不法就労を防止するためのチェックポイント【罰則と営業停止】

記事更新日:2022年01月20日 初回公開日:2022年01月06日

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近年のグローバル化に伴い、外国人雇用は日本のビジネスにとって非常に重要なものとなっており、外国人雇用が増加しています。しかし、その影響で不法就労となるケースも増加傾向にあり、大きな問題となっています。外国人雇用には、不法就労者を雇用してしまうリスクがあり、企業側にも罰則があります。不法就労を防止する観点で、企業側も外国人雇用に関わる手続きや特有のルールについてしっかりと把握しておくことが非常に重要です。今回の記事では、不法就労にあたるケースと、その防止策について詳しくまとめていきます。今回ご紹介する内容は、不法就労を防止し、正しい外国人雇用をするための情報となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

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不法就労とは

不正に入国や許可を得ずに働くこと

不法就労とは、外国人が適切なビザを持たずに日本に入国して働いたり、ビザが期限切れのまま日本に滞在を続け(オーバーステイ)、その事実を隠して働いたりすることを指します。そのほか、就労を許可していないビザで働いてしまうケースや、就労ビザで許可された範囲を超えて働いてしまうケースなども不法就労に該当します。日本で外国人が滞在して働くためには、就労を許可するビザと、在留を許可する在留カードが必要です。外国人を雇用する場合には、適切なビザを持っていることと、有効期限を確認をしましょう。

不法滞在

不法滞在は、在留許可が持たない状態で日本に滞在している状態を指し、前述の通り違法となります。不法滞在には、入国許可を得ずに入国する不法入国と、在留資格を期限切れのまま滞在を続ける不法残留があります。これらに違反すると、強制送還と入国禁止といった罰則が科されます。日本には「難民法」という政治的難民を保護する法律があり、難民認定された外国人は不法滞在の扱いになりません。しかし、不法滞在が発覚した場合に、強制送還を免れる手段として虚偽の難民申請を出して残留する外国人もいるため、難民法は今もなお改定が行われています。

働くことが認められてない人が働くこと

日本で外国人が働くためには、就労ビザを取得することが義務付けられています。就労ビザを持たずに就労している場合も不法就労です。不法就労をした外国人はもちろんのこと、その外国人の雇用主にも罰則が科せられます。例えば、留学ビザを持つ外国人学生がアルバイトをしている場合、留学ビザのみの所有では許可不十分のため違法です。留学生の場合は、留学ビザの所有と合わせて資格外活動の許可を得ることで、一定の制限内での就労が可能となります。

現在の資格範囲以上に働くこと

日本で正社員として雇用される外国人の多くは、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザを取得します。「技術」はエンジニアなどの技術職、「人文知識」には企画・営業・事務などのオフィスワーカー、「国際業務」は通訳・翻訳などが該当する資格です。この就労ビザが許可する範囲外の業務を行うことも不法就労にあたります。また、留学生の資格外申請においては、週28時間以内での就労が可能となりますが、これを超えて就労した場合も不法就労となります。

不法就労の現状

日本語NAT-TESTの成績証明書類の偽造

外国人の不法就労は現在でも後を絶たず、さまざまな問題が発生しています。一つは、「日本語NAT‐TEST」という日本語能力を判定する資格の成績証明書の偽造です。日本語NAT‐TESTは、ビザの取得において一般的な日本語能力検定(JLPT)と同等の判定が可能なテストです。日本語能力検定の成績がビザ取得の目安になっています。しかし、その日本語能力の成績証明が偽造される問題が発生しています。日本語能力検定を受けていない外国人は、日本語の読み書きや会話がほとんどできない場合が多く、就業できたとしても長続きしないケースも多発しています。

正規ルートから外れた不法就労

前述のような、偽造による正規ルートから外れた不法就労は深刻な問題です。日本語検定の成績証明書や、ビザ発給手続きの必要書類などの偽造業者が存在し、不法就労を目的としたビジネスが横行しているのです。その結果、簡単に偽造ビザを入手して日本に入国し、不法就労する外国人が増加しました。不法就労している外国人を雇用した事業主も罰則の対象となるため、偽造ビザを持つ外国人を雇用した事業主が逮捕されるといった事例も多く発生しています。このように、不法就労ビジネスの横行の問題は非常に根深いものとなっています。

技能実習生の失踪

不法就労ビジネスの横行で、比較的簡単に日本に来ることができるようになりに技能実習生として来日する外国人が増えています。外国人労働者が増えたことで、技能実習生の失踪といったトラブルも発生しています。技能実習生として留学できる外国人は優秀な人材である場合が多いにも関わらず、給料の未払いや職場でのいじめなどにより逃げ出してしまう外国人がいるのです。そのような劣悪な労働環境により、技能実習よりも不法就労の方が稼げるという認識を持っている外国人留学生も後を絶ちません。

企業側のチェック不足

企業側のチェック不足も不法就労を助長している原因の一つと言えます。外国人雇用に関する知識がないまま、安い労働力として雇用する場合や、在留資格のチェックが不十分な場合があります。ビザが偽造されたものだった場合、その外国人を雇用した事業主は罰則の対象となります。残念なことに、見抜けなかった、知らなかったでは逃れられないのです。とはいえ、偽造ビザは精巧につくられているため、見抜くのは困難です。厄介なことに、出入国在留管理庁の照会サイトもすり抜ける偽造ビザまであるのです。現在では、ICチップの照会によって偽造ビザを見抜く「ビザマネ」というサービスが登場し、偽造ビザに対する対策がなされています。

