ストレスチェックの義務化【対象者・制度の概要】

記事更新日:2020年07月22日 初回公開日:2020年07月12日

人事・労務お役立ち情報 用語集
近年は職業のいかんを問わず、多様な働き方が推進されています。そして、時代特有のリスクとして、自身のメンタルに関する疾患が顕在化している労働者も多いと言えます。多くの場合メンタル疾患については、平常時からの異変に気付きにくいという特徴に留意すべきでしょう。職場環境によっては、気づいたとしも忙しさに感けて言い出しにくい場合や、そもそも言い出せない雰囲気が形成されていることも少なくありません。そこで、ストレスチェックが導入されました。以下にストレスチェックの目的などを解説していき、制度を有効活用していきましょう。

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ストレスチェックとは

労働者のストレスの状況を調べる検査

ストレスチェックとは労働者のストレスの状況を調べる検査です。根拠となる法律は労働安全衛生法であり、昭和47年に労働基準法から分離派生した法律という部分はおさえておきましょう。また、ストレスチェックは平成27年12月から開始されました。労働者としては、受ける義務はないものの、会社としては受けるように勧奨することはできます。また、受けた後は、労働者へ遅滞なく結果を通知することが必要であり、労働者の同意がなければ人事権を行使できる者へ開示することができません。これは、精神上不安定なことが露呈すると、不利益な対応をされることを懸念してのことです。

2015年から毎年1回の実施が義務化された

ストレスチェックは2015年から毎年1回の実施が義務化された制度です。近年、仕事上でのいじめを契機として精神疾患など、外見的な疾患よりも内面的な疾患を理由としての休職が増えています。ストレスチェックは、そのような「心の病」に対して、少しでも異変に気付けることを目的に年に1回の実施を求めていることはおさえておきましょう。また、労働者の中には、既に精神疾患に罹患しているケースも想定されます。そのようなことから、受診する義務までは課されていない点は重要な点です。よって、受診しないことのみをもって、規律違反とすることは難しいと言わざるを得ません。

学生向けのストレスチェックも実施されている

昨今では、学生向けのストレスチェックも実施されている点もおさえておきましょう。学生時代とは、多くのケースで多感な時期とも言えます。学生から社会人への移り変わる時期などは多方面から色々な刺激を受け、自身の成長に大きな影響を受けることも多いでしょう。また、就職活動を始め、自身の進捗度の周囲が必ずしも一致するとは限らないことから焦りも生まれてきます。そのような場合に、ストレスの度合いを可視化することで「疾患」に至る前に歯止めをかけることも可能と考えます。人生の分かれ道にもなり得るステージであるために、この制度は非常に画期的と言えるでしょう。

ストレスチェックの目的

ストレス状態を把握する事でメンタルヘルス不調を防止

ストレスチェックの目的として、ストレス状態を把握する事でメンタルヘルス不調を防止することが可能です。ストレスは目に見えないことから、自身や周囲も気づけないことが多いと言えるでしょう。よって、年に1度であっても定期的に状態を把握できる機会は一定の効果は期待できると言えます。そして、何より、ストレスがかかった状態では、仕事の生産性が担保されているとは言い難いでしょう。特に高ストレス下の状態であれば、創造性に富んだ発想などは期待できません。今後は、多様化の時代であることから、一人ひとりのクリエイティブな発想が生まれやすい就業環境の確保は必須と言えます。

社員の精神面を理解する事で職場環境の改善

ストレスチェックを通して、社員の精神面を理解する事で職場環境の改善効果が期待できると言えるでしょう。職場環境とは、基本的には、人事異動などがなければ同じ従業員が同じ部署内で毎日同じ職務に従事することが多いと考えます。よって、お互いの性格を把握しやすいというメリットはあるものの、必ずしもメンタル面での異変までは察知できないということです。また、日本人特有の気遣いが裏目に出てしまい、既にメンタル面に不調が出ているにも関わらず、我慢してしまい、疾患が肥大化してしまうリスクも想定できるでしょう。精神面はデリケートな面であるからこそ、制度的な施策が必要です。

高ストレス者への面接指導

ストレスチェックには、高ストレス者への面接指導も整備されています。これは、労働者本人が希望した場合に行うこととなっていますが、産業医から勧奨することもできます。あくまで、「勧奨」であるために、受けることを矯正することはできません。高ストレス者を放置しておくと、場合によっては、企業には安全配慮義務違反のリスクも孕んでいます。しかし、面接指導となると「指導」という言葉尻のみを取り、ハードルを感じてしまうこともあるでしょう。よって、どのようなことが行われるのかを可視化することで、労働者の心理的なハードルを下げることも可能です。

ストレスチェックが実施される背景

年間自殺者が増加しているから

ストレスチェックが実施される背景として、年間自殺者が増加しているからという理由もあります。特に近年はネット文化が加速し、画面を通して文字のみでのやりとりが普遍化してきました。文字のみの場合、表現が尖った印象となり、受け手としてはストレスを受けることが多いとされています。よって、誤解を解くためには、1or1でのセッションの機会を設けるなどの努力も必要です。しかし、人手不足の時代背景ゆえにそこまで手が回っていない印象も拭えません。そこで、ストレスチェックを通して自身の内面の状態を可視化することは重要と言えます。

