後継者不足を解消するには?【原因や対策、後継者の育成方法を解説】

記事更新日:2023年01月12日 初回公開日:2023年01月12日

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昨今においては多くの中小企業で、経営者の高齢化による事業承継を行わなければならない時期を迎えています。従来は、経営者の家族が家業を継ぐことが一般的でした。しかし近年では、後継者不足で事業承継をスムーズに行えない中小企業が増えているのです。ここでは中小企業の後継者不足の現状や原因を分析し、対策を考えていきましょう。現在後継者不足に悩んでいる経営者はもちろん、近い将来事業承継を行う予定がある中小企業の経営者の方々に、事業継承に向けて早急に取り組んでいく必要がある事を解説していきます。

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後継者不足とは

経営権を引き継ぐ跡継ぎがいない状態

後継者不足とは、会社の経営権を引き継ぐ跡継ぎがいない状態のことを言います。かつては経営者の子供が家業を継ぐものされていました。しかし少子高齢化が進み、現代は様々な理由により子供は家業を継ぐ以外の仕事を選択する傾向が強くなっています。その上多くの経営者が高齢化によってリタイアを考える年代にさしかかっているのです。経営者の引退後に事業を運営する人材が見つからないため、後継者がいない中小企業が増加しているのです。

後継者不足の現状

解消されつつはあるが未だに深刻である

2020年の調査では前年度以前と比べると、全体的には後継者不在率は下回る結果になっています。後継者不足は少しずつは解消されつつあると言えます。しかし依然として大半の中小企業が深刻な後継者不足に悩まされている状態なのです。特に北海道や中部地方などの地域、建設業や農業、漁業など業種により後継者不足の傾向が大きくなっています。社長の年代で見てみると、先代経営者が70代では39.9%、80代以上では31.8%が後継者不足です。約3~4割の中小企業は早急に後継者が必要なのです。

経営者の平均年齢が上がっている

超高齢社会の日本では現在、経営者の平均年齢が60歳を超えています。経済産業省の発表によると70歳以上の経営者は245万人で、その半数の127万社が後継者未定の状態です。今後10年間で60万社が黒字廃業の危機に直面しているのです。経営者の高齢化は今後も進行していくでしょう。多くの中小企業や小規模事業で後継者が不足している状態が続けば、黒字なのに廃業せざるを得ない事業者が増えてしまう可能性が高いのです。

約65%以上の中小企業が後継者不足である

全国約275,000社の中小企業の内、約65%以上の中小企業が後継者不足であるという調査結果があります。特に沖縄県では81.2%、北海道では72.4%など、賃金が低い傾向のある観光産業が多い地域で後継者不足率が深刻です。これらの地域では以前から人材不足が問題視されていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響でさらに厳しくなりました。2020年は過去の調査に比べて後継者不在率が低くなりましたが、それは1999年以降企業数が減少を続けているからです。近年では休廃業や倒産などが急速に増加しています。

後継者不足の原因

少子高齢化が進んでいる

後継者不足の原因の一つに少子高齢化が進んでいるということが上げられます。多くの中小企業で経営者の高齢化が進む一方、子どもがいないために事業継承ができません。高齢化により経営者の交代時期になりつつあるにもかかわらず、担い手の若い人の数が減っていることが後継者不足を深刻化させています。さらに現代では、以前は当たり前であった親族内承継が一般的ではなくなってきています。親の会社を継ぐことよりも、子ども自らが仕事を選択する優先させる傾向があります。そのため子どもには事業継承する気がないことも多く、後継者不足となっている場合も少なくありません。

新しいビジネスモデルに対応できていない

経営の先行き不安が大きいことも後継者不足の主な原因の一つです。中小企業を取り巻く経営環境は、バブル崩壊やリーマンショック、経済のグローバル化など厳しいものになっています。また近年では事業のIT化が欠かせませんが、新しいビジネスモデルに対応できない中小企業も多いのです。経営の先行きを不安視し、業績悪化や事業継続が困難となる可能性が高くなっています。そのため子どもだけでなく社内の役職員でも事業を引き継ぎたがらない傾向があります。経営の先行き不安から事業承継せず、自分の代で廃業する経営者も少なくないのです。

事業の継承に時間がかかる

事業の継承に時間がかかるために後継者不足に陥っている中小企業が多くなっています。後継者の選定や後継者教育、経営資源の引き継ぎなどの事業承継は非常に大きな手間や手続きが必要です。事業承継をするためには、準備が1~3年程度の時間がかかります。しかし中小企業の中には、本業の忙しさから事業承継の準備が後回しにしてしまい、後継者の選定や教育が終わる前に先代経営者が亡くなるなどして事業継続が困難となってしまう場合もあります。

後継者不足の対策

引継ぎを支援する公的機関を利用する

後継者不足の対策としては、引継ぎを支援する公的機関を利用することを検討しましょう。相続税や借金などが負担なため、事業継承に消極的になってしまうこともあるのです。このような場合には税制や補助金に関する公的な支援策を活用することで問題が解決するかもしれません。事業継承について悩んでいる企業では、後継者不足だけでなく解決すべき課題を抱えている場合があります。事業承継診断やガイドラインなど、事業を継続するための方策を具体化するサポートもぜひ活用しましょう。

