、後者に属する規格です。

人的資本開示とは

企業の人材戦略を定性的・定量的にステークホルダーに対して開示する行為

人的資本開示とは、企業の人材戦略を定性的・定量的にステークホルダーに対して開示する有効な行為であり、企業が抱えている人材の能力を内外の関係者に分かりやすく伝えるものです。人材資本は、人材が持つ能力も財産であるという考え方に基づいており、金銭などの資本と同じように捉える概念になります。人的資本は、企業の存続および発展に深く関係しており、多様化する世界経済において見逃してはいけない企業情報の一つになっています。

ISO30414注目の背景

ESG投資への関心が高まっている

ISO30414が注目されるようになった理由に、ESG投資への関心が高まっていることが挙げられます。ESGとは「Environment・環境」「Social・社会」「Governance・ガバナンス」の3つを総称する略語です。ESG投資は3つの観点から企業力を判断すべきであるという考え方で、2006年に国連が機関投資家などに対し発表しました。日本では2016年頃よりESG投資への関心が高まり、ISO30414が発表された2018年には大きな追い風となり現在に至っています。

ISO30414の目的

組織や投資家が人的資本について正しく把握する

ISO30414の大きな目的は、組織や投資家が人的資本について正しく把握することにあります。設備や金銭的な資本が整っていたとしても、十分な知識と能力を兼ね備えた人員が揃っていなければ、企業は成り立ちません。とくに人材不足が懸念される日本では、人材確保自体が企業の最大の課題とも言われているのが現状です。投資家だけでなく利害関係各者を含む多くのステークホルダーに対して正確な人的資本を開示することは、企業が健全であると証明する義務とも言えるでしょう。

持続的に企業価値の向上を図る

ISO30414には、持続的に企業価値の向上を図るという目的も含まれます。優秀な人材の獲得および維持は、企業価値を高めるために必須であることは間違いありません。とくにサービス産業やソフトウェア販売などを主とする業界では、無形資産とも呼ばれる人的財産は金銭などの有形資産よりも重用されます。そのような意味からもISO30414は持続可能な人材獲得に寄与しており、人的財産は企業の優劣を推し量るうえでも欠かせない判断材料です。

ISO30414への取り組みの現状

欧米諸国

ISO30414への取り組みは、ISOの拠点がスイスのジュネーブにあることからも、欧米諸国は積極的です。欧州ドイツでは、2021年3月にドイツ銀行が我先にとISO30414の認証取得を発表しました。また、アメリカでは2020年の8月に米証券取引委員会(SEC)が上場企業に限り、人材情報の開示を義務化しています。それを期にアメリカ国内でISO30414に準拠する企業が増えており、欧米諸国でISO30414への取り組みに拍車がかかっているのが現状です。

日本

日本でのISO30414への取り組みや理解は、欧米職国に対して大きく遅れているわけではありませんが、認証取得企業が非常に少ないことは事実です。日本でもISO30414に先駆け、2018年6月に金融庁と東京証券取引所によって、「コーポレートガバナンス・コード」および「投資家と企業の対話ガイドライン」が策定されました。また2022年に経済産業省では、通称「人材版伊藤レポート」と呼ばれる「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」なる報告書が発表され、機運は高まる一方です。

ISO30414に則った人的資本情報開示の方法

他部署と連携してデータを集める

ISO30414に定められた11の領域は人事に限ったものだけでないため、他部署と連携してデータを集めることが必要です。それを細分化した指標は58にも及ぶため、密な連携と協力体制を構築すべきでしょう。また同じ尺度でデータ集積するためにも、ツールなどを利用して同基準で定量化することが重要になります。定量化が難しいデータ項目も多くあるので、共通の認識を持つようにコミュニケーションを密に取ることも大事です。

どの項目や指標が自社のKPIなのかを確認する

ISO30414に定められた11の領域に及ぶ多量のデータは、全てが単独のものではなく、関連するデータも多くあります。データの関連性や重要度も踏まえて、データ分析を行いましょう。その際に、どの項目や指標が自社のKPI(Key Performance Indicator・重要業績評価指数)なのかを確認することが重要です。企業によって重視する項目やデータの関連性も異なることを良く理解し、自社が発展維持するために必要とする評価指数を見極めることがポイントになります。

