帰属意識とは?【ロイヤリティ―やエンゲージメントとの違いなど】

記事更新日:2020年10月13日 初回公開日:2020年09月28日

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私たちは国籍や企業、家庭など様々なグループに所属しています。同じグループに属する人間には親近感を感じ、そのグループの一員であるということを何気なく意識したり、しなかったりして生活しているのではないでしょうか。帰属意識という言葉は、そのような感覚を指します。この記事では、企業における帰属意識に焦点を当てて、企業と仕事への影響や、帰属意識が低くなる社会的背景、高めるためにどうしたらいいのか、などについてまとめました。企業と従業員、お互いが働きやすい関係を築きたい、という方は是非ご覧になってください。

帰属意識とは

その集団に所属している感覚

帰属意識とは、ある集団に所属しているという感覚、その中の一員であるという意識のことを指します。実際に属している場合のみに使用されるわけではなく、気持ちの上で属している意識がある場合も使われます。そういった意味では、人種、国籍、性別などの広いグループ分けから企業、サークル、家族など実際に所属している組織まで、様々なケースが考えられるでしょう。グループや組織が小さく特定範囲が狭くなるほど、連帯感が高まりやすいようです。

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組織で帰属意識が必要な理由

安心感から深い関わりを持ちたくなる

帰属意識がある状態だと、自分がその組織の一員である意識を持てます。また組織につながっていると感じることができる安心感、安定感が得られることは自分の存在を肯定された感覚につながるでしょう。文字通り「帰る場所、属する場所がある」という感覚です。それにより、組織や組織のやっている活動に対して興味がわき、自分からも発信したい、深く関わりたいと思うようになり、何らかの形で組織に貢献したいと思うようになります。

帰属意識と連想される言葉の違い

ロイヤルティとの違い

ロイヤルティとは英語で「Loyalty」と表記され、「忠誠」「誠実」などを意味します。主従関係がある関係の中で、自分より上の立場の存在に尊敬の念をもって服従する、奉仕するといった意味があるようです。では、ロイヤルティと帰属意識では意味合いは同じなのでしょうか。企業の人事分野で「ロイヤルティ」を使用する場合、従業員から会社への献身的な愛社精神や忠誠を示しますが、帰属意識では主従関係が背景になっていない点は異なりますね。

エンゲージメントとの違い

エンゲージメントは英語で「engagement」と表記され、相手とは対等な関係で約束、契約などをお互いに結びあう様子を表しています。企業でこの用語を使う場合は、従業員が愛社精神を持って積極的な態度で企業に貢献し、企業も従業員を支援するといった、お互いの貢献によってつながりが深くなる関係性を表します。帰属意識よりも、エンゲージメントのほうが、個人が主体的に組織に貢献する姿勢によりフォーカスしている、といえるでしょう。

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帰属意識が与える影響

定着率が変わる

企業において帰属意識はどのように影響を与えるのでしょうか。まず、自分の所属している組織に対して安心感、つながりなどの良い影響を感じられていれば、自分からも主体的に関わっていこう、という気持ちがわきます。ゆくゆくの企業の発展や存続を願うようになるでしょう。企業にとっては長期的な人材の育成も可能になります。帰属意識が低いと、従業員は自分によい影響を与えてくれて所属したいと思えるような企業を探したい、と思うようになり、定着率が低くなります。

仕事のパフォーマンスが変わる

従業員が会社の一員であるという意識やつながりを感じなくなると、仕事への興味が低下することにもつながりかねません。生活のために在籍はしていますが、待遇が良い環境があればあっさりと離職することも考えられます。一方企業に対して愛着がわけば、仕事への興味も持ちやすくなり、自分の能力を発揮して、会社のために貢献したいと意欲的に仕事に取り組む姿勢を持とうとします。また部署内の協力体制が強まるので、業績の向上にもつながるでしょう。

帰属意識が低い原因

働き方の変化が背景に

終身雇用制

社会的な背景が従業員の帰属意識にも影響しているとしたらどのようなことでしょう。日本の伝統的な働き方の特徴であった「終身雇用制」は大手企業でも存続が難しくなりました。高度成長期の日本のサラリーマン社会には、一つの会社に長く在籍し、社内結婚などを経てプライベートを含めて家族的なお付き合いをする、というスタイルが存在していました。しかし、終身雇用制が消えていくことに伴い、そのような形で企業から安定感や安心感を得ずらくなったことが考えられます。

成果主義

上述のように、在籍年数が増えても安定感が得られない理由として、年功序列が崩壊し、長く在籍していても、待遇が良くなるわけではないことが挙げられます。結果を出さないと昇進につながらないため、仕事そのもので自身の能力が発揮でき、評価につながることが求められるようになりました。このため、愛社精神がある従業員でも、自身の能力が発揮できず待遇改善につながらないと、帰属意識が低くなってしまうことも考えられます。

勤務形態の多様化

現代はライフスタイルに合わせて様々な働き方が選べるようになりました。在宅ワークや副業などで、自由な時間と場所を選んで勤務可能になり、物理的に同じ空間で長時間同じ時間を共有することも減ったのではないでしょうか。このため会社の一員であるという意識や親近感が薄れる傾向にあります。またオフィスのレイアウトなども、情報ネットワークの発達やプライバシー尊重の価値観から、流動的で個人的なスタイルに変化が促されてきているようです。

