アクティブリスニングとは【言語による手法や基本姿勢を解説します】

記事更新日:2022年08月05日 初回公開日:2022年08月02日

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マネジメント層が気づかない間に、企業への不満が社員たちの中で募っているというケースは決して珍しいことではありません。日頃から頻繁にコミュニケーションを取ることを意識していても、社員の本音をうまく引き出すことは難しいでしょう。そこで社員の価値観や意見などに対してより積極的に受け入れる姿勢として、アクティブリスニングというものが注目されています。今回の記事では、アクティブリスニングを行うことによるメリットや具体的に意識すべきポイントなどについて解説します。社員へのヒアリングなどをより高いレベルで行いたいと考えている企業の方は、ぜひ最後までご一読ください。

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アクティブリスニングとは

傾聴姿勢のこと

アクティブリスニングとは、人の話を聞く傾聴姿勢のことを指しています。日本語に直訳すると、「積極的な傾聴」を意味することになります。本来アクティブリスニングは臨床心理学における専門用語として扱われていましたが、話し相手の問題解決を手助けする観点で、ビジネスシーンにおいても注目されています。アクティブリスニングを効果的に行うことができれば、社員の成長やその後の目標達成を促進することにつながるでしょう。

アクティブリスニングが注目される背景

マネジメント力を高める

アクティブリスニングが注目される背景には、組織におけるマネジメント力を高めることの重要性が考えられます。相手の話に耳を傾ける傾聴力や、適切な質問を投げかけるというスキルは、マネジメント力を高める上で非常に重要なスキルです。アクティブリスニングを意識することによってこれらの能力を大きく伸ばすことができるため、マネジメント能力の向上にもつながるということになります。マネジメント層の能力をさらに伸ばしたい場合には、アクティブリスニングが有効な手段と言えるでしょう。

アクティブリスニングのメリット

人間関係を良好にする

アクティブリスニングを意識することによるメリットとして、人間関係を良好にするということが挙げられます。アクティブリスニングは、話し手の意見を尊重して傾聴するという姿勢に基づいています。自分の意見や価値観を相手に受け入れてもらった時に、不快な気分になる人はいないでしょう。アクティブリスニングによって自分が受け入れられていることを再認識することができ、その結果として良好な人間関係の構築につながるのです。

マネジメント力が高まる

マネジメント力が高まるということも、アクティブリスニングを行うことによるメリットと言えるでしょう。先述の通り、組織においてマネジメントを行う上では、相手からの意見をうまく聞き出す傾聴力や質問力が非常に重要な能力となります。アクティブリスニングを意識してコミュニケーションを取ることで、これらの能力が伸ばす効果が期待できます。マネジメント力の向上は組織の生産性にも大きな影響を及ぼすため、マネジメント層などは特にアクティブリスニングを意識したコミュニケーションを取りましょう。

ハラスメント防止に繋がる

アクティブリスニングを行うことによって、職場でのハラスメント防止にもつながります。上司と部下の間での人間関係がうまくいっていないということが、ハラスメントが生じるおもな原因の一つと考えられています。職場でのハラスメントを理由に退職してしまう社員が増えると、組織全体としても悪い影響が広がってしまいます。アクティブリスニングを意識することによって良好な人間関係を築き上げることができれば、自然とハラスメントは起こりにくくなっていくでしょう。

問題解決力が高まる

アクティブリスニングを意識することによって、問題解決力が高まるという効果も期待できます。アクティブリスニングにおいては話し手の意見を尊重しつつ、自分自身で課題を解決できるように聞き手がサポートをします。経験のある上司からすぐに解決方法を聞いたほうがいいケースもありますが、自分で考える能力を伸ばすことにはつながりにくいでしょう。自分の力で問題解決の方法を導き出せるようなアクティブリスニングを意識することで、問題解決能力の向上が期待できます。

アクティブリスニングの基本姿勢

自己一致

アクティブリスニングを行う際の基本姿勢として、自己一致というものがまずは考えられます。自己一致とは話し手が自分の考えていることや持っている価値観について、飾らずありのままでいることを表します。話し手がありのままの状態でいてくれることによって、思っていることなどについてより深く聞き出すことができるでしょう。そのためには聞き手側の人間は、話し手の考えや価値観をなるべく否定しないように心がけるべきです。お互いの信頼関係が強くなるという効果も期待できるでしょう。

無条件の肯定姿勢

無条件の肯定姿勢を意識するということも、アクティブリスニングを行う上では重要なポイントとなります。無条件の肯定姿勢とは、話し手の言動などに対して評価や否定を行わないという姿勢のことを指しています。先述の通り、頭ごなしに否定をしないことで話し手が心を開いて素直な意見を話してくれやすくなります。さらに、自分が受け入れられているという安心感を与えることにもつながるため、精神衛生的にも良い影響が生じると考えられるでしょう。

