シェアードサービスとは【導入する時のポイントとシェアードサービスの組織体制】

記事更新日:2022年08月04日 初回公開日:2022年08月03日

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グループ企業や関連会社が多ければ多いほど経理や総務等間接部門で行われている業務は煩雑になっており、各部門によってやり方が異なる場合が多くあります。各部門で管理している場合しっかりとしたナレッジを共有することが難しく、経験が浅い人が入ってきた場合などに混乱を招く可能性も出てきます。そこで有効なのが、シェアードサービスです。間接部門で行っている業務の中で共通するものを一つのセクション(子会社等)に集約してグループ企業全体の業務効率化を図ることができます。シェアードサービスについて解説していきますので、コスト削減しながら業務効率を図りたい企業担当の方は是非参考にして見てください。

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シェアードサービスとは

部門ごとに共通する業務やサービスを切り離して集約する手法

シェアードサービスとは、部門ごとに共通する業務やサービスを切り離して集約する方法のことです。複数のグループ企業から出来ている会社において、それぞれの間接(コーポレート)部門(人事・総務・経理等)で行われている業務を一箇所に集約し業務の効率化を図る為のものです。コーポレート部門の業務内容は共通しているため、プロセスやシステムを標準化し集約することでグループ企業全体の経営をスリム化することができ、コスト削減も見込めます。

シェアードサービスとBPOの違い

BPOは業務を外注する手法

シェアードサービスと関連付けられるサービスとしてBPOがあります。BPOは「Business Process Outsourcing」の略称でコーポレート部門の業務を外部委託するアウトソーシングの一つです。企業の生産性の向上や従業員の負担軽減という点においてはシェアードサービスと同様です。しかしBPOは外部委託を行い、シェアードサービスは社内やグループ企業内で完結させるという点が異なります。シェアードサービスを取り入れながらBPOも活用する、という企業が増えています。

シェアードサービスのメリット

業務の効率化

シェアードサービスのメリットは業務の効率化を図れる点です。グループ企業内で重複していた部門を一箇所にまとめることにより業務の洗い出しを行いやすくなります。それだけではなく、データ入力業務や印刷業務といった中から無駄を見つけやすくなり業務を効率化することが可能です。グループ企業にコーポレート部門があった時には実施が難しい業務フォーマットの運用や〆切期日の統一をし標準化することができ、効率的に業務を行えます。

コスト削減

コスト削減もシェアードサービスのメリットと言えます。グループ企業内に重複して存在していたコーポレート部門を一箇所に集約することで必要な人材や設備を最小限に抑えることができ、余分に発生していたコストを抑えることが可能です。更に集約した部門を物価や労働力がより安い地域(国内・国外)に置くことにより更なるコスト削減が期待できます。コーポレート部門を集約しより安い場所で管理することによりオフィスの賃料や人件費などの経費を抑えられます。

業務品質の向上

シェアードサービスは業務品質の向上もメリットとして挙げられます。シェアードサービスでは今まで各グループ企業で行われていた業務を一箇所に集約するため、個々に培ってきた知識の共有が行えることにより専門性が高まり業務の品質アップに繋がります。経理や法務などは専門知識が必要となる部門のため、常に人手不足という問題を抱えているのではないでしょうか。集約することで人員の共有も可能となり専門性が高められるだけでなく、優秀な人材を集められればノウハウを蓄積することもできます。

シェアードサービスのデメリット

初期費用が高い

シェアードサービスのデメリットは初期費用が高いという点です。シェアードサービスは導入するまでにグループ会社内で多くの調整が必要となり、労力やコストが発生します。今まで各グループ企業で実施してきたシステムやルールなどを統一するには多くの労力を必要とします。シェアードサービスを実施するに伴いシステム変更が必要な場合には開発費用やシステム導入費用等のコストがかかり継続的に運用費が発生するという点がデメリットです。

運用開始までに時間がかかる

運用開始までに時間がかかるのもシェアードサービスのデメリットです。シェアードサービスはコーポレート部門を集約する為、管理方法の標準化やグループ内で独自利用のものがある場合は共通化を行う必要があります。シェアードサービスを運用するためには各社の業務フローの洗い出しや統一化するためのプロセス作りには多くの時間を要します。グループ企業が多い場合シェアードサービスの利用はメリットも大きい一方、多くの関係する人達の中で調整が必要となり時間がかかるというデメリットも発生します。

企業でシェアードサービスを導入する時のポイント

導入する部門を選定する

企業でシェアードサービスを導入するポイントは導入する部門の選定が必要です。部門選定を行う為にはまず社内の課題を把握する必要があります。まず自社の現状を整理し、初動で組織分析や業務量の調査をしっかり行うことでシェアードサービス導入後に上手く活用できるかが変わってきます。状況を把握しどの部門で業務プロセスを標準化できるのかを見直しを行い部門を決定が重要です。場合によってはシェアードサービスではなくBPOが選択肢になったり導入不要となるかもしれません。導入する時には目的の明確化が大切です。

統合するシステムを見直す

統合するシステムの見直しもシェアードサービスを企業で導入する際に必要なことです。シェアードサービスを導入する前は各部門において様々なシステムやツールを利用しているはずです。シェアードサービスを使い委託する業務を効率よく行う為にも必要なデータや統合した後に簡易化されるよう開発者などと調整が必要となります。システムの見直しには事前に分析しておいた社内の課題に対しどのシステムを利用するのが1番いいのかという視点が必要です。