データにリアルタイムでアクセスできる仕組みを整える

ISO30414で最も重要なことは、調査して得た情報を実際の経営に生かすことです。貴重なデータを取得するだけでは、宝の持ち腐れになります。そのため、集計・分析したデータにデータにリアルタイムでアクセスできる仕組みを整えることが肝要です。専門のツールなども積極的に導入し、データを必要とする瞬間に最も新しいデータに瞬時にアクセスできる仕組みを整えてください。そして生きたデータを活用できるように、ツールを自在に使いこなす能力も同時に身に着けるようにしましょう。

ISO30414に沿って人的資本の情報開示を行うメリット

ステークホルダーに効果的な情報公開が可能になる

ISO30414に沿って人的資本の情報開示を行う大きなメリットは、ステークホルダーに効果的な情報公開が可能になることです。企業の取捨選択を行い利潤を得る投資家などのステークホルダーにとって、企業の人材資本を見極めることは重要事項とされています。通常では見ることができない無形の資本を、数字に表しデータとして提供することで、ステークホルダーは効果のある情報を入手することができるのです。優秀な人材を獲得している企業はステークホルダーから適切な評価が得られ、ステークホルダーには収益に繋がる貴重なデータを入手できるというメリットがあります。

経営戦略と人事戦略の連動性が見える化できる

人材の評価を数値化して見える化することで、経営戦略や人事戦略も立てやすくなります。自社に不足している人材や人材能力が見えてくるからです。これは、その後の採用や教育にも繋がる重要な指標であり、企業の発展に大きく関わります。また、他企業との比較も容易になり、柔軟に変革できる企業には有利に働くことでしょう。人材不足が叫ばれる日本において、人事戦略は重要事項です。企業の経営に携わる人や人事関係者は、人事データ集積および管理を適切に行い経営に役立てる必要があります。

採用力が向上する

ISO30414に沿って人的資本の情報開示を行うことで、求職者にとっても安心して就職できる企業と判断することができ、採用力の向上に繋がるメリットがあります。採用力の向上は優秀な人材確保に繋がると同時に、離職者を防ぐことにも効果的です。魅力的な企業には自然に人が集まり、優秀な人材のもとには更に優秀な人材が集まってきます。人的資本を公開することは、自社の手の内を知られるようで不利に感じるかもしれませんが、それ以上に得られるものが多いことを覚えておいてください。

ISO30414の導入事例

株式会社リンクアンドモチベーション

株式会社リンクアンドモチベーションは、日本の企業では最も早くISO30414の認証を取得した企業です。創業は2000年で、組織人事のコンサルティングを行っており、2022年の3月に認証取得しています。人事コンサルティングのパイオニアとして走り続ける株式会社リンクアンドモチベーションは、時代のニーズの変化に呼応して変革を遂げてきた企業です。それだけに優秀な人材確保を最優先としており、社内においてもプロフェッショナルの育成などに力を入れています。

豊田通商株式会社

豊田通商株式会社は、卸売業として最初にISO30414の認証を取得した総合商社です。トヨタグループの一員ですが、自動車部品などに限定せず、多種多様な用品を扱っています。認証取得は2022年の10月であり、今後の取り組みにも注目が集まる会社です。人材開発や抱える人材の健康維持、人権尊重などの活動を積極的に行っています。トヨタグループ各社への影響も期待される、ISO30414の準拠牽引に寄与する企業であり、ステークホルダーからも信頼の厚い会社と言えるでしょう。

Modis株式会社

Adeco Group傘下にあった「Modis株式会社」は、「AKKODiSコンサルティング株式会社」に社名変更しました。ITとエンジニアリングで培った技術と専門知識を生かし、企業の抱える問題解決を目指すコンサルティング株式会社に変貌を遂げています。Modis株式会社当時は国内3番目に認証取得した企業であり、技術系の人材サービス業では初めての取得でした。そのため、会社名および運営内容が変更になったあとも、ISO30414への活動が大いに期待される企業です。

まとめ

ISO30414を導入して企業の価値を高めよう

ISO30414の導入は義務ではないため、自由意志での参画になります。ただし簡単に認証を取得できるわけではなく、ISOが認めた第三者から厳しい審査を受けて認証されなければいけません。また認証取得にはそれなりの費用がかかることもあり、中小企業には重い負担となるでしょう。ただし、ISO30414認証取得による効果は大きく、企業の価値は間違いなく上がります。利害関係のあるステークホルダーや働く従業員のためにも、ISO30414を導入して企業の価値を高めましょう。

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