記事更新日:2018年11月14日 | 初回公開日:2018年11月13日
外国人採用・雇用 外国人留学生の採用 ビザ(在留資格) 採用・求人のトレンド 日本で就職を希望する留学生は沢山いますが、その中の約3割しか就職先を見つけられないという現状があります。原因の一つとして挙げられるのが就職活動の準備不足です。就職活動で失敗しないためには就職活動のはじめのステップとして、まずは自分が何の業界や職種に就きたいのかを明確にする必要があります。
そこで本記事では、日本の業界や職種の紹介をしたいと思います。また、留学生のための就職活動の方法、就労ビザ情報などの留学生が就職活動をするにあたって必要な情報もまとめてご紹介します。
業界とは企業が行っている事業を産業ごとに分けたものです。例えば、何を作っているかやどんなサービスを提供しているかで決まります。
また、よく同じように使われる「業種」という言葉ですが、これは業界をさらに細かく分類したものを指します。
職種とは個人が行う業務ごとに分けられる仕事の種類を指します。ひとつの会社の中でも様々な職種を持った人がいます。厚生労働省の職業分類によって職種が定義されています。
就職活動を始めたいけど、何から始めればいいか分からない人も多いと思います。何をすればいいか分からない人は、どのような業界があるかを知ることで就職活動の第一歩を踏み出しましょう。すでに働きたい業界を決めている人も、1つの業界に絞るのではなく幅広い業界を見るのも自分の視野を広げるためには重要です。
業界には様々なものがありますが、ここでは就活生が主に志望する業界にフォーカスをして紹介します。自分がどんな業界に興味がありそうなのかを考えながら業界一覧を見てみてください。
業界 | 業界内容 |
---|---|
マスコミ | 情報の伝達 |
商社 | モノを売りたい相手と買いたい相手のマッチング |
銀行 | お金を動かすサービスの提供 |
保険 | 保険サービスの提供 |
調査・コンサルタント | 事業課題の解決、企画策定、市場動向調査、政策立案を行う |
ホテル・旅行 | ホテル内の各種サービス、旅行プランの企画 |
人材紹介・派遣 | 人と企業のマッチング |
官公庁・団体 | 公的事業 |
水産・食品 | 水産物、加工食品等の製造、販売 |
運輸・倉庫 | 旅客や貨物の運送、物品の保管 |
建設・住宅・不動産 | 建設の工事、設計、販売 |
医薬品・医療関連・化粧品 | 医療関係、化粧品関係の製品の開発、製造、販売 |
素材・化学 | 鉄銅、化学品等の素材の開発、製造、販売 |
電気・電機 | 電機製品の開発、製造、販売 |
精密機器・医療用機器 | 精密機器、医療用機器の開発、製造、販売 |
自動車・輸送用機器 | 自動車、輸送用機器の開発、製造、販売 |
ソフトウェア・ゲームソフト | ソフトウェア、ゲームソフトの開発、販売 |
情報・インターネットサービス | ITに関係するサービスの提供 |
機械・プラントエンジニアリング | 機械の開発、生産、石油やガスなどのエネルギーを生産する設備の製造、設置、運転 |
職種には様々なものがあります。ここでは一般的に新卒の学生が選ぶ職種にフォーカスして紹介します。その職種の職務内容と必要なスキルも加えてご紹介します。
後程お伝えしますが、留学生の場合就職できる職種と出来ない職種があります。そのため、ここで紹介する職種一覧を見るときは、「自分が学校で何を学んだか」「自分が学んだ中で得意なことは何か」を考えながら、職種一覧を見てみてください。
職種 | 職務の内容 | 必要なスキル |
---|---|---|
研究開発 | 研究を行い得た知見から商品を開発する | 専門的で高度な知識、技術力、論理的思考能力 |
システム開発・設計 | 業務の仕組みを設計し、コンピュータシステムを開発する | 専門的な知識、技術力、論理的思考能力 |
総務 | 書類関係、電話対応、来客対応、設備管理など企業に必要な幅広い業務を行う | 基本的なパソコンスキル、コミュニケーション能力 |
人事 | 社員の採用、人員配置、評価、研修を行う | 基本的なパソコンスキル、コミュニケーション能力 |
広報等 | 企業のブランド力の向上のための取り組み、新商品のPRなどを担う | トレンドなどの観察能力、コミュニケーション能力 |
法務 | 企業の活動に関わる契約の条文チェック、株式に関わる業務などを行う | 法律の知識 |
会計 | 企業の財務を把握し報告する | 会計に関する知識 |
マーケティング | 市場の動向を探り、サービスや商品を流通させる仕組みを作成する | 分析力、発想力 |
商品開発 | 商品のイメージやアイディアを実際に形にする | 分析力、専門的な知識 |
営業・販売 | 自社のサービスや商品の魅力を顧客に伝え、販売をする | 提案力、交渉力 |
生産・製造 | 製品を製造する機器の運用やメンテナンス、生産工程の効率化を行う | 製造に関する技術力、知識 |
