記事更新日:2021年12月15日 | 初回公開日:2021年12月09日
外国人採用・雇用 人事・労務お役立ち情報 ビザ(在留資格)について 外国人留学生の採用外国人が日本に滞在するためには、在留資格を取得する必要があります。在留資格については入国管理法で規定されており、滞在目的に応じた種類の在留資格を申請・取得する必要があります。いわゆる観光ビザと呼ばれる「短期滞在」や文字通りの「留学」についてはイメージも湧きやすいかと思いますが、実は在留資格は20種類以上に分かれています。就労を希望する場合は、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」などといったカテゴリー別で在留資格を取得することが可能です。資格によっては就労が認められないので注意が必要です。
特定活動とは、法務大臣個々の外国人について特に活動を指定した在留資格のことです。外国人が日本に滞在する際の活動内容は年々多様化していますが、それらの活動全てに在留資格を設定することは出来ません。そこで、他の在留資格には該当しない活動として特定活動が設定されるようになりました。新たな在留資格を新設するときは入管法を改正しなければなりませんが、特定活動の場合は法務大臣が決定するので法改正の必要はありません。在留期間は最長で5年となっています。
在留資格の特定活動は大きく分けて3種類あります。最初に紹介するのが法定特定活動です。法定特定活動は、法務大臣の告示ではなく出入国及び難民認定法で規定されている活動のことです。そして法定特定活動の中でも何種類かに分けられます。ここで初めに説明するのは、特定研究等活動です。特定研究等活動とは研究機関の施設で特定の分野に関する研究や指導を行なう活動です。これには同様の分野に関連する事業を経営する活動なども含まれています。
続いては特定情報処理活動です。特定情報処理活動は、自然科学または人文科学の分野に属する技術や知識を要する情報処理に関わる業務に従事する活動のことです。ただし、これは法務大臣が指定する機関での活動に限られます。また先程紹介した特定研究等活動と特定情報処理活動を行なう外国人が扶養する家族も要件を満たせば在留することが出来ます。この場合は、「特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動」と呼ばれる特定活動として規定されています。
2つ目の特定活動は「告示特定活動」です。告示特定活動は日本の法務大臣によってあらかじめ指定されている活動のことです。そして告示特定活動には40種類以上あるので、今回はその中から何種類かを紹介します。最初に紹介するのは、外交官や領事館の使用人です。この場合は、外交官や領事官が使用している言語によって会話ができる使用人が雇用した外国人の家事に従事することになります。そして、使用人は18歳以上でなくてはならないという決まりがあります。
次は特定活動46号です。これは2019年の5月に新設された新しい在留資格です。具体的には日本の大学を卒業した高い日本語能力を持つ外国人が、習得した知識や経験、語学力を活用することを要件として、幅広い業務に従事することを認める在留資格となっています。これによって通訳の業務や製造業の現場勤務、飲食店やサーパーなどのサービス業の現場での就職も可能になりました。これらの業界の採用担当の方は、外国人の採用も検討してみると良いかもしれません。
続いて紹介するのはワーキングホリデーです。ワーキングホリデーとは2国間の協定に基づいて18歳から30歳までの青年が休暇目的で入国し、その滞在費用を補うために就労を認めている制度です。2021年現在日本は、26ヶ国と協定を結んでいます。協定国から来た外国人は1年間日本で働くことが出来ます。また、労働時間に制限はなく、仕事の種類も多岐にわたっています。短期間ではありますが、若い人材を求めている職場は、この在留資格を持った外国人の採用を検討してみると良いかもしれません。
インターンシップは様々な種類がありますが、この在留資格の場合は外国の大学生が日本の企業で働く活動を指しています。活動期間は1年以内且つ通学している大学の修業年限の2分の1を超えない期間となっています。また、原則として決まった企業でしか働くことは出来ません。報酬がないインターンシップの場合は、90日以上の滞在は、在留資格が「文化活動」、90日以内の滞在は「短期滞在」となっています。