アクティブリスニングの言語による手法

オウム返しをする

アクティブリスニングの言語による具体的な手法の一つとして、オウム返しをするというものが挙げられます。相手の言ったことをそのまま言い返すことをオウム返しと表しますが、アクティブリスニングにおいてはもう少し工夫を凝らすといいでしょう。全く同じ言葉をそのまま言い返すのではなく、相手の言葉の意味を受け取った上で別の言葉に言い換えるようなイメージです。話を聞いてくれているという安心感だけではなく、話している内容の理解にも役立つ手法です。

質問する

相手に積極的に質問するということも、アクティブリスニングの言語による手法のひとつです。適切な質問を投げかけつつ会話を進めることで、話し手側は自分に興味を持ってくれていると認識できるだけではなく、会話のテンポも良くなります。しかし単純に次から次へと質問を投げかけるのではなく、質問の仕方にも工夫を取り入れることを意識してみましょう。例えば「オープン・クエスチョン」と呼ばれる、「はい」「いいえ」の二択では答えられない質問などを投げかけてみるとより本質的な内容をヒアリングすることができます。

アクティブリスニングの非言語による手法

姿勢

アクティブリスニングにおいて、言語による手法に対して非言語による手法もあります。非言語とは名前の通り言語以外でのコミュニケーションのことで、「ノンバーバルコミュニケーション」とも呼ばれています。話すときの姿勢を意識した手法は、非言語による手法の中でも重要なポイントのひとつです。例えば、腕や足を組んでいると相手に高圧的な印象を与えてしまうため注意が必要です。相手との距離や体の向きなど、適切な姿勢を保つことで相手にリラックスしてもらうようにしましょう。

目線

目線を意識しながら話すということも、アクティブリスニングにおいて非常に効果的な手段と言えるでしょう。例えば視線を合わせて話すことによってお互いの心理的な距離を縮める効果が期待できるため、信頼関係を生み出すうえで非常に大きな効果をもたらします。しかし目線を合わせ過ぎてしまうと、相手に必要以上に緊張感を与えてしまうため注意しましょう。一方で視線があまり合わない場合には、不信感を感じることが多いとされています。

表情

アクティブリスニングを行う際には、表情を意識しながら話すということも非常に重要になります。こわばった表情では緊張させてしまうため、できるだけ柔らかい表情を意識しながら話しましょう。さらに会話の内容に合わせて表情を変化させることで、共感しているということを伝えられるでしょう。近年ではマスクをしながら会話する機会が多く、話していてもお互いの表情がよく分からない場合もあります。身振りを交えた会話などを意識することによって、表情が見えなくてもなるべく気持ちが伝わるように心がけましょう。

声のトーン

声のトーンを意識しながら話すことで、アクティブリスニングをより効果的に行うことができます。話し方の抑揚を意識することも大切ですが、アクティブリスニングにおいてはそれ以上に相槌のトーンが重要とされています。適切な相槌ができていないと、話し手の会話テンポが崩れやすくなってしまうでしょう。したがってアクティブリスニングにおいては、話し手の現在の感情や会話の内容などを踏まえた上で適切な相槌を打つように心がけましょう。適切な相槌を打つことで、会話の内容に共感していることがよく伝わります。

アクティブリスニングの身に着け方

研修に参加する

アクティブリスニングを身に着ける方法として最も有効なのが、研修に参加するという方法です。近年では、アクティブリスニングに関するさまざまな研修が行われています。管理職の社員やメンターを担当している社員など、日頃から部下と会話する機会の多い社員がこのような研修に参加することによって、社内でのアクティブリスニングが活発になるでしょう。研修に参加する際には、研修内容や費用などが自社に合ったものであるかを十分に検討するようにしましょう。

アクティブリスニングに関する本

アクティブリスニングなぜかうまくいく人の「聞く」技術

アクティブリスニングに関する本として「アクティブリスニングなぜかうまくいく人の「聞く」技術」という著書があります。この本では、相手に気持ちよく話してもらいつつ、こちらの考えも伝えることによって信頼関係を構築していく方法が解説されています。単なる聞き上手になるだけではなく、双方の意見を尊重して目標達成を目指せるアクティブリスニングに役立ちます。研修を行うことが難しいという場合には、このような著書の内容を社内で共有してみるのもいいでしょう。

アクティブリスニングの実例

マクドナルド

大手飲食店であるマクドナルドでも、アクティブリスニングが意識されています。顧客の意見や注文に関する情報を引き出すために、マクドナルドではクルーに対してアクティブリスニングの研修を実施しています。一般的には社員同士でのコミュニケーションに役立てることが目的とされているアクティブリスニングですが、このように接客業などにおいても大きな効果を発揮します。マクドナルドでの事例をもとに、さらに多くの場面でアクティブリスニングを活用するといいでしょう。

まとめ

アクティブリスニングで社員を育てよう

アクティブリスニングを行うことによるメリットや、意識すべきポイントについてお分かりいただけたでしょうか。社内のコミュニケーションにおいてアクティブリスニングを意識することで、信頼関係の構築やマネジメント力の向上といった効果が期待できます。声のトーンや姿勢など意識すべきポイントはさまざまですが、研修などを活用することで少しずつクオリティを向上させることが可能です。アクティブリスニングを行うことによって傾聴力の高い組織を目指すと同時に、社員の教育にも役立てましょう。

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