記事更新日:2020年08月04日 | 初回公開日:2020年07月30日
人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンドジョブ型雇用とは、職務を明確にして最適な人材を配置する雇用制度のことです。自身が持つ専門の知識やスキルを活かして働くことが出来る点が魅力と言えるでしょう。また企業側も、高い専門性を持つ優秀な人材を確保することが出来ます。人手不足が深刻化する中、即戦力として活躍できる人材を採用することは、企業にとっても大きなメリットがあるでしょう。また、労働者は自ら職務内容を提示することが可能です。職務記述書に書かれた業務以外のことは行う義務がありません。そのため、プライベートと仕事の両立が図りやすいと言えるでしょう。
ジョブ型雇用は、欧米諸国で広く普及しており、日本でも導入が進んでいます。ジョブ型雇用を導入している欧米諸国では、中途採用がメインです。また、経験豊富な人材が良いとされているため、労働市場が流動的で転職が容易にできる環境であると言えるでしょう。一方、日本企業では新卒一括採用で労働者を確保する方法が主流です。転職も欧米諸国程容易ではありません。このように、日本と欧米諸国では雇用方法や転職への捉え方が違います。ジョブ型雇用への移行が進んでいるとはいえ、完全に移行するまではまだまだ時間がかかるでしょう。
ジョブ型雇用が注目される背景の1つとして、社員を正しく評価するためという理由が挙げられます。従来の時間ベース管理の働き方では、社員1人1人を正しく評価することは困難でした。しかしジョブ型雇用では、職務を明確に規定しているため、成果を評価しやすいです。時間ベース管理が難しい在宅ワークであっても、成果をきちんと評価することが可能です。新型コロナウイルスにより、出勤が難しい今の時期に適した雇用制度と言えるでしょう。オフィスワークが減少するこれからの時代、ジョブ型雇用のニーズはますます高まるでしょう。
また、専門職の人手不足解消のためジョブ型雇用を導入する企業も増えてきました。AIやIoTなどの第四次産業革命に伴い、特にデータサイエンティストやエンジニアなどの専門職の人手不足が深刻化しています。経済産業省の調査によると、2030年には40万~80万人のITエンジニアが不足すると予想されています。今後、このような専門技術者の人手不足が一層深刻化していくでしょう。今までは、一部の企業だけが必要としていた専門技術職ですが、第四次産業革命に伴い、様々な企業でニーズが高まっているのです。
ジョブ型雇用を導入するメリットの1つとして、自分のスキルを活かすことが出来る点が挙げられます。ジョブ型雇用の場合は、その業務を行うことが出来る人材が採用されます。そのため、採用後に仕事内容と能力のミスマッチが起こりにくいと言えるでしょう。また、労働者自身も、自身のスキルや知識を最大限に活かしながら働くことが出来ます。そのため、職務内容に不満を感じることも少なく、長期的な雇用が実現できるでしょう。その道のプロとして専門性を深めるため、企業にとっても必要不可欠な存在になるでしょう。
また、長時間労働になりにくい点もジョブ型雇用のメリットの1つと言えるでしょう。ジョブ型雇用の場合、職務記述書により労働条件が細かく定められています。そのため、労働者は職務記述書に記載がない業務や残業を行う必要がありません。個人の仕事の範囲がきちんと定められていると言えるでしょう。そのため、優秀だからと言って仕事を沢山任されることもありません。やるべき職務できちんと成果を出してさえいれば、定時に退社することも十分可能です。ワークライフバランスを重視する方に向いている雇用制度と言えるでしょう。
ジョブ型雇用のメリットの1つとして、スキル次第で給与が上がる点が挙げられるでしょう。ジョブ型雇用の場合は、基本的に職務の難易度や成果によって給料が決定します。そのため、しっかりと結果を残すことさえできれば高収入を得ることも難しくありません。専門的スキルがあり、経験豊富な人材が活躍できる雇用制度であると言えるでしょう。もちろん、経験値がまだ浅い方でも、職務をしっかりと遂行できる能力があれば、若いうちから重要な仕事を担当することも可能です。ジョブ型雇用の導入は沢山のメリットがあると言えるでしょう。
ジョブ型雇用のデメリットの1つとして、成果を常に出さなければならないプレッシャーがかかる点が挙げられます。ジョブ型雇用では、専門スキルを持ち即戦力となる人材を採用します。企業が求める成果を出せない場合は、降格だけでなく降給される可能性も十分あるでしょう。そのため、常にプレッシャーを感じながら働かなければいけません。ジョブ型雇用で採用された場合は、勤務時間だけでなくプライベートの時間もスキルを磨く時間に費やす必要があるでしょう。導入の際は、このようなデメリットも考慮しましょう。