帰属意識は本当に必要なのか

帰属意識のない人の主張

では、帰属意識は本当に皆が必要と感じているのでしょうか。従業員側としては、自分は献身的に勤務しているのに労働環境が割に合わず、会社からメリットが得られないことから、帰属意識は持たなくてよいと感じていることが多いようです。また企業側の観点からは、上述した成果主義などの影響で、帰属意識の高い従業員であっても、必ず仕事において能力が活かしきれていると言えるのか。パフォーマンスが良いこととは関係がないのでは、とする考え方も出てきています。

海外ではどうなのか?

海外と言っても地域により働き方は異なりますが、例えば、日本のような終身雇用制が存在している国は珍しく、多くの国ではキャリアアップのために転職します。よって、会社の一員であるという意識によって1つの企業に長く在籍する、という結果に結びつきにくいといえるでしょう。ただし海外であっても、優秀な人材に情熱をもって働いてもらいたいことに、変わりはありません。日本の帰属意識とは異なれど、エンゲージメントを高めるなど、各地域のやり方で従業員のモチベーションを高めているといえるでしょう。

帰属意識の高め方

社内コミュニケーション向上

では、実際に帰属意識を高めるために具体的にはどのような方法があるでしょうか。まず、社内コミュニケーションを向上させることで、風通しの良い職場を作ることが挙げられます。人間関係や業務上でトラブルがあった時、周囲で協力して解決していけるようにすることが重要です。そのため日頃から上司と部下の話し合いの場を設け、相談できる場を作っておくことがモチベーションの低下を防ぐでしょう。また、ビジョンの共有という面でも経営層との直接対談も有効なようです。

連帯感を創る

また社内で業務以外に同僚や上司・部下と接する場を設け、親密感を生み出すことにより、共に働きたいという気持ちにつながることもあります。運動会などの社内イベントで共有できる体験の場を設けたり、社内広報誌などで他部署や同僚がどんなことをやっているのか、情報を得ることも良いのではないでしょうか。コミュニケーション講座で役職に関係なく自由に意見を述べあったり、メンター制度を設けるなど、研修や制度を利用して連帯感を育成する企業も増えているようです。

多様性に対応

企業の経営手法として、ダイバーシティ、多様性を活かすことが発展につながるとされています。多様性とは国籍、性別、年齢などの属性から、働くことに対する考え方のような、内的な事柄まで広く定義されます。多様性をもった従業員支援のために、フレックスタイム制やリモートワークなど、様々な制度も工夫されてきました。多様性を受容されることにより、従業員は安心感をもち能力を存分に発揮して働くことができます。もちろん企業に対する帰属意識にもつながるでしょう。

ビジョンを明確に

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会社が何を目指しているのかを明確にし、従業員が自社の方向性に対する理解を深めることによって、企業と従業員の間でビジョンを共有することができます。また従業員は自社が社会に対してどんな思いで何を提供しているか、その理念に共鳴することができれば、愛着心はいちだんと高まるのではないでしょうか。そして自分のやっている業務に社会的な意味付けをしたり、人の役に立つことをしているんだという誇りを見出しやすくなり、モチベーションの向上につながります。

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帰属意識を高めている企業の具体例

サイボウズ

インターネットソフトウェアの開発を行うサイボウズ株式会社では、多様性を受け入れる制度を数多く生み出してきました。同社は副業許可、在宅勤務制度などの導入の先駆けとなっています。2013年には「選べる!選択型人事制度」により、管理職含む従業員自ら「ワーク重視型」「ワークライフバランス型」「ライフ重視型」を1年単位で選択できるようになりました。人生設計に合わせて時間を惜しんで働きたい時期、仕事以外のプライベートな時間を充実させたい時期に合わせて、柔軟に働くことを目的としています。

オリエンタルランド

3年後離職率が0%という定着率を誇るオリエンタルランドでは、徹底した企業精神を従業員に伝えていくことで、高いモチベーションを持った従業員を育成しています。顧客満足のためのアイデアは立場の枠を超えて気軽に提案でき、やりがいを感じる環境づくりを行っています。また全従業員の8割を占める準社員に対しても、2016年に人事制度を改定し、役割ごとの昇給や評価基準の改善、連帯感育成のための場づくりなどを実施。「テーマパークオペレーション社員」など新たな雇用区分も積極的に創り出しています。

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まとめ

企業と従業員がいい影響を与え合う

従業員が安心感をもって能力を発揮する場所を提供することができれば、更なる貢献意欲が引き出されるでしょう。また企業がビジョンや事業戦略を見直すことで、さらに従業員のモチベーションも引き出され、よりよい循環が生まれることは想像に難くありません。一つの企業で安定して働くことができ、かつ、ライフスタイルや自分の考え方に合わせて自由に働けることは、従業員にとって大変魅力的であると言えます。企業と従業員のよりよい関係づくりのために今一度、帰属意識を問うてみてはいかがでしょうか。

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