シェアードサービスの組織体制

本社の一部分

シェアードサービスの組織体制は本社の一部分として設立する場合の最大のメリットは、子会社の負担が軽減しサービスの導入が容易である点です。それぞれの部門から一部の業務のみを切り離し大々的な組織変更は不要なため、従業員への混乱も最小限に抑えることが出来ます。但し本社の一部としてシェアードサービスを導入する場合は従来のやり方を踏襲しすぎて大幅な改革を行えないといったリスクも存在します。期待されている効果や導入する目的を明確にし既存業務の集約とならないよう注意が必要です。

子会社

子会社として独立させ集約する場合もシェアードサービスの組織体制の一つです。子会社として独立させた場合のメリットとして、別法人となる為シェアードサービス自体の売上やコストを管理しやすくなる点が挙げられます。但し本社に置く場合と異なり、子会社化は大きな組織変更が必要となります。プロセスや組織を一から作り上げることは可能ですが、システムやデータ統合は容易ではなく本社から子会社へ出向する社員のモチベーション維持も課題です。シェアードサービスを子会社化する場合は長期的なものであり、従業員のモチベーション維持の対策も必要となります。

各部門におけるシェアードサービス活用の例

経理・財務

各部門におけるシェアードサービスの活用例をみて行きましょう。経理・財務では売掛金や買掛金、入出金伝票管理・仕訳等の法律で定められた手順や業務を標準化したりシステム化する傾向があります。一般会計などはグループ企業それぞれで行っていくよりもシェアードサービスを活用し業務プロセスを標準化した方が業務効率の向上が可能です。一般会計とは反対に管理会計や内部監査と言った専門知識が必要な部門に関しては、シェアードサービスの活用は難しいとされています。

人事

人事部門はシェアードサービスの活用対象になりやすい部門です。アビームコンサルティングの調べによるとシェアードサービスを導入している企業の約9割が給与・賞与計算をシェアードサービス化しており、給与だけではなく福利厚生業務や社会保険の7割以上もシェアードサービスに移行しています。人事制度の構築や運用採用業務などに関しては直接人が関わっていかなければならない業務のため、シェアードサービス化は困難ですが定型化がしやすい業務に関しては人事分野でシェアードサービスが活用されています。

IT・情報システム

IT・情報システムにおいても、シェアードサービスを活用しやすい分野と言えます。専門的な知識を必要とするハードウェアやソフトウェアの管理を一箇所に集約することができ、ヘルプデスクもまとめて運用を行えます。それだけではなくアプリケーションの開発・保守などもシェアードサービスを活用し効率的に運用出来ます。セキュリティポリシーの策定や管理作業等も一括で行うことで、グループ企業でスキルが浅い人達が業務に携わるよりも一箇所で専門知識を持った人達が管理可能です。その為より一層のセキュリティ強化を図ることが出来ます。

購買

購買業務はグループ企業で各々でオフィスの備品や文房具などを購入し管理するよりも、一括調達を行う方がコストを減らすことが出来ます。特に間接材と言われる都度注文が必要なものに関しては各グループ企業で管理を行うと無駄が発生している場合が多くあります。備品をシェアードサービスを活用し一箇所で管理することで余分に購入してしまう等の無駄も見える出来ます。手間がかかる設備管理や資産管理等もシェアードサービスを活用してノウハウ等を蓄積することにより業務の効率化が図れます。

シェアードサービスを導入している企業

株式会社LIXIL

シェアードサービスを導入している企業は株式会社LIXILです。LIXILは2011年にトステム・INAC・新日軽・東洋エクステリアの4社が統合し1つの企業となりました。統合される時にはLIXILが保有している105社の販売・生産、人事システムといったものが別々に運用されていたので、4社統合にあわせてシェアードサービスが導入が検討されました。105社がそれぞれで対応していたためシステムが煩雑になっており、全てを見直す際に基幹システムは切り離しを行い会計システムだけ構築する手法を選択しました。移行が簡潔化され、業務プロセスが標準化されたシェアードサービスも実現できたのです。

P&G

P&Gもシェアードサービスを導入している会社です。世界最大の消費財メーカーであるP&Gはグローバルシェアードサービスを実現します。1999年に経理や財務部門を中心に大規模な組織変革を行い、80か国以上の国で行われていたバックオフィス業務を集約することに成功しグローバルなシェアードサービス組織を創設しました。このグローバルシェアードサービスの実施により、10億ドルというコスト削減に成功しただけでなく売上原価を3割以上下げることを実現しました。

まとめ

シェアードサービスを導入して業務効率化を図ろう

シェアードサービスのメリット・デメリットや活用例について解説しました。シェアードサービスを導入するためには現在行っている業務の洗い出しや業務上の課題の整理などを行う必要があります。シェアードサービスを導入してからも継続的な改善や長期にわたる改革を行っていかなければなりません。上手く運用していくまでには時間やコストがかかってしまいますが、最終的には業務効率化や品質の向上・コストの削減などを行えます。コスト削減しつつ業務の効率をアップしたい方はシェアードサービスを導入してみてください。

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