社員は自らキャリア設計が必要になる点も、ジョブ型雇用を導入するデメリットの1つと言えるでしょう。ジョブ型雇用では、与えられた職務を遂行できる能力がある人材を雇用します。内定者向けの研修やトレーニングなどは殆ど行われないため理解しておきましょう。そのため、自主的にスキルを磨く努力をする必要があります。さらにジョブ型雇用の場合、会社の経済状況が変化した場合や方針転換に伴い、契約が終了してしまう可能性もあります。職務が無くなった際は、解雇されやすくなってしまうため注意が必要でしょう。
また、新卒枠の採用がなくなる可能性がある点もジョブ型雇用を導入するデメリットの1つです。主に、ジョブ型雇用では欠員を補充するために採用募集を出します。そのため、職務をきちんと遂行できる専門技術を持つ人が、求められる人物像になると言えるでしょう。新卒社員は、専門スキルを身につけていない人や経験値が浅い人が多いです。そのため、おのずと活躍できる場所は限られてしまうでしょう。学生のうちからインターンシップなどを通して、専門的なスキルを身に着けておく必要があるでしょう。
続いて、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いをご紹介します。ジョブ型雇用は、採用時に職務内容や勤務地が決まっているのに対し、メンバーシップ型雇用は雇用後に仕事がもらえます。そのため、入社するまで勤務地や職務内容は明確に定められていません。年功序列と終身雇用が前提のため、多くの日本企業が導入している雇用形態であると言えるでしょう。また、基本的にメンバーシップ型雇用では企業の都合に合わせて配置転換をすることが出来ます。双方の違いを理解し、企業のニーズを満たす雇用方法を導入しましょう。
ジョブ型雇用は自分のスキルが仕事になります。専門性を高め成果を挙げるほど、評価も報酬も上がるため、社員のモチベーション向上に効果的であると言えるでしょう。また職務記述書により、職務内容や勤務時間、さらに勤務地なども細かく決められています。そのため、社員にとっても仕事のゴールが明確で、効率的に働くことが出来るため、無駄な残業を減らすことが出来るでしょう。ジョブ型雇用で採用した場合、新人研修を行う手間を省くことができるため、企業にとってもメリットが大きいですよ。
ジョブ型雇用を導入した日本企業の事例の1つとして、日立製作所が挙げられるでしょう。現在、日立製作所では売上高の半分を海外が占めています。さらに、30万人の従業員のうち約14万人が海外人材です。そのため海外企業で一般的なジョブ型雇用の導入は必要不可欠でした。2021年度入社では、採用人数950人のうち400人がジョブ型雇用で採用されています。2024年中には、完全なジョブ型雇用への移行を目指しているそう。海外人材の雇用を進めたい方は、日立製作所のようにジョブ型雇用を進めてみてはいかがでしょうか。
また、ジョブ型雇用を導入した日本企業の1つとして、富士通株式会社が挙げられます。富士通株式会社では、2020年度から課長職以上の人を対象にジョブ型雇用での採用を始めました。その数は約1万5000人。現在は、ジョブ型雇用での採用枠を一般社員まで広げようと労使交渉中です。一般社員が新しい雇用制度で雇用されるのも時間の問題と言えるでしょう。この取り組みは、同業他社にも大きな影響を与えています。NTTグループでは、時間ベースではなく成果に基づいた評価制度の導入を検討しています。
株式会社資生堂も、ジョブ型雇用を導入した日本企業の1つと言えるでしょう。株式会社資生堂では、2021年度からジョブ型雇用の枠を、オフィス勤務の一般社員約8000人まで拡大することが決定しました。このほど、オフィスへ出社できる人数を5割にする在宅ワーク継続を決めました。株式会社資生堂は、ジョブ型雇用の導入により、在宅ワークであっても職務に基づく評価がつけやすくなるとしています。また、国籍や性別に関係なく適材適所で採用することで、社内の多様化を促進しています。
今回は、今注目を集めているジョブ型雇用についてご紹介しました。メリットとしては、自分のスキルを活かすことが出来る点。デメリットとしては、成果を出し続けなければいけない点が挙げられます。導入前にしっかりと理解しておきましょう。また、ジョブ型雇用導入は経団連が推進しています。経団連は日本型雇用制度や年功序列賃金の見直しをするべきだと主張しています。この影響で、ジョブ型雇用を導入する企業はますます増えるでしょう。この機会にジョブ型雇用の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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