国際業務 | 企業の海外事業展開の支援を行う | 語学力、異文化適応力 |
貿易業務 | 海外との取引の手配、出荷納入の管理、またその為の書類の作成や申請・手続を行う | 語学力、貿易に関する知識 |
通訳・翻訳 | 資料の翻訳、会議などでの通訳を行う | 語学力、業務に関連する知識・語彙力 |
順位 | 文系留学生 | 順位 | 文系国内学生 |
---|---|---|---|
1 | 商社(総合) | 1 | 銀行 |
2 | ホテル・旅行 | 2 | 保険 |
3 | 調査・コンサルタント | 3 | マスコミ |
4 | 情報・インターネットサービス | 4 | 建設・住宅・不動産 |
5 | 情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト | 5 | 商社(総合) |
5 | 自動車・輸送用機器 | 6 | 運輸・倉庫 |
7 | 商社(専門) | 7 | 商社(専門) |
8 | 銀行 | 8 | 水産・食品 |
8 | マスコミ | 9 | 調査・コンサルタント |
8 | 人材紹介・人材派遣 | 10 | 官公庁・団体 |
上の表は2017年に2018年に卒業する留学生に対して行われたアンケート結果です。文系の留学生が就職したい業界として海外との繋がりの濃い、商社やホテル・旅行業界への就職希望が目立っているといえるでしょう。文系の国内学生は文系の留学生と比較すると海外との繋がりが薄い業界への就職希望が多いように見えます。
また、文系の留学生が希望する業界の上位にはIT関係の業界がランクインしています。近年注目されているIT関連の業界の大幅な進歩を見越して将来性のある業界を選ぼうとしている現れともとれます。
順位 | 理系留学生 | 順位 | 理系国内学生 |
---|---|---|---|
1 | 情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト | 1 | 素材・化学 |
2 | 自動車・輸送用機器 | 2 | 医薬品・医療関連・化粧品 |
3 | 医薬品・医療関連・化粧品 | 3 | 水産・食品 |
4 | 素材・化学 | 4 | 電子・電機 |
5 | 情報・インターネットサービス | 5 | 情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト |
6 | 電子・電機 | 6 | 情報・インターネットサービス |
7 | 水産・食品 | 7 | 精密機器・医療用品 |
8 | 機械・プラントエンジニアリング | 8 | 自動車・輸送用機器 |
9 | 調査・コンサルタント | 9 | 機械・プラントエンジニアリング |
9 | 精密機器・医療用品 | 10 | 官公庁・団体 |
理系留学生の人気の業種は、情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト業界や自動車、輸送用機器業界といった高い専門性が必要な業種、日本の技術力の高いIT系や自動車関係の職種が人気であると言えます。
理系の留学生と理系の国内学生が希望する業界に相違はあまりありませんが、外国人が日本に憧れ来日する理由の最も多いものの一つとして挙げられるゲームに関連する業界が人気であるのは納得できます。
外国人が日本で就職したい理由について興味がある方は「日本で就職したい外国人。その本音を聞いてみた」もご覧ください。
順位 | 理系留学生 | 順位 | 理系国内学生 |
---|---|---|---|
1 | 国際業務 | 1 | 研究開発 |
2 | 事務職(総務・人事・広報等 | 2 | システム開発・設計 |
3 | 貿易業務 | 3 | 国際業務 |
4 | マーケティング・商品開発 | 4 | 生産・製造 |
5 | 通訳・翻訳 | 5 | マーケティング・商品開発 |
6 | 営業・販売 | 6 | 貿易業務 |
7 | 研究開発 | 7 | 通訳・翻訳 |
8 | 事務職(法務・会計 | 8 | 事務職(総務・人事・広報等) |
9 | システム開発・設計 | 9 | 営業・販売 |
10 | 生産・製造 | 10 | 事務職(法務・会計) |
平成26年に行われた留学生が希望する職種について聞いたアンケートでは、文系の人気職種が国際業務で理系の人気職種が研究開発という結果が出ています。
文系の留学生の場合、上位にランクインする職種は国際的に活躍できる職種が多い傾向にあります。理系の留学生の場合は、希望する業界と同じように専門的な職種を希望する傾向があります。また、国際的に活躍できる業務も上位にランクインしています。
留学生に人気な業界、職種のランキングから読み取れるように、留学生の多くが希望する職種は国際業務となっています。留学生は母国語、日本語、英語などの言語を操ることができるため、国際的に活躍したいと思っている留学生が多い現れだと考えられます。
