記事更新日:2019年04月25日 | 初回公開日:2018年05月26日
グローバル経済越境ECとは国境を越えて自国の商品を他国にインターネットを通じて販売する形態を越境ECと呼びます。2017年の経済産業省の統計では中国の消費者が日本の事業者からECサイト経由で購入した金額は1兆2,978億円(前年1兆366億円、前年比25.2%増)です。越境EC市場はアメリカ、中国を中心に世界中で2020年までに毎年20%増加するといわれています。中国人は海外製の製品の品質に対して非常に信頼感があります。日本旅行での爆買いがひと段落した今、越境ECサイトでの商品購入が注目されています。
中国では越境ECに関する法律、いわゆる「新越境EC制度」が2016年にスタートしました。日本から中国向けに越境ECをおこなうには「直送モデル」と「保税区モデル」という2つの方法が存在します。
直送モデルとは日本の越境ECサイトで注文があった商品を国際郵便などを利用して日本の越境ECサイト事業者から中国の消費者へ直接配送するシステムです。個別に日本から発送するため在庫の少ない商品や少量生産品の販売に向いています。デメリットは送料が割高であること、配送の日数がかかることがあげられます。
越境ECにおける保税区モデルとは日本の商品を中国国内の保税区にある保税倉庫へ輸送し、越境ECサイトに商品の注文があった際、保税区から配送されるシステムです。税金は日本から保税区に輸送した段階では関税は留保された状態で保管されています。越境ECサイトに注文があり、保税区から配送される際に初めて注文ごとに税金がかかります。中国国内には越境EC試験区とよばれる保税区が2017年現在15箇所あります。(杭州、天津、上海、重慶、合肥、鄭州、広州、成都、大連、寧波、青島、深セン、蘇州、福州、平潭)
越境ECを始める際に様々なハードルや準備がありますが、まず気を付けたいことは大きく2点あります。1点目は商品について、2点目はどのようなサイトに出店をするかです。
越境ECは文字通り国境を越えてECサイトを通じて商品やサービスを販売するビジネスです。海外で売れる見込みがある商品やサービスであることはもちろんですが、ワシントン条約や国際輸送で禁止されている危険物などの商品は販売することはできません。また、関税や輸送コストの高い商品は販売すること自体が難しいでしょう。
越境ECを自社サイトでグローバル展開することも可能ですが、自社ECサイトのローカライズや現地の決済方法や発送方法、商習慣に対応するのは難易度が高いでしょう。現地のECモールへの出店や委託販売が一番取り組みやすいです。決済方法や配送もシステム利用することが出来るモールがほとんどです。大規模な中国の越境ECサイトでも日本法人や代理店も存在し、商品のローカライズや出店に対するアドバイスも受けることが出来ます。越境ECを行うならば現地のモールでの出店がハードルが低いでしょう。
ずばり商圏が広がる!この一言といっても過言ではないでしょう。国内は少子高齢社会で国内消費が落ち込む中、中国をはじめとした国々ではまだまだ消費は拡大傾向といえます。また、日本ブランドへの信頼も高く一度日本旅行を経験した旅行者の口コミで、日本の商品が越境ECサイトを通じてヒットすることも少なくありません。日本国内では見向きもされない商品やブームが去った商品が中国では大人気なんてこともあります。
越境ECはメリットばかりではありません。デメリットや課題も抱えています。越境ECを行う際にECモールへ出店して商品を販売する場合は当然出店料がかかります。ECモールは売り上げに応じて手数料が課金される仕組みがほとんどなのでこのような費用が大きな負担になります。自社サイトで越境ECを運営する際はこのような費用は発生しませんが、現地にあった決済方法や配送方法も自社で構築しなくてはなりません。また、マーケティングやECサイトへの集客もすべて自社です。現地の商習慣やビジネスの経験者の採用が課題になるでしょう。
結論は越境ECは今後十分な成長が見込める市場といえます。特に中国の消費者は爆買い後、越境EC経由で日本の商品を購入する割合が増加しています。女性をターゲットとしたコスメや健康食品、衛生用品などが人気のようです。今後は飲料をはじめとした食品の需要が拡大傾向するだろうといわれています。
どのようなビジネスでもマーケティングは欠かせません。越境ECにおいても日本で流行しているからといって海外でも売れるとは限りません。近年は広告だけでなくSNSを通じた口コミで流行する傾向にあります。日本に来た観光客あるいは日本に留学中の留学生が日本で買って、使って良かったものをSNSにアップし人気を得るケースが増えています。越境ECを成功させるためには、現地に精通しSNSのチェックが出来て、流行の先端をいち早くチェックし、海外の消費者向けに訴求が出来る「何が売れるか?」を考えられるグローバルなマーケッターもしくはバイヤーの採用がカギかもしれません。この場合、商品を販売したいターゲットとしている国の出身者を採用すると良いでしょう。
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