不法就労の罰則

不法就労助長罪

不法就労は、原則、外国人本人と雇用していた企業の両者に罰則が適用されます。不法就労をする外国人を雇用した場合に科せられる罰則についてご紹介します。まず一つは、「不法就労助長罪」です。①不法就労をさせた事業主とその個人(不法就労者を雇う、使用する、派遣した者)②不法就労をあっせんした者(ブローカー、仲介業者など)③不法就労をさせるため協力した者(不法就労者に宿舎を提供、パスポートを預かるなど)。これらに違反すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が処せられます。

営利目的在留資格等不正取得助長罪

2つ目は、「営利目的在留資格等不正取得助長罪」です。これは、営利目的で在留資格の偽造などを行い、不法に入国しようとする外国人の手助けをした者への罰則です。在留資格を不正に取得した本人には、「在留資格等不正取得罪」という罪に問われます。つまり、在留資格等不正取得罪を手助けした者が、「営利目的在留資格等不正取得助長罪」の対象です。これらに違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が処せられます。

不法就労を防止するためのポイント

雇用前の確認

在留カードの確認

企業側で確認するべきことは、在留カードの確認です。外国人を雇用しようとする場合は、在留カードの原本を確認しましょう。そこで、今持っているビザの種類と有効期限を確認します。偽造ビザであるかを見抜くために、前述の「ビザマネ」は必ず利用しましょう。職務内容について不安がある場合は、入国管理局に直接確認したり、専門家などに判断を仰いで申請を進めるようにしてください。知らなかったでは済まされないので、自己判断せずに慎重に進めてください。

資格外活動許可

留学生の場合には「資格外活動許可」をもらっているかという点も、在留カードの原本で確認しましょう。留学生の持つ留学ビザは、学びを目的としたビザなので、収入を得る活動は認められていません。そのため、留学ビザの資格外活動として申請が通れば、一定の制限内で収入を得るための活動が可能となります。企業側では、資格外活動の申請を適切に行い、許可が出ているかどうかを確認します。資格外活動が許可されている場合には、在留カードの裏に「許可:週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」という記載があります。

在留カードがなくても働ける場合もある

基本的に外国人の就労は、在留カードと就労が許可されるビザがなければ認められません。ただし一部例外として、在留カードがなくても働ける場合もあり、その条件は次の通りです。①パスポートに後日在留カードを交付する旨の記載がある場合②外国人登録証明書から在留カードへ切り替え前の場合③3か月以下の在留期間が付与されている場合④「外交」「公用」等の在留資格が交付されている場合。パスポートにこれらの記載がある場合、就労が許可されているかどうかも確認してください。

偽造在留カードチェッカーの利用

在留カードの偽造が問題となったことを受け、出入国在留管理庁のホームページでは、在留カードが偽造されたものかどうかを見抜くポイントが紹介されています。さらに、「在留カード等読取アプリケーション」という偽造在留カードをチェックするアプリも同庁から配布されており、より正確に偽造を見抜くことが可能です。同様のサービスで、「ビザマネ」というアプリもあります。目視での確認と合わせて、アプリケーションを利用することがおすすめです。

労働時間を確認する

留学ビザの資格外活動のように、労働時間に制限がある場合があります。労働時間の制限は、多くの場合週28時間以内という制限になっています。これは残業を含んだ時間となるため、残業を含めて28時間以上の就労をすることはできません。また、一つの就業先での就労制限ではなく、すべての就業先で合計週28時間を超えてはなりません。留学ビザの場合では、学校の定める夏休みなどの長期休業には1日8時間、週40時間までの就労が可能になります。在留カードの裏を確認すると、資格外活動が許可されたものには「許可:週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」の記載がありますので、必ず労働時間を確認しましょう。

業務範囲を確認する

就労ビザでは、そのビザが許可する業務範囲が設けられています。許可されている業務以外を行うことは禁止されているので、ビザの業務範囲を必ず確認しましょう。留学ビザの資格外活動では、風俗営業のアルバイトは禁止されています。正社員雇用の場合は、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザで、工場などの単純作業をさせたりすることも禁止です。そのほかにも、就労が可能なビザにはさまざまな種類があります。外国人を雇用する場合、本人が持つビザの許可する業務範囲と、ビザの種類をチェックしましょう。

書類の届出をする

外国人を雇用した企業は、雇用形態に関わらず「外国人雇用状況届」をハローワークへの提出することが必要です。正社員雇用の場合、「雇用保険被保険者資格取得届」の備考欄に外国人の国籍・地域、在留資格、在留期間などを記入て提出します。アルバイト雇用の場合は、「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況通知書」に同様の内容を記載の上提出します。また、入社後には、在留期間の期限が切れる前に更新手続きが必要です。「在留期間更新許可申請書」と、本人に用意してもらう必要書類を添付して入国管理局に提出します。申請書4枚のうち2枚は企業側で作成し、代表者の氏名と押印をして提出します。

まとめ

事前のチェックで不法就労を防ぎましょう

今回は外国人雇用に関して、不法就労につながるリスクや、防止策についてまとめました。外国人雇用には特有のルールや手続きが存在しますが、グローバル化に伴い、外国人雇用に前向きな企業も増加しています。そんな中、外国人雇用が増えている影響で不法就労に該当するケースは増加傾向にあります。不法就労者を雇った企業に科せられる罰則は、知らなかったことで回避できるものではないため、注意が必要です。外国人を雇用する際には、事前のチェックを厳格に行い、不法就労を防ぎましょう。

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