就職活動をする際に多くの学生が何の職種や業界を選べばいいのか迷ってしまいます。
自分が働きたい業界を決める時は、まずは自分が何をすることが好きなのか、何に興味があるのかを深く考えることから始めましょう。その後、上で紹介した業界の中から自分の興味に近い物をリストアップして、リストアップした業界を研究しましょう。
業界研究で見るべきポイントは業界ごとの特徴、成長性、安定性、将来性などです。また、業界研究をする際に便利な書籍は「業界地図」「就活四季報」です。業界地図や就活四季報では、上で述べた情報を得ることができるため就活生には人気の書籍となっています。
自分が働きたい職種を決める場合は、留学生の場合は自分の専門性から決めることをおすすめします。なぜなら留学生の場合ビザの関係上(後述)、働くことができない職種があるためです。ですので、職種を決める際は自分は何を学んできて、どんなスキルがあるか考えそれが活かせる職種を選ぶと良いでしょう。
留学生が日本で働く場合、就労ビザを必ず取得しなければなりません。就労ビザとは、政府が外国人に付与する「日本で仕事をすることを許可します」という資格を指します。就労ビザを持たずに働いている外国人は不法就労とみなされ雇用者と不法就労者の両方とも罰されてしまいます。
今現在留学生として日本に滞在している外国人は、卒業して就職する際にこの就労ビザにビザを変更しなければなりません。就労ビザの取得には様々な条件があるため事前にしっかりと就労ビザに関する知識を得て、就職先は見つかったのにビザがおりず母国に帰らざるを得なくなってしまったという状況に陥ることのないようにしましょう。
留学生の場合、日本人学生と違い何でも好きな職種に就職できるわけではありません。先ほどお伝えしたように、日本で働くために必要な就労ビザを取得する際には様々な条件を満たしている必要があります。
その条件の1つに、学校で学んだことが希望する職種で活かせるかどうかというものがあります。そのため、学校でシステム開発について全く学んだことのない留学生が、システム開発を行う職種に就くことはできません。
自分が学んだ専攻が、希望する職種に関連しているかどうかということ以外にも、日本人社員と同等以上の報酬が貰えるかどうかということも就労ビザの審査に関係してきます。このように、就職希望をしている企業が提示する条件によっても就労ビザが取得できるかどうかに関わってくるため、就職活動をする際は、企業が提示する条件もしっかりとリサーチするようにしましょう。
就労ビザについての詳細が知りたい方は「日本で働く外国人の就労ビザ。種類と準備から申請までを一気に解決しよう」をご覧ください。
就職活動を経験した留学生が就職活動中に困ったこととして、就職活動を経験した留学生日本の就職活動の仕組みや、就職活動の方法が分からなかったといったことが挙げられています。留学生は日本人と比較すると就職活動に関する情報を十分に得ることができていないという現状があるようです。
日本の就職活動は年々変化してきているため、就職活動で取り残されないためにも就職活動を経験した人に話を聞いたり、インターネットで自分で調べるなどして、就職活動に関する情報収集をしましょう。
グローバル化に伴って多くの企業は、海外との取引などのグローバルな業務を行なっています。そのため語学力が高い人材や異文化適応能力が高い人材を探しています。
留学生は母国から日本に来て生活しているため、語学力や異文化能力が高い傾向があります。これは就活において大きなアドバンテージと言えるでしょう。ですので、就職活動時にしっかりとそういった能力をアピールできるような話を準備しておくと良いでしょう。
語学力や異文化適応能力と同時に、専門知識や技術も採用を決める際の大きなポイントとなります。志望する企業でどういった能力が必要とされているか、事前にリサーチして就職活動に臨みましょう。
企業の中には留学生に求める日本語能力を高く設定しているところや、日本企業の文化に合わせられる留学生を積極的に採用するところがあります。そういった会社で働きたい場合は、日本語や日本企業の文化をしっかりと事前に勉強しておくと良いでしょう。
そういった企業以外にも、最近では社内の公用語やドキュメントを英語に変更したり、日本語能力が低くても留学生を積極的に採用している企業もあります。日本語能力に自信がない人は、そういった企業に的を絞って就職活動をすると良いでしょう。
「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。
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他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。
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