心理的負担による判断ミスを防止するため

ストレスチェックは心理的負担による判断ミスを防止するためにも有効的です。そして、判断ミスの背景には様々な要因が複雑に絡み合っていると言えます。当然、一つの判断ミスが企業にとっては大きな損害に発展する可能性もあり、看過できないと言えるでしょう。ストレスチェックを通して、心理的な負担が可視化できた場合、その負担度も考慮しての判断が可能と言えます。特に愚直に仕事に邁進する性格の場合、自身の心理的な負担にまで目が及ばないことも多分に想定できるでしょう。そして、自身に判断ミスが起こった場合に更に状態が悪化してしまうこともあります。

ストレスチェックの導入の流れ

会社全体にストレスチェック制度の実施の方針を浸透させる

ストレスチェックの導入の流れとして、会社全体にストレスチェック制度の実施の方針を浸透させることが重要と言えます。実施が年に1度であることから、重要な制度にも関わらず場合によっては、忘れ去られてしまうことがあります。そして、実施のアナウンスも大事でしょう。特に実施時期と繁忙期とが合致してしまう部署の場合、仕事に感けてしまい、実施を後回しにするだけでなく、そのまま失念してしまうこともるでしょう。そこで、会社として実施開始から一定期間経過後に再度アナウンスをすることで、失念のリスクも減らせるということです。

質問表を労働者に配り記入してもらう

ストレスチェックは質問表を労働者に配り記入してもらうという点で、忙しい労働者にとっても、多くの時間を取らせない点は大きなメリットと言えます。特に記述式が多くを占めるような形式の場合、先延ばしの対象となってしまい、結果的に実施率が低いという事態にもなりかねません。よって、質問形式であれば、自身にとって妥当な選択肢を選ぶだけであるため、心理的なハードルも高いとは言えないでしょう。年に1度の実施であるからこそ、先延ばしの対象になりづらい形式の採用は重要と言えます。

回収した質問票を医師に評価してもらう

ストレスチェックは回収した質問票を医師に評価してもらうことも重要な部分です。特に医学的な判断はその最たる専門家である医師の評価なくして客観性が担保されているとは言えないでしょう。特に目まぐるしい時代の進歩により、疾患も多種多様なものに広がり、時代特有の疾患も生まれています。ストレスチェックは問題を炙り出すだけが目的ではありません。そこから客観的な評価を加え、労働者などへ行動を喚起することも必要と言えるでしょう。そのためにも、客観的な評価が必要と言うことです。

結果通知を本人に直接渡す

ストレスチェックは結果通知を本人に直接渡すことも重要な部分です。当然、ストレスチェックを実施しただけでは、状況を把握することはできません。よって、一定期間後にフィードバックするために結果通知は外すことはできません。この通知を見ることにより、労働者自身が自身の状態を可視化できるということです。また、結果通知は非常にデリケートな部分であり、本人以外が意図せずとも見えてしまうような配布方法は避けるべきです。これは、無用なトラブルを事前に摘み取る意味でも忘れてはなりません。

結果により必要な処置をする

ストレスチェックの結果により必要な処置をすることも忘れてはなりません。高ストレス者に対応策を示すことはもちろんのこと、高ストレス者予備軍も存在しうるということです。原則として、次の実施は1年後であることから、その間に問題が肥大化するリスクも否定できません。やみくもに対象範囲を広げることと得策とは言えませんが、ここで重要な部分は異変を感じたら相談できるということを周知する機会とすべきです。結果的に必要な処置をするボーダーラインに届かなかったとしても1年経過するまでに問題が起きないとは言えません。

ストレスチェックの問題点

ただやっているだけになっている

ストレスチェックの問題点としてただやっているだけになっている企業もあるでしょう。最も恐れるべきは制度の実質的な形骸化です。ただやれば良いと言う問題ではなく、問題の早期発見やリスクの把握が目的であり、質問に答える(または答えさえる)ことが目的ではありません。いわゆる手段の目的化現象は、施策の価値を下げるだけでなく、従業員の行動の喚起を低下させてしまうリスクもあります。よって、企業として、明確な目的意識を伝え、労働者と一緒に制度の実質的価値を高めていくという姿勢が重要でしょう。

メンタルの不調に対する理解が足りない上司がいる

ストレスチェックでは、メンタルの不調に対する理解が足りない上司がいることもあるでしょう。これは会社しての方針を明確化することが大切です。特に業務に起因した精神疾患の場合、使用者責任を追及され、損害賠償請求のリスクも起こるからです。また、このような法的責任の解釈は難しい面もあり、単に一部署の上司である場合、理解が進んでいないこともあるでしょう。よって、会社としての姿勢を見せることが適切です。また、このような理解が足りない上司の部署は、生産性が担保されていないこともあり得ます。その場合、会社の利益追求の姿勢と合致していないと言えるでしょう。

ストレスチェックは厚生労働省により義務化されています

働きやすい環境を作るために必ず実施しましょう

ストレスチェックは厚生労働省により義務化されています。これは、働きやすい環境を作るために必ず実施しましょう。これを単なる義務と解釈してしまうこともあります。しかし、ストレスは、今は単に精神疾患が発症していなくても半年後に突如発生することもあります。そして、骨折などの明らかな怪我と異なり、周囲も感知できないことがあります。また、我慢強さはスキルが高いビジネスパーソンであると評価される事業所の場合、労働者からも相談しづらい風土が形成されていると言えるでしょう。よって、ストレスチェックを制度として設け、政策的であったとしても問題を察知できる土壤の形成が求められます。

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