最後に告示外特定活動について説明します。告示外特定活動とは、告示されていない活動の中で、法務大臣が特別な事情で滞在を認めている特定活動を指しています。その具体例をいくつか紹介します。一つ目は、在留資格更新が不許可となった場合の出国準備です。具体的には、在留資格申請が不許可となった場合に30日間の出国準備期間が与えられます。ただし、仕事の契約解消が困難な場合は、4ヶ月まで延長されることもあります。また、稀なケースではありますが、他の在留資格への変更が許可されることもあります。
日本の大学を卒業した留学生が日本で就職活動をする場合も特定活動として認められています。具体的には在留資格「留学」をもって在留し、日本の大学、大学院、高専、短大を卒業した外国人が対象となります。ただし日本で就職活動を行なうことが前提条件となります。期間は6か月で、一度更新が出来るため、最長で1年間在留することが可能です。留学生の採用を検討している場合は、在留資格の期間にも注意して採用活動を行なうようにしましょう。
3つ目のパターンは、親の呼び寄せです。これは、日本に在留する外国人の高齢となった両親を日本に呼び寄せるという特定活動です。人道的な理由で許可されている活動ですが、明確な許可基準は公表されていません。しかし誰でも在留できるわけではなく、一定の条件があるとされています。具体的には両親の面倒を見る人がいないこと、両親が70歳以上の高齢者であること、両親を扶養する能力があることなどといった条件を満たす必要があるといわれています。
外国人を不法就労させたり、不法就労を斡旋した場合、3年以下の懲役または300万以下の罰金に処せられます。たとえ不法就労であることを知らなかったとしても、在留カードや指定書の確認等を怠たるなどの過失がある場合は処罰を免れる事ができません。外国人の雇用を検討する際には、必ず在留カードで在留資格を確認しましょう。そして在留資格が「特定活動」の場合は指定書の内容をきちんとチェックし、就労条件が記載内容に収まっていることをきちんと確認することを心掛けましょう。
外国人を雇用する際は、「外国人雇用状況届出書」をハローワークに提出しなければなりません。届出書を提出する目的は、企業の外国人管理状況に適正な指導や助言を行なうためです。外国人雇用状況届出書は提出が義務づけられているので、提出が漏れた場合は最大で30万円の罰金が科されることになります。また、外国人を雇用するときだけでなく、離職時にも提出が必須ですので、注意しましょう。
外国人に対しても日本人と同様に労働基準法を遵守しなければなりません。労働基準法は外国人を含めて日本で働くすべての労働者に適用されます。特に外国人を雇用するときは、最低賃金や有給休暇といった労働条件を日本人と同等以上にする必要があります。労働基準法に違反すると企業側が罰則を受けることになるので、注意しましょう。
特定活動の在留資格を持つ外国人全員が日本で働けるわけではありません。特定活動の在留資格を取得する場合、同時に指定書という種類がパスポートに添付されます。この指定書に就労出来る旨が記載されていない場合は働くことは出来ません。不法就労の外国人を雇用した場合は罪に問われる可能性もあるので、指定書に就労できるという記載がない特定活動の外国人は雇用しないようにしましょう。指定書については次の段落で詳しく説明をします。
指定書は小さい紙で、基本的にパスポートに添付されます。指定書には活動内容の詳細が具体的に記載されることになります。例えば就職活動を目的として特定活動の在留資格を取得すると、指定書に「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)」と記載されます。このケースでは、このままでは就労する事は認められませんので、アルバイトをしたい場合等は「資格外活動許可」を別途取得し、在留カードへの記載を受ける必要があります。また、ワーキング・ホリデーでの在留資格を取得すると、指定書には「休暇を過ごす活動並びに当該活動を行うために必要な旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動」と記載される場合があります。このケースでは就労時間の制限等はありませんが、上記の範囲を超えた就労を行わないよう注意する必要があります。
今回は在留資格の中の「特定活動」について詳しく説明をしました。特定活動の内容について理解を深めることが出来ましたでしょうか。外国人を雇用するには、在留資格の確認や事務手続きの流れについて正しく理解しなければなりません。万が一正しい手続きをしなかったり、外国人に不法就労などをさせた場合は、雇用した企業も罰則を受ける可能性があるので注意が必要です。特に特定活動は内容が変更されることもあるので、不安な場合は外国人雇用に詳しいエージェントや専門家に相談するようにしましょう。
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