後継者とのマッチングサイトを利用する

後継者とのマッチングサイトを利用することは、後継者不足対策の有効な手段になります。マッチングサイトは後継者が見つからずに悩んでいる企業と、会社を継ぐことに興味がある人や買収先を探している企業を結ぶサービスです。マッチングサービスは日本全国から後継者候補や相手企業を探すことができます。このサービスを利用することで、事業承継がスムーズに進められる可能性があります。ほとんどのサービスは有料のため、成果報酬を支払う必要はあります。

専門家に相談する

後継者不足の解決には専門家に相談することをお薦めします。目先の業務に追われ、後継者不足への対策をなかなか実行できない中小企業は多くなっています。事業承継にかかわる準備には相続や税などの専門知識が必要など、経営者一人では難しいことが沢山あります。高度な専門知識と経験豊富な事業承継の専門家に相談しながら、準備を進めていくことが重要です。事業承継の専門家は成功例だけでなく、数多くの失敗例も知っているので失敗の原因を事前に察知して避けることが可能になります。

企業価値を外部にアピールする

後継者不足の対策として事業承継への支援や、企業と後継者候補をつなぐ取り組みが増加してます。外部に後継者を探す場合には、必要な情報をしっかりと収集することも重要ですが、企業価値を外部にアピールすることも必要なのです。将来性の高い事業とわかれば、後継者として事業を継承したいと考える人が出てくる可能性もあるでしょう。事業を優秀な経営者に継承してもらえれば、事業の成長も期待できるのです。外部から著名な経営者に来てもらい、大きく成長を遂げた企業の例も多くなっています。

M&Aを活用する

後継者不足を解消するためにM&Aを活用することも検討しましょう。費用はかかりますが、たとえば民間のM&A仲介会社やコンサルタント会社などに相談することが可能です。これらの会社は弁護士などの専門家と連携している場合が多く、法務や税務に関する課題も解決きるのです。M&A仲介会社は膨大なデータベースやプラットフォームを活用することで、日本全国から買い手を探します。スムーズに相手が見つかれば結果的にコストを抑えられますので、利用を検討してみましょう。

株式を公開する

M&Aを成功させるためには、株式を公開することも有効です。株式公開とは、株式を証券取引所へ新規上場させることです。株式公開することで上場企業と認識され、M&Aを望む企業が多くなる可能性があります。また、後継者を希望する人材も集めやすくなるでしょう。株式公開によって経営者は大きな利益を得られる場合があります。このようにメリットが多いですが、一方株式公開できるまでには準備が数年かかります。さらに、上場するための基準を満たす必要があるのです。

親族や従業員への引継ぎも検討する

まずは事業を親族や従業員への引継ぎを検討することが大切です。子どもや親せきの中に事業を継承したいという人がいても、経営者として十分な資質がなければ事業承継は難しくなります。事業継承対象者の能力不足のために後継者不足になってしまう場合もあります。親族による承継が難しければ、社内で後継者を育てることを考えましょう。優秀な従業員に後継者候補になってもらえないかを打診します。承諾してもらえたら事業承継の計画を立てていきます。長年働いている従業員であれば企業風土や事業についての理解度が高いですから、後継者として育てやすいと言えます。

後継者候補の育成方法

自社の経営のポジションにつかせる

後継者教育や経営資源の引き継ぎなどの事業承継は多大な手間や手続きが必要です。事業承継の準備には最低でも1~3年程度かかるといわれていますから計画的に行いましょう。まずは後継者候補を育成する方法として、自社の経営に関連するポジションにつかせることが必要です。営業部門、財務、労務など管理部門を中心に主要部門でローテーションを行い、後継者に各種業務の経験を積ませましょう。事業に関する専門的知識を身に付けさせ、社内の業務プロセスを理解するように教育しなければなりません。

他社のセミナーや勉強会に参加させる

社内での教育だけでなく、他社のセミナーや勉強会にも積極的に参加させましょう。社外の経営セミナーに参加させることで、後継者に経営に必要な一般的知識や能力を短期間で効率よく修得させることが可能になります。社外セミナーの受講で得た知識は職場で即活用でき、教育の効果を高めることが可能になります。社外セミナーとしては、民間の専門機関や金融機関が行っている者もありますし、中小企業大学校や全国の商工会議所、地方自治体などが開催するセミナーもあります。

他社で勤務をさせる

後継者に他社で勤務をさせることにより、自社とは異なる視点の経営手法を身に付けることが可能になってきます。また、新たな人脈を形成することにも期待できます。本業に関するノウハウだけではなく、財務面や営業面などさまざまな知識を吸収できる可能性も出てきます。必ずしも業界内の会社にこだわる必要はないのです。自社との関連性が薄い業界や地域でも、新たな人脈を広げることにつながるでしょう。また、新しいビジネスチャンスを形成できる可能性もあり、魅力的です。

まとめ

後継者不足を理解しスムーズに後継できるように対策しよう

現代では後継者不足が明確な課題として認識されてきているので、事業承継への支援や企業と後継者候補をつなぐ取り組みが増加しています。情報は得やすくなっていますが、情報が多い分それぞれの企業に合った情報を見極めて収集することが重要になっています。業種や地域の実情に合うサービスを取り入れることも大切でしょう。後継者不足に悩んでいる企業はその原因を特定し、自社の後継者不足の状況をしっかり理解した上で、スムーズに後継できるように対策を進めましょう。

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